(目的)
第一条 この法律は、国籍、永住権及び市民権その他の公共資格に関し、その取得、喪失及び管理並びに外国人の出入国及び在留に関する基本的事項を定め、もって人の移動の自由及び公共資格の保障を通じ、国際社会における相互理解及び公共の福祉の増進に資することを目的とする。
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(目的)
第一条 この法律は、国籍、永住権及び市民権その他の公共資格に関し、その取得、喪失及び管理並びに外国人の出入国及び在留に関する基本的事項を定め、もって人の移動の自由及び公共資格の保障を通じ、国際社会における相互理解及び公共の福祉の増進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において使用する用語の意義は、次の各号に掲げるところによる。
一 公共資格 国家又は地方公共団体が法令に基づき人に付与する公的な地位をいう。
二 永住権 居住期間その他の条件にかかわらず日本国内に無期限に在留することを許される地位をいう。
三 市民権 永住権を有する者であって、地方公共団体の選挙及び公務への参加に関する権利を有する地位をいう。
四 国籍 日本国民たる資格をいう。
五 外国人 国籍を有しない者又は日本国以外の国籍を有する者をいう。
六 共通試験 公共資格の取得又は更新に際し、知識、技能、社会的適合性その他の要素を評価するために行われる国家的評価制度をいう。
(基本理念)
第三条 公共資格に関する制度は、すべての人が法の下に平等に取り扱われ、出身、国籍、性別、信条その他いかなる理由によっても不当な差別的取扱いを受けないことを基本とする。
2 公共資格の付与及び喪失は、個人の人格、能力及び社会的貢献を尊重し、公正かつ透明な手続により行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国及び地方公共団体は、公共資格に関する施策を総合的に推進し、資格の取得及び在留に関する手続の簡素化並びに外国人及び国民相互の理解増進を図るよう努めなければならない。
2 国は、国際的な人の移動及び協力に関する施策を計画的に実施し、国際的責務を果たすよう努めるものとする。
(個人の責務)
第五条 公共資格の取得を希望する者は、法令を遵守し、我が国の社会、文化及び法秩序を尊重するとともに、共通試験その他の審査に誠実に応じなければならない。
2 国民は、外国人その他の公共資格者が我が国社会の構成員として円滑に生活し得るよう相互に理解と協力に努めなければならない。
(他の法令との関係)
第六条 この法律に定める事項については、他の法律に特別の定めがある場合を除き、この法律による。
2 国籍、永住権、市民権、在留及び出入国に関する他の法令の規定は、この法律の趣旨に反しない限り、これを準用する。
(公共資格の体系)
第七条 公共資格は、永住権、市民権及び国籍の三に区分される。
2 これらの資格は、取得又は喪失に応じて相互に移行することができる。
(永住権)
第八条 永住権は、外国人が日本において無期限に居住し、就労及び社会的活動を行うことを許される地位とする。
2 永住者は、教育、職業、居住及び社会保障に関して国民と同等の待遇を受ける。
3 永住権は、共通試験及び一定の居住要件により付与され、その喪失又は取消しは、本人の意思による放棄、刑事罰による資格喪失又は虚偽申請その他政令で定める事由による。
(永住権の特例)
第九条 人道上の理由又は特別の貢献がある外国人については、前条第3項の要件を緩和して永住権を付与することができる。
2 人道上の理由とは、難民認定、災害避難又は国際的保護を必要とする事由をいう。
3 特別の貢献とは、科学技術、文化、芸術、経済又は公共奉仕の分野において顕著な功績を有することをいう。
(市民権)
第十条 市民権は、永住権を有する者であって、地方公共団体の選挙における選挙権及び被選挙権並びに公務への参加に関する資格を付与された地位をいう。
2 市民権は、国政における選挙権及び被選挙権を除き、国民と同等の権利を保障する。
3 市民権の付与は、共通試験の高位評価及び居住年限その他政令で定める要件を満たしたときに行う。
(市民権の権利及び義務)
第十一条 市民は、次に掲げる権利を有する。
一 地方公共団体の長及び議会議員の選挙において投票し、又は立候補する権利
二 地方公共団体の公務に参加する権利
三 公共施設及び教育の利用に関して国民と同等の待遇を受ける権利
2 市民は、地方税その他地方公共団体の負担に関し国民と同等の義務を負う。
(市民権の喪失)
第十二条 市民が次の各号のいずれかに該当するときは、その市民権を喪失する。
一 自らの意思により市民権の放棄を届け出たとき。
二 日本国外に継続して五年以上居住したとき。
三 刑事罰により永住権を喪失したとき。
四 その他政令で定める重大な公的義務違反をしたとき。
(国籍)
第十三条 国籍は、日本国民たる資格をいう。
2 国籍は、出生、準拠血統、帰化又は共通試験による統合審査に基づいて取得する。
3 国籍の取得及び喪失の手続は、別に定める。
(国籍の喪失)
第十四条 日本国民は、次の各号のいずれかに該当するときは、その国籍を喪失する。
一 自己の志望により外国の国籍を取得したとき。
二 外国の公務に就き、かつその地位が我が国の利益に反すると認められるとき。
三 外国の軍隊に在籍し、又はこれに協力したとき。
四 その他政令で定める場合。
(国籍及び公共資格の回復)
第十五条 国籍又は公共資格を喪失した者は、共通試験その他政令で定める要件を満たしたときは、法務大臣の認可を受けてこれを回復することができる。
2 国籍を喪失した者が回復を申請する場合において、その者が出生により日本国民であったときは、特に簡易な手続により行うものとする。
