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公共職員法 条文全文Lex50 · 05/50 · 私案条文

原稿あり· 242 か条(枝条・附則含む)

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第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、公共組織法に基づく公共機関の職員(以下「職員」という。)の任用、服務、報酬その他に関する基本的事項を定め、もって公共の事務及び事業の能率的かつ公正な遂行並びに国民全体に対する奉仕を確保することを目的とする。

(日本国憲法との関係)

第二条 職員は、日本国憲法第十五条にいう「全体の奉仕者」として、その任務を遂行しなければならない。

 職員に関する制度は、憲法に定める公務員制度の基本理念に従い、この法律の定めるところによる。

(定義)

第三条 この法律において「職員」とは、公共組織又は指定公共組織等に勤務し、又は雇用、任用、委託、派遣、請負、再委託その他契約の形式を問わず、公共業務若しくは指定公共業務の継続に必要な業務に反復継続して従事する者であって、法律又は条例で定めるものをいう。

 この法律において「公共組織」とは、公共組織法に定める公共組織をいう。

 この法律において「指定公共組織等」とは、指定公共機関、指定公共組織その他法律又は条例により公共業務又は指定公共業務を担うものとして指定された法人、団体又は事業者をいう。

 この法律において「公共業務」とは、国民又は住民の生命、身体、生活基盤、重要な権利利益又は公共の安全に関わる事務又は事業であって、法律又は条例で定めるものをいう。

 この法律において「指定公共業務」とは、指定公共組織等が行う公共業務のうち、法律又は条例により指定されたものをいう。

 この法律において「重要公共業務」とは、公共業務又は指定公共業務のうち、その停止により国民又は住民の生命、身体、生活基盤、重要な権利利益又は公共の安全に直接かつ重大な支障を生ずるおそれがある業務をいう。

 この法律において「職員会」とは、公共組織又は指定公共組織等において、一般職会、管理職会及び特別職会により構成され、職員の処遇保障、服務規律、情報管理、業務継続及び職務環境の改善について協議する機関をいう。

(適用範囲)

第四条 この法律は、公共組織法に定める公共機関並びに公共組織の職員に適用する。

(平等取扱の原則)

第五条 すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地又は政治的意見若しくは政治的所属関係によって、差別されてはならない。

(人事管理の原則)

第六条 職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、この法律に特段の定めがある場合を除くほか、人事評価に基づいて適切に行われなければならない。

(情勢適応の原則)

第七条 この法律に基づいて定められる職員の給与、勤務時間その他勤務条件に関する事項は、社会一般の情勢に適応するために変更することができる。

 人事院は、前項の事項に関する変更について、勧告を行うものとする。

 人事院は、毎年、少なくとも一回、給与制度が適当であるかどうかについて国会及び内閣に同時に報告しなければならない。

(職員の処遇)

第八条 職員は、個人として等しく尊重されるとともに、職務及び能力並びに業績に応じて十分な処遇が与えられなければならない。

 職員について、この法律に定める場合を除き、一切の処遇に関する区分を設けないものとする。

 職員の処遇に関する制度は、職員の能力が長期にわたって発揮されるよう努めることとし、法律の改正によるものでなければ変更は許されないものとする。

(職員の責務)

第九条 職員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法及び法令その他の規律を遵守し、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たらなければならない。

 職員は、業績に基づく人事評価を前提として相互に適切な評価を定められるよう、自己の業績や能力に関する十分な知識及び判断能力を有さなければならない。

 職員は、心身の安定を保持し、健全な生活態度を有するとともに、常に能力の向上に努め、技量の研鑽に励まなければならない。

(職員の調査協力義務)

第十条 職員は、社会問題の早期の発見及び解決に向け、法令の定めによる統計調査に率先して協力する義務を有し、非公開又は先行的に行われる調査研究に協力するものとする。

 前項の協力に関し必要な時間は職務に含むものとする。

(公益適合審査)

第十一条 公共職員は、現に、又は過去若しくは将来における職務及び職務上の命令に関し、自己又は他の公共職員若しくは公共組織の行為が明らかに法令に違反し、又は公共の利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、その理由を付して、第三者の公共組織又は公共職員に異議を申し出なければならない。

 前項の申出を受けた公共組織又は公共職員は、直ちに当該事実又は命令の内容を確認し、その結果を文書で当該職員に通知しなければならない。

 職員が前二項の規定により異議を申し出たことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

 職員がやむを得ず外部機関に対し公益通報を行う場合は、当該通報の内容が個人情報又は職務上の機密に関する情報を含まないときに限り、前各項と同様の取扱いとする。

第二章 職種

(公共職員の職種)

第十二条 公共職員の職は、一般職及び特別職からなるものとする。

 一般職は、特別職に属する職以外の公共職員の一切の職を含むものとする。

 公共職員は、別に定める特別職の規定及び一般職の採用及び任用の条件に反しない限り、職種を変更し、又は職を兼ねることができる。

 公共職員の職種の管理は、社会情勢に適応して行わなければならない。

(特別職公共職員)

第十三条 特別職は、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の選挙によること、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員の職とし、以下に職員の職を定める。

一 内閣総理大臣

二 国務大臣

三 内閣官房長官

四 人事官

五 検査官

六 内閣法制局長官

七 内閣官房副長官

八 内閣危機管理監

九 国家安全保障局長

十 内閣官房副長官補

十一 内閣広報官

十二 内閣情報官

十三 内閣総理大臣補佐官

十四 副大臣

十五 大臣政務官

十六 大臣補佐官

十七 内閣総理大臣秘書官

十八 国務大臣秘書官

十九 宮内庁長官

二十 侍従長

二十一 上皇侍従長

二十二 特命全権大使

二十三 特命全権公使

二十四 特派大使

二十五 政府代表

二十六 全権委員

二十七 裁判官

二十八 国会議員

二十九 地方議会議員

三十 国会議員補佐官

三十一 地方補佐官

三十二 都道府県知事

三十三 都道府県副知事

三十四 市区町村長

三十五 副市区町村長

三十六 日本銀行総裁

三十七 日本銀行副総裁

三十八 日本銀行監事

三十九 日本銀行審議委員

四十 日本銀行理事

四十一 日本銀行参与

四十二 公正取引委員会委員長

四十三 原子力規制委員会委員長

四十四 検事総長

四十五 次長検事

四十六 検事長

(内閣総理大臣)

第十四条 内閣総理大臣は、国会の指名に基づいて任命され、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。

 内閣総理大臣は、閣議で決定した方針により、行政各部を指揮監督する。

 内閣総理大臣は、処分又は命令を中止させ、内閣の処置を待つことができる。

(国務大臣)

第十五条 国務大臣は、内閣総理大臣により指名され、内閣を構成するとともに行政事務を分担管理する。ただし、行政事務を分担管理しない大臣の存することを妨げるものではない。

 国務大臣は、内閣総理大臣に対し閣議の開催を求めることができる。

(内閣官房長官)

第十六条 内閣官房長官は、国務大臣をもつて充てる。

 内閣官房長官は、内閣官房の事務を統轄し、職員の服務を統督する。

(人事官)

第十七条 人事官は、人格が高潔で、人事行政に関し識見を有する年齢三十五年以上の者の中から両議院の同意を経て、内閣が、人事官候補者名簿を作成する。

 人事官候補者名簿に記載する人数は、十人を下回らないものとする。

 人事官候補者名簿の記載者について、国民審査法に基づく人事官審査を行い、得票数が上位の三人を、内閣が、人事官に任命する。

 人事官の任免は、天皇が、これを認証する。

 人事官は、任命後、人事院規則の定めるところにより、最高裁判所長官の面前において、宣誓書に署名してからでなければ、その職務を行ってはならない。

 人事官の任期は、四年とする。ただし、人事官は、再任することができない。

 補欠の人事官は、前任者の残任期間在任する。

 人事院総裁は、人事院を代表するものとし、内閣が任命する。

 人事院総裁に事故のあるとき、又は人事院総裁が欠けたときは、先任の人事官が代行する。

(検査官)

第十八条 検査官は、両議院の同意を経て、内閣がこれを任命する。

 検査官の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会が閉会中であるため又は衆議院の解散のために両議院が同意できないときは、内閣は、前項の規定にかかわらず、両議院の同意なしに検査官を任命することができる。

 前項の場合において、任命の後最初に召集される国会における両議院の承認を得られなかつたときは、その検査官は、当然退官する。

 検査官の任免は、天皇がこれを認証する。

 検査官の任期は、四年とする。ただし、後任の検査官は、前任者の残任期間在任する。

 会計検査院長は、検査官のうちから互選し、内閣においてこれを命ずる。

(内閣法制局長官)

第十九条 内閣法制局長官は、内閣法制局の事務を統括し、部内の職員の任免、進退を行い、且つ、その服務につき、これを統督する。

 内閣法制局長官は、内閣が任命する。

(内閣官房副長官)

第二十条 内閣官房副長官は、内閣官房長官の職務を助け、命を受けて内閣官房の事務をつかさどり、及びあらかじめ内閣官房長官の定めるところにより内閣官房長官不在の場合その職務を代行する。

 内閣官房副長官の任免は、天皇がこれを認証する。

(内閣危機管理監)

第二十一条 内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、危機管理に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する。

 内閣危機管理監は、内閣が任命する。

(国家安全保障局長)

第二十二条 国家安全保障局長は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて局務を掌理する。

 国家安全保障局長は、内閣が任命する。

 局長は、局務のため、内閣官房副長官のうち次長を指名することができる。

(内閣官房副長官補)

第二十三条 内閣官房副長官補は、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監を助け、命を受けて内閣官房の事務を掌理する。

 内閣官房副長官補は、内閣が任命する。

(内閣広報官)

第二十四条 内閣広報官は、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監を助け、広報に関する事務を処理し、掌理する。

 内閣広報官は、内閣が任命する。

(内閣情報官)

第二十五条 内閣情報官は、内閣官房長官、内閣官房副長官、内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監を助け、特定秘密の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び第十二条第二項第六号に掲げる事務を掌理する。

 内閣情報官は、内閣が任命する。

(内閣総理大臣補佐官)

第二十六条 内閣総理大臣補佐官は、内閣総理大臣の命を受け、国家として戦略的に推進すべき基本的な施策その他の内閣の重要政策のうち特定のものに係る内閣総理大臣の行う企画及び立案について、内閣総理大臣を補佐する。

 内閣総理大臣は、内閣総理大臣補佐官の中から、国家安全保障に関する重要政策を担当する者を指定するものとする。

 内閣総理大臣補佐官は、内閣が任命する。

(副大臣)

第二十七条 副大臣は、国務大臣の命を受け、政策及び企画をつかさどり、政務を処理する。

 副大臣が二人置かれた国家行政機関においては、各副大臣の行う前項の職務の範囲及び職務代行の順序については、当該機関の国務大臣の定めるところによる。

 副大臣の任免は、当該国務大臣の申出により内閣が行い、天皇が認証する。

 副大臣は、内閣総辞職の場合においては、内閣総理大臣その他の国務大臣がすべてその地位を失つたときに、これと同時にその地位を失う。

(大臣政務官)

第二十八条 大臣政務官は、国務大臣の命を受け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。

 各大臣政務官の行う職務の範囲については、当該国家行政機関の国務大臣の定めるところによる。

 大臣政務官の任免は、当該機関の国務大臣の申出により、内閣がこれを行う。

 大臣政務官は、内閣総辞職の場合においては、内閣総理大臣その他の国務大臣がすべてその地位を失つたときに、これと同時にその地位を失う。

(大臣補佐官)

第二十九条 大臣補佐官は、国務大臣の命を受け、特定の政策に係る当該国家行政機関の国務大臣の行う企画及び立案並びに政務に関し、国務大臣を補佐する。

 各大臣補佐官の行う職務の範囲については、当該国家行政機関の国務大臣の定めるところによる。

 大臣補佐官の任免は、当該機関の国務大臣の申出により、内閣がこれを行う。

 大臣補佐官は、内閣総辞職の場合においては、内閣総理大臣その他の国務大臣がすべてその地位を失つたときに、これと同時にその地位を失う。

(内閣総理大臣秘書官)

第三十条 内閣総理大臣に附属する秘書官は、内閣総理大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け内閣官房その他の事務を助ける。

(国務大臣秘書官)

第三十一条 国務大臣に附属する秘書官は、国務大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け内閣官房その他の事務を助ける。

(宮内庁長官)

第三十二条 宮内庁長官は、宮内庁の事務を統括し、職員の服務を統督する。

 宮内庁長官の任免は、天皇が認証する。

 宮内庁長官は、宮内庁の所掌事務について、内閣総理大臣に対し、案をそなえて、内閣府令を発することを求めることができる。

 宮内庁長官は、宮内庁の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができ、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。

 宮内庁長官は、宮内庁の所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、皇宮警察の事務につき、警察庁長官に対して所要の措置を求めることができる。

(侍従長)

第三十三条 侍従長は、側近に奉仕し、命を受け、侍従職の事務を掌理する。

 侍従長の任免は、天皇が認証する。

(上皇侍従長)

第三十四条 上皇侍従長は、上皇の側近に奉仕し、命を受け、上皇職の事務を掌理する。

 上皇侍従長の任免は、天皇が認証する。

(特命全権大使)

第三十五条 特命全権大使は、大使館の長として、外務大臣の名を受けて、在外公館の事務を統括する。

(特命全権公使)

第三十六条 特命全権公使は、公使館の長として、外務大臣の名を受けて、在外公館の事務を統括する。

(特派大使)

第三十七条 特派大使は、日本国政府を代表して、外国における重要な儀式への参列その他臨時の重要な任務を処理する。

(政府代表)

第三十八条 政府代表は、日本国政府を代表して、特定の目的をもつて外国政府と交渉し、又は必要な権限を持って国際会議若しくは国際機関に参加する。

(全権委員)

第三十九条 全権委員は、日本国政府を代表して、特定の目的をもつて外国政府と交渉し、又は権限を持って国際会議に参加し、且つ、条約に署名調印する。

(裁判官)

第四十条 裁判官は、その良心に従い法令に基づいて、訴訟のあった事項について判断を行う。

 裁判官は、法律の素養のある年齢三十年以上の者の中からこれを任命し、検察官及び弁護士の職務経験を通算で十年以上有する者でなければならない。

 最高裁判所長官は、内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命し、その他の裁判官は、内閣でこれを任命する。

 最高裁判所判事及び下級裁判所長官の任免は、天皇がこれを認証する。

 最高裁判所長官、最高裁判所判事及び下級裁判所長官の任命は、国民の審査に関する法律の定めるところにより国民の審査に付される。

 裁判官は、その官に任命された日から四年を経過したときは、その任期を終えるものとし、再任されることができる。

 最高裁判所の裁判官は、その長たる裁判官を最高裁判所長官とし、その他の裁判官を最高裁判所判事とする。

 下級裁判所の裁判官は、高等裁判所の長たる裁判官を高等裁判所長官とし、その他の裁判官を判事、判事補及び簡易裁判所判事とする。

 最高裁判所判事の員数は、十四人とし、下級裁判所の裁判官の員数は、別に法律でこれを定める。

(国会議員)

第四十一条 国会議員は、国会における立法について権限を有し、衆議院議員および参議院議員から構成され、全国民を代表する選挙により選出される。

 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。

 各議院の議員の逮捕につきその院の許諾を求めるには、内閣は、所轄裁判所又は裁判官が令状を発する前に内閣へ提出した要求書の受理後速かに、その要求書の写を添えて、これを求めなければならない。

 内閣は、会期前に逮捕された議員があるときは、会期の始めに、その議員の属する議院の議長に、令状の写を添えてその氏名を通知しなければならない。

 内閣は、会期前に逮捕された議員について、会期中に勾留期間の延長の裁判があつたときは、その議員の属する議院の議長にその旨を通知しなければならない。

 議員が、会期前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員二十人以上の連名で、その理由を附した要求書をその院の議長に提出しなければならない。

 議員は、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官、大臣補佐官及び別に法律で定めた場合を除いては、その任期中国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない。ただし、両議院一致の議決に基づき、その任期中内閣行政各部における各種の委員、顧問、参与その他これらに準ずる職に就く場合は、この限りでない。

(地方議会議員)

第四十二条 地方議会議員は、都道府県議会議員及び市区町村議会議員から構成され、当該地方公共団体の住民を代表する選挙により選出される。

 地方議会議員は、地方議会における議事に参画する。

(国会議員補佐官)

第四十三条 国会議員の命を受け、特定の政策に係る企画及び立案並びに政務に関し、国会議員を補佐する。

 各議員補佐官の職務については、当該国家議員の定めるところによる。

 議員補佐官の任免は、当該国会議員の申出により、所属議院の議長が行う。

 議員補佐官は、所属議院の解散と同時にその地位を失う。

(地方補佐官)

第四十四条 地方公共団体の長又は地方議会議員の命を受け、特定の政策に係る企画及び立案並びに政務を補佐する地方補佐官を置くことができる。

 地方補佐官の職務及び身分その他必要な事項は、当該地方公共団体の条例の定めるところによる。

 地方補佐官の任免は、当該地方公共団体の長の申出によるものについては内閣が、都道府県議会議員の申出によるものについては参議院議長が、市区町村議会議員の申出によるものについては衆議院議長が、これを行う。

 地方補佐官は、所属する地方公共団体の長又は地方議会議員の任期を超えてその職に在ることができない。

(都道府県知事)

第四十五条 都道府県知事は、当該地方公共団体を統轄し、法律の定めるところにより事務を管理する。

 都道府県知事の任期は、四年とする。前項の任期の起算については、公職選挙法第二百五十九条及び第二百五十九条の二の定めるところによる。

 都道府県知事は、国会議員その他公共職員と兼ねることができない。

 都道府県知事が、被選挙権を有しなくなつたとき又は前項の規定に該当するときは、その職を失う。その被選挙権の有無又は同条の規定に該当するかどうかは、別の法律の定めによらない限り、当該地方公共団体の選挙管理委員会がこれを決定しなければならない。

 前項の規定による決定は、文書をもつてし、その理由をつけてこれを本人に交付しなければならない。

 第四項の決定についての審査請求は、総務大臣に対してするものとする。

 前項の審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条第一項本文の期間は、第四項の決定があつた日の翌日から起算して二十一日とする。

 都道府県知事に事故があるとき、又は欠けたときは、代理候補者名簿に基づき事前に指定された公共職員がその職務を代理する。

 都道府県知事は、公職選挙法第二百二条第一項若しくは第二百六条第一項の規定による異議の申出、同法第二百二条第二項若しくは第二百六条第二項の規定による審査の申立て、同法第二百三条第一項、第二百七条第一項、第二百十条若しくは第二百十一条の訴訟の提起に対する決定、裁決又は判決が確定するまでの間(同法第二百十条第一項の規定による訴訟を提起することができる場合において、当該訴訟が提起されなかつたとき、当該訴訟についての訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判が確定したとき、又は当該訴訟が取り下げられたときは、それぞれ同項に規定する出訴期間が経過するまで、当該裁判が確定するまで又は当該取下げが行われるまでの間)は、その職を失わない。

10 都道府県知事は、退職しようとするときは、その退職しようとする三十日前までに、当該地方公共団体の議会の議長に申し出なければならない。但し、議会の同意を得たときは、その期日前に退職することができる。

(副知事)

第四十六条 副知事は、都道府県知事を補佐し、知事の命を受け政策及び企画をつかさどり、その補助機関である職員の担任する事務を監督し、別に定めるところにより、都道府県知事の職務を代理する。

 前項に定めるもののほか、副知事は、都道府県知事の権限に属する事務の一部について、告示に基づく委任を受け、その事務を執行する。

(市区町村長)

第四十七条 市区町村長は、当該地方公共団体を統轄し、法律の定めるところにより事務を管理する。

 市区町村長の任期は、四年とする。前項の任期の起算については、公職選挙法第二百五十九条及び第二百五十九条の二の定めるところによる。

 市区町村長は、国会議員その他公共職員と兼ねることができない。

 市区町村長が、被選挙権を有しなくなつたとき又は前項の規定に該当するときは、その職を失う。その被選挙権の有無又は同条の規定に該当するかどうかは、その被選挙権の有無又は同条の規定に該当するかどうかは、別の法律の定めによらない限り、当該地方公共団体の選挙管理委員会がこれを決定しなければならない。

 前項の規定による決定は、文書をもつてし、その理由をつけてこれを本人に交付しなければならない。

 第四項の規定による決定についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。

 前項の審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条第一項本文の期間は、第一項の決定があつた日の翌日から起算して二十一日とする。

 市区町村長に事故があるとき、又は欠けたときは、代理候補者名簿に基づき事前に指定された公共職員がその職務を代理する。

 市区町村長は、公職選挙法第二百二条第一項若しくは第二百六条第一項の規定による異議の申出、同法第二百二条第二項若しくは第二百六条第二項の規定による審査の申立て、同法第二百三条第一項、第二百七条第一項、第二百十条若しくは第二百十一条の訴訟の提起に対する決定、裁決又は判決が確定するまでの間(同法第二百十条第一項の規定による訴訟を提起することができる場合において、当該訴訟が提起されなかつたとき、当該訴訟についての訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判が確定したとき、又は当該訴訟が取り下げられたときは、それぞれ同項に規定する出訴期間が経過するまで、当該裁判が確定するまで又は当該取下げが行われるまでの間)は、その職を失わない。

10 市区町村長は、退職しようとするときは、その退職しようとする二十日前までに、当該地方公共団体の議会の議長に申し出なければならない。但し、議会の同意を得たときは、その期日前に退職することができる。

(副市区町村長)

第四十八条 副市区町村長は、市区町村長を補佐し、市区町村長の命を受け政策及び企画をつかさどり、その補助機関である職員の担任する事務を監督し、別に定めるところにより、市区町村長の職務を代理する。

 前項に定めるもののほか、副市区町村長は、市区町村長の権限に属する事務の一部について、告示に基づく委任を受け、その事務を執行する。

(日本銀行総裁)

第四十九条 日本銀行総裁は、日本銀行を代表し、委員会の定めるところに従い、日本銀行の業務を総理する。

 日本銀行総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。

 総裁の任期は四年とし、再任されることを妨げない。総裁が欠員となった場合における補欠の総裁の任期は、前任者の残任期間とする。

 日本銀行の職員は、総裁が任命する。

 日本銀行と総裁との利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

 総裁は、理事又は日本銀行の職員のうちから、日本銀行の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

(日本銀行副総裁)

第五十条 日本銀行副総裁は、総裁の定めるところにより、日本銀行を代表し、総裁を補佐して日本銀行の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。

 日本銀行副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。

 副総裁の任期は四年とし、再任されることを妨げない。副総裁が欠員となった場合における補欠の総裁の任期は、前任者の残任期間とする。

 日本銀行と副総裁との利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

 副総裁は、理事又は日本銀行の職員のうちから、日本銀行の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

(日本銀行審議委員)

第五十一条 日本銀行審議委員は、日本銀行政策委員会における議事に参画し、金融政策について意見を述べるとともに、政策の実施について必要な協力を行う。

 日本銀行審議委員は、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。

 委員の任期は四年とし、再任されることを妨げない。

(日本銀行監事)

第五十二条 日本銀行監事は、日本銀行の業務を監査する。

 監事は、監査の結果に基づき必要があると認めるときは、財務大臣、内閣総理大臣又は委員会に意見を提出することができる。

 監事は、内閣が任命する。

 監事の任期は四年とし、再任されることを妨げない。

(日本銀行理事)

第五十三条 日本銀行理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して日本銀行の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときは総裁の職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときは総裁の職務を行う。

 理事は、委員会の推薦に基づいて、財務大臣が任命する。

 理事の任期は四年とし、再任されることを妨げない。

(日本銀行参与)

第五十四条 日本銀行参与は、日本銀行の業務運営に関する事項について、委員会の諮問に応じ、又は必要があるときは、委員会に意見を述べることができる。

 参与は、委員会の推薦に基づいて、財務大臣が任命する。

 参与の任期は四年とし、再任されることを妨げない。

(公正取引委員会委員長)

第五十五条 公正取引委員会委員長は、公正取引委員会の会務を総理し、公正取引委員会を代表する。

 委員長は、年齢が三十五年以上で、法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。

 委員長の任免は、天皇が、これを認証する。

(原子力規制委員会委員長)

第五十六条 原子力規制委員会委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。

 委員長は、人格が高潔であって、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

 委員長の任免は、天皇が、これを認証する。

 委員長の任期は、四年とする。ただし、委員長は、再任されることができる。

 補欠の委員長の任期は、前任者の残任期間とする。

 委員長の任期が満了したときは、当該委員長は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

 委員長につき任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長を任命することができる。

(検事総長)

第五十七条 検事総長は、最高検察庁の長として、庁務を掌理し、且つ、すべての検察庁の職員を指揮監督する。

 検事総長は、その指揮監督する検察官の事務を、自ら取り扱い、又はその指揮監督する他の検察官に取り扱わせることができる。

 検事総長に事故のあるとき、又は検事総長及び次長検事が欠けたときは、その庁の他の検察官が、法務大臣の定める順序により、臨時にその職務を行う。

 検事総長の任免は、内閣が行い、天皇が、これを認証する。

(次長検事)

第五十八条 次長検事は、最高検察庁に属し、検事総長を補佐し、又、検事総長に事故のあるとき、又は検事総長が欠けたときは、その職務を行う。

 検事総長は、その指揮監督する検察官の事務を、自ら取り扱い、又はその指揮監督する他の検察官に取り扱わせることができる。

 検事総長に事故のあるとき、又は検事総長及び次長検事が欠けたときは、その庁の他の検察官が、法務大臣の定める順序により、臨時にその職務を行う。

 次長検事の任免は、内閣が行い、天皇が、これを認証する。

(検事長)

第五十九条 検事長は、高等検察庁の長として、庁務を掌理し、且つ、その庁並びにその庁の対応する裁判所の管轄区域内に在る地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督する。

 検事総長は、その指揮監督する検察官の事務を、自ら取り扱い、又はその指揮監督する他の検察官に取り扱わせることができる。

 検事総長に事故のあるとき、又は検事総長及び次長検事が欠けたときは、その庁の他の検察官が、法務大臣の定める順序により、臨時にその職務を行う。

 検事長の任免は、内閣が行い、天皇が、これを認証する。

第三節 一般職

(一般職公共職員)

第六十条 一般職公共職員は、公共組織に勤務する特別職以外の職員とし、その職種は、労働法第二編(職業)第条及び同別表第一に定める職業分類に準ずるものとする。

第七章 人事院

(人事院)

第六十一条 人事院は、法律に従い、公共職員に関し、次に掲げる事務を行う。

一 職員の給与その他の勤務条件の制度設計及び改善の勧告

二 職員情報の管理及び公共組織等共通業務システムの運用

三 職員の採用・任命及び解職に関する基準の策定並びに当該事務の実施

四 職員給与の支払の監理

五 職員研修の企画及び実施

六 前各号に掲げる事務に関する調査研究

七 公共組織及び公共機関の人事運営に関する助言又は指導

八 職員の分限及び懲戒に関する審査並びに処分の基準の策定

九 勤務条件及び人事運営に関する苦情の処理

十 本法第十一条(公益適合審査)及び公益通報者保護関係法令に基づく公益通報の受理並びに公益通報者の保護

十一 公共部門に係る労働争議に関する調停(当該所掌は労働関係法令との調整の範囲内とする)

(人事院の地位)

第六十二条 人事院は、内閣から独立した地位を有する。

(人事院の組織)

第六十三条 人事院は、人事官会議及び事務総局により組織する。

(人事官会議)

第六十四条 人事官会議は、少なくとも一週に一回開催しなければならない。

 人事官会議の議事は、第六十五条第二項に規定する幹事が議事録を作成し、記録しておかなければならない。

 人事院の事務処理の手続に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

(事務総局)

第六十五条 人事院に事務総局を置く。

 事務総局には、事務総長を置く。事務総長は、総裁の職務執行の補助者となり、人事院の所掌する事務を指揮監督するとともに、人事官会議の幹事となる。

(予算)

第六十六条 人事院は、毎会計年度の開始前に、次の会計年度において必要とする経費の要求書を国の予算に計上されるように内閣に提出しなければならない。

 要求書には、必要な役務及び物品に関する経費が計上されなければならない。

 内閣が人事院の要求書を修正する場合においては、人事院の要求書は、内閣により修正された要求書とともに、これを国会に提出しなければならない。

(人事院規則及び人事院指令)

第六十七条 人事院は、その所掌事務について、人事院規則を制定し、改廃することができる。

 人事院規則及びその改廃は、官報によって公布する。

 人事院は、人事院規則又はその他の措置のため、指令を発することができる。

(人事院検査)

第六十八条 人事院又はその指名する者は、人事院の所掌する人事行政に関する事項について、必要な限度で調査又は検査をすることができる。

 人事院又は前項の規定により指名された者は、必要があると認めるときは、関係者から報告又は資料の提出を求め、当該職員の勤務する場所に立ち入り、関係書類を調査することができる。

 前二項の権限の行使は、裁判の独立及び議会の自律並びに個人の権利利益を不当に侵害してはならない。

 前各項により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、請求があったときは提示しなければならない。

(給与の支払の監理)

第六十九条 人事院は、職員に対する給与の支払を監理する。

 職員に対する給与の支払は、規則又は指令に反して行ってはならない。

(人事記録)

第七十条 人事院は、職員の人事記録に関することを管理する。

 人事院は、内閣府、各省その他の機関により作成された当該機関の職員の人事に関する一切の事項について、人事記録を作成し、保管する。

 記載事項及び様式その他記録に関し必要な事項は、政令で定める。

 人事院は、公共機関により作成し、又は保管される人事記録が前項の規定による政令に適合しないと認めるときは、当該公共機関の長に対し、是正のため必要な勧告又は指示をすることができる。

(統計報告)

第七十一条 人事院は、職員の在職関係に関する統計報告の制度を所掌する。

 人事院は、前項の統計報告に関し必要があるときは、関係庁に対し随時又は定期に一定の形式に基づいて、所要の報告を求めることができる。

(国際人事行政との連携)

第七十二条 人事院は、国際機関及び各国の政府の人事上の施策を注視し、公共組織における人事管理の高度化に向け、必要に応じて連携しなければならない。

(権限の委任)

第七十三条 人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行わせることができる。

 前項の場合においては、人事院又は内閣総理大臣は、当該事務に関し、他の機関の長を指揮監督することができる。

(人事行政改善の勧告)

第七十四条 人事院は、人事行政の改善に関し、勧告を行うことができる。

 前項の場合においては、人事院は、その旨を内閣に報告しなければならない。

(法令の制定改廃に関する意見の申出)

第七十五条 人事院は、この法律の目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは、その意見を国会及び内閣に同時に申し出なければならない。

(人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)

第七十六条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、人事院に対し、人事院規則を制定し、又は改廃することを要請することができる。

 内閣総理大臣は、前項の規定による要請をしたときは、速やかに、その内容を公表するものとする。

(業務の報告)

第七十七条 人事院は、国会及び内閣に業務状況を報告しなければならない。

 内閣は、前項の報告を公表しなければならない。

(採用)

第七十八条 この法律において採用とは、公共職員(以下「職員」という。)以外の者を新たに職員に任命することをいう。採用に関する事務は、人事院が行う。

(採用試験)

第七十九条 職員の採用は、公職選挙により特別職に就任する者を除き、共通試験法に定める共通試験による。

 人事院は、共通試験の得点者名簿に記載された者のうち、欠格条項に該当しない者について、面接その他の適性検査を実施する。

 前項の合格者を新規採用候補者として新規採用者名簿に記載する。

 新規採用者の氏名は、官報で告示する。

(任用)

第八十条 任用とは、採用された職員を特定の職務に任命することをいう。

 職員の任用は、職務に基づいて行われなければならない。

 任用の開始、変更又は解除を、採用又は解雇の事由とみなしてはならない。

 職員の任用に当たり、公共組織又は公共機関の長は、職員に対して選考その他の個別試験を課すことができる。

 任用に関する事務は、各公共機関の長が行う。ただし、事務処理の能率のために人事院が掌理することを妨げない。

(任務限定任用)

第八十一条 通常の勤務形態に適合しない者であって、短時間、補助的又は高度専門的業務に従事させる必要がある場合その他在学等の事由がある場合には、当該者を任務限定任用に付することができる。

 任務限定任用の対象は、次に掲げる者とする。

一 医療上の必要により通院若しくは入院中の者であって、従事可能な範囲に限り勤務するもの

二 身体又は精神の機能上の制約により配慮を要する者

三 教育機関に在学し修学に専念する者

 任務限定任用の任務、時間、場所その他の条件は、当該者の事情に応じて定める。

 任務限定任用は、当該要件が消滅したときは三十日以内に終了する。ただし、第七十九条の規定による採用試験に合格し、通常の勤務形態による任用に移行する者については、この限りでない。

(任用基準)

第八十二条 職員の任用に当たっては、当該職務に必要な職務経験並びに資格要件を定め、任用の基準とすることができる。

 任用基準は、特段の定めがない限り公開しなければならない。

 任用基準の運用に当たっては、合理的配慮の提供及び不当な差別的取扱いの禁止を確保しなければならない。

第八章 採用及び任用

(条件付き採用期間)

第八十三条 職員の採用は、条件付きのものとし、その者が六箇月を勤務して良好な成績を示したときに正式のものとする。

(条件付き任用期間)

第八十四条 職員の任用は、その職員が、当該官職に係る条例又は人事院規則で定める期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式のものとする。

 前項の期間は、前条に定める期間を超えてはならない。

(採用条件及び任用条件の明示)

第八十五条 採用又は任用に関する雇用契約の締結に際し、職員は賃金、労働時間その他の勤務条件を通知書(電子的記録を含む)により明示されなければならない。

 前項の勤務条件通知書に記載する事項は、次に掲げるものとする。

一 勤務期間に関する事項

二 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

三 休日、休暇、始業及び終業時刻、時間外勤務及び休憩・勤務時間に関する事項

四 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の支給時期並びに昇給に関する事項

五 休職及び退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

六 安全及び衛生に関する事項

七 研修その他職業訓練に関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

九 表彰及び制裁に関する事項

(採用又は任用の解除)

第八十六条 前条の規定によって明示された勤務条件が事実と相違する場合においては、職員は、即時に契約を解除することができる。

 就業のために住居を変更した職員が、前項により十四日以内に帰郷する場合においては、人事院又は各公共機関の長は、必要な旅費を負担しなければならない。

(共通業務システム)

第八十七条 人事に係る事務処理は、共通業務システムによるものとする。

 共通業務システムは、職員の採用及び任用に関する申請や職務に関する情報の提供を主とする。

 共通業務システムの運用に関する基準は、人事院規則で定める。

第九章 失職、解職及び免職

(失職)

第八十八条 職員の失職は、任用に係る特定の職務、事業又はプロジェクトの終了に伴い、当該職務上の地位を失うことをいう。

 前項の失職は、採用に基づく職員としての地位を失うものではない。

 失職した職員は、再任用又は職務転換の候補者として、共通業務システムに登録されるものとする。

 人事院又は各公共機関の長は、前項の職員に対し、他の任用機会に関する情報を提供し、当該職員の能力及び希望を考慮して、再配置に努めなければならない。

(解職)

第八十九条 職員の解職(分限)は、本人の意思によらずして、当該任用に係る職務を解除することをいう。ただし、採用に基づく職員としての地位は失われない。

 解職は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り行うことができる。

一 人事評価又は勤務実績に照らし、当該職務の遂行が著しく不良であるとき。

二 心身の故障その他の事由により、当該職務に堪えないとき。

三 当該職務に必要な適格性を欠くとき。

四 事業の終了又は縮小により、廃職若しくは過員を生じたとき。

五 刑事事件に関し起訴されたとき。

 解職は、職務変更、再教育又は休職によっても改善が見込まれない場合に限り、人事院の承認を経て行うものとする。

 解職された職員は、前条第三項の規定により、再任用の候補者として登録されるものとする。

 人事院は、解職の適否について異議申立てを受理し、公平審査を行うものとする。

(再教育及び職務転換)

第九十条 職員が職務上の適格性を欠くと認められる場合においても、直ちに免職又は解職を行ってはならない。

 前項の場合においては、公共機関は、当該職員に対し、必要な再教育、研修又は職務転換の機会を与えなければならない。

 前二項の規定により職務転換が行われた場合には、その辞令の日から一年を標準として、職務遂行の改善状況を評価するものとする。

(免職)

第九十一条 免職とは、職員の採用に基づく地位を失わせることをいう。

 免職は、前二条の規定に基づく職務転換及び再教育を経てもなお、当該職員の職務遂行能力に改善が認められない場合に限り、人事院の承認を得て行うものとする。

 免職に当たっては、当該職員の希望を聴取しなければならない。

 免職の決定後、人事院は、免職調書を作成し、採用停止期間の有無及び期間を併せて記載しなければならない。

 免職の効果は、当該決定の告示の日に発生する。

(採用停止期間)

第九十二条 採用停止期間は、人事院が提出した免職調書に基づき、裁判所の決定によって定められる。

 採用停止期間は、免職の性質、職務内容及び不適格事由の程度に応じて、六箇月以上三年以下の範囲で定めるものとする。

 免職の決定が取消された場合は、直ちに採用停止期間を終了する。

 採用停止期間中においても、当該者は人事院の指導の下で研修又は職業訓練を受けることができる。

(欠格条項)

第九十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、採用及び任用に関する権利を有しない。

一 成年被後見人又は被保佐人

二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることを免れない者

三 懲戒免職の処分を受け、採用停止期間中の者

四 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

(不法行為の禁止)

第九十四条 何人も、次の各号に掲げる事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、又はその約束をしてはならない。

一 退職若しくは休職又は任用の不承諾

二 採用若しくは任用に関する試験の撤回若しくは中止

三 任用、昇給、留職その他官職における利益の実現又はこれらに関する推薦

 何人も、前項に掲げる行為を強制、脅迫その他これに類する方法により行い、又はこれを媒介してはならない。

(人事に関する虚偽行為の禁止)

第九十五条 採用、任用、解職及び免職その他人事上の措置に関して、虚偽又は不正の陳述、記載、証明、採点、判断又は報告を行ってはならない。

 前項の行為に関与した者は、懲戒又は刑事上の責任を問われるものとする。

第十章 分限、懲戒及び保障

(分限、懲戒及び保障の根本基準)

第九十六条 職員の分限、懲戒及び保障に関するすべての手続及び処分は、公正かつ合理的でなければならない。

(身分保障)

第九十七条 職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意思に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。

 職員が人事院規則で定める勤務成績又は服務態度の不良に該当するときは、降給の処分を受けるものとする。

(本人の意思に反する休職の場合)

第九十八条 職員が、次の各号の一に該当する場合又は人事院規則で定めるその他の事由がある場合においては、職務上の必要により、これを休職することができる。

一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合

二 刑事事件に関し起訴された場合

(休職の効果)

第九十九条 休職の期間は、人事院規則で定める。休職期間中の事故が消滅したときは、休職を終了し、すみやかに復職を命じなければならない。

 前条第二号の規定による休職は、その事件が裁判所に係属する期間とする。

 休職の事由が消滅したときは、当然に休職が終了したものとみなされる。

 休職者は、職員としての身分を有するが、職務に従事しない。休職者の給与の取扱いは、人事院規則で定める。ただし、給与の全部又は一部の支給を停止することができる

(定年)

第百条 職員は、特定の年齢を条件としてその地位を失うことはない。

 任用期間又は修学その他研修期間を終えた日から一年後(病気、育児又は介護による休職期間及び失職時に有していた年次休暇の期間を除く。)の日を定年に達した日とし、退職する。

(懲戒)

第百一条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職(懲戒免職をいう。)、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

一 この法律若しくは法律に基づく命令に違反した場合

二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

(懲戒の効果)

第百二条 懲戒による処分の効力期間は、六箇月を超えてはならない。

 停職者は、職員としての身分を有するが、その職務に従事せず、任用されることができない。懲戒による停職者は、停職の期間中給与を受けることができない。

(懲戒権者)

第百三条 懲戒処分は、任命権者が行う。

 人事院は、必要があると認めるときは、職員を懲戒手続に付することを任命権者に勧告することができる。

(刑事裁判との関係)

第百四条 懲戒に付されるべき事件が刑事裁判所に係属する間においても、人事院又はその承認を得た任命権者は、同一事件について懲戒手続を進めることができる。この法律による懲戒処分は、当該職員が同一又は関連の事件について刑事上の訴追を受けることを妨げない。

(教育・研修及び休業補償)

第百五条 職員が任用期間を満了したときは、退職手当は支給しないものとする。ただし、当該職員は、教育又は研修のための給与補償を受ける権利を有する。

 前項の補償は、職員が失職又は休職となった期間においても継続して支給されるものとし、その期間中に受けた教育又は研修の成果は、次の任用又は職務転換の基礎とする。

 教育及び研修の内容、期間及び給与補償の額は、人事院規則で定める。

 人事院は、教育・研修補償に係る基金を設け、職員の学習履歴及び研修成果を管理し、職務能力の維持向上を図るものとする。

(退職後の猶予及び教育補償)

第百六条 職員が任用期間を満了し、又は退職した場合においては、退職手当は支給しないものとする。ただし、当該職員は、次の任用に就くまでの一年間を標準として、給与補償を受ける権利を有する。

 前項の猶予期間中に教育又は研修を行う職員については、別に定めるところにより、当該期間を延長することができる。

 前二項の補償を受ける職員は、職員としての身分を有するが、任用に基づく職務に従事しない。

 人事院は、教育補償の給付、期間及び延長基準並びに次の任用への支援措置を定める規則を設けるものとする。

(退職後教育・研修及び再任用準備期間)

第百七条 職員が任用期間を満了し、又は退職した場合においては、退職手当は支給しないものとする。ただし、当該職員は、次の任用又は職業に就くまでの四年間を限度として、教育、研修及び再任用準備のための給与補償を受ける権利を有する。

 前項の期間は、次の各号に区分するものとする。

一 第一年及び第二年 教育機関又は大学院における履修又は職業訓練の期間

二 第三年 公共機関又は民間事業における実務研修の期間

三 第四年 求職又は再任用活動の期間

 各期間における給与補償の額、支給方法及び教育・研修の内容は、人事院規則で定める。

 人事院は、教育・研修基金を設け、前各項に規定する補償に要する経費を支出するほか、教育機関との連携及び次職マッチングの支援を行うものとする。

 当該期間を満了した職員は、希望により再任用又は再採用の申込みをすることができる。

第十章 労働権

(人事交渉権)

第百八条 職員は、自らに関する雇用条件その他人事上の措置について、個別に交渉することができる。

ただし、職員は、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならず、団体による交渉及び争議行為は禁止される。

 前項の規定は、職員が公務に直接関係しない団体に加入し、又はその活動を支援することを妨げるものではない。

 職員は、公共の利益及び公務員制度の健全な運営に資する限りにおいて、関連する産業又は職業団体の交渉又は政策提言活動に参加し、民間労働条件の改善及び社会的公正の実現を推進することができる。

(給与交渉権)

第百九条 職員は、給与の算定根拠に疑義があるときは、人事院に対して給与交渉を申し出ることができる。

 人事院は、職員から給与交渉の申し出があったときは、職員が疑義を有するに著しく至らないと判断される場合を除き、交渉に応じなければならない。

 給与交渉にあたって、当該職員の交渉結果が他の職員に影響することはない。ただし、人事院において、交渉結果が著しく他の職員との均衡を失すると判断する場合に、他の職員の給与条件を改善させることを妨げない。

 人事院は、職員の申し出から十四日以内に交渉の可否を回答し、回答から三十日以内に交渉を妥結させなければならない。

 前項の妥結が不調の場合は、職員又は人事院は裁判所に訴えを提起することとする。

(任用交渉権)

第百十条 職員は、自らの有する経験及び能力を発揮する職が存しない(希望する職が定員のために新たな任用が見込めない場合を含む。)と判断したときは、人事院に対して任用交渉を申し出ることができる。

 人事院は、職員から任用交渉の申し出があったときは、職員が判断を有するに著しく至らないと判断される場合を除き、交渉に応じなければならない。

 任用交渉にあたって、当該職員の交渉結果が他の職員に影響することはない。ただし、人事院において、交渉結果が著しく他の職員との均衡を失すると判断する場合に、他の職員の任用条件を改善させることを妨げない。

 人事院は、職員の申し出から十四日以内に交渉の可否を回答し、回答から三十日以内に交渉を妥結させなければならない。

 前項の妥結が不調の場合は、職員又は人事院は裁判所に訴えを提起することとする。

以下、公共職員法への挿入条文案として、先ほどの「個別ルートと団体ルートを混ぜない」点まで含めて整理します。

現行案の第十章「労働権」付近に、「職員会及び処遇協議」

として入れる想定です。

第十章 職員会及び処遇協議

第一節 総則

(職員会の設置)

第百八条 公共組織及び指定公共組織には、公共業務の適正かつ継続的な運営、職員の処遇保障、服務規律、情報管理、業務分類及び職務環境の改善について協議するため、職員会を置くものとする。

 職員会は、一般職会、管理職会及び特別職会をもって構成する。

 職員会は、非党派的かつ民主的に運営されなければならず、特定の政党、政治団体、事業者団体その他外部団体の機関又は下部組織として運営されてはならない。

 職員会は、職務上知り得た秘密、個人情報、機密情報その他公共業務の安全又は信頼を害するおそれのある情報を、交渉、要請、抗議、広報、政治活動その他いかなる活動にも用いてはならない。

 前項の規定は、法令に基づく公益通報、監査、監察、議会、裁判所、人事院、人事委員会又は公共労働委員会に対する申立て、通報又は証拠の提出を妨げるものではない。

(職員会の目的)

第百九条 職員会は、一般職員、管理職員、特別職、任命権者、議会の議員その他公共業務に責任を負う者が、各々の職責に応じて、公共業務の継続、職員の処遇保障、情報管理、服務規律及び職務環境の改善について協議し、公共業務の停止、情報漏洩、業務妨害、サボタージュ、処遇悪化及び管理責任の空洞化を未然に防止することを目的とする。

 職員会は、労働条件に関する対立を助長するための機関ではなく、公共業務に従事し、又はこれを支援する者の責任と待遇を均衡させるための公共服務協議機関とする。

第二節 一般職会、管理職会及び特別職会

(一般職会)

第百十条 一般職会は、公共組織又は指定公共組織に勤務し、又はその業務に継続して従事する一般職員、支援業務職員その他処遇保障を受ける者をもって構成する。

 一般職会は、勤務条件、給与、手当、休暇、安全衛生、人員配置、業務分類、情報管理、最低限業務維持及び不利益処分に関し、意見を提出し、協議を求め、又は人事院、人事委員会その他法律で定める機関に申立てをすることができる。

 一般職会は、重要公共業務に従事する職員及び当該業務を支援する職員について、公務員待遇又は公共職員に準ずる待遇が確保されていないと認めるときは、任命権者、管理職会、特別職会、人事院又は人事委員会に対し、処遇改善を申し立てることができる。

(管理職会)

第百十一条 管理職会は、公共組織又は指定公共組織において管理又は監督の地位にある職員、施設又は業務の責任者その他法律で定める管理職員をもって構成する。

 管理職会は、業務継続、人員配置、服務管理、情報管理、職務責任、管理職員の処遇及び公共業務の運営上必要な事項について協議し、意見を提出することができる。

 管理職会は、一般職会から提出された勤務実態、過労、人員不足、情報管理上の危険その他公共業務の継続に関する事項について、必要な調査を行い、任命権者又は特別職会に対し改善措置を求めるものとする。

 管理職会は、管理職員に過重な責任が集中し、又は公共業務の継続に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、一般職会及び特別職会に対し、業務量、人員配置、権限配分又は処遇の見直しについて協議を求めることができる。

(特別職会)

第百十二条 特別職会は、任命権者、公共組織又は指定公共組織の長、役員、特別職、議会の議員その他公共業務に関し任命、予算、条例、監督又は政策上の責任を負う者をもって構成する。

 特別職会は、公共業務の継続、処遇保障に必要な予算措置、重要公共業務の指定、指定公共組織の監督、職員配置、会計管理、情報管理及び議会への報告に関する事項について協議する。

 特別職会に参加する議員は、職員会における協議を、特定の政党又は会派の利益のために利用してはならず、職務上知り得た秘密、個人情報又は機密情報を漏らし、又は政治活動に用いてはならない。

 議員は、法律又は条例に別段の定めがある場合を除き、個別職員の任免、懲戒、分限その他個別人事に関する議決に参加してはならない。ただし、制度上又は予算上の必要な措置について意見を述べることを妨げない。

 特別職会は、一般職会又は管理職会から処遇改善、人員配置、情報管理、業務継続又は指定公共組織の監督に関する申立てがあったときは、必要な調査、予算措置、条例上の措置、契約上の措置又は議会への報告を行うものとする。

第三節 三会の協力及び相互牽制

(三会の協力及び相互牽制)

第百十三条 一般職会、管理職会及び特別職会は、公共業務の適正かつ継続的な運営、職員の処遇保障、服務規律、情報管理及び職務環境の改善について、相互に協力しなければならない。

 一般職会、管理職会又は特別職会のいずれかにおいて、公共業務の継続、職員の処遇、情報管理、服務規律又は非党派性を害するおそれがあると認められるときは、他の二会は、当該会に対し、協議、是正要求、資料提出要求又は第三者機関への申立てを行うことができる。

 前項の場合において、他の二会は、当該問題の解決に必要な範囲で、人事院、人事委員会、公共労働委員会、監査機関、議会その他法律で定める機関に対し、共同して意見を提出し、又は申立てをすることができる。

 前三項の規定は、個別職員の秘密、個人情報又は公益通報者の保護を害するように解釈してはならない。

(三会による予防的協議)

第百十四条 一般職会、管理職会及び特別職会は、情報漏洩、業務妨害、サボタージュ、過労、低待遇、人員不足、委託又は再委託による責任の空洞化その他公共業務の信頼を害するおそれのある事態を未然に防止するため、継続的に協議を行うものとする。

 前項の協議においては、職員の処遇、業務量、人員配置、権限管理、情報管理、委託契約、再委託の状況、研修、監査及び公共業務の継続に関する事項を対象とする。

 三会は、前二項の協議により改善を要すると認める事項について、任命権者、人事院、人事委員会、監査機関又は議会に対し、必要な措置を求めることができる。

第四節 個別手続と職員会手続の分離

(個別救済手続と職員会手続の分離)

第百十五条 職員の任用、評価、給与、配置、懲戒、分限、健康、安全、公益通報その他当該職員の地位又は権利利益に直接関係する事項については、当該職員による個別の申立て、交渉、通報又は救済手続により処理することを原則とする。

 職員会は、前項の事項について、当該職員の明示の同意がある場合又は法律で定める場合を除き、個別職員を特定して協議、交渉、要請、抗議、広報その他の活動の対象としてはならない。

 職員会は、第一項の事項に関して得られた事実又は課題を、個人を識別することができないよう匿名化し、統計化し、又は類型化した上で、勤務条件、処遇保障、服務規律、情報管理、業務分類及び職務環境の改善に関する協議の資料とすることができる。

 前三項の規定は、法令に基づく公益通報、監査、監察、議会、裁判所、人事院、人事委員会又は公共労働委員会に対する申立て、通報又は証拠の提出を妨げるものではない。

(個別申立権)

第百十六条 職員は、自己の勤務条件、任用、評価、給与、配置、懲戒、分限、健康、安全又は職務環境に関し、不利益を受け、又は受けるおそれがあるときは、任命権者、人事院、人事委員会、公共労働委員会、監査機関その他法律で定める機関に対し、個別に申立てをすることができる。

 職員は、前項の申立てをしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

 職員は、第一項の申立てに関し、職員会、弁護士、専門職その他法律で定める者の支援を受けることができる。ただし、当該支援を受けるか否かは、当該職員の自由な意思による。

 職員会は、職員から前項の支援を求められた場合であっても、当該職員の意思に反して個人情報、健康情報、評価情報、公益通報に関する情報その他個別職員の権利利益に関する情報を使用してはならない。

(職員会による制度改善申立て)

第百十七条 職員会は、個別職員の申立て、相談、通報又は救済手続から明らかとなった勤務条件、処遇保障、情報管理、業務分類、人員配置その他制度上の課題について、個人を識別することができない方法により整理した上で、任命権者、特別職会、人事院、人事委員会又は公共労働委員会に対し、制度改善を申し立てることができる。

 前項の申立ては、個別職員の権利救済手続を妨げ、又は当該職員の意思に反してその個人情報若しくは秘密を開示するものであってはならない。

 任命権者、特別職会、人事院、人事委員会又は公共労働委員会は、第一項の申立てがあったときは、必要な調査を行い、その結果及び講ずべき措置を職員会に通知するものとする。

第五節 指定公共組織及び支援業務職員

(指定公共組織における支援業務職員の規律及び処遇)

第百十八条 指定公共組織は、指定公共業務に直接従事する職員のみならず、当該業務の継続に必要な支援業務、内部管理業務、情報管理業務、施設管理業務、警備、清掃、給食、搬送、受付、相談、通信、情報システム運用その他の関連業務に従事する者についても、法律で定めるところにより、公共職員に準ずる服務規律、守秘義務、業務妨害禁止義務及び処遇保障を確保しなければならない。

 前項の規律及び処遇保障は、雇用、派遣、請負、委託、再委託その他契約の形式又は名称によって、これを免れることができない。

 指定公共組織は、前二項に規定する者について、職務上知り得た秘密、個人情報、機密情報、施設管理情報、業務運用情報その他公共業務の安全又は信頼を害するおそれのある情報の取扱いに関し、必要な研修、権限管理、記録管理及び監査を行わなければならない。

 第一項に規定する者に対して守秘義務、業務継続義務その他公共規律を課す場合には、その業務の性質、責任、拘束性及び情報接触の程度に応じ、給与、勤務時間、休暇、安全衛生、雇用安定、苦情処理その他必要な処遇保障を講じなければならない。

(重要公共業務と処遇保障)

第百十九条 国、地方公共団体、公共組織及び指定公共組織は、職員が法律により争議行為を禁止され、又は重要公共業務の維持のため争議行為を著しく制限される業務に従事するときは、当該職員について、同種又は類似の職務に従事する国又は地方公共団体の職員の給与、勤務時間、休暇、手当、補償、身分保障その他の勤務条件を下回らない処遇を保障しなければならない。

 前項の処遇保障は、当該職員の所属する法人の種類、雇用形態、契約名称又は財源の種別によって、これを減ずることができない。

 第一項の処遇保障が講じられていない業務については、法律に別段の定めがある場合を除き、争議行為を禁止し、又はこれと同程度に制限してはならない。

 重要公共業務の指定は、組織の名称又は職員の身分のみによってしてはならず、当該業務の停止により生ずる具体的危険、代替実施の可能性、継続に必要な最小人員及び処遇保障の内容を明らかにして行わなければならない。

第六節 職員会協議会

(職員会協議会)

第百二十条 職員会は、同種又は類似の公共業務に従事する他の公共組織又は指定公共組織の職員会と協議会を設け、処遇、職務分類、人員配置、情報管理及び業務継続に関する基準の比較、調整及び改善を行うことができる。

 前項の協議会は、地域、業務、職種又は職階を単位として設けることができる。

 人事院及び人事委員会は、職員会協議会から意見の提出又は改善の申立てがあったときは、必要な調査を行い、その結果を当該協議会、任命権者及び関係する特別職会に通知しなければならない。

既存の個別交渉権との接続案既存の「人事交渉権」「給与交渉権」「任用交渉権」は、この後に置くのがよいです。

位置づけとしては、職員会ルート:集団的・制度的・予防的な処遇改善個別交渉ルート:個別職員の任用・給与・配置・処分等の救済です。

そのため、既存条文の前に次の接続条文を置けます。

(個別交渉権と職員会の関係)

第百二十一条 職員の人事交渉権、給与交渉権、任用交渉権その他個別の交渉権は、職員会による協議又は申立てによって妨げられない。

 職員会による協議、申立て又は協定は、個別職員が自己の権利利益について個別に交渉し、申立てをし、又は救済を求める権利を制限するものと解してはならない。

 職員は、自己の個別交渉又は個別申立てについて、職員会の支援を受けることができる。ただし、当該支援を受けるか否かは、当該職員の自由な意思による。

反映の要点この条文群を入れると、公共職員法上の構造はかなり明確になります。

個別ルート個別職員の任用、給与、評価、処分、健康、安全、公益通報を扱う。

本人の意思と秘密保護が中心。

職員会ルート一般職会、管理職会、特別職会が、処遇基準、業務分類、人員配置、情報管理、予算措置、業務継続を扱う。

匿名化・統計化・類型化された情報をもとに制度改善を行う。

この分離を入れることで、職員会制度が、個人情報や公益通報を団体活動に流用する危険を避けながら、個別事案から制度改善へつなげられます。

第十一章 給与

(給与制度及び給与算定の原則)

第百十一条 公共職員の給与制度は、国際的に通用する公共の担い手を確保し、及びその移動可能性に耐えるものとして設計されなければならない。

 公共職員の給与は、職務及び能力に応ずるとともに、職員が健康で文化的な生活を営むに足る生計費を基礎として算定されなければならない。

 第一項及び第二項の趣旨により、第二項の給与の算定に当たつては、職能給及び職務給の算定基準を、外国政府及び国際機関その他これらに準ずる組織における公務の職務分類及び報酬水準との比較により定めることを原則とする。

(報酬の原則)

第百十二条 職員の給与は、当該職員又は所属組織の成果に連動して支給してはならない。

 前項の規定は、政策又は事業の改善その他公共の効率性を目的とする制度的評価を妨げるものではない。ただし、当該評価は給与の額に連動してはならない。

 期末手当、勤勉手当、退職手当その他これに類する一時金は、恒常給として給与に平準化するものとする。

(生計費)

第百十三条 生計費は、職員が健康で文化的な生活を営むに足る消費支出に相当するものとして、地域、世帯人数、年齢その他の生活条件に応じて算定する。

 生計費は、国内外を問わず、当該職員の居住地における公的統計その他これに準ずる統計に基づき算定するものとし、その算定基準は、総務大臣が毎年告示する。

 生計費は、職員が現物給付を受けた場合を除き、基本給として毎月支給する。

 前二項の算定に当たり、職務、職能、経歴、勤務年数その他これらに類する事項を考慮してはならない。

(給与)

第百十四条 職員の給与は、次に掲げる種別により構成され、支払われる。

一 基本給 第百十三条に規定する生計費に応じて支払われる給与

二 職能給 職員の有する経験及び能力に応じて支払われる給与

三 職務給 職員の属する職務に応じて支払われる給与

 職員の給与は、毎月二十日(支給日が休日にあたる日の場合は直前の平日とする。)に支給する。

 新たに職員となつた者には、採用となった日の属する月から給与を支給する。

 職員が離職又は死亡したときは、その月まで給与を支給する。

(給与の平等原則)

第百十四条の二 基本給は、前条に定める生活条件が同一である職員について、全国において同一の算定方法により算定され、かつ、同一の額となるものとする。

 職能給は、職能の到達が同一である職員について、全国において同一の算定方法により算定され、かつ、同一の額となるものとする。

 職務給は、職務の外形的条件が同一である職員について、全国において同一の算定方法により算定され、かつ、同一の額となるものとする。

 前各項の規定に反し、手当、加算その他いかなる名称によるかを問わず、生活条件、職能又は職務の外形的条件と無関係な差を設けてはならない。

(恒常給の種別の限定)

第百十四条の三 職員に対して支給する恒常給は、基本給、職能給及び職務給に限る。

 前項に反し、手当、加算その他の名目により、恒常的に支給される金銭給付を設けてはならない。

 前二項の規定は、第百十六条の規定による現物での支給その他の実費弁償として支給される給付を妨げない。

(給与算定の調整原則)

第百十四条の四 地域その他生活条件に起因する給与算定の調整は基本給により、職務条件に起因する調整は職務給により行うものとし、これらを手当その他の名目で混在させてはならない。ただし、転居その他これに準ずる費用に係る実費弁償又は第百十六条の規定による現物での支給を妨げない。

(基本給)

第百十五条 職員の基本給は、第百十三条に規定する生計費としての消費支出に相当するものとして支給される。

 基本給は、次に掲げる種別の生計費を基礎として構成されるものとする。

一 食料費に相当するもの

二 住居費に相当するもの

三 光熱・水道費に相当するもの

四 家具・家事用品費に相当するもの

五 保健医療費に相当するもの

六 交通・通信費に相当するもの

七 教育費に相当するもの

八 教養娯楽費に相当するもの

九 前各号に掲げるもののほか、総務大臣が告示で定める消費支出に相当するもの

 職員の申出に基づき、任命権者が必要と認める場合は、現物での支給を行うことができる。

 総務大臣の指定する基幹統計調査により算出された各号の金額を基本給に換算する際、職員の所属する世帯人数、年齢、地域、その他の条件により調整することを妨げない。ただし、当該調整に当たり、職務、職能、経歴、勤務年数その他これらに類する事項を考慮してはならない。

 前項の調整額は、当該職員の前月における居住地及び居住日数に応じて、日毎に算出するものとする。

 職員は、現物での支給を受けた場合は、その日数につき、当該消費支出から相当額を算定し、基本給を減額されるものとする。この場合において、第百十六条第三項ただし書に規定する超過分に係る使用料の徴収を妨げない。

(現物での支給)

第百十六条 職員に対し、現物での支給を行うことのできる消費支出は、次に掲げるものとする。

 現物での支給に関する具体的な基準及び算定方法(第百十五条第六項の減額の算定方法を含む。)は、人事院規則で定める。

 現物での支給は、職員については無償とする。ただし、人事院規則で定める標準使用量その他の基準を大幅に上回る利用があるときは、当該超過分に限り、使用料を徴収し、又は現物での支給として提供する範囲を調整することができる。

 前項の使用料の徴収又は提供範囲の調整は、必要最小限度で行わなければならない。

一 食料費相当として、朝食、昼食及び夕食その他の食事の提供を行うこと。

イ 職員以外の者に対して食事の提供を行う場合は、当該公共施設が定める提供原価相当額を上回らない額で行うこと。

二 住居費相当として、居室において職員一人当たり二十五平方メートル以上の専用面積を有する宿舎(公共組織法の適用法人の所有する住宅を含む。)を貸与すること。

イ 職員本人から二親等以内の親族(既に職員として宿舎を貸与されている者を除く。)が職員と同居する場合は、一人当たり二十五平方メートル以上の面積を累加して宿舎を貸与することができる。ただし、他の職員と競合したときは、劣後する。

三 水道・光熱費相当として、前号の規定に基づき貸与された宿舎における光熱及び水道の利用を提供すること。

四 家具・家事用品費相当として、第二号の規定に基づき貸与された宿舎における家具及び家事用品を提供すること。

五 保健医療費相当として、医療機関の利用を提供すること。

イ 急性期以外の受診について、医療統計に応じて算出された標準医療受給量を大幅に上回る場合は、現物での支給として提供する医療の範囲を、人事院規則で定める基準により調整し、又は当該超過分に係る受診料を徴収することができる。

ロ 前号の調整は、必要最小限度で行わなければならず、緊急その他人事院規則で定めるやむを得ない場合における受診を妨げてはならない。

ハ 職員は、現物での支給によらず、自己の負担により医療機関を受診することを妨げられない。

六 交通・通信費相当として、通勤又は生活に必要な交通機関の利用又は交通用具の貸与並びに通信機器の利用及び貸与を提供すること。

イ 交通機関の利用について、旅客流動統計その他の統計に応じて算出された標準需要量を大幅に上回る場合は、現物での支給として提供する交通機関の利用の範囲を、人事院規則で定める基準により調整し、又は当該超過分に係る利用料を徴収することができる。

ロ 交通用具の貸与について、徒歩又は公共交通機関のみを用いた場合と比して、交通用具の貸与を受けた場合に通勤時間が二分の一以下となるときは、貸与を決定するものとする。ただし、在勤庁まで徒歩での通勤時間が二十分以内の場合を除く。

ハ 通信機器の利用について、職員通信量統計その他の統計に応じて算出された標準需要量を大幅に上回る場合は、現物での支給として提供する通信の範囲を、人事院規則で定める基準により調整し、又は当該超過分に係る利用料を徴収することができる。

ニ 業務上の連絡又は移動は、貸与を受けた交通用具又は通信機器によるものとし、当該交通用具又は通信機器は、業務の必要により、人事院規則で定める基準に従い交換することができる。任用が終了したときは、当該交通用具又は通信機器を返還し、又は人事院規則で定めるところにより買い受けるものとする。

ホ 前各号の調整は、必要最小限度で行わなければならず、緊急その他人事院規則で定めるやむを得ない場合における連絡又は移動を妨げてはならない。

七 教育費相当として、教育機関の利用を提供すること。

イ 外国の教育機関に修学する職員について、職員の支払う年間の授業料が教育基本法に定める標準年間授業料を上回る場合は、標準授業料までの給付とする。

ロ 外国の教育機関に修学するための生活費用について、人事院規則で定める基準を上回る場合は、標準授業料の範囲内で、国際連合の職員に準じて支給する。

八 教養娯楽費相当として、教養娯楽施設の利用を提供すること。

イ 教養娯楽施設は、政令で指定する。

九 その他の消費支出相当として、次に掲げる役務及び物品を提供すること。

イ 理美容サービスロ 理美容用品ハ 身の回り用品ニ その他家計における基礎的な消費支出として総務大臣が告示で定める支出

(職能及び職務の評価)

第百十七条 職員の職能給及び職務給は、職務の難易度、責任、緊急性、危険性、必要な専門性、調整範囲その他の外形的条件に基づき算定する。

 前項の算定に当たつては、職員の人格、勤務年数その他の個人的属性を考慮してはならない。

 政策又は事業の遂行の過程及び結果に係る評価(以下「業績評価」という。)は、給与の額に連動してはならない。

 業績評価の基準並びに算定方法は、人事院規則で定める。

 業績評価の結果は職員の職能履歴簿に記録し、次期以降の職務付与及び任命の基礎とする。

(業績評価の取扱い)

第百十七条の二 業績評価は、金銭その他の給与として支給し、又は給与の算定の基礎として用いてはならない。

 業績評価は、直近二期に限り、次期以降の職務付与及び任命における優先度として取り扱う。

 業績評価を、特定の者の裁量により時期又は程度を変動させる人事評価の要素として用いてはならない。

 業績評価の更新、失効及び同順位の場合の取扱いその他必要な事項は、外形的かつ監査可能な基準により、人事院規則で定める。

(公共ポイント)

第百十八条 職員は、教育、研究、地域福祉その他公共の利益に資する活動に従事した場合において、公共ポイントの付与を受けることができる。

 公共ポイントには、学修ポイント、福祉ポイント、その他政令で定めるものを含む。

 公共ポイントは、給与若しくは報酬とみなすことができ、その評価及び換算方法は人事院規則で定める。

 公共ポイントの付与、管理及び公表に関する事項は、ブロックチェーンその他の技術を用いて透明性を確保しなければならない。

(電子基礎所得)

第百十九条 すべての職員は、地域及び世帯条件に応じた電子基礎所得(eBI)を受給することができる。

 電子基礎所得は、生計費の不足部分を補完するものとして支給し、職員の給与とは別に管理する。

 電子基礎所得の算定及び支給に関する事項は、財政会計法に委ねる。

 電子基礎所得の運用に関する事項は、社会保障法に委ねる。

(兼業及び利益追求権)

第百二十条 職員は、職務の公正を害しない限り、営利企業その他の法人の役員、取締役又は顧問に就任することができる。

 前項の規定により兼業を行う職員は、当該法人の名称、事業内容、報酬及び持分その他の関係を、人事院を経て公表しなければならない。

 職員は、兼業先の利益が自己の職務に関連する場合又は利益相反の恐れがある場合には、当該職務の執行から除外されるものとする。

 人事院は、兼業を行う職員について、毎年度一回以上の監査を行い、その結果を公表しなければならない。

 職員が兼業により得た利益は、守秘義務及び利益相反防止の規定に反しない限り、これを当該職員の私的所得として保護する。

 職員は、株式その他の有価証券を保有して株主として議決権を行使し得る場合には、毎年度その保有状況を人事院に報告しなければならない。

(利益相反の定義)

第百二十一条 職員が関与する法人その他の団体の利益が、当該職員の所属する機関の施策又は契約の決定に直接又は間接に影響を及ぼすおそれがあるときは、利益相反行為とみなす。

(監査及び情報公開)

第百二十二条 人事院は、すべての職員の兼業、公共ポイント及び電子基礎所得の支給状況について、定期的に監査を行う。

 前項の結果は、個人情報を除き、年次報告として公表しなければならない。

 兼業、報酬又は公共ポイントに関する情報は、公共経済の透明性確保のため、ブロックチェーン技術その他の方法により公開することができる。

(守秘義務及び倫理)

第百二十三条 職員は、兼業又は公共活動を行うにあたり、在職中及び退職後を問わず、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。

 職員は、兼業による報酬その他の利益を取得する場合においても、常に全体の奉仕者としての倫理を保持しなければならない。

(特別職の適用)

第百二十四条 内閣総理大臣、国務大臣及び国会議員その他特別職に属する職員についても、前条(兼業及び利益追求権)の規定を準用する。

 前項の者が兼業又は寄附その他の経済活動により収入を得る場合には、当該収入の額、性質及び出資・寄附者の氏名又は名称を公表しなければならない。

 前項の報告及び公表は、人事院及び選挙管理委員会の共同監査に付し、その結果を国民に公表するものとする。

(政治活動型兼業法人)

第百二十五条 職員が政党、政治資金団体又はこれに準ずる団体に関与する場合は、当該団体を兼業法人とみなし、前条の規定を準用する。

 前項の法人の財務及び活動内容は、常時公表されなければならない。

 兼業法人の活動による収益又は寄附は、利益相反防止及び守秘義務に反しない限り、当該職員の政治活動に必要な資金として認められる。

 政治活動型兼業法人に関する会計基準、監査方法及び公開基準は、人事院及び選挙管理委員会が共同して定める。

(政治的中立の原則)

第百二十六条 職員は、職務の遂行にあたり、自己の政治的信条又は所属が、職務の公正な執行について誤解又は疑念を生じさせることのないように努めなければならない。

 前項の規定は、職員が思想、信条又は政治的見解を有すること、又はその表明若しくは政治活動を行うことを妨げるものではない。

 職員が政治的活動を行う場合において、その活動が職務又は所属機関の権限行使に影響を及ぼすおそれがあるときは、人事院の定める基準に従わなければならない。

(俸給表)

第百二十七条 給与には、俸給表が規定されなければならない。

(給与簿)

第百二十八条 職員に対して、給与簿を作成しなければならない。

 給与簿は、人事院の職員が検査し得るように整理しておかなければならない。

 前二項に定めるものを除いては、給与簿に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。

(給与簿の検査)

第百二十九条 職員の給与が法令、人事院規則又は人事院指令に適合して行われることを確保するため必要があるときは、人事院は給与簿を検査し、必要があると認めるときは、その是正を命ずることができる。

(違法の支払に対する措置)

第百三十条 人事院は、給与の支払が、法令、人事院規則又は人事院指令に違反してなされたことを発見した場合には、自己の権限に属する事項については自ら適当な措置をなす外、必要があると認めるときは、事の性質に応じて、これを会計検査院に報告し、又は検察官に通報しなければならない。

(超過勤務手当)

第百三十一条 勤務条件通知書に定められた勤務時間を超えて勤務することを命ぜられた職員には、正規の勤務時間を超えて勤務した全時間に対して、勤務一時間につき、勤務一時間当たりの割増賃金算定基礎額に、正規の勤務時間を超えてした次に掲げる勤務の区分に応じてそれぞれ百分の百二十五から百分の百五十までの範囲内で人事院規則で定める割合(その勤務が午後十時から翌日の午前五時までの間である場合は、その割合に百分の二十五を加算した割合)を乗じて得た額を、超過勤務手当として支給する。

一 正規の勤務時間が割り振られた日における勤務

二 前号に掲げる勤務以外の勤務

 正規の勤務時間を超えて勤務することを命ぜられ、正規の勤務時間を超えてした勤務(勤務時間法第六条第一項及び第四項、第七条並びに第八条の規定に基づく週休日における勤務のうち人事院規則で定めるものを除く。)の時間が一箇月について六十時間を超えた職員には、その六十時間を超えて勤務した全時間に対して、第一項の規定にかかわらず、勤務一時間につき、前項の割増賃金算定基礎額に百分の百五十(その勤務が午後十時から翌日の午前五時までの間である場合は、百分の百七十五)を乗じて得た額を、超過勤務手当として支給する。

 前二項に規定する勤務一時間当たりの割増賃金算定基礎額は、次に掲げる額の合計額を、その月における正規の勤務時間数で除して得た額とする。

一 当該月に支給される基本給

二 当該月に支給される職能給

三 当該月に支給される職務給

四 前各号に準ずるものとして人事院規則で定める給付(恒常的に支給される金銭給付に限る。)

 前項の規定にかかわらず、次に掲げる給付は、割増賃金算定基礎額に算入しない。

一 第百十四条の四ただし書に規定する実費弁償として支給される給付

二 第百十六条の規定による現物での支給

三 前二号に準ずるものとして人事院規則で定める給付

 超過勤務手当の支給に当たり、業績評価をその額に連動させてはならない。

(休日給)

第百三十二条 祝日法による休日等及び年末年始の休日等において、正規の勤務時間中に勤務することを命ぜられた職員には、正規の勤務時間中に勤務した全時間に対して、勤務一時間につき、勤務一時間当たりの給与額に百分の百二十五から百分の百五十までの範囲内で人事院規則で定める割合を乗じて得た額を休日給として支給する。これらの日に準ずるものとして人事院規則で定める日において勤務した職員についても、同様とする。

(夜勤手当)

第百三十三条 正規の勤務時間として午後十時から翌日の午前五時までの間に勤務することを命ぜられた職員には、その間に勤務した全時間に対して、勤務一時間につき、第百十二条第三号に規定する勤務一時間当りの給与額の百分の二十五を夜勤手当として支給する。

(勤務一時間当たりの給与額の算出)

第百三十四条 前二条から前条までに規定する勤務一時間当たりの給与額は、当該職務の給与の合計額を当該職務に係る勤務時間で除して得た額とする。

(管理職の職務給の加算)

第百三十五条 管理職の職務給は、通常の管理職務を超えて特別の負担又は責任を伴う職務を遂行した場合において、当該職務の内容及び成果に応じて加算することができる。

 前項の加算は、時間外勤務の有無又は時間数によらず、職務の性質及び負担の程度を基礎として、人事院規則で定める区分により算定する。

 前四条から前二条に定める超過勤務手当、休日給及び夜勤手当は、管理職には適用しない。

(端数計算)

第百三十六条 前条に規定する勤務一時間当たりの給与額及び前三条から前二条までの規定により勤務一時間につき支給する超過勤務手当、休日給又は夜勤手当の額を算定する場合において、当該額に、五十銭未満の端数を生じたときは切り捨て、五十銭以上一円未満の端数を生じたときは一円に切り上げるものとする。

(失職者の給与)

第百三十七条 職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤(国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第一条の二に規定する通勤をいう。以下同じ。)により負傷し、若しくは疾病にかかり、国家公務員法第七十九条第一号に掲げる事由に該当して失職したときは、本来任用されるべき期間中、これに給与の全額を支給する。

第九章 勤務時間及び休暇

第一節 勤務時間

(勤務関連時間)

第百三十八条 勤務関連時間は、勤務時間及び通勤時間から構成される。

 職員の勤務時間は、職務の開始から終了まで継続するものとし、勤務時間が別に定める休憩時間を含むときは、当該休憩時間を勤務時間に含めて算出する。

一 出張、外勤その他勤務上の移動に必要な時間は、通勤時間とする。

 職員は、任用ごとに通勤経路を申請し、任命権者は、これに基づき標準的な所要時間を算出して通勤時間を認定する。

(休憩時間)

第百三十九条 休憩時間は、職員の健康維持及び職務の能率向上に資する目的で、次に掲げる時間帯のうち各一時間以上設けることとする。

一 午前五時から午前七時

二 午前十一時から午後一時

三 午後五時から午後七時

四 午後十一時から翌日の午前一時

 止むを得ず休憩時間を取得できない場合は、休憩時間に相当する時間を勤務終了時間の繰り上げ又は勤務開始時間の繰り下げにより確保しなければならない。ただし、各時間帯の始期又は終期に勤務時間が開始又は終了する場合を除く。

(勤務関連時間の上限)

第百四十条 職員の勤務関連時間は、次に掲げる時間を超えてはならない。

一 一年当たり、千四百四十時間

二 一月当たり、百二十時間

三 一週間当たり、三十時間

四 一日当たり、六時間

(任用時間の上限)

第百四十一条 職員の年間の任用時間(勤務に充てることができる時間をいう。)は、前条に定める勤務関連時間の上限の範囲内とする。

 各任用に係る勤務時間の配分及び休暇時間の算定は、採用時に定める統一基準に従うものとする。

(勤務時間の上限)

第百四十二条 職員の勤務時間は、次に掲げる時間を超えてはならない。

一 一年当たり、九百六十時間

二 一月当たり、八十時間

三 一週間当たり、二十時間

四 一日当たり、四時間

(休暇の控除)

第百四十三条 職員が年次有給休暇その他定められた休暇を行使する期間において、前二条から前条の各項に定めた上限時間から、職員が行使した年次有給休暇その他定められた休暇の時間数を控除する。

(年間勤務日数の上限)

第百四十四条 職員の年間勤務日数は、一年のうち、休日及び前条の休暇日数を除したものを上限とする。

(通常の勤務場所を離れて勤務する職員の勤務時間)

第百四十五条 通常の勤務場所を離れる勤務のうち研修その他の勤務する時間帯が定められる勤務で人事院が定めるものを命ぜられた職員については、当該勤務を命ぜられた時間を勤務時間とみなす。

(臨時又は緊急の勤務)

第百四十六条 各公共機関の長は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間において職員に勤務をすることを命ずることができる。ただし、前四条第一項から第二項で定められた勤務時間の上限を上回ってはならない。

(超勤代休時間)

第百四十七条 各公共機関の長は、前条の規定により勤務を命じられた職員について、勤務日から一ヶ月以内の日を超勤代休時間として指定しなければならない。

 前項の規定により超勤代休時間を指定された職員は、当該超勤代休時間には、特に勤務することを命ぜられる場合を除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。

第二節 休暇

(週休日)

第百四十八条 日曜日及び土曜日は、週休日(勤務時間を割り振らない日をいう。以下同じ。)とする。

(休日)

第百四十九条 職員は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日(以下「祝日法による休日」という。)には、特に勤務することを命ぜられる者を除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(祝日法による休日を除く。以下「年末年始の休日」という。)についても、同様とする。

(休日の代休日)

第百五十条 各公共機関の長は、職員に祝日法による休日又は年末年始の休日(以下この項において「休日」と総称する。)である勤務日等に割り振られた勤務時間の全部(次項において「休日の全勤務時間」という。)について特に勤務することを命じた場合には、人事院規則の定めるところにより、当該休日前に、当該休日に代わる日(次項において「代休日」という。)として、当該休日後の勤務日等(超勤代休時間が指定された勤務日等及び休日を除く。)を指定することができる。

 前項の規定により代休日を指定された職員は、勤務を命ぜられた休日の全勤務時間を勤務した場合において、当該代休日には、特に勤務することを命ぜられるときを除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。

(休暇の種類)

第百五十一条 職員の休暇は、年次休暇、病気休暇、介護休暇、特別休暇とする。

(年次休暇)

第百五十二条 年次休暇は、一の年ごとにおける休暇とし、その日数は、一の年において、次の各号に掲げる職員の区分に応じて、当該各号に掲げる日数とする。

一 次号に掲げる職員以外の職員 百二十時間

二 当該年の中途において新たに職員となり、又は任期が満了することにより退職することとなる職員 その年の在職期間等を考慮し三十日あたり十時間

 前項第一号の年次休暇のうち、八十時間を超えて付与された日数については、十六日以上の連続した休暇(休日を含む。)となるように取得しなければならない。

 年次休暇は、当該年の翌年に繰り越すことができる。

 年次休暇を時間ごとに行使する場合には、十分単位で計算することとする。

 年次休暇については、その時期につき、各公共機関の長の承認を受けなければならない。この場合において、各公共機関の長は、公務の運営に支障がある場合を除き、これを承認しなければならない。

(病気休暇)

第百五十三条 職員が疾病その他心身の障害により勤務できない場合には、病気休暇を与えるものとする。

 病気休暇の期間は、当該疾病等の療養に必要な期間とする。

 病気休暇の付与及び復職の確認に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

(介護休暇)

第百五十四条 職員が、配偶者、父母、子その他これに準ずる者の介護を行うため必要がある場合には、介護休暇を与えるものとする。

 介護休暇の期間は、一の年につき九十六時間を超えてはならない。

 介護休暇の取得に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

(特別休暇)

第百五十五条 特別休暇は、選挙権の行使、結婚、出産、交通機関の事故その他の特別の事由により職員が勤務しないことが相当である場合として人事院規則で定める場合における休暇とする。この場合において、人事院規則で定める特別休暇については、人事院規則でその期間を定める。

(選挙権行使休暇)

第百五十六条 職員が、国又は地方の公職選挙において投票し、又は選挙管理に協力するため必要がある場合には、選挙権行使休暇を与えるものとする。

 選挙権行使休暇の期間は、一の選挙につき八時間を超えてはならない。

(結婚休暇)

第百五十七条 職員が結婚したときは、結婚の日から起算して三十日の範囲内において、七日以内の結婚休暇を与えるものとする。

(出産休暇)

第百五十八条 職員又は職員の配偶者(パートナーシップの相手方を含む。)が出産する場合には、出産予定日の六週間前から出産の日の後八週間までの期間において、出産休暇を与えるものとする。

 前項の期間中に勤務を希望し、医師又は助産師が支障がないと認めたときは、その勤務を妨げない。

(看護・育児休暇)

第百五十九条 職員が、家族の養育又は看護のため必要がある場合には、看護・育児休暇を与えることができる。

 看護・育児休暇の期間は、一の年につき八十時間を超えてはならない。

 職員が三歳に満たない子を養育する場合には、当該期間内において勤務時間の短縮を請求することができる。

(交通機関事故休暇)

第百六十条 職員が通勤その他の勤務に関連して利用する交通機関の事故又は著しい遅延により勤務できない場合には、交通機関事故休暇を与えるものとする。

 交通機関事故休暇の期間は、当該事故又は遅延の影響が継続する期間とする。

(帰国・帰郷休暇)

第百六十一条 職員が、任地又は勤務地から離れて居住する家族と面会し、又は本籍地その他これに準ずる地に帰る場合には、帰国・帰郷休暇を与えることができる。

 帰国・帰郷休暇の期間は、一の年につき十日を超えてはならない。

 海外勤務又は長期出張に従事する職員については、二十四か月を経過するごとに一回、当該任地からの往復に要する期間を含めて付与する。

(公共奉仕休暇)

第百六十二条 職員が、国家又は地方の公共事業、教育、福祉、文化若しくは科学技術に関する活動その他公益の増進に資する事業に従事する場合には、公共奉仕休暇を与えることができる。

 公共奉仕休暇の期間は、一の年につき四十時間を超えてはならない。

(学修休暇)

第百六十三条 職員が、自らの能力開発、資格取得、研修、研究その他学修活動に従事する場合には、学修休暇を与えることができる。

 学修休暇の期間は、一の年につき二十時間を超えてはならない。

 学修休暇には、共通試験法に定める学修ポイントの取得を目的とする活動を含む。

(文化儀礼休暇)

第百六十四条 職員が、宗教上又は文化上の重要な儀式若しくは行事に参加する場合には、文化儀礼休暇を与えることができる。

 文化儀礼休暇の期間は、一の年につき二十四時間を超えてはならない。

(生命儀礼休暇)

第百六十五条 職員が、親族その他密接な関係にあった者の生誕、婚礼又は葬儀に参列し、又は看護若しくは看取りに従事する場合には、生命儀礼休暇を与えることができる。

 生命儀礼休暇の期間は、一の年につき二十時間を超えてはならない。

(環境適応休暇)

第百六十六条 職員が、季節又は気候の変化に伴い心身の調整又は療養を行う場合には、環境適応休暇を与えることができる。

 環境適応休暇の期間は、一の年につき十時間を超えてはならない。

(災害等休暇)

第百六十七条 職員が、災害、事故、通信遮断その他不可抗力により勤務不能となった場合には、災害等休暇を与えるものとする。

 災害等休暇の期間は、当該災害等の影響が継続する期間とする。

 災害等休暇に係る期間は、勤務したものとみなす。

(予防・検診休暇)

第百六十八条 職員が、健康診断、予防接種その他人事院が定める健康維持活動に従事する場合には、予防・検診休暇を与えることができる。

 予防・検診休暇の期間は、一の年につき八時間を超えてはならない。

(特別休暇の取扱い)

第百六十九条 前各条に定める特別休暇の取得に関し必要な事項は、人事院規則で定める。

 特別休暇のうち、公共奉仕休暇及び学修休暇については、当該活動が公共組織法に定める公共目的に資するものであるときは、勤務時間として取り扱うことができる。

(病気休暇、特別休暇、介護休暇及び介護時間の承認)

第百七十条 病気休暇、特別休暇、介護休暇及び介護時間については、各公共機関の長の承認を受けなければならない。

(休暇の賃金及び任用時間)

第百七十一条 職員に付与される休暇は、すべて有給とする。

 休暇の期間は、当該職員の任用時間に含めるものとする。

 職員が、長期にわたり職務に従事することが困難な事由により休業する場合には、任用時間を減じて任用することができる。この場合において、減じた任用時間に応じて給与を按分して支給する。

 前項の規定により任用時間を減じて任用された職員についても、その身分及び服務に関する規定は適用する。

(任用時間の停止)

第百七十二条 職員が、疾病、育児、介護その他やむを得ない事由により、一定期間職務に従事することができない場合には、任命権者は、当該期間中、任用時間を停止することができる。

 前項の任用時間の停止期間は、在職期間として通算するものとする。

第十章 宿舎

(宿舎)

第百七十三条 宿舎とは、職員及び主としてその収入により生計を維持する者を居住させるため公共組織又は公共機関が設置する居住用の家屋及び家屋の部分並びにこれらに附帯する工作物その他の公共施設及び土地とする。

(宿舎の種類)

第百七十四条 宿舎は、公邸、無料宿舎及び有料宿舎の三種とする。

(宿舎の設置、維持及び管理)

第百七十五条 宿舎の設置は、財務大臣が行うものとする。

 同一の公共機関に所属する職員のみに貸与する目的で設置する宿舎(以下「機関別宿舎」という。)を設置する場合で次の各号に掲げる場合には、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる各公共機関の長がその設置を行うものとする。

一 転用、交換又は寄附の方法により設置する場合 当該転用若しくは交換をし、又は当該寄附を受ける各公共機関の長

二 特定の公共施設に勤務する職員のために一時に多数の宿舎を設置する必要がある場合その他特別の事情がある場合で財務大臣が指定する場合 当該宿舎の貸与を受けるべき職員の所属する各公共機関の長

 合同宿舎は財務大臣が、機関別宿舎は当該宿舎の貸与を受けるべき職員の所属する各公共機関の長がそれぞれ維持及び管理を行うものとする。

(設置計画)

第百七十六条 宿舎の設置は、宿舎の設置に関する年度計画(以下次条において「設置計画」という。)に基いて行わなければならない。

 各公共機関の長は、毎会計年度、政令で定めるところにより、宿舎設置に関する要求についての書類を作成し、これを財務大臣に提出しなければならない。

 財務大臣は、前項の要求を調整して、政令で定めるところにより、合同宿舎及び機関別宿舎の別に設置計画を定め、各年度分の予算成立の日から二月以内に、これを関係の各公共機関の長に通知しなければならない。

(設置の方法)

第百七十七条 宿舎の設置は、建設(土地を宅地に造成することを含む。)、購入、交換、寄付、転用及び借受の方法により行うものとする。

(公邸)

第百七十八条 公邸は、次に掲げる職員のために予算の範囲内で設置し、無料で貸与する。

一 衆議院議長及び衆議院副議長

二 参議院議長及び参議院副議長

三 内閣総理大臣及び国務大臣

四 最高裁判所裁判官及び検事総長

五 会計検査院長、人事院総裁、内閣法制局長官及び国立国会図書館長

六 宮内庁長官、侍従長及び在外公館の長

 公邸には、いす、テーブル等公邸に必要とする備品(もつぱら居住者の私用に供するものを除く。)を備え付け、無料で貸与する。

(無料宿舎)

第百七十九条 無料宿舎は、次に掲げる職員のために設置し、無料で貸与する。

一 職務に伴い、勤務時間外において、生命若しくは財産を保護するための非常勤務、通信施設に関連する非常勤務又はこれらと類似の性質を有する勤務に従事するためその勤務する官署の構内又はこれに近接する場所に居住しなければならない者イ 警察職員、矯正職員及び入管職員ロ 医療職員、消防職員、自衛隊員及び防災担当職員

二 継続的に行うことを必要とする業務に直接従事するため当該施設の構内又はこれに近接する場所に居住しなければならないものイ 研究職員

三  へき地にある官署又は特に隔離された官署に勤務する者

四 官署の管理責任者であつて、その職務を遂行するために官署の構内又はこれに近接する場所に居住しなければならないもの

 無料宿舎は、職員の職務に対する給与の一部として貸与されるものとする。

(有料宿舎)

第百八十条 有料宿舎は、次に掲げる場合において、公邸又は無料宿舎の貸与を受ける職員以外の職員のために予算の範囲内で設置し、有料で貸与することができる。

一 職員の職務に関連して公共組織の事務又は事業の運営に必要と認められる場合

二 職員の在勤地における住宅不足により公共組織の事務又は事業の運営に支障を来たすおそれがあると認められる場合

(有料宿舎の使用料)

第百八十一条 有料宿舎の使用料は、月額によるものとし、その標準的な建設費用の償却額、修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎とし、かつ、居住の条件その他の事情を考慮して政令で定める算定方法により、各宿舎につきその維持管理機関が決定する。

 新たに宿舎の貸与を受け、又はこれを明け渡した場合におけるその月分の使用料は、日割により計算した額とする。

 有料宿舎の貸与を受けた者に報酬を支給する機関は、毎月報酬を支給する際その者の報酬から使用料に相当する金額を控除して、その金額をその者に代りその使用料として宿舎の管理者に払い込まなければならない。

 有料宿舎の貸与を受けた者が退去することとなった場合においては、その者又はその同居者は、その事由の生じた日から明渡期日までの期間の宿舎の使用料を、毎月その月末までに、宿舎の管理者に払い込まなければならない。

 前項の規定により同居者が払い込むべき宿舎の使用料に係る債務については、同居者の全員が連帯してその責に任ずるものとする。

(宿舎の使用上の義務)

第百八十二条 被貸与者は、善良な管理者の注意をもつてその貸与を受けた宿舎を使用しなければならない。

 被貸与者は、その貸与を受けた宿舎の全部若しくは一部を第三者に貸し付け、若しくは居住の用以外の用に供し、又は当該宿舎につきその維持管理機関の承認を受けないで改造、模様替その他の工事を行つてはならない。

 被貸与者は、その責に帰すべき事由によりその貸与を受けた宿舎を滅失し、損傷し、又は汚損したときは、遅滞なく、これを原状に回復し、又はその損害を賠償しなければならない。ただし、その滅失、損傷又は汚損が故意又は重大な過失によらない火災によるものである場合には、この限りでない。

 前条第五項の規定は、被貸与者(同居者に限る。)の第一項又は第二項の規定に違反したことに基因する債務及び前項の規定による原状回復又は損害賠償に係る債務について準用する。

(宿舎の修繕費等)

第百八十三条 公邸の修繕に要する費用及び公邸の使用につき必要とする電気、水道、ガス等に要する費用は、国が負担する。

 天災、時の経過その他被貸与者の責に帰することのできない事由により無料宿舎又は有料宿舎が損傷し、又は汚損した場合においては、その修繕に要する費用は、国が負担する。ただし、その損傷又は汚損が軽微である場合には、この限りでない。

(宿舎の明渡し等)

第百八十四条 宿舎の貸与を受けた者が次の各号の一に該当することとなつた場合においては、その者(その者が第二号の規定に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた時においてその者と同居していた者)は、その該当することとなつた日から二十日以内に当該宿舎を退去するものとする。ただし、相当の事由がある場合には、その維持管理機関の承認を受けて、その該当することとなつた日から、公邸及び無料宿舎にあつては二月、有料宿舎にあつては六月の範囲内において当該維持管理機関の指定する期間、引き続き当該宿舎を使用することができる。

一 職員でなくなつたとき。

二 死亡したとき。

三 転任、配置換、勤務する官署の移転その他これらに類する事由により当該宿舎に居住する資格を失い、又はその必要がなくなつたとき。

四 当該宿舎について公共組織の事務又は事業の運営の必要に基づき先順位者が生じたためその明渡しを請求されたとき。

五 当該宿舎につき宿舎の廃止をする必要が生じ、明渡しを請求されたとき。

 有料宿舎の被貸与者は、当該宿舎の維持管理機関が、管理規程の規定に違反する事実でその宿舎の維持及び管理に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められるものにつき、期限を附してその是正を要求した場合において、その期限までにその要求に従わなかつたときは、直ちに当該宿舎を明け渡さなければならない。

 被貸与者が前二項の規定に違反して宿舎を明け渡さないときは、その者は、政令で定めるところにより、これらの規定による明渡期日の翌日から明け渡した日までの期間に応ずる損害賠償金を支払わなければならない。

(費用及び使用料の所属区分)

第百八十五条 宿舎の設置等に要する費用及び宿舎の使用料は、当該宿舎の所属する会計の所属とする。

(宿舎の現況に関する記録)

第百八十六条 維持管理機関は、その維持及び管理を行う宿舎の現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにして置かなければならない。

(宿舎登録)

第百八十七条 職員は、宿舎管理簿により、希望する宿舎を登録することができる。

 同一宿舎の登録は、任用の終了した日から三十日を超えないものとする。

 宿舎の登録は、重複して行うことができない。ただし、希望順位を付して登録することができるものとする。

(登録通知)

第百八十八条 登録が完了した場合、職員は通知を受けるものとする。

 通知を受けた後、登録を解除する場合は、登録から解除までの期間に相当する基本給に含まれる住居費相当額を減額する。

(宿舎管理簿)

第百八十九条 各公共機関の長は、宿舎の登録を受けたときは、宿舎の貸与状況について宿舎管理簿に記載しなければならない。

 宿舎管理簿には、使用する職員に関する情報を記載することとする。

(宿舎を貸与する者の選定)

第百九十条 当該宿舎の貸与を受けるべき職員が二人以上存する場合においては、当該宿舎の維持管理機関は、これらの者のうち職務の性質上最も必要と認められるものに当該宿舎を貸与しなければならない。

 前項によらない場合、当該宿舎の維持管理機関は、公共組織の事務又は事業の円滑な運営の必要に基づき公平に行わなければならない。

(同居の承認)

第百九十一条 被貸与者は、その貸与を受けた宿舎に主としてその収入により生計を維持する者以外の者を臨時に同居させようとするときは、あらかじめ、同居させようとする者の氏名、年令及び職業、同居させようとする理由その他参考となるべき事項を記載した申請書を、当該宿舎の維持及び管理を行う各公共機関の長に提出し、その承認を受けなければならない。

第十一章 研修

(研修の根本基準)

第百九十二条 研修は、職員に現在就いている官職又は将来就くことが見込まれる官職の職務の遂行に必要な知識及び技能を習得させ、並びに職員の能力及び資質を向上させることを目的とするものでなければならない。

 前項の根本基準の実施につき必要な事項は、この法律に定めのあるものを除いては、人事院の意見を聴いて政令で定める。

 人事院及び内閣総理大臣は、それぞれの所掌事務に係る研修による職員の育成について調査研究を行い、その結果に基づいて、それぞれの所掌事務に係る研修について適切な方策を講じなければならない。

(研修の受講)

第百九十三条 職員は、採用及び任用の内定後において、各公共組織又は公共機関により定められた内容の研修を受講しなければならない。

 前項における研修は、任用期間の職務として扱うこととする。

(研修計画)

第百九十四条 職員の研修は、研修計画を策定して行うものとする。

 人事院は、第一項の計画の策定及び実施に関し、その監視を行う。

第十二章 附則

(期末手当及び勤勉手当の月例化)

第百九十五条 本法施行の日から五年間は、期末手当及び勤勉手当に相当する額を恒常給として毎月の給与に加算して支給する。

 恒常給の算定は、施行前年度における平均支給月数を基礎とする。

(退職手当の廃止及び割戻し)

第百九十六条 本法施行の日から十年を経過した後、退職手当を廃止し、勤務年数に応じて算定した割戻額を月例給与に加算して支給する。

 前項の割戻額の算定方法及び支給開始期日は、人事院規則で定める。

 施行前に退職手当の支給を受けた職員については、従前の例による。

(経過措置)

第百九十七条 この法律(第十一章中宿舎に関する部分及び第十一章研修に関する部分を含む。以下「新法」という。)の施行の際、現に設置され、又は貸与されている宿舎(公邸、無料宿舎及び有料宿舎を含む。)は、当該宿舎の管理に関する権限を承継する機関が維持管理を行うものとして新法による宿舎とみなす。

 前項のみなしにより新法による宿舎とされたものについて、施行日前に締結された貸与の条件(使用料、備付、同居承認その他これに準ずる条件をいう。)は、施行日から一年を超えない範囲で政令で定める日までの間は、従前の例によることができる。

 施行日前に宿舎の貸与を受けていた者(その同居者を含む。)は、前項の期間中、当該貸与に係る宿舎について新法第百八十四条第一項ただし書の期間延長の承認を受けることができる。この場合において、当該承認の期間は、従前の貸与条件の変更又は解約に必要な相当の期間を考慮して定めるものとする。

 施行日前に行われた宿舎の設置、購入、借受、転用、交換又は寄附に関する手続で、施行日においてなお完了していないものは、従前の例による。ただし、施行日以後における管理、維持及び使用料の取扱いは、新法の規定による。

 施行日前に作成された宿舎に関する名簿、台帳その他これらに類する記録は、新法第百八十九条の宿舎管理簿として取り扱うことができる。任命権者は、施行日から六箇月以内に、当該記録の様式及び記載事項を新法に適合するよう整備しなければならない。

 施行日前に提出された宿舎の貸与申請又は登録の申出は、新法第百八十七条の登録の申出とみなす。

 この法律の施行に伴い、宿舎の区分、貸与の基準又は使用料の算定方法を変更する必要があるときは、当該変更により被貸与者に新たな負担が生ずる場合であっても、施行日から二年を超えない範囲内で政令で定める経過措置に従い、段階的に適用することができる。

 研修に関し、施行日前に開始された研修は、当該研修の修了まで、従前の例による。ただし、新法第百九十二条から第百九十四条までの規定に適合する部分については、新法の規定を適用することを妨げない。

 第百九十五条(期末手当及び勤勉手当の月例化)及び第百九十六条(退職手当の廃止及び割戻し)の規定の適用に伴う詳細は、人事院規則で定めるところにより、施行日から起算して五年(第百九十五条)又は十年(第百九十六条)の各期間内に段階的に調整する。

10 この法律の施行に伴い必要な経過措置のうち、この附則に定めるもののほか、施行に関し必要な事項は、政令で定める。

公共職員法〔逐条解説〕第一章(総則)

第一条(目的)

本条は本法の目的規定であり、国家公務員法及び地方公務員法の基本構造を継承しつつ、国・地方・独立行政法人等に共通する統一的人事制度の根拠を示すものである。

「公共組織法に基づく公共機関」という文言により、組織制度(公共組織法)と人事制度(本法)を体系的に分離・接合した新しい法体系を形成している。

「能率的かつ公正な遂行」との表現は、行政の効率と民主的正統性の均衡を意味し、従来の「能率」と「公正」の両立原理を理念的に位置づけている。

また「国民全体に対する奉仕」の明記により、憲法第十五条の原則を法目的に昇華させている点に特徴がある。

第二条(日本国憲法との関係)

本条は、本法と憲法との体系的関係を確認するものである。

第一項は憲法第十五条第二項の「全体の奉仕者」原則をそのまま継承し、第二項において公務員制度の基本理念(任用の公正・中立性・法令遵守・説明責任等)を明示している。

憲法上の公務員制度の理念を、制度法として具体化することが本法の立法趣旨であり、本条はその理念的起点となる。

政治的中立義務や服務規律の解釈において、憲法適合性を担保する根拠規定となる。

第三条(定義)

本条は、「公共職員」の範囲を明確にするための定義規定である。

「公共組織法に基づき公共機関の職務に任命された者」と規定し、国家・地方・独立行政法人・公共法人等を横断的に包含する。

このため、現行の「一般職」「特別職」「地方職員」といった区分を超え、公共サービスに従事する全ての人員を包括的に把握する概念として再構成されている。

私法上の委託職員や民間契約職員は、任命行為を欠くため含まれない。

第四条(適用範囲)

本条は、本法が適用される機関・職員の範囲を定めるものである。

「国」「地方公共団体」に加え、「指定公共機関」を列挙し、従来の公務員法体系に独立行政法人・公的法人等を包摂する構造とした。

この結果、行政組織の枠を超えた統一的職員制度の適用が可能となる。

公共組織法に基づき政令で指定される機関が含まれるため、制度上は行政法人や一部民法法人が対象となる可能性を有する。

第五条(平等取扱の原則)

本条は、職員制度の適用における平等原則を定める。

憲法第十四条の趣旨を具体化し、採用・任用・昇任・給与等あらゆる局面での差別的取扱いを禁止している。

特に「政治的所属関係」を列挙した点が特徴であり、政治的信条を理由とする不利益取扱いを防止する趣旨が明確である。

国籍条項や採用制限の問題を解釈する際の基本原則となる。

第六条(人事管理の原則)

本条は、採用後の人事管理に関する基本原則を示す。

「人事評価に基づいて適切に行われなければならない」と明記することで、従来の能力実証主義を手続的に保障する構造へ転換した。

任用・昇任・給与決定の基礎を客観的評価に置くことで、人事の透明性・公正性を確保しようとするものである。

評価制度は情報管理・異議申立制度と一体で運用されることを予定している。

第七条(情勢適応の原則)

本条は、給与・勤務条件を社会経済情勢に応じて改定できる原則を示す。

国家公務員法第28条に対応するもので、人事院勧告制度の根拠を含む。

経済・物価・賃金水準の変動に応じて柔軟な改正を可能としつつ、政治的介入を防ぐため国会及び内閣への同時報告制度を維持している。

勧告権は独立した人事機関による制度的中立性を担保する手段として機能する。

第八条(公共職員の処遇)

本条は、職員の処遇に関する一般原則を定め、能力・業績に応じた公平な待遇と制度の安定性を保障する。

第一項は「能力・業績主義」、第二項は「平等主義」、第三項は「処遇制度の法定主義」を明示する。

特に第三項は、行政内部の規則や通達による給与制度変更を排除し、法改正によるのみ変更を認めることで、制度の信頼性と長期的人材育成を確保している。

処遇制度の中核理念条として、後続の給与・評価規定に直接影響する。

第九条(公共職員の責務)

本条は、職員個人に課される倫理的・専門的責務を定めるものである。

第一項は国民全体への奉仕・法令遵守・不偏不党の原則を再確認し、第二項で業績評価に対する自己認識・判断能力の保持義務を導入している。

第三項は心身の健康保持と能力向上努力義務を明文化し、従来の服務宣誓に代わる「職業倫理の法定化」を図っている。

人事評価・研修制度・服務監督のいずれの根拠規定ともなる包括的な規範条である。

第十条(公共職員の調査協力義務)

本条は、社会問題の発見・解決を目的とする統計調査・研究活動への協力義務を定めた新設条項である。

行政組織内部での情報収集活動を公務の一環として明示し、調査協力のための時間を勤務時間に含む旨を明記している。

これにより、統計法等に基づく調査への協力が制度的に担保される。

行政実務におけるデータ主導型政策形成(EBPM)の基礎を支える理念条として位置付けられる。

第十一条(公益適合審査)

本条は、公共職員の内部通報・公益通報に関する権利と義務を定めた規定である。

第一項で、違法又は不当な命令や行為に対して職員が異議を申し出る義務を課し、通報を「権利」ではなく「責務」として位置付けている点が特色である。

第二項は通報先の調査・文書回答義務を明記し、手続の透明性を確保する。

第三項は通報を理由とする不利益取扱いを禁止し、第四項では外部通報の条件を限定して機密保護と公益性の均衡を取っている。

公益通報者保護法の趣旨を内在化しつつ、行政内部統制・倫理確立を制度的に支える条文である。

了解。以下は、提示いただいた第十二条〜第二十二条の逐条解説のみを、条文本文を省いて整理した「解説集」版です(法制局文体・語義整合) 。

公共職員法〔逐条解説〕第二章(職種・特別職等)第12条〜第22条

第十二条(公共職員の職種)

本条は公共職員の職種区分を「一般職」と「特別職」に二分し、その境界と可動性を定める基本規定である。

1項は二分法の原則、2項は除外方式により一般職の包摂範囲を画定する。3項は一定の条件下での職種変更・兼職を認め、機関横断・職種横断の人材活用を可能にする可動条である。4項は情勢適応に沿った職種管理を要求し、職務分析・職務評価の定期更新を前提とする。

実務上、3項の「別に定める特別職規定」「一般職の採用及び任用の条件」との整合が鍵であり、利益相反管理・身分保障・政治的中立義務の差異を踏まえたガイドラインが不可欠である。

第十三条(特別職公共職員)

本条は特別職の概念と列挙を行う中核条項である。冒頭で、選挙・国会の議決・同意等の政治的正統性手続を要件として位置付け、その上で広範な公職を列挙する構造を採る。

列挙は、内閣総理大臣以下の行政府上級職、補佐・秘書官等の政治任用層、宮内庁関係、外交ポスト(特命全権大使等)、司法(裁判官)、立法(国会議員・地方議会議員)、地方行財政の長・副、さらに日本銀行や独立行政委員会等の要職を含む。

解釈上の要点は、特別職=政治性・独立性・高度な裁量のいずれかを要する職であること、一般職と異なる任用・服務・身分保障の特則が後続条・他法で補完されること、列挙にない公職の特別職該当性は、要件(選挙・国会関与)と職務性質に照らす個別判断となる点である。

人事運用面では、特別職への出入り(12条3項)に際しての政治的中立・守秘・利害関係管理が重要となる。

第十四条(内閣総理大臣)

本条は、総理の任命根拠(国会指名)、国会提出・報告権限、行政各部の指揮監督、および処分・命令の中止権を明文化する。

1項は憲法規範を具体化し、内閣の代表者としての国会関係事務(法律案・予算等の提出、国務・外交の報告)を確認。2項は閣議決定に基づく行政各部統括権を整理し、3項は違法・不当な処分等の一時停止(中止)権を認め、内閣全体としての統一的行政の維持を図る。

運用上は、3項中止権の発動要件・手続・期間を明確化し、関係大臣の所掌権限との調整(権限衝突の回避)が求められる。

第十五条(国務大臣)

本条は、国務大臣の任命(総理の指名)、内閣構成員としての地位、および行政事務の分担管理を定める。

1項但書は「分担管理しない大臣」の可能性を留保し、内閣の機動的人員配置(無任所大臣的運用)を認める趣旨である。2項は閣議招集要求権を規定し、内閣内部の合議・調整機能を強化する。

実務では、所掌の明確化(内閣設置法等との接合)と、分担管理を行わない大臣の責務範囲の明示がポイントとなる。

第十六条(内閣官房長官)

本条は、官房長官を国務大臣ポストとし、官房事務の統轄・職員服務の統督を定める。

内閣横断の調整・危機管理の要となる役職であり、閣議案件の取りまとめ、各省調整、国会対応、世論発信の統一性確保の責務を負う。

実務上、統督権は服務規律・情報管理(守秘・公表の線引)に及ぶため、官房規程・危機管理指針との一体運用が前提となる。

第十七条(人事官)

本条は人事院の中核である人事官の選任・任期・宣誓等を詳細に定める特則である。

両院同意を経た内閣の候補者名簿作成(1〜2項)、国民審査法に基づく人事官審査を通じ上位得票者から3名を内閣が任命(3項)、認証官としての天皇認証(4項)、最高裁長官面前での宣誓(5項)、任期4年・再任不可(6項)、欠員補充の残任期間在任(7項)、人事院総裁の任命と代行順位(8〜9項)を規定する。

とりわけ国民審査を介在させる設計は、独立性・民主的正統性を強化する制度的特色である。運用上は、審査対象・手続・周知方法、両院同意との時系列整合、再任禁止の人材確保への影響に留意が必要。

第十八条(検査官)

本条は会計検査院の検査官に関する任命・任期等を定める。

1項は両院同意人事、2〜3項は閉会中・解散時の暫定任命と事後承認(不承認時当然退官)を規定し、監督の空白を回避する。4項は認証官規定、5項は任期4年(欠員補充は残任期間)、6項で検査官互選による会計検査院長の指名・内閣命を定める。

独立性・継続性・機動性の均衡設計であり、国会同意の統制と行政の継続確保を両立させている。

第十九条(内閣法制局長官)

本条は法制局長官の任務権限と任命権者(内閣)を定める。

長官は局務を統括し、部内職員の任免・進退、服務統督を担う。法案審査・条文化・解釈統一・政令審査・条約審査等の機能を統合的に指揮し、内閣の立法・法令解釈の中枢として機能する。

実務上は、各省法令審査との分業・調整、解釈統一の公表基準、国会審議対応(答弁整理)との連携が要諦となる。

第二十条(内閣官房副長官)

本条は副長官の補佐・事務掌理・代行を規定し、認証官であることを明記する(2項)。

官房長官の下で政策調整・危機管理・国会対応を分掌し、不在時の代行順位はあらかじめ定める方式。

運用上は、長官・複数副長官間の役割分担、代行時の権限限界(専決・専属事務の扱い)の明確化が必要。

第二十一条(内閣危機管理監)

本条は、危機管理監の設置趣旨・所掌を定める。

1項は、防衛事項を除く政府横断の危機管理(災害、テロ、感染症、重要インフラ障害等)の統理を明示。2項は内閣任命。

官邸主導での初動・調整・情報集約・広報・復旧工程管理の要であり、防衛事項は国家安全保障分野との役割分担で整理される。危機管理体制図・作戦計画(CONOPS)と連動した規程整備が前提。

第二十二条(国家安全保障局長)

本条は、国家安全保障局長の補佐・掌理・任命、および副長官(次長)の指名権を定める。

局長は官房長官・副長官を助け、国家安全保障会議(NSC)事務局としての戦略立案・政策総合調整・情報統合を掌る。

3項の「次長指名」は、局務遂行のための司令塔機能の強化を意図する。

実務上は、防衛・外務・経産・警察・情報機関との機能分担と調整手順、平時からのインテリジェンス・サイクルの確立、政軍関係の透明な統制設計が要点となる。

補足(運用横断論点)

職種間モビリティ(12条3項):政治任用と行政専門職の往来に伴う利益相反・守秘・クーリングオフの基準設定が不可欠。

認証官人事(17・18・20条):認証手続の時点・効力発生、事後承認不成立時の職務執行の扱いを政省令で明確化。

独立性と民主的統制:人事官の国民審査導入(17条)は制度的特色。周知・投票設計・不信任効果の明快化が求められる。

危機・安保の二層構造(21・22条):危機管理監(非防衛)とNSC(防衛含む)の交通整理、情報共有のレーン分離と最終統合の設計が肝要。

必要であれば、この続き(第二十三条以降)も同様の「解説のみ」形式で作成します。

第二十三条(内閣官房副長官補)

本条は、官邸組織の中核を担う副長官補の職務権限と任命権者を定める。

内閣官房長官・副長官・危機管理監・情報通信政策監を補佐し、命を受けて官房の事務を掌理することにより、各補佐官・局長級間の連携・調整を制度化している。

特に副長官補は「政策・安全保障・危機管理」など複数の領域別に複数置かれる運用が想定され、実質的には各分野の官邸機能補完責任者として位置づけられる。

任命権者を「内閣」とすることで、政治任用ではあるが制度上の一貫性と行政中立性を併せて確保している。

第二十四条(内閣広報官)

本条は、政府全体の広報・情報発信の責任者である広報官の所掌と任命を定める。

官房長官・副長官・危機管理監・情報通信政策監を補佐し、「広報に関する事務を掌理する」と明記されており、国民への説明責任と危機時の情報一元化を担保する。

現行の「内閣広報室長」制度を法定化し、内閣全体の広報統一原則を確立する趣旨を有する。

官邸記者会・報道調整・緊急会見等の運用は、危機管理・外交広報と密接に連動するため、透明性と迅速性の両立が求められる。

第二十五条(内閣情報官)

本条は、政府情報保全と特定秘密の管理を担う内閣情報官の任務・任命を定める。

官房長官等を補佐し、特定秘密保護法の運用、情報収集・分析、及び第十二条第二項第六号に掲げる情報関連事務(情報通信政策監所掌との整合)を掌る。

内閣情報調査室(CIRO)の長として、内閣全体の情報統合・危機分析・国家情報戦略を担う。

安全保障上の特定秘密を扱うため、守秘・監察・アクセス管理の厳格運用が前提となる。任命権を内閣に帰属させ、政治統制の下での専門行政機能を保障している。

第二十六条(内閣総理大臣補佐官)

本条は、内閣総理大臣を直接補佐する政治任用ポストの制度的位置を定める。

総理の命を受け、国家的戦略施策・重要政策分野の企画立案を補佐する役職であり、内閣法に基づく補佐官制度を明文化した形となっている。

第二項で「国家安全保障担当補佐官」を設けることを義務付け、外交・防衛・経済安保分野の統一調整機能を制度的に担保している。

任命権は内閣に属し、政治的補佐であるが、政策調整上は行政官僚との協働関係を保持する。

実務的には、各補佐官の担当分野・発言権限・事務支援体制を明確化することが統治上の安定に資する。

第二十七条(副大臣)

本条は、副大臣の権限・任命・職務範囲・任期を定める。

国務大臣を補佐し、政策・企画の所掌及び政務処理を担当する中堅政治任用職である。

2項により、複数置かれる場合の分掌と職務代行順位は担当大臣が定める。3項は大臣の申出に基づく内閣任命と天皇認証を規定し、憲法上の認証官に該当する。

4項は内閣総辞職に伴う当然失職を定め、内閣構成員としての政治的一体性を示している。

副大臣制度は、官僚層と政治層の中間に位置し、政策連続性と説明責任の橋渡し機能を持つ。

第二十八条(大臣政務官)

本条は、大臣政務官の任務・分掌・任免・地位の喪失を定める。

国務大臣の命を受け、特定政策に参画し、政務処理を担当する補佐職であり、政治的若手層の登用を目的とする。

副大臣との主要差異は、企画決定権限を持たず、政策実施補佐や広報・現場調整の役割に重きを置く点にある。

任免は大臣の申出に基づき内閣が行い、内閣総辞職と同時に失職する。

政務官制度の意義は、政策継承訓練・次代政治リーダー育成を制度的に確立する点にある。

第二十九条(大臣補佐官)

本条は、各国務大臣に附属する補佐官の制度を定める。

国務大臣の命を受け、特定政策に関する企画・立案及び政務処理を補佐する役職である。

副大臣・政務官と異なり、官邸直属ではなく各省単位での専門的補佐職として位置付けられ、政策の一貫性確保を担う。

任免は大臣申出による内閣決定とされ、内閣総辞職時には同時に地位を失う。

実務上、専門性と政治判断の橋渡しを担う参事官層との関係整理が重要である。

第三十条(内閣総理大臣秘書官)

本条は、総理直属の秘書官の職務を定める。

内閣総理大臣の命を受け、機密事項を処理し、また内閣官房等の事務を臨時に補助する。

秘書官は実務上、政務・事務・広報・官邸連絡など分野別に複数配置され、官邸運営の根幹を担う。

守秘義務の厳格運用と政治的中立性の保持が求められるほか、文書管理・記録作成の適正確保も職務の一部に含まれる。

第三十一条(国務大臣秘書官)

本条は、各省大臣に附属する秘書官の任務を定める。

国務大臣の命を受けて機密事項を処理し、必要に応じて内閣官房事務を補助する。

国務大臣秘書官は大臣官房所属の行政職員が兼務する場合もあり、政治任用秘書官と事務系秘書官の区別が運用上生じる。

職務遂行においては守秘・公文書管理・情報共有手続の整合が必須となる。

第三十二条(宮内庁長官)

本条は、宮内庁長官の地位・権限・任免手続・行為権限を定める。

1項で庁務統括と職員服務統督を定め、2項で認証官とする。

3項では、内閣府令発出の求請権を付与し、4項で告示・訓令・通達の権限を明文化、5項で皇宮警察に対する措置要求権を認めている。

これにより、象徴天皇制度下における宮内庁の行政権限の独自性を確保しつつ、内閣統制との法的連関を維持する設計となっている。

運用上は、皇室行事・儀式・記録・広報の公私線引き、及び警察行政との協調手続の明確化が必要である。

【総括的所見】本条群(第23条〜第32条)は、内閣組織の補佐・調整・秘書機構を体系的に法定化した部分であり、従来政令・内閣決定レベルで規律されてきた官邸人事の法的基礎を明示した点に大きな意義を有する。

また、危機管理・情報保全・広報・安保政策など、行政内部機能の「横断的統治中枢」を法体系内に明文化したことで、本法が単なる人事制度法を超え、統治構造の機能法(constitutional administration law)

として位置づけられることが明確となる。

第三十三条(侍従長)

本条は、天皇の側近組織である侍従職の長たる侍従長の職務と任免を定める。

「側近に奉仕し、命を受け、侍従職の事務を掌理する」と規定することにより、侍従職が国務ではなく宮務(私的補佐的職務)

に属する性格を明示している。

侍従長は天皇の日常活動に関する調整・連絡・儀式管理・文書伝達等を統括する。

任免を天皇の認証とすることで、象徴天皇制における宮中事務の独自性を保ちつつ、国政人事とは区別される。

実務上は、宮内庁長官との職務区分(儀式・文書・広報等)を明確にし、国事行為補助との混同を避けることが要点である。

第三十四条(上皇侍従長)

本条は、上皇職の長たる上皇侍従長の職務と任免を定める。

侍従長と同様の構成を取り、「上皇の側近に奉仕」する旨を明記することで、譲位後の上皇の公的生活を支える体制を制度上保障している。

任免を天皇の認証とすることにより、象徴天皇と上皇との関係における法的・儀礼的序列を保持する趣旨である。

現行の上皇職令(平成31年政令第1号)を法格上へ昇格させた位置づけとなる。

第三十五条(特命全権大使)

本条は、外交代表の最高位である特命全権大使の任務を定める。

大使館の長として外務大臣の名を受け在外公館を統括し、国際交渉・安全確保・邦人保護等を遂行する。

「外務大臣の名を受けて」と明記することにより、国家の統一的外交権限が外務大臣に存することを再確認している。

実務上は、特命全権大使の地位は国際法上の外交使節(ウィーン条約)に対応し、国家元首の代理権能を包括的に行使できる地位を示す。

第三十六条(特命全権公使)

本条は、公使館の長たる特命全権公使の職務を定める。

特命全権大使との違いは、外交儀礼上の地位(大使館と公使館の格差)にあり、法的権限は概ね同等と解される。

「外務大臣の名を受けて」公使館事務を統括する点で、大使と同一の行政構造を採る。

外交関係に関するウィーン条約の規定により、公使も外交特権・免除を有する。

本条は外交職階の秩序(大使>公使>代理公使)を明文化する意義を有する。

第三十七条(特派大使)

本条は、臨時に派遣される外交使節たる特派大使の職務を規定する。

「重要な儀式への参列」等、恒常的在外公館勤務ではなく、一時的な国家代表としての任務を担う。

国家元首または政府を代表する権限を持ち、国際儀礼や特別任務(親書伝達・弔問・式典出席など)を遂行する。

外交儀礼上の地位は全権大使に準じ、任務終了とともに自動的に職を解かれるのが原則である。

第三十八条(政府代表)

本条は、国際会議・国際機関等に派遣される政府代表の職務を規定する。

「特定の目的をもって外国政府と交渉し、又は必要な権限を持って国際会議・国際機関に参加する」とあり、外交交渉・条約審議・多国間協定策定等に関与する立場である。

実務上は、条約交渉委員、会議首席代表、首席全権等の形態を取り、閣議決定または外務大臣の指名に基づき行動する。

政府代表は一時的任務であるが、その行為は国際法上日本政府の意思表示として法的効果を持つ。

第三十九条(全権委員)

本条は、外交交渉及び条約締結のための全権委員の権限を規定する。

「条約に署名調印する」旨を明記し、国家意思表示の最終責任者としての法的地位を付与している。

外交権は憲法第73条2号に基づき内閣に属するため、全権委員は内閣の授権を受けた国家代表として行動する。

全権委員証書(Full Powers)により、条約法に関するウィーン条約第7条に適合する正式権限を証示することが国際慣行である。

したがって本条は、条約締結行為における内閣の機関構成と国際法上の効力要件を国内法上に明文化するものである。

第四十条(裁判官)

本条は、司法権を担う裁判官の資格・任命・地位・任期・構成を定める中核規定である。

第一項は職務の独立(良心と法令に従う)を確認し、憲法第76条3項の司法独立原則を明文化している。

第二項は任用資格を定め、実務経験十年以上の法曹資格者に限定することで、裁判の専門性を担保する。

第三項は最高裁長官の内閣指名・天皇任命、その他裁判官の内閣任命を定め、憲法第79条1項を具体化。

第四項は長官・判事の認証規定、第五項は国民審査制度を適用する旨を明示し、司法の民主的統制を制度化している。

第六項の任期四年制は、従来の10年(現行裁判官)より短縮されており、定期的再任制度により評価・責任の透明化を図る趣旨。

第七・八項は最高裁・下級裁の組織構造を規定し、最高裁14名体制(長官1・判事14)を確定。

第九項の員数規定は、下級裁判所職員定員法に相当する別法に委任される。

全体として、憲法規定を制度法化し、司法の独立・責任・公開性を明示的に保障する構成である。

【章末総括】第33条〜第40条は、象徴機関(宮内庁)、外交機関(外務省・政府代表団)、司法機関(裁判所)の三系統における特別職公共職員の法的地位を定義する条群である。

これにより、公共職員法が単なる行政職員法にとどまらず、国家統治機構全体の人事体系を統一的に扱う総合人事基本法として機能することが明確化される。

また、侍従職・上皇職を含めた象徴機関の位置づけ、外交代表権の階層化、司法任用の専門化など、各分野の制度的特徴を統一的枠組で接続する点に、法体系上の革新性が認められる。

第四十一条(国会議員)

本条は、国会議員の権限・構成・選出・特権及び兼職制限を定める。

第一項は、憲法第43条・第49条の趣旨を継承し、国会議員が全国民の代表として選挙により選出されることを確認する。

第二項以下は、憲法第50条・第51条に基づく不逮捕特権の具体的手続を法定化しており、会期中の院の許諾手続を明文化している。

第三項〜第五項では、内閣と裁判所の連絡経路を制度化し、議院の自律権を保障しつつ、司法手続との調和を図る。

第六項は、会期前に逮捕された議員の釈放要求手続を20人以上の連名と理由書添付を要件として規定し、乱用防止を図っている。

第七項は兼職禁止を明文化し、国会議員が行政機関の職員を兼ねることを原則禁止する。

ただし「両院一致の議決に基づく特別任用」は例外として認め、審議会委員・顧問・参与等の臨時参与を制度的に可能とする。

この規定により、三権分立の原則のもとでの立法府の自律性と他権の分離が担保される。

第四十二条(地方議会議員)

本条は、地方議会議員の構成と職務を定める。

第一項は、都道府県議会及び市区町村議会の議員を地方議会議員として位置付け、住民代表制の原則に基づき選挙により選出される旨を明示する。

第二項では、議事参画権を明文化し、地方議会の意思形成過程における審議・表決の責務を示している。

本条の意義は、国会議員に関する前条と並列して「立法的公共職員」の範疇を地方レベルに拡張した点にある。

地方自治法の議会規定(第89条以下)と整合的に運用されることを予定しており、住民自治・地方議会制の理念的基礎条文である。

第四十三条(国会議員補佐官)

本条は、国会議員を直接補佐する職の制度的位置づけと任免手続を定める。

第一項において、補佐官は「国会議員の命を受け」政策企画・立案・政務処理を補佐する役割を明示し、行政側の補佐官制度(第29条)との対称関係を形成する。

第二項では、職務内容の具体的定めを議員の裁量に委ねることにより、政党・会派の多様な活動形態に対応できる柔軟構造を採っている。

第三項は任免権を所属議院の議長に帰属させつつ、議員本人の申出を要件としており、議院事務局を通じた手続管理を可能にしている。

第四項は、解散時の当然失職を定め、議員の任期と補佐官の地位を一致させることで政治責任の一体性を確保する。

本条により、立法府の補佐職が行政補佐官制度と同格の法的位置を得ることとなり、政策形成過程の専門化・支援体制の恒常化が期待される。

【章末総括】第41条〜第43条は、立法府及び地方議会の議員とその補佐職を公共職員体系に位置づけた規定である。

ここで「公共職員」の概念が、行政職員のみならず、立法・地方自治を担う公選職および補佐職を包含することが明確化された。

とりわけ第43条は、これまで慣行・政党規約に依存していた国会補佐職の法的地位を制度化するものであり、立法支援体制の法制上の空白を埋める意義を有する。

この結果、立法府・行政府・地方自治体の人事体系が同一法体系内で整合され、公共職員法の「国家統治人事法」としての統一的性格がさらに明確となる。

第四十四条(地方補佐官)

本条は、地方公共団体における首長・議員の政策補佐機能を制度化する。

第一項は、地方自治法上の特別職任用の原理に基づき、首長または地方議員の命を受ける政策補佐職を設置できる旨を定めている。

これにより、国の「副大臣・大臣補佐官・議員補佐官」に対応する地方版補佐官制度を法的に明文化した点が特徴である。

第二項は、職務・身分等を条例に委任しており、自治体ごとの運用裁量を確保している。

第三項は任免権の分化を定め、首長系統(行政)については内閣、議会系統(地方議員)については各院議長を任命権者とし、中央・地方・議会間の権限関係を明確化する機能を有する。

第四項は、補佐官の任期を主たる任命者の任期と連動させる規定であり、政治任用職としての一体性を担保している。

本条は、地方自治における政策形成力強化を狙いとし、行政と議会の双方に「補佐職による専門性導入」の途を開く制度的基礎条文である。

第四十五条(都道府県知事)

本条は、都道府県知事の職務、任期、資格、失職、補充、退職手続等を詳細に定める中核規定である。

第一項は、知事が当該地方公共団体を統轄し、法の定めに従って事務を管理する旨を定め、憲法第93条2項および地方自治法第138条の趣旨を継承している。

第二項では、任期を4年と明示し、公職選挙法第259条・第259条の2の規定を準用することで、全国一律の選挙制度的整合性を確保している。

第三項は兼職禁止を明文化し、知事が国会議員・他の公共職員を兼ねることを排して、地方行政の独立性と政治倫理を担保する。

第四項・第五項は、被選挙権喪失・兼職該当による失職を選挙管理委員会の決定に委ね、その決定書を理由付き文書で本人に交付することを義務づけている。

これにより、行政内部での恣意的な判断を防止し、選挙管理機関の準司法的役割を明確にしている。

第六項・第七項は、知事の資格喪失決定に対する救済手段として総務大臣への審査請求権を付与し、不服審査法の期間を21日とする特則を設けている。

地方自治の自立を尊重しつつ、中央による最終的審査を確保する均衡的構造である。

第八項は、知事の事故・欠缺時における代理候補者名簿制を導入している。これは副知事任命とは別に、事前に指定された公共職員が職務を代理する制度であり、災害・辞職・失職時の行政空白を最小限に抑える狙いがある。

第九項は、公職選挙法上の選挙異議・訴訟等が係属中の間は、最終判決確定まで職を失わないことを定め、選挙の安定性と行政継続性を法的に担保する。

第十項は、退職意思の表明と時期を定め、議会への事前申出義務(30日前)と議会同意による早期退職の特例を設けている。

これにより、議会との協調のもとでの円滑な行政移行が可能となる。

総じて本条は、都道府県知事制度を憲法・自治法・公選法体系の中で統合的に位置づけ直し、地方行政の法的安定性・責任性・自治的独立性を明文化する制度的基軸をなす。

第四十六条(副知事)

本条は、都道府県知事の補佐職および代行権限を規定する。

第一項は、副知事が知事を補佐し、政策・企画を所掌し、部局長等の補助機関を監督し、「別に定めるところにより」職務代理を行う旨を定める。

これは現行地方自治法第150条に対応するが、本法では副知事の役割を政策的補佐・行政管理的補佐の両面から再定義している。

第二項は、委任事務の執行を「告示に基づく委任」によって明確化するものであり、副知事が行政行為を行う法的根拠を明文上担保している。

この構造により、知事が不在・出張・事故等の場合における意思決定の連続性が保証される。

副知事制度の本質は、首長の政治責任を支える専門行政官僚層としての執行能力・調整力・説明責任の代行にある。

したがって、実務上は副知事の分野別配置(政策・財務・防災・地域振興など)を行い、知事との分掌・署名権限の範囲を条例または告示で明確に定めることが重要である。

本条の位置付けは、国の副大臣制度との構造的対称性を持ち、国・地方一体の執政機構設計を目指す公共職員法全体の理念を体現する規定である。

【章末総括】第44条〜第46条は、地方レベルにおける政治任用職(地方補佐官)・公選職(知事)・補佐職(副知事)の関係を明確に整理し、国と地方の人事制度を同一体系の中で整合させることを目的としている。

知事の資格・任期・補充手続を精緻に法定化したことにより、自治法・公選法・不服審査法を横断的に統合した「地方人事憲章」としての機能を持つ。

さらに、副知事や地方補佐官制度を通じて、地方政治と行政運営の一体化・政策補佐の専門化を促進する構造を確立している。

第四十七条(市区町村長)

本条は、市区町村における首長たる市区町村長の職務・任期・資格・失職・補充・退職等を規定するもので、地方自治法第141条以下の首長制度を本法体系に統合した規定である。

第一項は、首長が「当該地方公共団体を統轄し、法律の定めるところにより事務を管理する」と定め、都道府県知事と同一構造で、自治行政の最高責任者としての地位を確認している。

ここにいう「法律の定めるところ」とは、地方自治法・会計法・住民基本台帳法等、個別法に基づく執行権限全般を指す。

第二項は、任期を4年と定め、公職選挙法第259条・第259条の2の適用を明示することにより、全国の首長選挙の制度的統一を図っている。

第三項は、国会議員その他の公共職員との兼職禁止を規定し、地方行政の独立性と中立性を担保する。

地方首長は国政との関係で二重の政治責任を負うことがないよう、厳格な兼職制限を設ける趣旨である。

第四項及び第五項は、被選挙権喪失や兼職該当による失職の決定手続を定め、選挙管理委員会が判断・通知を行う制度的枠組みを明確化している。

この規定は、行政内部の任命権者による判断を排し、選挙管理委員会の準司法的役割を強化するものとなっている。

第六項・第七項は、失職決定に対する不服救済手続を規定し、都道府県知事を審査機関とする点に特徴がある。

ここでは、自治法第252条の17の趣旨を踏まえつつ、上位自治体による行政的再審査を制度化している。

行政不服審査法の期間を21日に特定しているのは、首長選挙に関する迅速な紛争解決を目的とする。

第八項は、代理候補者名簿制を採用し、市区町村長に事故・欠缺があった場合に、事前に指定された公共職員が代行することを認めている。

これは災害・辞任・失職等の緊急時に行政の連続性を保つための制度であり、地方行政運営の安定を担保する。

第九項は、公職選挙法上の異議・審査・訴訟の係属期間中においては、判決が確定するまで職を失わないとする規定であり、選挙の安定性と行政の継続性を保障している。

この点、地方自治法では明文がないが、本法により法的安定の根拠が与えられた。

第十項は、退職意思の届出義務と時期を定め、議会への二十日前申出と、議会同意による期日前退職の特例を設けている。

この手続的規定により、議会との協調関係と行政移行の円滑化を制度的に保証している。

総じて本条は、市区町村長を地方行政の執行責任者として位置づけ、選挙・資格・任期・代理・退職の全過程を法定化することで、首長制の民主的正統性と法的安定性を確立するものである。

第四十八条(副市区町村長)

本条は、市区町村長を補佐し、その不在・事故時に職務を代行する副市区町村長制度を定める。

地方自治法第162条の趣旨を継承しつつ、より明確な職務権限体系を示している。

第一項は、副市区町村長の基本的職務として、「市区町村長を補佐」「政策及び企画をつかさどり」「補助機関を監督」する三要素を明示している。

さらに「別に定めるところにより、市区町村長の職務を代理する」として、不在時や辞職時における行政執行の中断を防ぐ機能を制度的に確保している。

第二項は、事務の一部委任を「告示に基づく委任」と明文化し、副市区町村長が独立に行政行為を行う法的根拠を与えている。

この仕組みにより、住民対応・財務執行・防災指揮などの現場判断を迅速に行うことが可能となる。

副市区町村長制度の本質は、地方行政の現場における専門的執行権限の補完であり、首長の政治責任を支えつつ、行政実務の継続性・機動性を確保する点にある。

条例上では、複数副市区町村長の設置(例:総務担当・産業担当など)を可能とし、分野別補佐体系を整備することが望ましい。

本条により、国の副大臣・地方の副知事と対をなす地方補佐制度が三層的に整備され、公共職員法体系における「国・都道府県・市区町村」三位一体の執政モデルが完成する。

【章末総括】第47条〜第48条は、地方公共団体の首長制を法体系的に再定義し、都道府県知事と並ぶ地方自治の最終執行責任者としての市区町村長制度を確立する。

これにより、国・都道府県・市区町村に共通する首長職と補佐職の体系が明確に整理され、人事制度上の階層的整合性と地方分権型行政構造の法的安定性が保証される。

特に、本法による統合は、地方自治法に分散していた首長任期・補職・代理・不服審査規定を統一的に位置づけ、地方行政の一体的人事制度(Public Service Cohesion System)

の完成形を示していると評価できる。

第四十九条(日本銀行総裁)

本条は、日本銀行の最高執行責任者である総裁の地位・任命・任期・代表権等を定める。

第一項において、総裁が「日本銀行を代表し、委員会の定めるところに従い、業務を総理する」と規定することで、日本銀行法(平成9年法律第89号)第22条の趣旨を継承しつつ、総裁の権限が政策委員会の決定に基づくものである点を明確にする。

すなわち、総裁は日本銀行の長でありながら、単独意思ではなく「合議制の機関意思」に従って行動する立場にある。

第二項は、総裁の任命に両議院の同意を要する旨を定め、国民代表機関による民主的正統性の付与を図っている。

これにより、日本銀行の独立性と国政との連携の均衡が法的に担保される。

第三項は任期を4年とし、再任を妨げない旨を明示している。

金融政策の継続性と独立性の観点から、一定期間の安定的在任を保障しつつ、能力評価による再任の柔軟性を確保している。

第四項は、職員任命権を総裁に与え、銀行内部の人事自治を制度的に保障する。

第五項は、総裁が日本銀行と利害が相反する場合の代表権制限を明文化し、特別代理人制度の適用を定めることで、公的金融機関としての透明性と法的健全性を担保している。

第六項は、訴訟その他の法律行為における代理権を定め、実務上の銀行活動(契約・調達・出訴等)の迅速化を図っている。

総じて本条は、総裁を「公共職員としての金融行政官」と位置づけると同時に、日銀の法人格上の代表者としての二重的公的責務を制度的に明示するものである。

第五十条(日本銀行副総裁)

本条は、副総裁の地位・任命・任期・代表権等を定める。

第一項は、副総裁が総裁を補佐し、総裁の事故・欠員時にその職務を代理することを規定しており、総裁不在時の意思決定・執行の連続性を制度的に確保している。

第二項は任命手続を定め、両議院の同意を得て内閣が任命することにより、総裁と同等の民主的正統性を保持させている。

第三項は任期4年、再任可とし、補欠の場合は残任期間とする。

この点、安定した金融政策運営のために任期の同期化が意図されている。

第四項の代表権制限及び第五項の代理権規定は、総裁条項(第49条第5・6項)と同一構造であり、銀行の利益相反防止・法的統一性維持を目的とする。

副総裁制度は、三名体制(総裁1・副総裁2)が一般であり、金融政策会合等において合議制意思決定を支える中枢人材としての役割を担う。

本条はその法的根拠を公共職員法体系に位置づけたものである。

第五十一条(日本銀行審議委員)

本条は、日本銀行政策委員会の構成員である審議委員の職務・任命・任期を定める。

第一項は、審議委員が金融政策に関する議事・審議に参画し、政策の実施に協力する職責を負うことを明記している。

この規定は、金融政策運営における専門的独立合議制の中核をなす。

第二項は任命手続を定め、経済・金融に高い識見を有する者から、両議院の同意を経て内閣が任命する。

これにより、専門性と民主的正統性の両立が図られている。

第三項は任期4年とし、再任を妨げないとする。

金融政策決定の中立性・継続性の確保を目的としており、定期的な人材更新による多様な意見の導入も意図されている。

本条は、日銀法第23条・第24条の規定を公共職員法体系に収斂させ、「独立した政策決定職員」としての審議委員を公共職員の一類型として定義した意義を有する。

第五十二条(日本銀行監事)

本条は、日銀の内部監査機能を担う監事の職務・任命・任期を定める。

第一項では、監事が日本銀行の業務を監査する職責を負う旨を明確化。

第二項は、監査結果に基づいて必要があると認めるときには、財務大臣・内閣総理大臣・政策委員会に意見を提出できるとし、監査の独立性と政策へのフィードバック機能を両立させている。

第三項では任命権を内閣に置き、第四項で任期を4年とし再任を妨げない。

この構成は、監事の法的地位を行政監督下に置きつつも、内部統制機能としての独立性を確保するバランスを取ったものとなっている。

監事の報告義務を明文化した点は、従来の日銀法上の「報告可」から一歩進め、公共組織法的ガバナンス原則(説明責任と透明性)

を導入する趣旨と解される。

第五十三条(日本銀行理事)

本条は、総裁・副総裁を補佐する理事の職務・任命・任期を定める。

第一項は、理事が銀行業務を掌理し、総裁・副総裁の事故・欠員時に総裁職務を代行する旨を明記し、金融機能の継続性確保を制度化している。

第二項は任命手続を定め、委員会(政策委員会)の推薦に基づき、財務大臣が任命する構造を採る。

これは、行政による最終承認と政策委員会による人事参与を両立させる協調モデルである。

第三項は任期4年、再任可とすることで、安定的な銀行運営と人材更新を両立させる。

理事は実務上、部門別統括(金融市場・国際・決済・情報等)を担い、日銀組織運営の中核的管理層として位置づけられる。

第五十四条(日本銀行参与)

本条は、日銀の政策運営に関する助言機関としての参与制度を定める。

第一項において、参与は委員会の諮問に応じ、また必要に応じて意見を述べることができるとされ、政策決定過程における外部知見の制度的導入を目的としている。

第二項は、委員会の推薦に基づき財務大臣が任命することを定め、参与が外部有識者でありつつも、国家行政体系との整合を保持する構造をとる。

第三項は任期4年、再任可とする。

政策委員会・理事会・監事制度と並行して、多層的ガバナンスを形成することで、公共金融機関としての透明性・説明責任・社会的正当性を強化する。

【章末総括】第49条〜第54条は、公共職員法の枠内において中央銀行職員を公共職員として法定化した画期的条群である。

日本銀行総裁をはじめとする各役職の任命・任期・権限を統一的に規定し、「行政から独立した公共機関」としての日本銀行の性格を制度的に明確化している。

これにより、金融政策運営の独立性と、国政との民主的統制の両立が図られる。

また、利益相反防止・代理権・監査・参与等の条文構造を通じて、公共組織法との接続を踏まえた公共的金融ガバナンス体系が完成している。

公共職員法体系全体において、日本銀行関係条文は「公共経済職員」の範型を示すものであり、行政職・地方職・司法職に並ぶ第四の柱――金融公共職系統として制度的意義を有する。

第五十五条(公正取引委員会委員長)

本条は、独占禁止政策および競争秩序維持を担当する公正取引委員会の長たる委員長の職務・資格・任命手続を定める。

第一項は、委員長が「会務を総理し、委員会を代表する」とし、独立行政委員会としての組織的地位を明示する。

公正取引委員会は内閣府の外局に属するが、職権行使に関しては内閣から独立しており、本条はその独立準司法機関性を明文化している。

第二項では、任命資格を「法律又は経済に関する学識経験のある者」とし、年齢要件(35歳以上)を設けることで、専門的かつ中立的判断能力を有する人物を任命する原則を示す。

また、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する手続を定め、民主的正統性を確保している。

第三項は、天皇による認証を要する旨を定め、行政権限の独立性に対する形式的正統化を図っている。

本条全体を通じ、公正取引委員会委員長は「行政権に属しつつ、司法的判断機能を行う独立職」として位置づけられ、行政法秩序の中で特に中立・公正を求められる公共職員の典型である。

第五十六条(原子力規制委員会委員長)

本条は、原子力安全行政の最高責任者である原子力規制委員会委員長の地位を定める。

第一項は、委員長が会務を総理し委員会を代表する旨を定め、合議制行政委員会としての独立的運営を担保している。

第二項では、人格・専門知識・経験・識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することを明記し、技術的独立性と民主的正統性の両立を制度的に保証する。

第三項の天皇認証は、国家的安全保障・国民生命保護に関わる職責の重大性を示す儀礼的・法形式的行為である。

第四項以下は、任期(4年)と再任可、補欠の任期、任期満了後の職務継続、代理制度、国会閉会時の暫定任命を詳細に規定し、行政の継続性と災害対応など非常時運用を法的に保証している。

特に第八項の規定は、国会閉会・衆議院解散時における原子力安全行政の空白防止措置として重要であり、行政手続法・災害対策基本法との整合を保つ仕組みである。

本条は、福島原発事故後に形成された独立行政委員会モデルを「公共職員法体系」に統合するものであり、危機管理・安全保障に関わる専門独立職の法的地位を明確にした点に制度的意義がある。

第五十七条(検事総長)

本条は、検察組織の最高責任者たる検事総長の権限・指揮監督・任命を定める。

第一項は、検事総長が最高検察庁の長として庁務を掌理し、全国の検察庁職員を指揮監督する旨を明記する。

この規定により、検察庁法第12条の趣旨を継承しつつ、検察行政の統一的指揮体系を明文化している。

第二項は、検事総長が自ら又は他の検察官に職務を処理させることができるとし、中央集権的指揮権と個別事案の委任処理の制度的根拠を示す。

第三項は、事故または欠員時の臨時代行を定め、法務大臣の定める順序により他の検察官が職務を行うこととし、緊急時における法執行機能の中断を防ぐ。

第四項は任免手続を定め、内閣が行い、天皇が認証する旨を規定する。

これにより、検察の独立性を尊重しつつ、行政権(法務省)に属する機構的一体性を保持する。

本条の意義は、検事総長を「法執行の最終責任者」として法体系に位置付け、司法権との境界上に立つ準司法的公共職員としての法的地位を確立した点にある。

第五十八条(次長検事)

本条は、検察庁における副長的地位としての次長検事の職務を定める。

第一項は、次長検事が検事総長を補佐し、事故または欠員時にはその職務を行う旨を定め、検察庁法第13条の規定を継承している。

第二項・第三項は、検事総長条項と同様の職務処理・代行規定を再掲し、組織運営の途絶防止を意図した統一的書式である。

第四項は任免手続を定め、内閣が行い、天皇が認証する点で検事総長と同格の格式を持つ。

ただし、次長検事は政治的責任を負わない実務官職であり、業務執行・調整の最高実務者としての性格が強い。

本条は、検察組織の二層制(総長-次長)による機能的安定構造を明文化したものであり、行政・司法の中間的機能を持つ検察制度の一貫性を保証している。

第五十九条(検事長)

本条は、高等検察庁の長たる検事長の職務・指揮監督権・任免を規定する。

第一項において、検事長は「庁務を掌理し、かつ、その庁並びに対応する裁判所の管轄区域内にある地方検察庁及び区検察庁の職員を指揮監督する」とされ、検察庁法第14条の趣旨を継承している。

すなわち、検事長は地域単位での法秩序維持と検察機能の統括責任を担う。

第二項〜第三項は、検事総長条項と同文であり、指揮権・代行規定を統一的に適用することで、全国の検察庁に共通する職務権限の明確化を図っている。

第四項は、任免を内閣が行い、天皇が認証する旨を定め、法的形式上、検事長を「特別職の行政官」として位置づける。

一方で、職務の性質上は準司法的独立を保持する点に特色がある。

本条の体系的位置は、検察組織における地域的最高責任者としての検事長を明文化し、中央-地方の統一的法執行体系を保証する機能を持つ。

【章末総括】第55条〜第59条は、行政機関の中でも特に準司法的独立性を要する機関・職(競争法、原子力規制、検察)を一体的に整理した条群である。

公正取引委員会委員長:経済秩序の公正性を維持する独立行政委員。

原子力規制委員会委員長:安全保障と科学技術行政の境界に立つ技術独立職。

検事総長以下:司法機能と行政執行の接点に立つ法執行職。

これらを「公共職員法」体系に包含することにより、日本の行政組織における独立性・責任・説明可能性の三原則が制度的に整合化された。

すなわち、本章は「準司法的公共職体系」

を形成し、三権分立を貫く行政内部の自律制度を構築するものである。

第六十一条(人事院)

本条は、人事院の職務権限を包括的に列挙し、人事行政の統括機関としての地位を明確化している。

一号から十一号までの各号は、人事行政の全機能を網羅的に示す体系的条文構造を採る。

以下、その要点を整理する。

給与・勤務条件制度の設計・勧告権国家公務員法第28条を拡張し、給与体系・勤務時間・休暇制度等に関する包括的設計権を付与。

内閣及び国会に対して勧告を行うことで、行政権から独立した人事政策機能を担う。

職員情報管理・共通システム運用従来の紙的管理から電子的人事データベース(Public HR Cloud)への移行を前提とし、全国公共組織の統合人事システムを監理・運用する。

採用・任命・解職の基準策定・実施採用試験制度や人事評価基準を統一化し、国・地方・独法間の人材流動を促進。

給与支払監理給与・手当・年金給付の適正支給を監督。行政会計の健全性を確保する。

研修企画・実施中央研修機関としての機能を有し、各省庁・地方公共組織と連携した教育体系を運営。

調査研究機能人事行政の科学的分析を担い、制度改革・統計・将来設計の根拠を提供。

助言・指導公共組織法に基づく各機関への制度的助言・指導権限を行使。

分限・懲戒審査・処分基準策定懲戒処分の統一基準を設け、処遇の公正性を保障。

苦情処理制度職員からの勤務条件・人事処遇に関する申立てを受理し、調停・助言・決定を行う。

10公益適合審査・通報保護公共職員法第11条との接続条文。公益通報者保護法体系の窓口として機能し、内部通報制度の統括管理を行う。

11労働争議調停公共部門における労使紛争について、労働委員会との調整の範囲で調停権を行使する。

本条は、人事院を単なる「勧告機関」から脱し、行政・労務・倫理・情報統合の司令塔として定義している点において革新的である。

第六十二条(人事院の地位)

本条は、人事院の独立行政機関性を明文化する核心条項である。

「内閣から独立した地位を有する」と明記することにより、行政権からの分離(行政権の内部独立)を制度上保障する。

この規定は、国家公務員法第7条第2項の「内閣の所轄に属しない」旨をさらに強化したものであり、人事院が行政の内部にありながらも、三権分立的な独立的人事権限を行使できることを意味する。

制度上は「準憲法的独立機関」に位置付けられ、司法・会計検査院と並ぶ憲法補助的機関と解される。

第六十三条(人事院の組織)

本条は、人事院の内部機構を「人事官会議」および「事務総局」の二本柱と定める。

前者が政策決定・規則制定の合議機関、後者が実務執行の行政機関として機能する。

これにより、政策決定の透明性と執行の能率性を両立させる二層構造が確立される。

第六十四条(人事官会議)

本条は、人事官会議の運営に関する基本原則を定める。

第一項では、少なくとも週一回の定例開催を義務付け、常時審議体制を維持する。

第二項は、議事録の作成義務を課し、幹事による記録・保存を定めることで意思決定の透明性を担保している。

第三項は、事務処理手続を人事院規則に委任し、機動的な運営を可能とする。

本条により、人事行政の意思形成過程に準司法的手続保障が導入される点に特色がある。

第六十五条(事務総局)

本条は、人事院における実務執行部門である事務総局の設置と権限を定める。

第一項で設置を明示し、第二項で事務総長の地位と職務を規定する。

事務総長は総裁の補佐者として、人事院の所掌事務(給与・採用・監査・苦情処理等)を統括し、また「人事官会議の幹事」として議事録の作成・案件整理を担う。

この構成は、行政委員会型独立機関に共通する事務長官制を採用したものであり、政策立案と行政執行の分離・牽制を制度的に保障している。

第六十六条(予算)

本条は、人事院の予算要求権および国会提出手続を定める。

第一項は、会計年度開始前に経費要求書を内閣に提出する義務を規定し、第二項は必要経費(役務・物品)の包括計上を求める。

第三項が最重要であり、内閣が修正した場合にも原案を国会に併記提出することを義務付けている。

これは会計検査院・裁判所と同型の「独立予算権」を制度化するもので、人事院の独立性を財政面から保障する意義を有する。

第六十七条(人事院規則及び人事院指令)

本条は、人事院の法規命令制定権限を定める。

第一項で規則制定権を認め、第二項で官報公布を義務付けることで、人事行政に関する法規命令が公開・統一的に適用されることを担保している。

第三項の指令発出権は、個別案件に対する行政的措置や指導命令に対応するものであり、法令運用における柔軟性と実効性を確保する規定である。

この条文により、人事院は「準立法機能(規則)」「準行政機能(指令)」の双方を有する機関として法的自立性を持つ。

第六十八条(人事院検査)

本条は、人事院またはその指名者による検査・調査権限を規定する。

第一項・第二項で、報告徴収・資料提出要求・立入検査・書類調査などの具体的手段を明文化。

第三項では、その行使が「裁判の独立・議会の自律・個人の権利利益を不当に侵害してはならない」との制約を明示しており、独立行政機関としての権限行使に対する憲法秩序上の調和原理を設定している。

第四項は、身分証明書提示義務を定め、適正手続保障(デュープロセス)を担保する。

本条は、人事行政の監査・査察制度を法制上確立するものであり、公共組織法に基づく業務監査・情報監査と並行する「人事監察」の制度的根拠条文に相当する。

【章末総括】第60条〜第68条は、公共職員法の運用基盤を成す「一般職の範囲」と「人事院制度」を体系的に定義している。

人事院を内閣から独立した統合的人事機関として位置づけ、給与・採用・評価・懲戒・監査・苦情救済を一元的に所掌させることで、公共人事行政の自律性・専門性・統一性を確立した。

また、労働法体系との接続(第60条)や、公益通報制度との連携(第61条第十号)により、本法は単なる公務員法の枠を超えて、公共労働法・倫理法・情報法を統合する次世代的人事法体系として完成している。

第六十九条(給与の支払の監理)

本条は、人事院の給与支払監理権を明確化する。

第一項により、人事院は職員に対する給与支給を監理し、予算・勤務評価・職務分類と整合するよう統制する責務を負う。

第二項では、規則または指令に反する支給を禁止し、各機関が独自判断で給与・手当を支給することを制限している。

これは、戦前の俸給令的運用や戦後の省庁別手当制度の乱立を防ぐ趣旨であり、国家全体としての公平・透明な賃金体系(Pay Equity)

を保障する制度的根拠条文である。

第七十条(人事記録)

本条は、公共職員の人事記録管理体系を定める。

第一項は、人事院が人事記録の管理機関である旨を明記し、第二項で各省庁・機関の作成記録を統合的に管理することを定める。

これにより、人事記録が各機関内の内部資料ではなく、国家的統一データベース(National Personnel Record System)

として法的に確立される。

第三項は、記載事項・様式等を政令に委任し、情報項目の標準化・電子化を可能とする。

第四項は、適合しない場合の是正勧告権・指示権を人事院に付与し、行政機関間の人事情報の不整合・改ざん・記録欠損等を防止する制度的枠組みを形成している。

この条文により、人事行政の情報監査制度が実質的に導入される。

第七十一条(統計報告)

本条は、人事統計の整備と報告制度を定める。

第一項により、人事院が在職関係統計(採用・昇進・退職・男女比・配置等)の所掌機関であることを明示。

第二項で、関係庁に対して随時または定期に報告を求める権限を与えることで、労働基本統計法・行政機関職員統計規則に相当する職員統計体系を確立している。

この統計制度は、政策評価(公共組織法における人員配置・効率分析)や国際比較(ILO/OECD指標)に資するものであり、人事行政の科学化(Evidence-Based HR Policy)

の法的基礎をなす。

第七十二条(国際人事行政との連携)

本条は、人事院が国際機関・各国政府の人事制度と連携することを義務づける条文である。

内容的には、OECD・ILO・UNDPなど国際的公務員制度との比較研究・協力を想定しており、国際基準(能力主義・性別平等・倫理・評価制度等)を国内制度に反映させることを目的とする。

また、デジタル時代の行政人材交流・公務員相互承認制度(Mutual Recognition of Civil Service Qualification)への接続も可能にする。

したがって本条は、公共職員法を国際人材政策法体系の一部として位置づける理念的条項といえる。

第七十三条(権限の委任)

本条は、人事院および内閣総理大臣が有する権限を、政令・規則に基づき他機関に委任できる旨を定める。

第一項は、事務効率化と地方分権的運用のための権限移譲を認めるものであり、例えば「採用試験の実施を都道府県人事委員会に委任」するなどの具体運用が想定される。

第二項では、委任後も指揮監督権を保持する旨を明示し、人事権限の一元的責任体系を維持する仕組みとなっている。

これにより、「委任による柔軟運用」と「中央責任制」

の両立が図られている。

第七十四条(人事行政改善の勧告)

本条は、人事院が人事行政全般について改善勧告権を有する旨を定める。

第一項は、任意勧告条項として、制度改革・評価制度改良・研修体系見直しなどに関する建議を可能とする。

第二項は、勧告を行った場合に内閣への報告義務を課し、政策的透明性を確保する。

この条文は、国家公務員法第28条の「給与勧告」を拡張し、包括的人事行政勧告制度を創設した点に意義がある。

第七十五条(法令の制定改廃に関する意見の申出)

本条は、人事院が必要に応じて国会・内閣に対して法令改廃意見を同時提出できる制度を定める。

これは、三権分立の枠内での「人事行政による立法的助言」機能に相当し、国家公務員制度改革や共通試験制度改正等における法技術的提案の根拠となる。

人事院の政策形成権を、行政内部の限界を超えて準立法的政策提言機関として制度化した規定である。

第七十六条(人事院規則の制定改廃に関する内閣総理大臣からの要請)

本条は、人事院と内閣総理大臣の間の制度的協調関係を定める。

第一項により、総理大臣は人事制度の改善や緊急施策に必要がある場合、人事院に対して規則制定・改廃を要請できる。

第二項では、その要請内容を速やかに公表する義務を課し、行政内部の透明性を確保する。

この条文により、人事院の独立性を維持しつつ、政治的・行政的要請を制度的対話の形で反映させる協議制ガバナンス構造が形成される。

第七十七条(業務の報告)

本条は、人事院の説明責任(Accountability)

を明文化した。

第一項は、国会および内閣への定期報告義務を規定し、第二項では内閣による公表を義務付けている。

これにより、人事行政に関する年次報告(Annual Report on Public Service Management)の法的根拠が確立され、国民への情報開示を通じて制度運用の透明性が担保される。

第七十八条(採用)

本条は、「採用」の法的概念と執行権限を定義する。

採用とは、公共職員でない者を新たに任命することとされ(定義条)、この採用事務を人事院が一元的に実施する旨を明示している。

ここでの「人事院による採用」とは、国家・地方・独法を含む公共組織全体に対して、共通試験結果を基に候補者名簿を作成・推薦・任命するプロセスを意味する。

この制度は、従来の各省庁採用制を超えて、全国統一の公共職員採用管理システムを形成するものである。

第七十九条(採用試験)

本条は、採用試験制度の根幹を規定する。

第一項は、採用が「共通試験法」に基づく共通試験によって行われる旨を明記する。

これにより、従来の国家公務員試験・地方公務員試験を統合し、AI評価・学習履歴・行動記録を反映した新世代型試験制度への法的接続が可能となる。

第二項では、得点者名簿(共通試験法に基づく)から欠格条項に該当しない者に対して、人事院が面接その他の適性検査を行うことを定め、人物評価・倫理確認の実施根拠を与える。

第三項は、合格者を「新規採用候補者」として名簿に記載する旨を規定し、第四項は、合格者の官報告示を義務付けることで、公的透明性を確保している。

この条文は、共通試験法(別法)との制度的連携条項であり、学力・経験・創造性をAI評価と人間審査の二重構造で評価する制度の中核をなす。

本条により、公共職員法体系は教育政策・労働政策・人材循環政策と接続される。

【章末総括】第69条〜第79条は、人事院の執行的機能と採用制度の実施手続を体系的に整備した部分である。

給与・記録・統計・国際協調・勧告・採用の全プロセスを法定化することで、公共職員法が単なる倫理法・地位法を超え、人事行政運営法として完成している。

また、第79条により共通試験法が制度的に接続されたことで、教育・学習・就労を一体化する「知識国家人事体系(Knowledge-Based Civil Service)」の構想が法文化され、AI・データ駆動型行政人材制度の法的基盤が確立した。

以下は、提示された第88条〜第91条(第九章 失職・解職・免職)

の逐条解説です。

本章は、公共職員法体系の中でも極めて重要な「身分の喪失・解除」に関する規定であり、いわば「人事行政における退職・分限・免職の法的秩序」を定める部分です。

単なる懲戒制度とは異なり、職務適応・再教育・再任用を前提とした段階的処理構造を採用していることに特徴があります。

公共職員法〔逐条解説〕第九章(失職・解職・免職)

第八十八条〜第九十一条

第八十八条(失職)

本条は、職員の失職(職務上の地位喪失)

を定義し、その法的効果を限定する。

第一項では、失職とは「任用に係る特定の職務、事業又はプロジェクトの終了に伴い、当該職務上の地位を失うこと」と定義されており、つまりプロジェクト制勤務や任期付任用において、事業終了・組織再編などの客観的事情により職務が消滅した場合を指す。

第二項が最も重要であり、失職しても「採用に基づく職員としての地位」は失われないと明記する。

すなわち、任用(配置)は失っても雇用(採用)自体は維持されるという二層構造である。

これは企業法制でいう「配置転換待機」または「再配置対象職員」に近い法的位置づけを与えている。

第三項では、失職者を再任用・職務転換候補として「共通業務システム」に登録することを義務付け、第四項で、人事院および公共機関の長が再配置支援・職務情報提供を行う義務を定める。

この条文により、単なる退職ではなく再チャレンジ可能な循環型任用制度が実現される。

第八十九条(解職)

本条は、いわゆる分限処分(職務解除)

に関する規定である。

第一項において、「本人の意思によらず任用に係る職務を解除する」ものと定義しつつ、「採用に基づく職員としての地位は失われない」と明記している点が特徴的である。

つまり、解職は「職務からの離任」であり、「職員身分の消滅」ではない。

第二項では、解職を行うことができる五つの限定的事由を列挙している。

勤務実績不良(職務遂行能力の著しい低下)

心身の故障(健康上の理由で業務遂行が困難)

適格性欠如(資格・専門性の喪失、または組織不適合)

事業終了・過員(組織再編・縮小による職位の消滅)

刑事事件の起訴(公務への信頼失墜の防止)

第三項は、解職の発動制限を明確にしており、「職務変更・再教育・休職によっても改善が見込まれない場合に限り」「人事院の承認を経て行う」とする。

これは濫用防止のための手続的制約であり、分限処分の適正手続保障(Due Process in Personnel Affairs)

を法定したもの。

第四項では、解職者を再任用候補として登録し(第88条3項準用)、再配置支援の枠組みに接続。

第五項では、解職の適否に関する異議申立てを人事院が受理・審査する旨を定め、公正審査制度(準司法的救済手続)の法的根拠を整えている。

この条文により、分限処分は「教育・再配置を前提とする職務上の措置」として、懲戒とは区別される体系が明確にされた。

第九十条(再教育及び職務転換)

本条は、前条の分限・免職の前段階として、再教育義務と職務転換措置を制度化する。

第一項で、「職務上の適格性を欠くと認められても直ちに免職・解職を行ってはならない」と明示し、公務員の「解職前教育・職務適応支援」を法的義務として課している。

第二項は、再教育・研修・職務転換の機会提供義務を公共機関に負わせ、第三項では、転換後1年を標準として職務遂行の改善状況を評価する仕組みを定めている。

この規定により、解職・免職の前提として改善のための猶予・教育措置(Rehabilitation Process)が必ず介在する制度構造となる。

実質的には、職員保護と能力開発を両立する人事リカバリー制度の中核条文である。

第九十一条(免職)

本条は、最終的な身分喪失である免職(Dismissal)

を定義する。

第一項で、免職とは「採用に基づく地位を失わせること」と明確に規定し、失職(職務喪失)・解職(職務解除)との区別を法的に確立している。

第二項では、免職は「再教育・職務転換を経てもなお改善が認められない場合」に限り、「人事院の承認を得て行う」と定める。

この規定により、免職は懲戒的ではなく、最終的な適格性喪失による法定手続的措置として位置づけられる。

第三項は、免職時に本人の希望聴取を義務付け、意見表明権を保障する。

第四項では、人事院が免職調書を作成し、採用停止期間の有無・期間を記載することを定め、再雇用制限の明確化と記録管理の厳格化を担保する。

第五項は、免職の効力発生時期を「告示の日」と定め、公示・透明性を確保している。

この条文は、懲戒免職とは異なる「人事上の制度的免職」として、人事院承認・調書作成・告示発生の三段階手続を明確化した、公務員身分の終了に関する厳格手続規定である。

【章末総括】第88条〜第91条は、公共職員制度における「退職・分限・免職」の三位一体構造を制度的に整備した章である。

概念定義地位喪失の範囲再任用可能性手続的保障失職任用職務の終了職務上の地位のみ喪失あり(再配置候補登録)

自動的処理(事業終了)

解職(分限)

本人意思によらない職務解除任用解除のみ(身分維持)

あり(再教育・再任用)

人事院承認・異議審査あり免職採用身分の終了職員資格そのもの喪失原則なし(再教育経過後)

人事院承認・調書・告示義務この体系は、戦後公務員法における懲戒中心主義から脱し、教育的分限・制度的免職・再配置型人事という新たなパラダイムを構築している。

すなわち、免職は制裁ではなく「能力向上措置の最終段階」として設計され、人事行政が教育行政・労働政策と一体化する方向を制度的に確立している。

公共職員法〔逐条解説〕第九十二条〜第九十五条

第九十二条(採用停止期間)

本条は、免職後における再採用制限(採用停止)の制度を定める。

第一項では、採用停止期間を「人事院の提出した免職調書に基づき、裁判所の決定によって定める」とし、その決定主体を行政ではなく司法機関とした点に大きな特徴がある。

これにより、行政内部での恣意的な再採用禁止措置を排し、中立的・独立的な法的判断を保障している。

第二項は、期間の範囲を明確化し、「免職の性質・職務内容・不適格事由の程度」に応じ、6か月以上3年以下とする比例原則を明示。

例えば、軽度の適格性欠如(技能不足)は6か月、重大な不正行為や倫理違反は3年上限が想定される。

第三項では、免職の取消しが確定した場合、直ちに採用停止期間を終了させると定め、免職取消判決の効果を全面的に保障する人権救済条項となっている。

第四項は、停止期間中も人事院の指導下で研修・職業訓練を受けられることを定め、再就労支援と社会復帰支援を両立させた条文である。

この条項により、採用停止制度は「制裁」ではなく、改善・再出発のための法的猶予期間として構成されている。

第九十三条(欠格条項)

本条は、公共職員となるための法的欠格事由を明示する。

列挙された4号は、従来の国家公務員法第38条を基礎としつつ、新法体系では「国家体制の維持」と「公的信頼性の確保」

の観点から整理されている。

一号は、成年被後見人・被保佐人としての法的行為能力の欠如を理由とし、二号は、刑事罰における禁錮以上の刑の執行中または確定者を排除する。

三号は、懲戒免職を受け採用停止期間中の者を対象とし、再採用に関する司法的決定との整合を確保する。

四号は、国家の安全・立憲秩序の維持を目的とする条項であり、暴力革命を主張・実行する団体の構成員を明示的に排除する。

本条により、公共職員の採用資格は単なる「能力基準」ではなく、法秩序尊重・民主主義的価値に基づく倫理的資格基準として制度化された。

第九十四条(不法行為の禁止)

本条は、採用・任用・昇進等に関する金銭的・不当な取引行為の全面禁止を定める。

第一項で列挙される3号は、いずれも公務の公正性を損なう典型行為を網羅している。

退職・休職・任用拒否の引換条件として金銭を授受する行為採用・任用試験の撤回・中止に関する取引(いわゆる試験干渉)

任用・昇給・留職・推薦など職務上利益に関する斡旋・贈賄行為第二項では、これらの行為を「強制・脅迫その他これに類する方法」で行うこと、または「媒介すること」も禁止している。

つまり、行為主体を当事者だけでなく仲介者・ブローカーにも拡張しており、行政内部・外部の双方に適用される広範な禁止規定となっている。

この条文により、公務員採用・昇進に関する賄賂的・圧力的行為の全面排除が法文化された。

国家公務員倫理法および刑法の贈収賄罪を補完する実務的根拠規定として機能する。

第九十五条(人事に関する虚偽行為の禁止)

本条は、採用・任用・免職など人事手続全般における虚偽・不正行為の禁止を定める。

第一項は、虚偽の陳述・記載・証明・採点・判断・報告など、人事記録・試験・評価・処分などすべての段階における偽造・誤導的行為を包括的に禁止する。

対象は職員本人・上司・評価者・試験監督者・外部委託機関など全ての関係者に及ぶ。

第二項では、これらの行為に関与した者に対して、懲戒処分または刑事責任の追及を明確に規定する。

この条文により、人事行政の信頼性を担保するための誠実義務(Duty of Integrity)

が制度的に確立される。

特に第79条(採用試験)および第70条(人事記録)との連動により、AI評価・デジタル試験・データベース記録の改ざん防止にも適用可能であり、電子的虚偽行為・データ操作の刑事罰対象化という現代的拡張を可能にする条文である。

【章末総括】第92条〜第95条は、公共職員制度における資格・倫理・透明性の最終防壁を構成する。

制度的に見れば次のように整理できる:

区分内容目的担当主体採用停止期間(第92条)

免職後の再採用制限を司法的判断で設定再教育と公平な再出発機会の両立裁判所+人事院欠格条項(第93条)

採用・任用資格の恒常的制限国家秩序と公的信頼の確保法定列挙不法行為の禁止(第94条)

金銭的・圧力的人事取引の禁止人事行政の廉潔性維持全公務関係者虚偽行為の禁止(第95条)

試験・評価・記録上の不正禁止信頼性・公平性の確保すべての関係者これらの規定は、単に懲戒・罰則の根拠を提供するにとどまらず、公務員人事の倫理的ガバナンス体系そのものを形成する。

とりわけ第92条の「裁判所による採用停止期間決定」は、行政内部の処分体系に司法的中立性を導入する革新的制度であり、公共職員法の全体構造における「人事の三権分立」的理念を象徴している。

以下は、提示された第96条〜第100条(第十章 分限・懲戒及び保障)の逐条解説です。

本章は、公共職員法における「処分・休職・定年」に関する手続保障と公正原則を明文化した中核規定であり、従来の国家公務員法における懲戒主義を越え、「教育的分限・回復的休職・柔軟定年」という現代的理念に基づいて再設計されています。

公共職員法〔逐条解説〕第十章

第九十六条〜第百条

第九十六条(分限、懲戒及び保障の根本基準)

本条は、職員処分および保障に関する手続の根本原則を明記した宣言的条文である。

「職員の分限、懲戒及び保障に関するすべての手続及び処分は、公正かつ合理的でなければならない」と規定し、行政手続法および労働契約法に通ずる比例原則・適正手続の要求(due process principle)

を明文化している。

この「公正かつ合理的」には、次の三つの要素が含まれる:

手続的公正(本人への告知・弁明機会・記録化)

実体的合理性(処分理由と証拠の整合)

比例的適用(事案の軽重に応じた処分内容)

すなわち、本条は本法全体の人事行政における憲法第31条的原理(適正手続保障)

の具現条項である。

第九十七条(身分保障)

本条は、公共職員の法定主義と身分保障の原則を確立する条文である。

第一項は、「法律又は人事院規則に定める事由によらなければ、職員の意思に反して降任・休職・免職はできない」とし、人事行政の恣意的運用を防止するための法的根拠要件主義(requirement of legal basis)

を定める。

この原則は、憲法第15条第2項および国家公務員法第78条(分限)に対応するものであり、公務員の身分は「政治的・組織的変動」に左右されないことを保障する。

第二項では、勤務成績・服務態度が不良な場合には降給処分を受ける旨を明記しており、軽度の服務不良については降任や免職ではなく給与面での比例的調整に留める運用を想定している。

これは懲戒を前提としない教育的改善措置(educational adjustment measure)

の法定化と評価できる。

第九十八条(本人の意思に反する休職の場合)

本条は、職員の意思に反しても行われうる職務上必要な休職措置の法的根拠を定める。

第一号では「心身の故障による長期休養を要する場合」、第二号では「刑事事件に関し起訴された場合」を明示している。

これは、現行国家公務員法第78条第1号・第3号に対応する規定であり、組織の信用維持と本人の治療・防御機会の確保を目的とする。

加えて、「人事院規則で定めるその他の事由」により、例えば勤務上の安全確保・再配置準備・職務上の利益相反の排除など、現代的な行政需要にも対応できるよう柔軟な余地を残している。

この休職制度は、制裁的ではなく予防的・保全的措置として設計されている点が特徴である。

第九十九条(休職の効果)

本条は、休職制度の運用・効果・復職手続を定める詳細規定である。

第一項では、休職期間は人事院規則により定めるとし、事由消滅時には「すみやかに復職命令」を義務付けている。

これは、行政による不当な休職延長を防ぐための即時復職原則を法定化したものである。

第二項は、刑事事件による休職期間を「事件が裁判所に係属する期間」とし、刑事手続終了までは職務停止を継続することを明確化。

第三項では、休職事由が消滅した時点で「当然に休職が終了」とみなす自動復職効果を定めている。

第四項は、休職者の法的地位を明確にし、「職員としての身分は有するが職務に従事しない」とする。

給与の支給は人事院規則に委任しつつ、「全部又は一部停止可能」とすることで、健康・刑事休職などの事由別に部分支給制度(partial pay suspension)

を導入している。

この条文は、職員の地位保全と行政の秩序維持を両立させた中立型休職制度の法的枠組みを示している。

第百条(定年)

本条は、公務員定年に関する従来制度を根本的に転換し、年齢一律主義を廃し、任用期間・研修修了を基準とする制度的定年制を導入している。

第一項は、「特定の年齢を条件としてその地位を失うことはない」と明記し、現行法の年齢定年制を否定。これにより、「加齢=自動退職」という画一的運用が廃止される。

第二項は、定年到達を「任用期間または修学・研修期間の終了後1年後(ただし病気・育児・介護休職期間を除く)」と定義する。

これにより、職員は教育・研修を経て一定の成果確認後に円滑に退職する制度となる。

本条の意図は、年齢よりも能力・職務継続可能性・学修成果を基準とする柔軟な終任制度にある。

社会的にも、少子高齢化時代における「生涯現役的公共人事制度」を支える理念条文であり、従来の画一的定年を任用期間満了・研修修了型退職制度に再構成している。

【章末総括】第96条〜第100条は、「処分・保障・定年」に関する公共職員法の人権的核心部であり、以下のように三層構造で整理される:

分類条文内容性格手続原則

(分限、懲戒及び保障)

第96条 公正・合理性の原則宣言的基本条項身分保障

第97条 意思に反する不利益処分の制限憲法的保障休職制度第98〜99条保全的休職・復職・給与制限個別的調整条項定年制度

第100条 年齢制限撤廃・修学成果基準型退職制度的改革条項本章により、職員の地位と職務の安定は単に「保護」されるだけでなく、合理的適用・教育的支援・能力主義的更新という現代的三原則の下で再構築されている。

すなわち、公務員制度を「固定的身分」から「持続的公共キャリア」へと転換する、公共職員法体系の哲学的転換点をなす章である。

以下は、提示された第101条〜第105条(第十一章 懲戒及び教育補償)

の逐条解説です。

本章は、公共職員法における「懲戒制度」と「教育・補償制度」を統合的に構成したものであり、従来の「制裁中心型懲戒」から脱却し、再教育・能力回復・社会的再統合を理念とする新しい懲戒体系を示しています。

公共職員法〔逐条解説〕第十一章

第百一条〜第百五条

第百一条(懲戒)

本条は、公共職員に対する懲戒処分の種類と根拠事由を定めた基本条文である。

列挙された三類型は、現行国家公務員法第82条に対応するが、本法では「国民全体の奉仕者としての品位保持」を中核に再構成されている。

懲戒の種類は四種:

免職(懲戒免職)

停職減給戒告これらはいずれも「法的・道義的責任」を明確化するための行政処分であり、刑事罰とは独立して適用される。

懲戒事由は以下のとおり:

第一号:法令違反(法的義務違反全般。例:守秘義務、倫理規定、政治的行為制限)

第二号:職務義務違反・怠慢(勤務実績不良、命令違反、無断欠勤など)

第三号:非行行為(品位を欠く行為、公私混同、不正交際等)

本条の構造上の特色は、「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」という倫理的懲戒事由を独立させた点である。

これにより、職務外行為であっても、社会的信頼を著しく損なう場合には処分対象となり得る。

また、前章までの「教育的分限」「再任用制度」と連動し、懲戒免職後も第92条(採用停止期間)を経て再教育による復帰が可能となる。

第百二条(懲戒の効果)

本条は、懲戒処分の効力期間と身分的効果を規定する。

第一項は、「懲戒による処分の効力期間は六箇月を超えてはならない」と定め、懲戒処分を期間限定の制裁として位置づける。

従来のような「無期限的影響」を排除し、教育的・矯正的性格を明確にしている。

第二項では、停職中の職員は「身分は保持するが職務に従事できず、給与を受けない」と定め、停職を一時的な職務隔離措置として明確化。

また、「任用されることができない」との規定により、停職期間中に新しい職務への異動・採用を防ぎ、秩序維持を図っている。

この条文は、懲戒の目的を「教育的矯正・職務秩序の回復」と位置づけ、刑罰的性格を最小化する方向に制度設計されている。

第百三条(懲戒権者)

本条は、懲戒権の行使主体と人事院の関与を定める。

第一項では、「懲戒処分は任命権者が行う」とし、組織ごとの任命権者(内閣総理大臣、各省大臣、知事、市町村長など)が第一次的権限を持つことを確認。

第二項は、人事院が「必要があると認めるときに任命権者へ懲戒手続開始を勧告できる」と規定し、人事院に監督・助言機能を付与している。

これは、内部の不祥事が隠蔽されることを防止する制度的セーフガードであり、いわば独立行政的チェック機構としての人事院の中立性を担保する条文である。

第百四条(刑事裁判との関係)

本条は、懲戒処分と刑事手続の関係を明確にする二重適用の原則を規定する。

前段では、「刑事事件として裁判所に係属中でも懲戒手続を進めることができる」とし、行政上の秩序回復を優先させる立場を採る。

これは刑事手続の長期化を考慮し、職務秩序の即時維持を目的とした運用である。

後段では、「懲戒処分は刑事上の訴追を妨げない」と明記し、懲戒処分と刑罰の並行適用を認めている。

つまり、公務員は刑事責任と行政責任の双方を負う可能性があり、特に汚職・背任等の案件では、懲戒と刑事の連動的運用が行われる。

本条は、懲戒手続の自律性(autonomy of administrative discipline)

を法的に明示した規定である。

第百五条(教育・研修及び休業補償)

本条は、本法体系における最も革新的な条文であり、従来の退職給付制度に代わって教育・研修補償制度(Education Compensation System)

を導入するものである。

第一項で、任用期間を満了した職員に退職手当を支給しないとしつつ、代わりに「教育又は研修のための給与補償」を支給する旨を定める。

これは、金銭的退職給付を知的再投資(reinvestment in education)

へ転換する発想であり、人材循環型社会に対応する「再教育型保障制度」である。

第二項では、この補償は失職・休職中も継続支給されると規定し、職務離脱期間における学修活動を保障する。

さらに、その成果が「次の任用又は職務転換の基礎となる」と明示しており、教育成果が次のキャリアに直結する仕組みを制度的に位置づけている。

第三項では、教育内容・期間・補償額を人事院規則に委任し、専門研修・再教育プログラムの制度設計を可能とする。

第四項では、人事院に「教育・研修補償基金」の設置を定め、学習履歴・研修成果を管理するデータベースの整備を命じている。

これにより、人事行政と教育政策が統合され、職員一人ひとりのキャリア・スキル・学修歴(Lifelong HR Record)

が連動する仕組みが形成される。

この条文は、懲戒・退職・再任用に至る一連の制度を「教育的循環過程」として再定義したものであり、公共職員制度の哲学的基盤を「懲戒=教育」「退職=再学修」に転換した公共人材再生の根本規定といえる。

【章末総括】第101条〜第105条は、従来の「懲戒=制裁」という制度観を覆し、懲戒と教育補償を一体化することで、職員の再社会化と能力再構築を制度的に担保した章である。

区分条文主旨制度的性格懲戒の根拠と種類

(懲戒及び教育補償)

第101条 法令違反・義務違反・非行行為行政秩序回復懲戒の効果と期間

第102条 最大6か月、停職中無給教育的矯正懲戒権者

第103条 任命権者+人事院監督二重チェック刑事裁判との関係

第104条 並行審理・懲戒の自律性秩序維持教育・研修補償

第105条 退職金を教育補償へ転換人的資本再投資本章により、公共職員法は懲戒制度を「罰」から「教育」へと根本的に再定義した。

処分を終えた職員は再び教育補償制度により能力を再構築し、再任用制度(第88条・第92条)へ戻る循環構造を持つ。

すなわち、懲戒と教育を一体とする本章は、公共職員法全体の理念——「終身身分制から学習循環型公共人材制へ」——を体現する最終章といえる。

以下は、提示された第106条〜第107条(退職後の猶予及び教育補償)の逐条解説です。

この2条は、公共職員法の全体系の中でも特に革新的な規定であり、「退職=終了」ではなく「退職=再教育・再任用への移行期間」と再定義する条文群です。

従来の退職金制度を廃止し、その代わりに教育補償(再学習・再挑戦への報酬)

を設けるという、「生涯キャリア循環制(Lifelong Public Service Cycle)」を制度化した根幹条項です。

公共職員法〔逐条解説〕第十二章

第百六条〜第百七条

第百六条(退職後の猶予及び教育補償)

本条は、職員が退職または任用期間満了後に直ちに職を失うのではなく、「猶予期間(transitional period)」

を経て再教育・再配置を受ける権利を明示した条文である。

第一項では、退職手当を支給しない代わりに、次の任用に就くまでの1年間を標準として給与補償を行う旨を規定。

この補償は退職金の代替ではなく、再任用・再配置までの所得継続制度(income continuity scheme)

として位置づけられる。

第二項は、当該期間中に教育・研修を行う者について、「別に定めるところにより延長できる」とし、研修計画・研究留学・資格取得など実績に応じて最長2年程度まで延長が可能な柔軟運用を想定している。

第三項は、猶予期間中も職員としての身分を保持しながら職務には従事しない点を明確化。

すなわち、「給与を受けながら職務に復帰せず学修・再訓練に専念できる法的地位(研修身分)」を定めた。

第四項では、人事院に対して教育補償の給付額・期間・延長基準・再任用支援措置を定める規則制定を義務づける。

これにより、退職後の空白期間を政策的に教育投資期間へ転換する枠組みが整う。

この制度の趣旨は、経済的・制度的に退職者を孤立させるのではなく、「退職後の1年を、公共人材としての再出発準備期間」と位置づける点にある。

すなわち、年金・退職金ではなく教育基金で生涯キャリアを支える制度的転換を示している。

第百七条(退職後教育・研修及び再任用準備期間)

本条は、第106条を発展させ、より長期的・体系的な再教育・再任用準備制度を定める。

1年標準の猶予(第106条)を基礎としつつ、希望する職員に対し最長4年間の教育・研修・再任用準備を保障する。

第一項は、第106条と同様に退職金不支給を前提とし、代わりに「次の任用又は職業に就くまでの4年間を限度とする給与補償」を明示。

この補償は単なる生活保障ではなく、「次期キャリアへの橋渡し資金」としての性格を持つ。

第二項では、その4年間を段階的に三層構造化している点が極めて特徴的である:

区分内容主目的第1〜2年教育機関・大学院での履修または職業訓練専門性再構築・再資格化第3年公共機関または民間事業での実務研修実践的技能の再獲得第4年求職・再任用活動雇用再接続・再配置完了この構成により、教育実務就業という再キャリア形成の標準プロセスが制度的に保障される。

第三項では、各期間の給与補償額・支給方法・教育内容を人事院規則に委ね、実際の研修費・受講料・生活費を包括的に設計できるようにしている。

第四項では、人事院に「教育・研修基金」を設け、教育機関との連携や次職マッチング支援(public-to-private career transition support)

を行う旨を定める。

これにより、退職者は個人単位で教育費を自己負担することなく、制度的に再教育・再雇用が可能となる。

第五項は、期間満了後に「希望により再任用又は再採用申込みが可能」とし、再教育プロセスを経た職員の公的再登用制度(Re-entry Program)を制度化している。

これにより、退職と再雇用の間に存在する「断絶」を解消し、教育を介した循環型公務員制度が完成する。

【章末総括】第106条〜第107条は、退職制度を単なる「終止」から「再生」へと転換させる根本規定である。

その制度的意義は次の通り。

制度的区分内容目的管理主体

(退職後の猶予及び教育補償)

第106条 退職後1年間の給与補償(標準猶予)

再教育・再任用への移行人事院規則による基準設定

第107条 最長4年間の教育・研修・実務・求職支援生涯学習・キャリア循環の法制化教育補償基金による支援この二条により、退職金を廃止し、教育・研修への再投資制度化、退職後も公的身分を一定期間保持する半公務員的教育期間の創設、教育機関・民間事業・公共機関を横断するキャリア・トランジションモデルの確立、という三つの改革が達成される。

したがって、本章は公共職員法全体における「生涯公共人材制度」の完成点であり、教育(共通試験法)・組織(公共組織法)と並ぶ三法連関のうち、人材循環と公共教育を結ぶ制度軸を形成している。

以下は、提示された第108条〜第110条(人事交渉権・給与交渉権・任用交渉権)の逐条解説です。

この三条は、従来の「公務員に団体交渉権を認めない」という制約を前提にしつつも、個々の職員に限定的かつ制度化された交渉権を付与する画期的な条文群です。

言い換えれば、「団体交渉の代替としての個人交渉制度(Individual Negotiation System)」を創設するものです。

公共職員法〔逐条解説〕第十三章

第百八条〜第百十条

第百八条(人事交渉権)

本条は、公共職員が自らの雇用条件や人事上の措置について個別交渉を行う権利を明示した基本条文である。

第一項では、「職員は自らに関する雇用条件その他人事上の措置について、個別に交渉することができる」とし、従来の公務員法体系では例外的にしか認められなかった個人ベースでの意見申出・異議申立て権を制度化した。

ただし、同項但書により「団体による交渉・争議行為は禁止」と明記されており、憲法第28条の労働三権のうち、団体交渉権・争議権を制限する代わりに個人交渉を保障する構造をとる。

つまり、団体的労使関係ではなく「行政的・法的手続に基づく協議権」に置き換えたものである。

第二項では、公務と直接関係しない団体(文化・教育・社会奉仕・研究会等)への加入は妨げないとし、思想・信条・結社の自由(憲法第19・21条)を保障。

第三項は、職員が「公共の利益及び公務員制度の健全運営に資する限り」、関連産業団体・職業団体の交渉や政策提言に参加できると規定。

これは、職員が民間労働条件改善・社会的公正実現に参画できる公共的職能参加権(public advocacy participation)

を承認するものであり、単なる労使関係ではなく「公共的協働の一形態」としての公務員の社会参加を容認している。

したがって本条は、「団体交渉権の否定」と「職員個人の交渉・発言権の保障」とをバランスさせた、新しい公共労使制度(Public HR Negotiation Model)

の基礎規定といえる。

第百九条(給与交渉権)

本条は、職員が自らの給与算定や支給額に疑義を持つ場合に、人事院との間で個別に交渉できる制度を定めたものである。

第一項により、職員は「給与の算定根拠に疑義があるとき、人事院に交渉を申し出ることができる」。

これにより、従来の「給与は一律公定」という形式的制度を改め、実際の勤務実績・職責・専門性に応じた個別調整型給与制度が可能となる。

第二項では、人事院に「交渉応諾義務」を課しており、申出が合理性を欠く場合(例:誤認・形式的錯誤)を除き、原則として交渉に応じなければならない。

第三項は、交渉結果が他の職員に影響しない個別性原則を定めつつも、均衡を失う場合には人事院が他の職員の給与を改善できるとして、波及的改善(ripple effect)

の法的根拠を明示している。

これは個人交渉を通じた制度改善の契機を意図したものである。

第四項は、手続的期限を明確化しており、申出から14日以内に可否回答、回答後30日以内に妥結を義務づける。

これは、行政交渉の迅速性と透明性を確保するための行政デュープロセス規定である。

第五項では、不調時に「職員または人事院が裁判所に訴えを提起できる」と定め、交渉制度を単なる内部手続にとどめず、司法審査の対象とする制度的保障を設けた。

したがって、本条は「給与の透明性・合理性・迅速性」を三本柱とする、新しい公共給与交渉制度を確立している。

第百十条(任用交渉権)

本条は、職員が「自らの能力・経験を発揮できる職がない」と判断した場合に、人事院と交渉できる権利、すなわち任用交渉権(職務配置交渉権)

を定めている。

この規定は、公務員制度の歴史上きわめて新しい概念であり、職員を「受動的配置の対象」ではなく「自己のキャリアを設計する主体」として位置づける。

第一項により、職員は希望職が存在しない・定員により配置転換が不可能などの理由があるとき、人事院に任用交渉を申し出ることができる。

第二項では、給与交渉と同様に、人事院の交渉応諾義務を明記。

第三項では、交渉結果の個別性を原則としつつ、均衡を失する場合の波及改善を許容している。

第四項では、申出から14日以内の回答、30日以内の妥結義務を規定し、交渉を長期化させず迅速に対応する手続きを制度化している。

第五項は、妥結不調の場合に裁判提起を認める点で第109条と同構造であり、人事行政の透明化と職員の法的救済を両立させる仕組みである。

この条文の制度的意義は、単なる再配置請願ではなく、職員自身がキャリア形成を主体的に構築するキャリア自己交渉権(career self-negotiation right)

を認めた点にある。

これにより、職務転換・再教育・再任用など、本法体系における「循環型人事制度」が完結する。

【章末総括】第108条〜第110条は、従来の公務員法体系における「団体交渉の欠如」を補い、個人単位での公正な協議・異議・改善要求を制度的に保障するものである。

項目主体内容特徴人事交渉権(第108条)

職員個人雇用条件全般の個別交渉団体交渉禁止の代替制度給与交渉権(第109条)

職員人事院給与算定根拠への異議・交渉公正給与の迅速確定任用交渉権(第110条)

職員人事院配置・職務変更・キャリア形成交渉能力活用と再任用の促進これら三権は、「人事院を媒介とする司法的交渉権制度」であり、労働三権のうち団体交渉・争議を代替する法的・行政的交渉権体系(Administrative Negotiation Rights)

を構築している。

結果として、職員は団体行動によらずとも、法に基づき自己の待遇・配置を合理的に主張でき、公共の秩序を乱さずに改善を求め、不調時には司法判断に付すことができる。

これは、「公務員の中立性と個人の権利保障」を調和させた新しい公共人事の理念であり、公共職員法体系における“公正な交渉による信頼形成”の制度的中核をなしている。

以下は、提示された第111条〜第113条(給与算定の原則・報酬の原則・基本給)

に関する逐条解説です。

この部分は、公共職員法における「給与制度」の根幹をなす章であり、単なる賃金体系ではなく、生活保障・公平性・公共倫理の三原則を統合した設計になっています。

公共職員法〔逐条解説〕第十四章

第百十一条〜第百十三条

第百十一条(給与算定の原則)

本条は、公共職員の給与がどのような理念に基づいて決定されるかを示す基本原則である。

「職務及び能力に応ずること」と「健康で文化的な生活を営むに足る生計費を基礎とすること」という二つの軸を統合している。

前者は、職務給原則(Job-based pay)および能力給原則(Merit-based pay)の考え方であり、後者は、憲法第25条に基づく生活保障原理(Right to live with dignity)

に立脚する。

つまり、本条は「成果主義でも年功主義でもなく、生活を基盤とした能力主義」という独自の給与哲学を示している。

この規定により、職員の給与は市場賃金や予算制約のみに依存せず、公共生活の標準的コスト(standard cost of living)

を前提に算出されることとなる。

他方で「職務及び能力に応ずる」部分が併記されていることから、形式的な均一給ではなく、職責・難易度・専門性に応じた適正差を設ける柔軟性も確保されている。

本条は、国際労働機関(ILO)第100号条約(同一価値労働同一賃金)および日本国憲法第27条・第25条の趣旨を統合した公共給与体系の憲法的根拠条文と位置づけられる。

第百十二条(報酬の原則)

本条は、公共職員の給与における「成果連動の禁止」と「制度的評価の容認」を併存させた条文である。

第一項の「給与は成果に連動して支給してはならない」との規定は、公共奉仕の倫理原則に基づくものである。

公務員の報酬は、企業利益や業績成果とは異なり、法に定められた職務の遂行そのものに対する対価であり、政策成果や数値目標に連動して変動させることは、行政の中立性・継続性を損ねるおそれがあるため禁止されている。

第二項では、これが「政策や事業の改善を目的とする制度的評価を妨げるものではない」と明記し、行政評価・監査・政策分析といったシステム的フィードバックを否定していない。

つまり、「職員個人の報酬は成果と切り離すが、組織全体の改善努力は奨励する」という非インセンティブ型の制度的成果主義を採用している。

第三項では、「期末手当・勤勉手当・退職手当等の一時金は恒常給として平準化する」と定め、ボーナス的支給を廃止し、安定的月給制へ転換する原則を示している。

これにより、所得の季節変動をなくし、家計の予見可能性を高めると同時に、「手当による官僚的誘導」を防ぐ倫理的統制も果たしている。

すなわち、本条は「成果主義の導入ではなく、制度的評価と生活安定の調和」を目指した、公共給与の倫理的中立化原則(Ethical Neutrality of Public Pay)

を確立するものである。

第百十三条(生計費)

※本文上は誤って第百二十二条とされているため、実質的には第112条の次条として扱う。

本条は、給与算定の基礎となる「生計費(cost of living)」の定義と算定方法を示している。

第一項で、「家計統計その他の政府統計に基づき、地域・世帯人数・年齢等に応じて算定」と明記され、給与の客観的・統計的基礎を制度的に保障している。

これにより、政治的判断や予算都合による恣意的な給与抑制を防止する構造を持つ。

第二項では、生計費算定基準を総務大臣が毎年告示することとし、各年度の物価変動・社会保障水準に連動する柔軟性を付与。

これは事実上の「物価スライド制」であり、社会的生活水準の維持を制度的に保証する。

第三項は、生計費の支給方法について「現物給付を除き、基本給として毎月支給」とし、貨幣給与原則を確認する。

ただし、後続の第113条で現物支給の例外規定を設けることで、住宅・食事等のインフラ的支給を柔軟に認めている。

本条により、公共給与の下限が生活費水準によって自動的に保障され、いわば公務員版ベーシック・コスト制(Basic Cost Principle)

が法的に導入される。

第百十四条(基本給)

本条は、給与構成要素のうち基本給の定義と構成要素を具体的に規定したものである。

第一項で「生計費としての消費支出に相当するもの」と定め、基本給=個人の生活支出を直接補うための給付であることを明示。

第二項では、具体的な消費支出項目を九分類して列挙している:

食料費/住居費/光熱・水道費/家具・家事用品費/保健医療費/交通・通信費/教育費/教養娯楽費/その他消費支出これは総務省「家計調査分類表」を法令化した構造であり、基本給の金額が統計的裏付けをもって算出されることを意味する。

第三項では、任命権者の認定により現物支給を認めており、たとえば官舎・社宅・公務員食堂・通勤定期券などの実物給付を法的に位置づける。

第四〜第五項は、統計に基づく金額調整の仕組みを定め、世帯人数・年齢・地域などに応じて個別生活調整(individual living adjustment)

を可能とする。

この調整を「日単位」で行うと明記している点が画期的であり、転勤・出張・単身赴任などに即した柔軟な日割り算定が可能となる。

第六項は、現物支給を受けた場合の差引算定規定であり、現物給付分に相当する額を基本給から控除する。

これは「二重給付の防止」と「実質価値の均衡」を目的としている。

本条全体の構造は、給与を「市場競争の結果」ではなく、生活実態に基づく公共経済の配分行為として設計している点に特徴がある。

【章末総括】第111条〜第114条は、公共職員の給与制度を「職務・能力・生計費の三層原理」で再定義する章であり、その意義は次のように整理される。

原理対応条文内容目的生活保障原理第111条・第113条生計費を基礎に算定健康で文化的生活の保障公共倫理原理

(給与算定及び報酬の原則)

第112条 成果連動の禁止・恒常給の平準化行政の中立性維持職務能力原理第111条・第114条職務・能力・地域条件に応じた算定公平な人事処遇この体系により、給与は「成果」でも「忠誠」でもなく、公共奉仕に必要な生活の基礎としての報酬であることが明確化されている。

また、行政評価や政策改善は成果指標により行いつつも、職員個人の待遇はあくまで生活基盤を中心に据えるという、倫理的・人間中心的な公務員報酬体系を制度的に確立する章である。

以下は、提示された第115条〜第116条(基本給・現物での支給)

の逐条解説です。

この二条は、公共職員法の中でも特に“生活給・現物給の法制化”という先駆的制度を構築しており、給与を単なる「貨幣的報酬」ではなく、生活保障そのものとしての公共給付(Public Life Allowance)

へ再定義した条項群です。

公共職員法〔逐条解説〕第十五章

第百十五条〜第百十六条

第百十五条(基本給)

本条は、公共職員に支払われる基本給の法的性質・構成要素・調整方法を定義するものである。

根底にある理念は、給与を「市場競争の対価」ではなく、統計に基づく生活支出の補填として位置づける点にある。

第1項(基本給の性格)

「職員の基本給は、生計費としての消費支出に相当するものとして支給される。」

ここでは、基本給の定義を「生活費=消費支出の補填」と明確にしている。

従来の人事院勧告方式が“民間給与準拠型”であったのに対し、本法は「生活統計準拠型(Living Cost-Based System)」を採用。

すなわち、賃金の社会的決定基準を“民間賃金”から“家計統計”へ移行させるものであり、「憲法第25条(生存権)」を公務員給与算定の直接的根拠に位置づけた条文といえる。

第2項(構成要素)

「食料費・住居費・光熱水道費・家具費・保健医療費・交通通信費・教育費・教養娯楽費・その他の消費支出」

この9項目は総務省「家計調査年報」の主要費目に対応しており、法体系としては統計法(平成19年法第53号)第32条との整合を持つ。

各項目は「支出科目」ではなく「生活機能単位」を基礎に構成されているため、統計的な生計費と直接連動し、行政上の“最低生活”基準を明確に貨幣化する役割を果たす。

第3項(現物支給の可能性)

「職員の申出に基づき、任命権者が必要と認める場合は、現物での支給を行うことができる。」

これは、給与の一部を公共インフラの提供で代替できる規定である。

例:宿舎、食事、交通機関利用、通信端末貸与、医療など。

現物給を希望制とすることで、職員の生活スタイルに応じた柔軟な受給形態を保障している。

現物支給は「任命権者の裁量」ではなく「職員の申出を前提」とする点に倫理的配慮がある。

第4〜5項(統計調整の仕組み)

「総務大臣の指定する基幹統計調査により算出された金額を基礎に…地域・世帯人数・年齢で調整」

「前項の調整額は、居住地及び居住日数に応じて、日毎に算出」

この2項は、給与の統計的自動調整制度を明示している。

調整単位が「日」と明記されているのは極めて先進的であり、転勤・単身赴任・リモート勤務など、多様な勤務実態に対応可能な日割り算定を法的に担保する。

結果として、給与は“毎月一定”ではなく、生活実態に応じて柔軟に補正される。

これはいわば、リアルタイム生活給制度(Dynamic Living Wage System)

である。

第6項(現物支給時の差引)

「現物支給を受けた場合は、当該消費支出から相当額を算定し、基本給を減額」

現物給を「追加給」ではなく「代替給」として位置づけ、公平性を確保する調整規定。

実務上は「生活価値換算表」を用いて現物価値を金額換算し、自動的に給与から控除するシステムを想定している。

制度的意義この条文によって、基本給が統計的根拠(家計調査)に基づく客観的生活給現物給を含む多層的給付体系として再構築される。

つまり、現金支給と現物支給を統合することで、「給与=公共生活支援の包括パッケージ」という新しい発想を実現している。

第百十六条(現物での支給)

本条は、第115条第3項に基づき、現物給付の対象・条件・制限を具体的に定めた条文である。

給与法体系において現物給付をここまで詳細に制度化した例は、国内外でも極めて稀である。

その特徴は、無償給付を原則としつつ、統計的上限を超える利用に制限を設け、現物給を“公共資産の再配分”として運用する点にある。

第2項(食料費相当)

朝・昼・夕の食事提供を無償で行う(職員に限る)。

一般利用者には原価相当額で提供可能。

これは、公務員食堂を「給与体系の一部」として位置づけたもの。

生活費補助ではなく、公共給付としての日常的健康維持制度。

第3項(住居費相当)

職員1人あたり25以上の専用面積を有する宿舎を貸与。

家族同居時には累加可能。

他職員と競合した場合の順位規定を明示。

基準」は厚労省の健康住宅基準およびILO居住基準に準拠しており、職員住宅を単なる福利厚生ではなく、基本的生活インフラとして法的に確立した点が特徴。

第4〜5項(水道・光熱・家具家事用品)

宿舎の利用者には水道光熱および家具を提供。

標準使用量を超える場合は使用料徴収可。

ここで「制限または徴収」という選択肢を明示しており、過剰消費の抑制を通じた公共資源管理の倫理規範を内包している。

第6項(保健医療費相当)

医療機関の利用を無償提供(急性期を除く場合は制限可能)。

自由診療は妨げない。

国民皆保険制度と整合的でありつつ、公共医療施設の優先利用制度を創設する内容。

医療費補助ではなく「医療アクセス権の直接給付」としての意義を持つ。

第7項(交通・通信費相当)

通勤交通機関、交通用具(車・自転車等)、通信機器を貸与。

標準需要量超過の場合の制限・徴収規定。

通勤時間短縮効果がある場合に貸与決定(合理性基準)。

任用終了後の返却・購入・使用継続の規定を整備。

これは「モビリティ権・通信権」を生活給の構成要素としたものであり、現代のテレワーク社会に対応した物的アクセス給付制度である。

第8項(教育費相当)

教育機関の利用提供を原則とし、外国留学時は標準授業料まで給付。

国連職員基準に準じた国際修学補助を導入。

教育支出を「私費」ではなく「公共教育支援」として位置づける発想であり、教育基本法の趣旨を職員生活に拡張したもの。

第9項(教養娯楽費相当)

教養娯楽施設(図書館・文化会館・公共クラブ等)の利用提供。

政令指定により範囲を限定。

生活文化を「給付対象」として認める点が特徴であり、職員の精神衛生・創造性を支える文化的生活保障制度の要素を持つ。

第10項(その他の消費支出)

理美容サービス・身の回り品等を対象。

総務大臣が定める基礎支出を包含。

「最後の生活支出セーフティネット」として、家計の変動に対応する柔軟な給付領域を確保している。

【章末総括】第115条〜第116条は、給与制度を「貨幣による支給」から「生活機能による支給」へと転換した根幹条項である。

構成内容制度的目的

(基本給及び現物給)

第115条 統計基礎に基づく生活給の定義と算出方法家計統計準拠の客観的給与体系

第116条 現物給付の対象・条件・制限公共インフラによる生活保障制度これにより、給与は単なる労働対価ではなく、「職員の生活の完全性を保障する公共給」

として制度化される。

同時に、過剰利用に対する制限規定を設けることで、「倫理と持続性を両立した公共生活モデル」を確立している。

すなわち、本章は「賃金」ではなく「生活設計」の法体系であり、公共職員法全体の中で、“生きることそのものを支える公共報酬制度”の中心を成す。

以下は、第117条〜第120条(職能及び職務の評価/公共ポイント/電子基礎所得/兼業及び利益追求権)に関する逐条解説です。

この四条は、公共職員法の中でも最も先進的かつ思想的な部分であり、「働くことの公共性」と「生きることの経済的基盤」を接続した制度的革新を示しています。

公共職員法〔逐条解説〕第十六章

第百十七条〜第百二十条

第百十七条(職能及び職務の評価)

本条は、給与構成要素のうち「職能給」および「職務給」をどのように算定するかを定義する条文である。

その理念は、個人属性ではなく職務内容・成果に基づく公的評価を確立することにある。

第1項(評価の基準)

「職員の職能給及び職務給は、各プロジェクトの内容及び成果に基づき算定する。」

ここで言う「プロジェクト」とは、公共組織法における各課・室の政策単位や、期間限定の行政実施事業を指す。

つまり、職務評価は所属機関単位ではなく、政策実施プロジェクト単位で行われる。

これは、行政活動を「恒常業務」から「成果連動型プロジェクト群」として再設計する考え方である。

したがって、評価の焦点は「職員がどのような成果を生み出したか」ではなく、「担当した職務がどの程度公共目的を達成したか」という公共成果主義(Public Merit Principle)

に置かれる。

第2項(個人的属性の排除)

「職員の人格、勤務年数その他の個人的属性を考慮してはならない。」

この規定は、年功序列・属人的評価を明確に排除する。

評価は業績・能力・公共的寄与度に限定され、職員の性格・年齢・勤務年数・家庭状況などは一切給与決定に影響しない。

これにより、給与体系の客観性・公正性・再現性を制度的に担保する。

第3項(評価基準の設定)

「評価の基準並びに算定方法は人事院規則で定める。」

ここでは評価基準の一元化を人事院の所掌とし、各省庁・自治体間のバラツキを防ぐ。

評価方法には、AI分析・職務記述書・達成指標・公共貢献指数などを含むと解される。

評価体系の共通化は、全国的な公共職能データベース(職能履歴簿)

構築を可能にする。

第4項(職能履歴簿の記録)

「評価の結果は職員の職能履歴簿に記録し、次期給与の算定の基礎とする。」

「職能履歴簿」は、従来の人事記録(人事院法第59条)を発展させたもので、職員の能力・業務経験・学修履歴・公共貢献実績を統合的に記録する。

これは同時に共通試験法における職能連携台帳とも接続する。

制度的意義第117条により、公共職員の報酬体系は「年齢・所属」ではなく「公共的職務の成果」と「能力発揮」によって支払われる構造へ転換する。

このことは、公務を市場型の成果主義ではなく、公共的専門職主義(Professional Meritocracy)

として制度化するものといえる。

第百十八条(公共ポイント)

本条は、公共貢献を数値化し、給与・報酬と並ぶ第三の価値単位(公共ポイント)を制度化したものである。

いわば、「貨幣経済」と「奉仕経済」を結びつける公共的報酬体系の導入条項である。

第1項(ポイント付与)

「教育、研究、地域福祉その他公共の利益に資する活動に従事した場合」

職員が本務以外に公共的活動を行った場合、その社会的価値を公共ポイント(Public Pointとして付与する。

たとえば以下の活動が想定される:

教育・講義・研修指導災害ボランティア・地域福祉活動公共データ分析・オープンソース開発学術論文・政策提言・審議会貢献第2項(種別)

「学修ポイント、福祉ポイント、その他政令で定めるもの」

公共ポイントは活動領域別に区分され、知的貢献・社会奉仕・地域活動などがそれぞれ異なる計算体系を持つ。

第3項(給与との関係)

「公共ポイントは、給与若しくは報酬とみなすことができる」

公共ポイントは、換算率を定めれば実際の給与へ転換できる。

一方で、給与とは別に社会的信用・評価・昇任要件として活用されることも可能。

これは、公共経済における非貨幣的報酬制度(Non-monetary Reward System)

を法制化したもの。

第4項(透明性確保)

「ブロックチェーンその他の技術を用いて透明性を確保しなければならない。」

評価・付与・換算のすべてを電子記録で追跡可能にすることで、恣意的な加点・削除・優遇を防ぎ、公的信頼性の担保を制度的に保障する。

これは“公共人事のデジタル通貨化”に等しく、行政評価・給与・倫理ポイントを統合管理する基盤(HIME-ledger)

の核となる。

制度的意義第118条は、貨幣経済に依存しない「公共貢献の経済的評価制度」を創設するものであり、いわば「公共社会における第二通貨」

である。

その理念は、給与を超えた「社会的価値の分配」を可視化し、公務員倫理と社会奉仕を直接的に報いる仕組みを法的に導入する点にある。

第百十九条(電子基礎所得)

本条は、すべての職員に対し、地域・世帯条件に応じて電子基礎所得(eBI)

を支給する制度を定める。

これは、公共職員法が単なる雇用法ではなく、公共経済法体系の一部であることを明示する条文である。

第1項(権利の普遍性)

「すべての職員は…電子基礎所得を受給することができる。」

職員の地位・任用・職種を問わず、全員にeBI受給権を保障。

ここでいうeBI(electronic Basic Income)は、最低生活保障を超え、労働参加型の生活基盤給付(Employment-linked Basic Income)

として位置づけられる。

第2項(給与との関係)

「生計費の不足部分を補完するものとして支給し、給与とは別に管理する。」

給与が職務・能力に応じて変動するのに対し、eBIは生活支出の不足分を補う自動安定装置として機能する。

給与とeBIを分離することで、労働条件と生活保障を混同せず、両者を制度的に併存させる設計となっている。

第3項〜第4項(制度間連携)

「算定及び支給に関する事項は財政会計法に委ねる。」

「運用に関する事項は社会保障法に委ねる。」

この2項は、eBIを単独制度ではなく、財政(予算編成)および社会保障(所得再分配)体系に統合する法構造を明示している。

つまり、eBIは単なる「給付金」ではなく、財政金融・社会保障両法体系を横断する恒常的所得インフラである。

制度的意義第119条によって、公共職員制度は単なる雇用関係を超え、「すべての職員に生活の持続性を保証する公共経済圏(Public Economic Sphere)」を形成する。

これにより、給与(労働報酬)+公共ポイント(社会貢献)+eBI(生活基礎)という三層構造が完成する。

第百二十条(兼業及び利益追求権)

本条は、公務員の兼業・利益関与を原則禁止してきた従来制度を改め、一定の条件下で公正性を損なわない範囲の兼業・収益活動を明示的に認める。

第1項(兼業の容認)

「職務の公正を害しない限り、営利企業その他の法人の役員、取締役又は顧問に就任することができる。」

従来の国家公務員法第103条(兼業禁止)を根本的に改正する規定であり、公務員を「公的職能者」であると同時に「社会的実践者」として位置づける。

職務公正性を条件としつつ、民間経済・技術・文化分野との越境的人材循環を合法化する。

第2〜4項(透明性と監査)

兼業情報(法人名・報酬・持分)を人事院経由で公表。

利益相反がある場合は当該職務から除外。

人事院は年1回以上監査を実施・公表。

この構造は、OECD公務員倫理指針やEU利益相反管理制度と整合。

兼業を禁止ではなく、透明化・制度的監視により健全化する方式である。

第5〜6項(利益の保護と報告義務)

正当な兼業利益は私的所得として保護。

有価証券保有状況は毎年度人事院に報告。

「倫理規制」と「経済活動の自由」のバランスを図る規定。

職員の社会的創造活動を抑圧せず、公務の中立性を維持したまま経済的自由を回復する。

制度的意義第120条は、公務員制度を「閉鎖的身分制」から「開放的職能制」へと転換する。

すなわち、職員が公共・民間・学術・文化領域を横断しながら、公共的価値を創出する“社会内公務員モデル(Open Public Professionalism)”を確立する根拠条文である。

【章末総括】第117条〜第120条は、公共職員の労働・報酬・社会参加を次の三層構造で体系化している:

概念条文内容目的職能評価制度

(職能・報酬・公共所得)

第117条 職務・成果に基づく客観的評価公正な能力主義公共貢献価値制度

第118条 公共活動に対する非貨幣的報酬社会的価値の可視化電子基礎所得制度

第119条 生活費不足を補完するeBI給付安定した生活基盤兼業・利益追求制度

第120条 公正性を条件に民間兼業を容認社会循環型職能制度これら四条により、公共職員法の報酬体系は生活の安定(eBI)

職務の公正評価(職能給)

社会的貢献の可視化(公共ポイント)

個人の創造的自由(兼業容認)

の四原理を総合的に実現している。

以下は、提示された第127条〜第131条(俸給表/給与簿/給与簿の検査/違法支払の措置/超過勤務手当)に関する逐条解説です。

この章は、前章の「給与構造・報酬倫理」を受けて、給与の運用・監査・労働時間管理を実務的に規律する部分であり、公共職員法のうち「人事会計・労務管理」の中核を成す条群です。

公共職員法〔逐条解説〕第十八章

第百二十七条〜第百三十一条

第百二十七条(俸給表)

本条は、職員の給与体系の基礎となる「俸給表」の存在を法定したものである。

「給与には、俸給表が規定されなければならない。」

この条文の趣旨は、給与の算定を個別交渉ではなく統一基準により行うことを保障する点にある。

俸給表は職階・職務・地域・職能別に設定され、

第117条(職能評価)・第115条(生計費基準)と連動する。

この条項によって、人事院が定める給与基準が全国的な職務給の統一表として制度化される。

また、将来的にはAIによる自動更新を想定しており、物価指数・生計費・勤務統計を入力データとして、リアルタイム調整俸給表(Dynamic Pay Scale)

を生成する運用が想定される。

第百二十八条(給与簿)

本条は、給与の支給記録(ペイロール)を公的帳簿として法定したものである。

「職員に対して、給与簿を作成しなければならない。」

給与簿とは、職員ごとの給与項目・支給額・控除額・現物給・公共ポイント・eBI補完額など、すべての報酬関連データを一元的に記録するものである。

第2項「給与簿は、人事院の職員が検査し得るように整理しておかなければならない。」

この規定は、監査可能性(Auditability)を担保する。

すなわち、給与支払いの透明性と追跡可能性が常に確保されるよう、デジタル台帳として整理・保存されなければならない。

給与簿は、電子的管理が原則であり、人事院監査システム(PICSPersonnel Income Control System)と連動して運用されることを想定している。

第3項「前二項を除いては、人事院規則で定める。」

これにより、給与簿の具体的様式・保存期間・データ形式(例:XMLJSON等)は人事院規則に委任される。

デジタル化を前提にした柔軟運用のための技術的委任規定である。

第百二十九条(給与簿の検査)

本条は、給与の支払いが法令・人事院規則に適合しているかどうかを検査する権限を人事院に与える条文である。

「必要があるときは、人事院は給与簿を検査し、必要があると認めるときは、その是正を命ずることができる。」

つまり、人事院は監査権と是正命令権を併せ持つ。

この権限構造は、内部統制(internal control)の観点から、会計検査院の後段監査を待たずに、行政内部での即時是正を可能にする制度設計である。

特に第127条(俸給表)に基づく給与額や、

第119条(電子基礎所得)との合算支給のような複雑な支払いを自動チェックする役割を持つ。

第百三十条(違法の支払に対する措置)

本条は、前条に続き、違法又は不当な支払いを発見した際の措置を規定するものである。

「自己の権限に属する事項については自ら適当な措置をなし、必要があるときは会計検査院に報告し、又は検察官に通報しなければならない。」

ここで重要なのは、「自己の権限に属する事項」と「通報義務」の両立である。

人事院が内部処理できるものは即時に是正するが、重大な違法支出が疑われる場合は、外部監査・司法当局への報告義務が発生する。

これは、従来の「通報できる」ではなく、「通報しなければならない」という強制通報義務を課す点に特徴がある。

行政内部での不正隠蔽を防ぐ「透明性の法的防壁」である。

本条の背景には、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第26条(不当事項の報告)や国家公務員法第98条(服務の義務)などの原則があり、それを給与制度に適用拡張した形である。

第百三十一条(超過勤務手当)

本条は、公共職員の超過勤務に対する報酬を詳細に定める条文であり、現行の国家公務員法や労働基準法(第37条)を下敷きにしつつ、より厳格かつ自動的な加算制度を採用している。

第1項(時間外勤務の算定)

「勤務一時間につき、勤務一時間当たりの給与額に百分の百二十五〜百分の百五十の範囲内で別に定める割合を乗ずる。」

ここで「勤務一時間当たりの給与額」は、

第112条(給与の構成)で定められた基本給+職能給+職務給の合算額/所定時間として算定される。

区分は以下のとおり:

通常の時間外勤務:125〜150%午後10時〜午前5時の深夜勤務:さらに+25%(例:深夜超勤150%+25%=175%)

これにより、労働時間の長短ではなく、健康負担・夜間勤務リスクを加味した補償構造が整えられる。

第2項(過労防止のための割増強化)

「一箇月について六十時間を超えた職員には、150%(深夜は175%)を支給。」

これは現行労基法第37条第4項を踏襲しつつ、公務員制度における過重労働の自動警戒ラインを明文化したもの。

時間外労働が60時間を超えた場合、自動的に割増率が最高値となり、同時に健康管理上の指標として人事院に報告される。

この設計により、「時間外勤務を命ずる側」も実質的なコスト負担を負うため、組織的な超勤抑制圧力が働く構造になる。

制度的意義第131条は、単に残業代の支払いを定める条項ではなく、「勤務時間を自動監査し、健康と財政の両面から制御する仕組み」を構築するものである。

つまり、働きすぎ防止と正当報酬保障を同時に制度化する条項であり、公共職員制度全体の持続可能性を担保する重要なセーフティ条項である。

【章末総括】条文名称内容制度的意義

(給与表・帳簿及び勤務時間管理)

第127条 俸給表給与の全国統一基準の法定化職務給・生計給の標準化

第128条 給与簿給与記録の作成・保存・監査性確保透明な給与管理の基盤

第129条 給与簿の検査人事院による監査・是正権限内部統制と即時是正

第130条 違法支払の措置違法支払発見時の報告・通報義務不正抑止・司法連携

第131条 超過勤務手当時間外勤務の補償と過労防止労働保護と財政抑制の両立制度全体の位置づけこの章は、公共職員法の中で次のような「制度的骨格」

を形成する。

第115〜116条:生活給の定義(生計基準)

第117〜120条:職能・報酬・公共所得(能力・公共貢献)

第121〜126条:倫理・政治的中立(自由と公正の均衡)

第127〜131条:給与管理・勤務時間制(制度の運用的裏付け)

すなわち、本章は「理念を現実に運用する法的機構」の部分であり、行政倫理を会計・労務の技術で支える制度的層である。

第百三十二条(休日給)

条文要旨祝日法上の休日・年末年始その他政令で定める休日において、正規の勤務時間中に勤務を命ぜられた職員に割増給与を支給する。

割増率は 125〜150% の範囲で人事院規則が定める。

制度趣旨この条文は、公務員の休日確保休日労働に対する公正補償休日動員の抑制(財政的コストの明確化)

を目的とする。

休日勤務は、一般労働法制(労基法37条)と同様に、「通常勤務の負荷+生活時間の喪失」という二重の不利益があるため、通常の時間外勤務よりも強い補償が必要とされる。

特徴休日勤務の割増は時間外勤務と同水準(125〜150%)

•平日の超勤と同一基準だが、「休日」は通常の業務体制でないため、組織側が本来回避すべき勤務であり、適正運用を促す設計となっている。

人事院規則で具体基準を設定•実際には、警察・消防・医療・防災など「休日が業務の本質」である機関もあるため、運用に柔軟性を持たせている。

「これらの日に準ずる日」規定•各自治体の条例休日•組織的な行政の休務日などを、政令・人事院規則が休日扱いにできる。

第百三十三条(夜勤手当)

条文要旨午後10時〜午前5時を「夜間勤務」と定義し、勤務時間1時間あたり給与額の 25% を加算して支給する。

制度趣旨公共部門における夜勤は、•健康負担が大きい•生活リズムを崩しやすい•家庭生活との両立困難であり、労基法37条4項に対応する夜間割増の公務版である。

評価「正規の勤務時間として夜勤を命ぜられた場合」に限定施設勤務・警備・防災・医療等の24時間職種を想定。

時間外夜勤(第131条)との区別が明確•夜勤手当(25%)は「夜間であること自体の補償」

•時間外手当(125〜150%)は「超過勤務の補償」

両者は累積可能であり、例:深夜の時間外勤務150%+25%=175%という構造になる。

夜間勤務の抑制効果組織側が夜勤を命じるほどコストがかかるため、人員の適正配置やシフト勤務の改善圧力が働く。

第百三十四条(勤務一時間当たり給与額の算出)

条文要旨休日給・夜勤手当・時間外勤務などの基礎となる「勤務1時間当たりの給与額」 の算定方式を法定する。

当該職務の給与の合計額当該職務の勤務時間で除して算出する。

制度趣旨割増賃金の基礎単価を法定化することで、職務給・職能給・基本給を組み合わせた給与体系の中で、「割増の計算ミス」「不当操作」を防ぐ効果がある。

ポイント「給与の合計額」には以下が含まれる•基本給(第115条)

•職能給(第117条)

•職務給(第117条)

現物給は含まれない

算定基礎が明確で透明性が高いブロックチェーン給与台帳と整合し、監査容易。

職務ごとに勤務時間が異なる場合に対応•週40時間職•週32時間職(医療・福祉系)

•特例勤務時間(交替制)

など、柔軟な制度に適合。

制度全体の構造時間外勤務(第131条)

•深夜は+25%•月60時間超は150〜175%固定休日勤務(第132条)

•125〜150%(休日の正規時間帯)

夜勤(第133条)

•25%加算(正規の夜勤)

基礎単価(第134条)

•給与合計 ÷ 勤務時間これにより、労働時間帯ごとの負荷に応じた精緻な補償体系が完成している。

総合解説(重要ポイント)

1 労働基準法を上回る保護休日給も夜勤手当も、労基法と矛盾せず、かつ公務特性に応じて制度が明確化・強化されている。

2 割増率の「人事院規則委任」が超重要職種・機関によって勤務形態の多様性が高いため、俸給表と同様に、柔軟性 × 統一性を両立する合理的構造。

3 健康管理と財政管理が制度的に連動深夜勤務・休日勤務は必ず割増となるため、組織側には「夜間・休日に仕事を残さないインセンティブ」

が働く。

4 透明な給与体系の前提第134条の算定基礎は、AI人事システム・国費管理・監査のどれにとっても必須。

以下に、第135条〜第137条 の逐条解説(原文に忠実・体系的解説)をまとめます。

本部分は「管理職の給与体系」「割増手当の不適用」「端数処理」「失職者補償」に関する章で、職員給与制度の仕上げ部分です。

公共職員法 逐条解説

第百三十五条(管理職の職務給の加算)

条文の位置づけ管理職は本来「職務給」によって報酬が決定され、時間外勤務手当等を受けない代わりに高い職務給で調整するという公務特有の仕組みがあります。

本条はその基本構造を明文化し、さらに「特別な責務」の場合の加算を制度化します。

1項解説管理職が通常の管理職務を超えた特別の負担・責任を負う場合には、職務の内容と成果に応じて職務給を加算できる。

趣旨管理職は原則として超勤手当なし休日給・夜勤手当なしという「包括的責任制」で働くため、通常業務を超えた業務(危機管理対応、大規模災害、政策立案の特命など)での負担を補正する必要がある。

特徴時間数ではなく 職務の性格・重大性ベース成果主義ではなく職務主義管理職手当とは別に「加算職務給枠」を設ける設計2項解説加算は時間外勤務の有無・時間数とは無関係に、職務の性質と負担の程度によって算定具体区分は人事院規則。

ここが重要これは「管理職は時間外勤務の概念から離れる」ことを前提に、負担=時間ではなく責任の重さで評価する制度 を構築。

人事院規則では、例えば以下のような区分が考えられる:

重大事故対応(レベル1〜3)

国際交渉等の臨時責任大規模予算・調整業務都道府県レベルの危機管理など。

3項解説(極めて重要条文)

管理職には超過勤務手当、休日給、夜勤手当は一切適用しない。

趣旨管理職の勤務体系は時間労働ではなく責任労働を本質とし職務給で包括的に報いるという公務労務の根本原則を再確認したもの。

効果財政規律の確保管理職の自主運営性の担保時間外勤務管理の複雑化を回避

第百三十六条(端数計算)

条文要旨各種割増手当(超勤・休日給・夜勤)や基礎単価の算定時に生じる端数について、50銭未満切り捨て50銭以上1円未満切り上げとする。

解説目的全国の公共機関に共通する統一処理基準の確立会計処理の単純化給与計算の透明性確保端数操作による恣意的支給の防止法体系上の位置これは現行の国家公務員給与法等でも同様の処理があり、公務特有の「細部規律」の一つ。

給与計算を給与システムに実装する際の基本ルールとなる。

適用範囲時間外勤務手当休日給夜勤手当1時間当たり給与額など「割増計算を伴う一切の数値」に及ぶ。

第百三十七条(失職者の給与)

条文要旨職員が公務災害(負傷・疾病)

通勤災害によって、国家公務員法79条1号(心身故障)に該当し失職した場合、本来任用されるべき期間中給与を全額支給する。

制度趣旨最大のポイント本条は、公務災害による不利益を職員に負わせず、任用期間の満了まで「勤務不能=給与権利の喪失」にならないという強い身分保障を採用。

これは公務災害補償(国家公務員災害補償法)

公的職業保障の二つを組み合わせた公務特有の保護構造。

1 補償の範囲「任用されるべき期間」=原則1年ごとの任用期間任用通知書に示される期間に対応。

任用期間の途中で災害が発生した場合、残りの期間については現職と同じ給与額が支給される。

2 他制度との調整現行制度では公務災害補償給付給与停止(多くは無給の休職)

となるが、本法はこれを大幅に強化している。

本条の特徴給与が100%保障される任用期間全体が保護される労災補償との併給調整は別法で定める前提「失職」という扱いでも給与権が維持される(画期的)

3 実務的意義公務災害発生時の生活保障の確実化公務員の安全配慮義務を制度面から補完リスクの高い現場(警察・消防・防災・医療)での安心感向上将来的な任用継続が絶たれないため、転職・就労回復支援にも合理性総括(第135〜137条)

項目法の意図管理職手当(135条)

時間労働から責任労働への転換を制度化。超勤手当等は適用せず、特別責務は職務給で加算。

端数処理(136条)

全国統一の給与算出基準を作り、恣意的運用を排除。

失職者給与(137条)

公務災害・通勤災害時の生活保障を最大限に高め、任用期間中は給与を100%支給。

公共職員制度の中核である「給与の透明性・公平性・安全配慮の徹底」

がこの3条で補完されています。

以下に 第138条〜142条まで(勤務時間・休憩・勤務関連時間の上限) の逐条解説をまとめます。

条文の構造を忠実に読み解きながら、制度趣旨・実務運用・他章との関係まで踏み込みます。

公共職員法 逐条解説

第九章 勤務時間及び休暇(第一節:勤務時間)

第百三十八条(勤務関連時間)

1項:勤務関連時間の構成勤務関連時間=「勤務時間」+「通勤時間」

趣旨従来の公務員法制では、勤務時間と通勤時間は概念上分離されているが、本法では「公的任用に伴う所要時間」として包括的に把握し、職員の負担管理(健康・安全)を体系化する点で革新的。

特に、勤務関連時間に上限を設ける後条(140条)とセットで機能する。

意義労働法上の「拘束時間」に近い概念を公務に導入通勤負担が職員の健康・任用持続性に影響する点を制度化過剰な通勤時間(長距離通勤)の排除にもつながる2項:勤務時間の定義と休憩時間の扱い休憩時間を勤務時間に含めて算出出張・外勤などの移動は「通勤時間」として扱う特徴民間労働法制とは異なり、休憩時間まで勤務時間に含める点が大きな特徴。

これは公共サービスの連続性を重視し、休憩中も責任が継続する職場が多いため。

「移動=通勤時間」扱いの意義事業所間移動や外勤を「勤務時間」にせず「通勤時間」とするのは、「勤務関連時間の総量」で職員健康を管理する本法の構造による。

制度面では、移動が多い職務の負担蓄積長距離出張による疲労などを勤務関連時間で管理する狙い。

3項:通勤経路の申請と認定任用ごとの通勤経路申請標準所要時間の認定意義通勤時間の実態把握勤務関連時間の上限(140条)との整合任用変更時の通勤負担調整過度な遠距離通勤の抑制

第百三十九条(休憩時間)

1項:休憩時間の設定4つの時間帯のいずれかに「各1時間以上」設ける時間帯は以下の4区分:

5時〜7時11時〜13時17時〜19時23時〜1時特徴24時間勤務体制を想定した設計朝・昼・夕・深夜のいずれかで必ず休憩を確保「柔軟かつ健康第一」の勤務体系公安・防災・医療・外交など昼夜交替制への対応留意「1時間以上」とされており、複数の休憩を組み合わせることは可能。

2項:休憩の代替取得取得できない場合勤務開始繰下げ・終了繰上げで確保ただし、時間帯の端部で勤務が開始/終了する場合を除く趣旨過度な連続勤務を避け、確実に休息機会を保障するため。

第百四十条(勤務関連時間の上限)

勤務関連時間の「総量規制」の条文。

上限値年:1440時間月:120時間週:30時間日:6時間制度の特徴勤務関連時間=勤務時間+通勤時間であるため、「長時間通勤と長時間労働の両方を制限」

する世界に類例ない制度。

目的公務労働の超過負担抑制健康確保過労死ゼロ政策公共サービスの質の確保(職員の余力を守る)

第百四十一条(任用時間の上限)

1項任用時間=勤務関連時間の範囲内位置づけ任用定義の根本で、職員が働くことのできる総時間が勤務関連時間の上限に従属する構造にするもの。

つまり:

職員の任用は、人間の健康的な勤務可能量を限度として設定される。

2項配分は採用時の統一基準によるここが重要任用設計の公平性部局間格差の排除「職務密度の均衡」を制度として担保

第百四十二条(勤務時間の上限)

勤務時間そのものに対する上限。

年:960時間月:80時間週:20時間日:4時間勤務関連時間との差勤務関連時間(1380〜140条)と比較すると:

区分勤務関連時間勤務時間差分は「通勤+移動」に充てられる例:日あたり勤務4h通勤・移動2h=勤務関連6h理念「過度な長時間労働を原理的に排除する」体系。

公共サービスをプロジェクト制・スプリント型で行う公共組織法の理念とも整合。

実務的帰結短時間・高密度の公務労働へ転換在宅勤務・拠点勤務の積極活用通勤が長い職員は任用条件で調整(近隣勤務の原則)

総括(138〜142条の構造)

条文内容法の目的

第138条 勤務関連時間の定義・通勤管理職員負担の包括管理

第139条 休憩の確保健康維持・勤務の質向上

第140条 勤務関連時間の上限過労防止/通勤負担規制

第141条 任用時間の上限任用の健康的範囲確保

第142条 勤務時間の上限長時間労働の制度的禁止公共組織法・公共職員法の全体性公務労働のスプリント化プロジェクト制(任用制)

時間より成果(職務給・職能給)

健康とパフォーマンスの最大化という現代的な公共モデルを制度化している章です。

以下に 第143条〜147条(休暇控除・年間勤務日数・研修勤務・臨時勤務・超勤代休) の逐条解説をまとめます。

条文の趣旨・制度の背景・実務運用まで、原文の構造に忠実に解説します。

公共職員法 逐条解説

第九章 勤務時間及び休暇(第二節:休暇・特例勤務)

第百四十三条(休暇の控除)

条文の趣旨年次有給休暇などの「法定休暇」を取得した場合、その分の時間を 勤務関連時間・勤務時間の上限(138条〜142条)から差し引く という規定。

背景本法では勤務関連時間・勤務時間に年・月・週・日ごとの上限が定められているため、休暇を取得した分を「働いたもの」と扱わない ようにする必要があった。

従来の制度では年次休暇を取得しても「勤務時間の総量規制」に反映されないという欠点があったが、本法はそこを制度的に整備した形。

意義休暇取得が不利に働かない休暇を上限管理の一部として合理的に組み込む年次休暇の利用促進無理な勤務調整(名ばかりの勤務扱い)を防止

第百四十四条(年間勤務日数の上限)

条文の内容年間勤務日数=(1年の日数)

つまり、「休日+休暇」を除いた日数が、その職員が働ける最大日数になる。

特徴勤務時間の厳格な上限(142条)とあわせて、年間トータルの勤務可能日数を制度的に規定した点が画期的。

意義長期連続勤務の防止職員の健康確保休日取得の義務化に近い効果365日稼働の部署でも職員をローテーションで守れる制度

第百四十五条(通常の勤務場所を離れて勤務する職員の勤務時間)

条文の趣旨研修・出向・実地訓練などで「通常の職場を離れる勤務」が発生したとき、研修等に指定された時間を、そのまま勤務時間とみなす。

対象例省庁研修所での専門研修研究機関への派遣他自治体への実地研修海外研修(外交・防災など)

意義研修も公務であることを明確化研修時間を勤務時間として扱うことで、勤務関連時間の上限へ適切に算入職員の学習機会を保障研修と労働時間の扱いを巡る不明確性を制度的に解消

第百四十六条(臨時又は緊急の勤務)

条文の内容緊急・臨時の公務では、正規の勤務時間外に勤務を命ずることができるただし勤務時間の上限(第142条)は超えてはならない趣旨災害・事故・防衛・危機管理など、公務には突発的対応が不可避である。

そのため例外的に勤務を命じることを認めつつ、職員保護(勤務時間上限)の枠組みは絶対に破らせない という強い原則が明示されている。

意義公務継続と職員保護のバランス「緊急だから過労も許容」ではない制度災害時のブラックボックス化を防止交代制勤務の制度的裏付け

第百四十七条(超勤代休時間)

1項:代休の設定義務臨時・緊急勤務を命じられた職員には、1ヶ月以内に代休を指定する義務趣旨時間外勤務を放置せず、必ず代休で回復させる制度。

完全に ワークライフバランス最優先の設計。

2項:代休日の勤務免除特に命ぜられた場合を除き、代休中は正規勤務も不要意義時間外勤務を帳消しにするのではなく “必ず休ませる”実質的な健康回復制度代休の形骸化防止総括(143〜147条:休暇と特例勤務の区間)

条文内容制度的意義143休暇取得分の勤務上限から控除休暇取得の保障・上限管理との整合144年間勤務日数の上限長期連続勤務の防止145研修勤務の扱い研修を勤務時間として保護146臨時・緊急勤務公務継続と職員保護の両立147超勤代休時間時間外勤務の確実な代償以下に 第百四十八条〜第百五十一条(週休日・祝日・代休日・休暇の種類) の逐条解説をまとめます。

原文の意味を損なわず、制度趣旨・背景・運用のポイントを丁寧に整理しています。

第九章 勤務時間及び休暇

第二節 休暇

第百四十八条(週休日)

条文の趣旨土曜日と日曜日を「週休日」と明示する規定。

週休日とは、勤務時間を割り振らない日 であり、原則として勤務義務がない。

背景・意義職員の年間勤務時間・勤務関連時間の上限管理(138〜142条)とセットで機能公務員制度として「週休二日制」を法律上確定「週休日に勤務時間を割り振る」特別操作を防ぐ意図実務災害などの理由で週休日に勤務を命じる場合は、後述の 代休(150条)で調整することが必須。

第百四十九条(休日)

条文の内容祝日法の定める祝日年末年始(12/29〜1/3)

については、原則 勤務義務なし。

趣旨祝日と同様に年末年始を “公的な休日” として扱う。

日本の公務員法体系にほぼ共通する構造だが、本法は勤務時間の上限(142条)との整合を重視して明文化している。

例外「特に勤務を命ぜられた職員」は勤務義務ありただし、その場合は 休日給(132条) や 代休日(150条) が発生する意義祝日・年末年始の扱いを統一公務の24時間運営部署の負担を明確化職員の休暇権を強く保護

第百五十条(休日の代休日)

1項:休日勤務を命じられた場合の代休日の指定祝日または年末年始に勤務した職員には、休日後の勤務日から代休日を指定できる と規定。

ただし、超勤代休時間(147条)に指定された日祝日や年末年始そのものは除外。

代休日の性質「法定代休」に近く、休日に勤務した分の完全補填としての休み。

法定外の “恣意的な代休” を排除職員の疲労管理を制度的に保障2項:代休日の勤務免除代休日には、特に命ぜられた場合を除き、勤務不要。

正規勤務時間も免除される。

意義公務の必要性と職員の健康確保のバランス災害・緊急業務が連続する場合でも休養日を確保代休の形骸化防止(実務上起こりがちな問題の解消)

第百五十一条(休暇の種類)

条文の趣旨公務員の休暇制度を大分類として以下の4つに整理。

年次休暇年次有給休暇(いわゆる年休)

勤務日数・勤務時間の上限制度と連動病気休暇療養が必要な場合の休暇労働安全衛生・公務災害補償との整合介護休暇家族の介護・看護のための休暇育児介護休業法との整合性を持たせた設計特別休暇例:

忌引結婚出産公務災害からの復帰支援国家試験・資格取得など、人事院規則で定める。

意義公務員の休暇制度を明確な体系に整理「勤務時間の上限規制(142条)」と有機的に結びつけることで、働きすぎを制度的に防止育児・介護と公務の両立支援を強化特別休暇制度の透明性向上総括:第二節(休暇)のポイント区分内容制度的意義週休日(148)

土日を勤務なしの日として固定年間時間管理と連動、週休二日を確定休日(149)

祝日+年末年始公務員の一般労働者並みの休暇保障代休日(150)

休日に働いた場合の法定代休職員の回復と公務効率の両立休暇種類(151)

年休・病休・介護・特別休暇休暇制度の体系的整備以下に 第百五十二条〜第百五十五条(年次休暇・病気休暇・介護休暇・特別休暇) の逐条解説を原文忠実にまとめます。

労働法体系との整合・公共職員制度としての意義も含めて丁寧に整理しています。

第百五十二条(年次休暇)

1項:年次休暇の付与日数「1年ごとの休暇」を時間数で付与する方式。

第一号:通常の職員年間120時間

第二号:年途中で採用・退職する職員30日あたり10時間在職期間に比例する比例付与。

民間労働法の「比例付与」と同じ考え方を公務員法に取り込んだ設計。

2項:長期休暇の義務化(年休のうち80時間超)

通常120時間のうち、80時間を超える40時間分は「16日以上連続休暇」として取得義務」。

意図長期休暇の制度的確保メンタルケア・疲労回復年間勤務時間上限(138〜142条)との整合欧州型の“バカンス制度”の導入に近い3項:翌年への繰越繰越を認める。

ただし「長期休暇義務部分」を翌年に繰り越せるかは条文上黙示だが、通常は人事院規則で制限される。

4項:時間単位休暇(10分単位)

細かい時間管理が可能。

教師・警察・消防といった現場職にも柔軟に適用可能な制度。

5項:休暇取得の承認原則 承認されるべき例外は「公務の運営に支障がある場合」

意義休暇権の実効的保障。

「業務多忙」を理由とした拒否を難しくする構造。

第百五十三条(病気休暇)

1項:病気休暇の根拠疾病その他の心身障害で勤務不能の場合に付与。

権利性の強い休暇 として規定している。

2項:期間「療養に必要な期間」

具体的長さは病状ベースで柔軟に判断。

他法(安全衛生法、公務災害補償法)との整合が必要。

3項:詳細は人事院規則診断書要件長期病休の復職判定職場配慮と再発防止などは規則に委任。

第百五十四条(介護休暇)

1項:介護する場合の休暇対象家族は「配偶者・父母・子その他これに準ずる者」。

民間の介護休業法とほぼ同様の範囲。

2項:付与量年間96時間以内(=12日相当)

これは民間の「5日/10日」と比べて手厚い。

3項:細目は人事院規則対象家族の定義要介護認定書類分割取得時間単位取得などは規則で整備される。

第百五十五条(特別休暇)

1項:特別休暇の性質「特別の事由」による休暇を 人事院規則で列挙 する方式。

特別休暇の例(想定)

選挙権行使休暇(投票日勤務回避)

結婚休暇忌引休暇出産・育児補助交通機関事故による遅延・帰宅困難裁判員としての出頭ボランティア休暇(災害時など)

制度設計の方向としては、「公共職員の社会的役割」を支え、「家庭・地域生活との両立」を保障する意義が大きい。

期間設定各特別休暇の期間は すべて人事院規則で定める。

これは、社会変動に合わせて柔軟に増減できるようにするため。

総括:152〜155条の構造条文内容公共職員制度としての意味152年次休暇(年120h+長期休暇40h義務)

休暇権の強化・欧州型休暇制度への接近153病気休暇健康確保・メンタルヘルス保護154介護休暇(年96h)

家族介護と公務の両立を保障155特別休暇公務員の社会的役割に応じた柔軟制度以下に 第百五十六条〜第百六十条(選挙権行使・結婚・出産・育児・交通機関事故休暇) の逐条解説を原文忠実にまとめて整理します。

第百五十六条(選挙権行使休暇)

1項:投票・選挙管理協力のための休暇職員が国政選挙地方選挙その他公職選挙において 投票する場合、または 選挙管理に協力する場合 に付与される休暇。

意義公務員は「全体の奉仕者」であり、民主主義の基盤である選挙参加を制度的に保証する趣旨。

「選挙管理協力」は立会人・開票作業など実務も含む。

2項:時間数一選挙につき8時間以内。

投票のための時間+移動を含めた想定値。

同日に複数選挙がある場合も「一選挙ごと」で判断。

第百五十七条(結婚休暇)

1項:結婚時の休暇結婚日から30日の範囲内で、最大7日 の結婚休暇を付与。

特徴「結婚日から30日以内」に取得できるため、挙式日・諸準備日を含め柔軟に使える。

性別・同性パートナーかどうかに関係なく平等に適用されるのが基本理念。

第百五十八条(出産休暇)

1項:休暇期間職員本人または配偶者・パートナーが出産する場合の休暇。

期間は:

出産予定日 6週間前出産日 後8週間労働基準法の「産前産後休業」と完全に対応した期間。

パートナーシップを含む明記現代的な家族形態を反映した規定。

出産に伴う心身負担への配慮を示す。

2項:本人が勤務を希望する場合医師または助産師が「支障なし」と認めたときは勤務可能。

権利の選択性を尊重している。

第百五十九条(看護・育児休暇)

1項:看護と育児のための休暇「家族の養育」または「看護」の必要がある場合に取得。

子ども・高齢者・家族全般を対象にする広い概念。

2項:時間数年間80時間以内。

短期の看護・育児のための柔軟な休暇として設計。

3項:勤務時間短縮請求3歳未満の子を養育する職員は勤務時間の短縮制度を請求できる。

労働基準法・育児介護休業法の「短時間勤務制度」と同趣旨。

公務員制度へ完全に組み込んだもの。

第百六十条(交通機関事故休暇)

1項:通勤時の事故・著しい遅延に対応交通機関の事故・大幅遅延により勤務できないとき付与。

責任が職員にない場合の救済。

「通勤その他の勤務に関連して利用する交通機関」

出張先公用移動も含まれる。

2項:休暇期間事故や遅延の影響が継続する期間。

例えば長時間の線路閉鎖地震による交通麻痺など、復旧までの実時間を全て休暇扱いとする。

各休暇制度の体系的位置づけ条文休暇の種類趣旨・意義156選挙権行使休暇民主主義の基盤を制度的に保障157結婚休暇生活の重要転機への配慮158出産休暇母体保護と家族支援・パートナーシップ明記159看護・育児休暇家族介護と育児の調和160交通機関事故休暇交通障害時の公平性確保以下に 第百六十一条〜第百六十六条(帰郷・公共奉仕・学修・文化儀礼・生命儀礼・環境適応休暇) の 原文忠実・制度趣旨に基づく解説だけ をまとめます。

第百六十一条(帰国・帰郷休暇)

1項:家族との面会・本籍地への帰郷任地や勤務地から離れて暮らす家族に会うとき、または本籍地その他準ずる地に帰るときのための休暇。

意義地域間移動が前提となる勤務体系で、家族関係維持を制度的に保障するもの。

「本籍地準ずる地」には、祖先の墓所や文化的ルーツも含み得る。

2項:期間1年につき10日以内。

単純帰郷に使える柔軟な枠。

3項:海外勤務・長期出張の特別規定24か月ごとに1回、往復に要する移動期間を含めて付与。

外務・開発・国際研究など長期派遣者への生活配慮。

第百六十二条(公共奉仕休暇)

1項:公共の利益に資する活動対象となる活動は広く、公共事業教育福祉文化科学技術その他公益事業など、社会奉仕活動全般。

意義公務員としての「全体奉仕者性」を勤務外活動でも尊重。

2項:期間1年につき40時間以内。

半日〜数日単位の社会貢献活動を想定。

第百六十三条(学修休暇)

1項:能力開発・資格・研究などスキルアップ・学習活動に従事する場合の休暇。

2項:期間年間20時間以内。

自己啓発の最小限枠として設計。

3項:共通試験法の学修ポイント取得共通試験法との連動を明示。

学修休暇は W100ベースの学修ポイント取得 にも利用可能。

第百六十四条(文化儀礼休暇)

1項:宗教・文化儀式への参加宗教的儀式や文化行事に参加するための休暇。

多文化・多宗教社会を前提とした現代的規定。

2項:期間1年につき24時間以内。

第百六十五条(生命儀礼休暇)

1項:生誕・婚礼・葬儀・看護・看取り人の生涯に関わる重要な場面(ライフイベント)に参列・従事するための休暇。

対象親族その他「密接な関係にあった者」

家族定義を柔軟化し、現代的な人間関係を反映。

2項:期間1年につき20時間以内。

第百六十六条(環境適応休暇)

1項:季節・気候変化に伴う心身調整季節の変わり目や気候変化による体調不良・疲労などに対応する休暇。

近年の気象ストレス(猛暑・寒波)を制度に反映。

2項:期間1年につき10時間以内。

各休暇の位置づけ・比較条文名称年間上限主目的161帰国・帰郷休暇10日家族関係維持・居住地間移動162公共奉仕休暇40時間社会貢献・地域活動163学修休暇20時間能力開発・資格取得・学修ポイント164文化儀礼休暇24時間宗教・文化行事への参加165生命儀礼休暇20時間生誕・婚礼・葬儀・看護・看取り166環境適応休暇10時間気候変化への体調調整以下に、第百六十七条〜第百七十二条(災害等休暇/予防・検診休暇/特別休暇の取扱い/承認規定/休暇の賃金扱い/任用時間の停止)

の 原文に忠実な逐条解説 をまとめます。

第百六十七条(災害等休暇)

1項:不可抗力による勤務不能災害・事故・通信遮断など、本人の責めによらない不可抗力で勤務できない場合は、必ず休暇を与える。

趣旨公務員の安全確保を最優先とする。

交通麻痺・停電・大規模通信障害も明確に含めた「広義の災害」。

2項:期間影響が続く間は休暇を与える。

上限を設けず、被災状況に応じて柔軟に。

3項:勤務扱い災害等休暇は 全面的に勤務扱い。

任用時間に算入給与控除なし評価・勤務実績上の不利益なし

第百六十八条(予防・検診休暇)

1項:健康維持活動健康診断・予防接種等、人事院が定める健康維持行為に従事する場合の休暇。

趣旨職員の健康管理を制度として奨励。

感染症対策と長期的な疾病予防を包含。

2項:期間年間 8時間以内。

半日〜数時間の行為を想定。

第百六十九条(特別休暇の取扱い)

1項:実務の詳細=人事院規則特別休暇(前条までに定める各特別休暇)の取得手続・必要書類などは、人事院規則に委任。

2項:勤務時間扱いとなる場合公共奉仕休暇 および 学修休暇 のうち、活動内容が 公共組織法の公共目的 に資する場合は、休暇であっても勤務時間として扱うことが可能。

意義公務員が教育研究・地域福祉などの公益活動を行う場合は、公的ミッションとして評価する制度。

第百七十条(病気休暇等の承認)

承認対象病気休暇特別休暇介護休暇介護時間いずれも 公共機関の長の承認を要する。

趣旨休暇の適正運用を確保するための最低限の管理。

第百七十一条(休暇の賃金・任用時間)

1項:休暇は全部有給全種類の休暇に給与が支給されることを明文化。

2項:任用時間への算入休暇期間はすべて 任用時間として扱う。

勤務実績として扱い、不利益を生じさせない。

3項:長期休業時の任用時間調整職務従事が困難な長期理由(病気・介護等)がある場合、任用時間を減じた形で任用することが可能。

時短勤務制度をより広く位置づけた条文減じた時間に応じ 給与を按分4項:権利保護任用時間が減じられても、身分保障・服務規律はそのまま適用。

意義短時間任用でも公務員としての法的地位を維持。

第百七十二条(任用時間の停止)

1項:任用時間停止疾病・育児・介護等で一定期間勤務できない場合、任命権者は 任用時間を停止 できる。

「停止」とは任用関係(採用の地位)は維持勤務義務を一時停止給与の取り扱いは別規定による休職とは異なり、制度上の柔軟な中間措置2項:在職期間として通算任用時間停止中の期間は在職期間に通算される。

意義昇任・退職補償・キャリア年数の不利益を排除育児・介護によるキャリア断絶を防止条文の全体的意義・特徴(簡潔)

災害等休暇は 必ず付与・勤務扱い とする強力な保護規定健康維持(予防接種・検診)を制度化社会貢献や学修等の公益活動は、場合により 勤務扱い全休暇が 全面的有給任用時間の調整・停止制度により、育児・介護・疾病での離脱を柔軟に吸収キャリアの中断を制度が防ぎ、公平性を確保以下に、第十章「宿舎」〔第173条〜第177条〕 の 逐条解説(原文に忠実・平易・立法趣旨中心) をまとめて提示します。

あなたの法体系全体(公共組織法・公共職員法)との整合も意識しつつ、現行国家公務員宿舎法の理念との差分も自然に読み取れるように記述してあります。

【逐条解説|第十章 宿舎】

第173条(宿舎)

趣旨宿舎制度の対象となる建物・土地の範囲を定義する条文。

職員の居住安定を図ることにより、公共組織としての機能維持を意図している。

解説「宿舎」とは、公務員及びその家族(生計同一者)に提供する居住施設の総称である。

家屋そのものだけでなく、附帯工作物(駐車場・共同設備)や敷地も含む。

公共組織・公共機関が設置すると規定することで、財産管理・建築責任を明確化。

職員の住宅事情を公的に保護するための「社会的インフラ」と位置付けられている。

生計維持者の範囲を「主としてその収入により生計を維持する者」と定義することで、事実婚・パートナーシップ等も含め柔軟に対応可能。

第174条(宿舎の種類)

趣旨宿舎制度における分類区分を定め、管理・使用料・設置基準の差異を明確化するための規定。

解説宿舎は以下の3種類に分類される:

公邸首長級や特定の高位職のための公的住宅(迎賓・公務利用を含む)。

無料宿舎主として任務上の必要性が高い場合に提供。山間地、離島、医療拠点など。

有料宿舎一般職員向け。

使用料は現物給付体系(第115条〜116条)との整合が想定される。

本分類により、財産区分・費用負担・公共目的性の整理が容易になる。

第175条(宿舎の設置、維持及び管理)

趣旨宿舎を「誰が作るか」「誰が管理するか」を定義し、財政措置・責任主体を一義的にする規定。

解説1項:原則宿舎は財務大臣が設置する。

財務省に一元的に集約し、全国的な配置計画と財政効率を確保する構造。

現行国家公務員宿舎法とほぼ同じ枠組みだが、50法では公共組織法との接続を前提。

2項:例外(機関別宿舎)

例外的に、各公共機関の長が設置できる場合を列挙:

転用・交換・寄付の場合各機関が保有または受贈する建物を宿舎化するケース。

特定施設に多数の宿舎が必要な場合災害現場、警察・自衛力相当部門、医療・外交拠点など。

財務大臣の指定で機関別設置が可能。

3項:維持管理合同宿舎:財務大臣が維持管理機関別宿舎:各機関の長が維持管理明確な区分により責任の明確化・予算処理の透明性が確保される。

第176条(設置計画)

趣旨宿舎設置に関する中期計画性・予算便宜・需要調整を担保する条文。

解説1項宿舎設置は、必ず「設置計画」に基づかなければならない。

予算の透明性と公共インフラとしての安定性を確保。

2項各機関は毎年度、宿舎需要と計画要求を財務大臣へ提出する。

人事配置・任用状況(第80〜)との連動も想定。

3項財務大臣が全国需要を調整し、合同宿舎/機関別宿舎別に年間計画を確定。

予算成立後2か月以内に通知することで、年度前半に計画執行が可能となる。

この仕組みにより、公共機関間の宿舎需要の偏在や重複投資を防止する。

第177条(設置の方法)

趣旨宿舎の取得方法を網羅的に列挙し、財務・用地・建築の実務に即した柔軟運用を可能にする。

解説宿舎の設置方法は以下の6類型:

建設(造成含む)

購入交換寄付転用借受(賃借)

公共施設整備の一般的手法がすべて利用可能。

特に「転用・借受」を明記することで、空き家対策・地方拠点配置・短期需要への対応など柔軟性が高い。

都市部の住宅不足や地方の空き住宅活用など、国土政策とも親和性が高い規定になっている。

以下に 第178条〜第180条(公邸・無料宿舎・有料宿舎) の 逐条解説(原文忠実・平易・制度趣旨重視) をまとめて提示します。

あなたの公共職員法体系(現物給付・生計費基準・公共組織法)と整合する解説にしてあります。

【逐条解説|公邸・無料宿舎・有料宿舎】

第178条(公邸)

条文の目的国家の主要な意思決定者に対して、公務遂行・緊急対応・儀礼機能を保障するための公的居住施設として「公邸」を定める。

逐条解説1項:公邸の対象となる者以下の職が列挙され、いずれも国家レベルで常時の危機管理・政務遂行が必要な者である。

衆参両院の議長・副議長内閣総理大臣・国務大臣最高裁判所裁判官・検事総長会計検査院長、人事院総裁、内閣法制局長官、国立国会図書館長宮内庁長官・侍従長・在外公館の長いずれも「国家統治」「司法」「憲法機関」「皇室関連」「外交」の中枢。

公邸は単なる住宅ではなく、警備・応接・会議・儀礼の場を兼ねる公務施設。

2項:公邸の備品家具など必要備品を「無料」貸与。

私用目的のものは除く。

公邸の性質上、家具も「公務機能の一部」と扱われる。

制度趣旨危機管理(緊急指揮)

公務遂行の連続性国際儀礼・外交上の必要性警備上の合理性現物給付体系(第116条)とも整合し、「職務に伴う必要性」が明示されている。

第179条(無料宿舎)

条文の目的職務の性質上、勤務地近接が不可欠な職員に対し、無料で宿舎を提供する制度を定める。

逐条解説無料宿舎が必要となる職務は以下の性質を持つ:

【1号:非常勤務系】勤務時間外にも緊急対応が必要で、官署に極めて近い場所への居住が不可欠。

対象の例:

警察職員矯正職員(刑務所等)

入管職員医療職員(病院の常勤当直など)

消防職員自衛隊員防災担当職員いずれも 「24時間対応」「生命・財産保護」」が直接課せられ、時間的猶予がない職務。

【2号:継続業務系】研究施設、観測施設、災害監視、通信監視など「職務の継続性」「連続稼働」

が求められる。

【3号:へき地対応】山間地、離島など交通不便地域における官署勤務者宿舎制度は地方行政維持のライフラインになる。

【4号:管理責任者】官署の管理責任者で、施設・安全管理のため近接居住が必須。

例:

研究所長施設長大規模公共施設の管理官2項:給与の一部として扱う無料宿舎は「給与の一部」と明記。

現物給付体系(第116条の住居費相当)とのリンク。

宿舎が無料である代わりに、その分の基本給の住居費部分が調整され得る。

制度趣旨国民の生命・安全に直結する任務を中断なく遂行するため移動時間の削減による緊急対応力の確保過疎地域・特殊地域での行政維持職務必要性に基づく合理的給付

第180条(有料宿舎)

条文の目的公邸・無料宿舎以外の一般の公共職員に対し、公的住宅として有料で宿舎を貸与する制度を定める。

逐条解説有料宿舎が設置される条件は2つ:

【1号:職務上の合理性がある場合】例えば、勤務地が非常に高家賃地域(例:都心部)で、住宅費負担が過重となり任用確保が困難な場合あるいは公共事業のため一定地域に大量配置が必要な場合業務遂行の確保のための公的サポート。

【2号:住宅不足による支障防止】在勤地に民間住宅が極端に不足(離島・都市部等)

住宅の市場不足による採用・任用の困難を解決する機能。

宿舎の性質「無料宿舎」と違い、職務の必然性は低い。

公共経済の効率化のため、一定の家賃を徴収する。

家賃水準は現物給付基準(第116条)と整合的になる。

まとめ:三層構造の宿舎制度あなたの公共職員法では、宿舎制度を以下のように「職務必要性の強度」で分類している:

公邸国家中枢の職務遂行・儀礼・警備公的性が最も強く無料無料宿舎生命・安全・継続業務・へき地勤務職務遂行のため居住必須無料有料宿舎居住支援・事務運営のための任用確保有料この階層構造は、国連・OECD各国の公的住宅制度と整合的であり、国際基準とも比較しやすい。

以下に、第181条〜第182条(有料宿舎の使用料・使用義務)

の逐条解説(原文忠実・制度趣旨に沿った専門的解説)

をまとめて示します。

公共職員法全体(特に生計費=基本給体系、第116条現物給付体系、宿舎三層構造)との整合性を明確にしています。

【逐条解説|第181条〜第182条】

第181条(有料宿舎の使用料)

条文の趣旨有料宿舎は、給与(現物給付)ではなく、一般住宅に近い「居住支援制度」であるため、公的コストを適正に反映した使用料の徴収を定める。

無料宿舎(第179条)と異なり、職務必要性が必ずしも高くないため、使用料=一部公費負担+一部自己負担の建付けとなる。

1項:使用料の算定有料宿舎の標準使用料は以下のコストを基礎とする:

建設費用の償却額宿舎建設に投下された公費の回収を一定期間で見込むため。

修繕費長期使用に伴う維持費(屋根、外壁、水回り等)。

地代国有地・公有地でも、地価相応の利用価値を反映するため。

火災保険料公共財産の保全。

上記を基礎として、さらに:

居住条件(面積・構造・築年数・地域)

入居者の負担能力や市場家賃との均衡を考慮し、政令で算定式を定め、最終的な額は宿舎管理機関が決定する。

制度意義国有資産管理の適正化不当な低廉提供(いわゆる「官舎の特権化」)の防止民間住宅市場との均衡保持公費の透明性確保2項:日割計算入退去を月中で行った場合は 日割で精算。

課税上・給与控除上の公平性を確保するための規定。

3項:給与控除による徴収使用料は 報酬支給機関が給与から天引きし、管理者に送金する。

滞納防止と徴収事務の効率化を図る。

年金や社会保険料と同じ「給与天引き型」制度。

4項・5項:退去時の使用料と連帯債務退去決定日〜明渡期日までの使用料を入居者(又は同居者)が支払う。

同居者は連帯債務者。

単身赴任者・家族帯同等の複数形態を考慮し、「家族が残留して滞納する」事態を防ぐ規定。

第182条(宿舎の使用上の義務)

条文の趣旨宿舎は国有財産であり、税金で整備された公共資産である。

そのため、使用者には 管理責任・禁止行為・損害賠償義務を明確に課す。

1項:善管注意義務「善良な管理者の注意(善管注意義務)」

= 通常期待される一般的注意義務より高い水準。

職員としての身分上、国有財産を適切に使用する責任がある。

2項:禁止行為以下は禁止される:

第三者への又貸し(転貸)

公共住宅の私的流用・不正収益化の防止。

居住用以外の利用事務所・店舗・集会所等への転用を禁止。

管理者承認なき改造・模様替え等の工事国有財産の原状維持・安全確保のため。

3項:損害発生時の原状回復・損害賠償故意・過失による滅失・損傷・汚損があれば、即時に原状回復又は損害賠償。

ただし、重大な過失がない限り火災の場合は適用しない。

国の宿舎制度が火災保険・公的補償と整合しているため。

4項:同居者の連帯責任使用料債務(前条)に加えて、禁止行為・原状回復・損害賠償についても同居者全員が連帯責任。

家族や第三者滞在による不正・損害を防止するための規定。

制度全体の位置付け第173条〜180条で定めた宿舎制度のうち、公邸無料・儀礼機能無料宿舎無料・職務必要性有料宿舎有料・居住支援本条181〜182条は 「有料宿舎」の民間住宅に近い使用者義務を法律として明確化している。

とくに:

公費投入に対する適正負担使用料に償却・修繕・地代を組み込む国際公務員住宅制度(UN Staff Housing)とも整合国有財産の保全善管注意義務・禁止行為・原状回復徴収実務の円滑化給与天引き方式あなたが構築している 「公共経済の透明性(ブロックチェーン公開)」 とも相性が良く、宿舎管理台帳を電子化する際に、この条文をそのまま手続基準にできます。

以下に、第183条〜第184条(宿舎の修繕費・明渡し)

の逐条解説(原文忠実・制度趣旨・行政実務の観点を含む)

をまとめました。

あなたの公共職員法の体系(生計費=基本給・現物給付・宿舎三類型・公共経済の透明化・国際比較)に整合するように構造化してあります。

【逐条解説|第183条〜第184条】

第百八十三条(宿舎の修繕費等)

条文の趣旨宿舎制度における 修繕費・光熱水費の負担主体を明確化し、公邸(儀礼・外交・常時待機性を含む)、無料宿舎(職務必要性型)、有料宿舎(居住支援型)

という三分類ごとに、適切な負担の区分を設定する規定。

宿舎の性質に応じて、公費負担の範囲を法定して透明性を担保するという制度趣旨がある。

1項:公邸の修繕費・光熱費は全額公費負担公邸の特性は以下の3点:

公務遂行に不可欠な儀礼機能・執務機能を兼ねる首相官邸などは会議・外交儀式を実施。

24時間対応の危機管理拠点非常時の即応能力を確保。

公的利用部分と私的居住部分を峻別し難い基本的に一体管理。

よって、修繕費(建物・設備)、電気・水道・ガスなどの光熱水費、は国が全額負担とされる。

※国際基準(例:UN、G7各国の首脳公邸)でも「国家機能の一部」扱いで全額公費負担が一般的。

2項:無料・有料宿舎の天災・経年劣化等は公費負担次の場合は被貸与者の責任なしとして、国が修繕費を負担:

天災(地震・台風・豪雨等)

経年劣化(時の経過)

その他不可抗力これは、無料宿舎・有料宿舎が 職員の生活基盤=人事政策の一部であることから、通常想定される範囲の損傷は公費で負担するという考えによる。

ただし書:軽微な損傷は除外軽微な損傷(汚れ、軽度破損、清掃で解決できるもの)は通常の生活使用の範囲で入居者が負担とする。

第百八十四条(宿舎の明渡し等)

条文の趣旨宿舎は「職務遂行のための施設」であり、居住資格が失われた場合には速やかに明渡す義務を明確化した規定。

ただし、突然の生活破綻を防ぐため、退去猶予期間(条件付き延長)

を法定し、日本の社会保障的な優しさを維持している。

1項:明渡しを要する5つの事由以下の場合、20日以内に退去が原則:

一 職員でなくなったとき任用・採用の基礎がなくなるため。

二 死亡したとき同居者が20日以内に退去。

三 転任・配置換・官署移転等で居住資格を失う場合その宿舎の「職務必要性」基準が消失。

四 公共組織運営上の必要により先順位者が生じたとき無料宿舎では典型(例:緊急配備を要する職種)。

五 宿舎の廃止が必要となったとき老朽化・民間売却・統廃合など。

ただし書:合理的事由があれば延長可公邸・無料宿舎最長 2ヶ月延長有料宿舎最長 6ヶ月延長延長は以下を考慮して付与される:

新居探しの難易度家族構成当該地域の住宅供給状況転任の急性災害・医療上の事由 等有料宿舎のほうが延長期間が長いのは、職務必要性が弱い=生活基盤に近いため。

2項:管理規程に違反し、是正しない場合は即時明渡し違反例:

無断転貸事務所・商用利用無許可の大規模模様替えゴミ放置などで衛生・防火に重大な支障管理者の立入検査の拒否管理機関が「期限付き是正要求」を出し、それに従わない場合は 即時明渡し。

3項:明渡し拒否への損害賠償金明渡期日の翌日〜退去日までの期間について、政令で定める損害賠償金を支払う義務を負う。

損害賠償金は通常:

宿舎の使用料に一定倍率をかけた金額不正占有により入居できなかった後順位者への損害管理機関の追加コストなどを基礎に算定される。

制度全体の位置付け(あなたの法体系基準)

生計費(基本給)+現物支給(宿舎)の関係

第115条(基本給)は「実費支給モデル」で生計費をカバー。

第116条(現物支給)は「無償提供型」。

本章の宿舎制度は、第116条の現物給付体系の具体化。

現物支給を受けた場合は基本給減額(115条6項)と整合。

国際公務員との比較制度要素日本(本法案)

国際公務員(UN・国際機関)

公邸全額公費全額公費(同じ)

無料宿舎職務必要性型Field mission housing と同じ有料宿舎原価償却+実費Cost-recovery model と整合退去期限20日+延長30日〜60日+延長延長幅2ヶ月/6ヶ月1〜6ヶ月損害賠償金法定・政令で算定“Overholding penalty” と同じ国際的に見ても非常に整った制度構造。

以下に、第185条〜第191条(費用区分/宿舎登録/選定/同居承認)

逐条解説(原文忠実・制度趣旨・行政実務)

をまとめてお渡しします。

【逐条解説|第185条〜第191条】

第百八十五条(費用及び使用料の所属区分)

趣旨宿舎の設置・維持に要する費用(建設費・修繕費等)および有料宿舎の使用料の帰属先を明確化し、どの会計に属するかを固定するための財政規律条文。

宿舎は、公邸・無料宿舎・有料宿舎を問わず「公共組織の資産」であるため、財源の不明確さを排し、財務会計上の透明性を確保する。

実務上の意味ある宿舎が「一般会計」か「特別会計」かを明確にする修繕費・光熱費・維持費の負担を一元管理使用料収入(有料宿舎)を適切に会計処理し、目的外使用を防ぐ公共組織法体系では、現物給付は職員給与(生計費)の一部であり、費用所属の明確化により給与構造全体の透明化が図られる。

第百八十六条(宿舎の現況に関する記録)

趣旨宿舎の維持管理機関に、現況(構造、老朽度、空室・入居状況、面積等)の記録義務を課す条文。

これは、宿舎を公共施設として適切に把握し、修繕建替え廃止配置換え災害時利用などの計画基礎とするための規定。

実務上の意味現況記録には以下が含まれる:

建築年・構造・延床面積耐震性能・設備状態修繕履歴空室率入居者情報(宿舎管理簿と連動)

災害時の利用可否バリアフリー状況これらのデータを常時更新することで、宿舎費用の適正化・政策判断の精度向上につながる。

第百八十七条(宿舎登録)

趣旨職員が希望する宿舎を「宿舎管理簿」に登録し、貸与希望の意思表示を制度化する条文。

宿舎貸与は希望制であり、勝手に割り当てられるのではなく、職員の申請に基づくという思想に立っている。

1項:登録できる職員は、宿舎管理簿に希望宿舎を登録することで、「貸与候補」として扱われる。

2項:同一宿舎の登録は任用終了後30日まで任用終了後いつまでも登録を残して権利を保持することを防ぎ、公平性を担保する規定。

3項:重複登録不可。ただし順位付けは可「複数宿舎を同時に権利保持する」ことは不可ただし、希望順位(第1希望、第2希望…)の設定は可能これにより、選定の透明性と効率性が高まる。

第百八十八条(登録通知)

趣旨登録したことを職員に通知し、登録状態を本人が把握できるようにする規定。

2項:登録解除すると住居費相当額を基本給から減額意義は次のとおり:

宿舎貸与は給与(現物給付)と一体の制度宿舎登録期間中は「住居費相当」が給与内で調整されている登録解除実質的に「住宅支給対象でなくなった」扱いよってその期間に応じて基本給(生計費部分)を調整あなたの制度体系(115条6項:現物給付時は基本給減額)に完全一致する。

第百八十九条(宿舎管理簿)

趣旨宿舎貸与状況を記録する「宿舎管理簿」を公共機関の長の責任で整備する規定。

登録簿(職員側)と管理簿(機関側)が対をなし、貸与の公平性・透明性を高める仕組み。

2項:使用職員の情報を記載通常記載される情報:

氏名・職名・所属家族構成(住居面積割当の参考)

緊急連絡先入退去日使用料・延滞状況同居者承認状況施設点検結果(必要に応じ)

宿舎制度は個人情報を扱うため、管理簿は厳格なセキュリティの下で管理される。

第百九十条(宿舎を貸与する者の選定)

趣旨複数の職員が同じ宿舎を希望した場合の選定基準を定める規定。

原則は「職務必要性の高い者を優先」。

公平性を失わず、機関運営を妨げない選定を担保する。

1項:職務必要性が最優先例:無料宿舎では典型警察・矯正・消防・自衛隊の宿直・非常勤務者研究施設で24時間待機が必要な研究員在外公館・隔絶地勤務公共目的に直結している者を最優先とする。

2項:1項に該当しない場合は「公平に」

公平とは:

勤続年数家族状況通勤困難度生活状況(高齢・障害等)

人員配置の公平性などによる複合的判断。

任命権者の裁量に偏りすぎないよう、透明な決定過程が必要。

第百九十一条(同居の承認)

趣旨宿舎は「職員とその生計を維持する者」を基本とするため、職員以外の者が同居する場合は事前承認制とする規定。

無断同居(特に有料宿舎)は全国で問題となるため、防止策として明文化している。

1項:申請内容以下を記載した申請書が必要:

氏名年齢職業同居理由同居期間その他参考事項承認の基準は、生活の安定性防犯・防火上の安全施設容量他の入居者への影響不適切利用の防止など。

海外勤務の場合は、家族帯同の可否現地治安公館スペースの広さなども判断材料。

全体の制度位置付け(あなたの法案体系)

宿舎制度=給与制度の一部職員の生活を安定させるための制度現物支給であり、基本給との調整が行われる配偶者・家族の生計維持まで含めた総合制度国際比較項目本法案UN・国際機関宿舎登録制明確な登録順位同居承認制厳格(申請必須)

必須(security rule)

選定基準職務必要性優先管理簿各機関で整備Duty station adminが整備本法案は国際公務員制度と整合性が高い。

以下に 第十一章「研修」第192条〜第194条の逐条解説(原文に忠実) をまとめてお渡しします。

簡潔ながら制度趣旨・行政運用を正確に押さえています。

【逐条解説|第十一章 研修】

第百九十二条(研修の根本基準)

1項(研修の目的)

職員研修の目的を以下の三点として明確化する条文。

現在の官職の職務遂行に必要な知識・技能を習得将来任せることが見込まれる官職への準備能力と資質(判断力・倫理・統治能力など)の向上これは、日本の旧人事院規則・国家公務員法の研修理念を継承しつつ、キャリア構造がプロジェクト制へ移行する公共組織法体系に適合させた根本規範である。

勉強や知識のみではなく、業務能力・人格的適性・公共的倫理まで含めた広い概念で定義する点が特徴。

2項(政令事項)

研修を実施するための詳細事項(方式・期間・科目・評価等)は、法律に定めのあるものを除き、政令で定める。

ただし政令制定にあたっては、人事院の意見聴取が必須とされており、公務員全体の人材育成方針との整合プロジェクト任用制度との調和職能給制度との連続性を確保する仕組みとなる。

3項(人事院・内閣総理大臣の責務)

研修の質保証のため、人事院と内閣総理大臣に「調査研究と改善」の継続的義務を課す規定。

人事院:全省庁横断の研修体系内閣総理大臣:行政運営全般に関わる研修体系(公共組織法の中核)

両者は調査に基づき、最新の行政需要・社会科学の知見・AI導入状況などに応じて研修内容を改訂する責務を負う。

この条文は、研修制度が固定的でなく「進化する制度」であることを明示している。

第百九十三条(研修の受講)

1項(採用後・任用内定後の研修義務)

職員は、採用決定後と任用の内定後において、公共組織・公共機関が定める初任者研修・任用研修を必ず受講しなければならない。

本法体系では、任用が「プロジェクト」単位能力・職務適合性を研修で担保という構造のため、任用前研修の法的義務化は合理的である。

2項(研修=職務扱い)

研修を「職務」として扱う規定。

意味は:

研修時間は勤務時間として扱われる研修期間中は給与・社会保障・任用時間が発生する研修受講は「勤務義務の履行」

であり、研修は「公務の一部」として制度的に定義される。

これにより、採用初期の研修負担が個人の無償労働にならず、労働法・公務員法・勤怠制度との齟齬を防止する。

第百九十四条(研修計画)

1項(研修は計画的に実施)

職員研修は、各公共組織・公共機関が研修計画(年度・中期・キャリア別)を策定して行うことを義務化する条文。

研修は場当たり的に行うものではなく、初任研修専門研修管理職研修公共倫理研修AI・デジタル研修国際行政研修などを含む体系的な構造にする必要がある。

2項(人事院の監視)

人事院は、研修計画の策定・実施について監視権限を持つ。

監視とは:

計画の妥当性審査内容が根本基準に適合するかの検証実施状況のチェック必要があれば改善指導を含む。

中央の研修基準を保ちつつ、機関ごとの裁量性を残すバランスの取れた制度設計。

【全体像:第十一章「研修」の位置づけ】あなたの公共職員法体系では、研修は次の3つの役割をもつ。

公務の質保証研修を職務とし、計画・監視を義務化することで、行政の質を制度的に維持する。

キャリア形成のコア職能給(117条)や職務給と直結し、職能履歴簿(117条4項)と連動する。

つまり研修は評価給与任用プロジェクト適合性をつなぐ核心。

共通試験法との連結学修ポイント(118条)

学修休暇(163条)

電子基礎所得(119条)

学修履歴研究活動と自然に結びつく。

「行政職が学習し続ける文化」を法制度で担保する設計。

以下に 第十二章「附則」第195条〜197条の逐条解説(コンパクト/制度趣旨に忠実) をまとめてお渡しします。

あなたの公共職員法の核心的改革(期末勤勉の月例化・退職手当廃止・宿舎制度移行)の意図が一枚で読めるよう構成しています。

【逐条解説|第十二章 附則】

第百九十五条(期末手当・勤勉手当の月例化)

1項 施行後5年間は「月例化」

現行制度の「期末手当(ボーナス)」と「勤勉手当(公務員賞与)」を、施行後5年間は「恒常給」として毎月の給与に組み込む規定。

狙いは三つ:

給与の平準化(賞与依存からの脱却)

家計予見可能性の向上(毎月安定)

公共職員の成果連動排除の原則(112条)と整合興行的な「賞与風」制度を徐々に消す。

2項 算定基礎月例化の額は、施行前年度の平均支給月数(期末+勤勉)

を基礎に平準化する。

例:44ヶ月毎月 44/12ヶ月分 を基本給に上乗せ。

第百九十六条(退職手当の廃止と割戻し)

1項 施行10年後に退職手当を廃止退職手当(退職金)制度を、施行10年後に全面廃止。

これを代替して、在職中に積み立ててきた退職手当相当額を「割戻額」=月例給与へ加算して支給する。

つまり、退職金を後払い型から、生涯賃金に組み込む「前払い型の基本給化」

へ転換する規定。

これにより:

組織間異動の制約(退職金の不利)がなくなるプロジェクト型任用体系と整合する短期任用者も公平に受け取れる透明な給与制度へ移行という効果がある。

2項 割戻額の技術的算定は人事院規則対象:

在職年数退職手当相当の積算月額換算基準支給開始タイミングを 人事院規則で詳細化する仕組み。

3項 既受給者への配慮施行前に退職手当を受けた人は、従前通りで不利益なし。

第百九十七条(経過措置)

宿舎制度・研修制度・月例化・退職手当廃止という複数の大改革を「混乱なく適用」するための重要条項。

順にわかりやすくまとめる。

1項 既存宿舎の「みなし承継」

施行時点で存在する宿舎(公邸・無料・有料を含む)は、新法の宿舎として扱う。

管理権限も新組織に承継される。

2項 貸与条件は施行後1年まで旧法を維持既存の住人について:

使用料設備同居承認その他待遇は 最長1年間、従前の例を適用可能。

急激な負担増や制度変更を回避するための移行措置。

3項 旧貸与者は「延長承認」を受けられる施行前から住んでいた者は、旧条件が変わるまでの間、新184条但書の「延長承認」を受けられる延長期間は、合理的な移転・交渉期間を考慮4項 施行日以前の宿舎手続は旧法で完結手続中の建設・購入・借受・交換・寄附などは「旧法で処理」。

ただし施行日以後の管理・使用料は新法適用。

5項 旧記録は「宿舎管理簿」として利用可能名簿や台帳などは暫定的に使用可6ヶ月以内に新法準拠へ統一6項 旧貸与申請は「新法の登録」とみなす旧制度の「申請」は、新法187条の『宿舎登録』扱いとなる。

7項 使用料・区分変更は2年間で段階適用施行に伴う各種変更(区分や使用料算定)が、住んでいる人に不利益な場合は、最長2年間の段階的適用政令で詳細を定める8項 研修は開始した分は旧法で完走施行前に始まった研修は旧基準で修了させる。

ただし、新法に適合する部分は新法を適用してよい。

9項 期末勤勉手当/退職手当廃止の移行期末勤勉5年間で段階的月例化退職手当10年間で段階的縮小・月例化これを 人事院規則で技術的に実施。

10項 その他必要な経過措置=政令委任全体の施行に伴う細目は政令で補完する。

【附則全体の制度的意義】あなたの公共職員法制度の附則は、単なる経過措置ではなく、「日本の公務員制度を給与面から根本改革する構造転換条項」

として位置づけられる。

とりわけ:

賞与廃止完全月例化

退職手当の廃止退職金の賃金化

宿舎制度を「国家インフラ」として再編

研修制度も「プロジェクト型公共人材」の基盤として再構築これら全てを5年・10年・1年・2年など丁寧な「段階移行設計」で滑らかに実施非常に高度な制度設計になっている。

必要であれば作成できます附則の図表(5年・10年のロードマップ)

旧法新法の対応整理(宿舎・給与・退職金)

人事院規則案(期末勤勉月例化、退職金割戻し)

国会提出用の「附則解説資料(A4・2ページ)」

B5三段組の同人誌レイアウト向け解説どれを次に作りましょう?2555+0900