(資格の取得)
第十六条 公共資格は、次の各号のいずれかの方法により取得する。
一 出生又は準拠血統による取得
二 共通試験又は統合審査による取得
三 帰化による取得
四 認定又は特例付与による取得
2 前項第二号の「共通試験による取得」とは、共通試験法の定める学修・職能・社会適合性評価に基づき、資格認定委員会の審査を経て行うことをいう。
(資格の承認及び登録)
第十七条 公共資格の取得は、法務大臣の承認を受け、その登録がなされたときに効力を生ずる。
2 登録は、公共資格台帳に記録し、電子的方法その他政令で定める方法により行う。
3 公共資格台帳は、国籍、永住、市民の区分に応じて整理し、本人にその写しを交付する。
(資格の変更)
第十八条 公共資格を有する者は、その資格の区分又は内容を変更しようとするときは、法務大臣に申請しなければならない。
2 申請は、共通試験その他政令で定める方法により行う。
3 法務大臣は、当該申請が国の安全及び公の秩序を害しないと認めるときは、資格変更を承認するものとする。
(資格の喪失)
第十九条 公共資格を有する者が次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を喪失する。
一 自らの意思により資格を放棄したとき。
二 死亡したとき。
三 刑事判決その他政令で定める事由により資格喪失の宣告を受けたとき。
四 虚偽又は不正の手段により資格を取得したことが判明したとき。
五 外国の国籍又は同等の公共資格を取得し、かつ二重資格が禁止される場合。
六 その他国際刑事裁判所判決その他国の安全又は公共の福祉に著しく反する行為をしたとき。
(資格の回復及び再認定)
第二十条 公共資格を喪失した者は、次の各号のいずれかに該当するときは、その資格の回復を申請することができる。
一 喪失事由が解消したとき。
二 刑期の終了又は刑の執行猶予期間が満了したとき。
三 再度共通試験その他政令で定める要件を満たしたとき。
2 法務大臣は、前項の申請が相当であると認めるときは、当該資格を再認定するものとする。
3 資格回復の申請は、喪失後十年以内に限り行うことができる。
(共通試験の位置づけ)
第二十一条 共通試験は、国籍、永住権、市民権及び就労資格その他の公共資格の取得又は更新に際し、個人の知識、技能、言語能力、社会的適合性及び公共倫理に関して総合的に評価を行う国家的評価制度とする。
2 共通試験は、共通試験法の定めるところにより実施する。
3 本法に基づく資格の認定又は変更は、当該試験の評価結果に基づいて行う。
(試験区分)
第二十二条 共通試験は、その目的に応じて、次の各号に掲げる区分により実施する。
一 基礎試験 教育及び言語能力に関する評価
二 社会試験 納税、法令遵守及び社会貢献に関する評価
三 専門試験 職能、技能及び専門的知識に関する評価
四 公共試験 公共倫理、法秩序及び民主的価値に関する評価
五 総合審査 前各号の結果を総合し、資格の適性を判断する審査
2 共通試験の各区分は、資格の種別に応じて加重配点その他政令で定める方法により評価する。
(実施機関)
第二十三条 共通試験は、共通試験庁が実施し、その管理及び結果の認証は法務大臣が行う。
2 共通試験庁は、文部科学大臣、法務大臣及び総務大臣の共同所管とする。
3 共通試験庁の組織、権限及び運営に関し必要な事項は、別に法律で定める。
(受験資格)
第二十四条 共通試験を受けることができる者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
一 日本に居住し、又は居住を希望する者
二 国籍又は永住権を有し、資格の更新又は上位資格の取得を希望する者
三 国外において日本への居住又は就労を予定する者で、共通試験庁長が認めたもの
2 共通試験の受験は、年齢、性別、国籍その他の属性によって制限されない。
(評価及び認定)
第二十五条 共通試験の結果は、百分率又は段階評価により示し、合否の区分を設けない。
2 法務大臣は、前項の評価結果に基づき、公共資格の認定又は更新を行うものとする。
3 共通試験の評価は、試験実施日から五年間有効とする。
(再受験及び評価更新)
第二十六条 共通試験を受験した者は、前回の評価結果にかかわらず、何度でも再受験することができる。
2 前回より高い評価を得た場合は、その評価を新たな認定基準とする。
3 評価結果は、学修ポイントとして共通試験法に定める情報システムに登録する。
(不服申立て及び再審査)
第二十七条 共通試験の評価又は資格認定の結果に不服がある者は、試験結果の通知を受けた日から三十日以内に再審査を申し立てることができる。
2 再審査は、共通試験庁に設ける独立審査委員会が行う。
3 再審査の決定に不服があるときは、行政不服審査法によることができる。
(資格付与の特例)
第二十八条 法務大臣は、共通試験の全部又は一部を免除し、公共資格を付与することができる場合を、次の各号に掲げるとおりとする。
一 人道上の理由により国籍、永住権又は市民権の付与が適当と認められるとき。
二 国際的功績又は科学、文化、芸術、経済等における顕著な貢献があるとき。
三 国際条約その他特別の法令に基づくとき。
2 前項により資格を付与した者については、共通試験の一部免除理由及び根拠を公示しなければならない。
(公共資格台帳)
第二十九条 公共資格に関する事項を登録し、これを一元的に管理するため、法務省に公共資格台帳を置く。
2 公共資格台帳は、国籍、永住権、市民権及び就労資格の別に区分して整理するものとする。
3 公共資格台帳は、本人、法定代理人又は正当な利害関係を有する者に限り、閲覧又は写しの交付を請求することができる。
4 公共資格台帳の管理に関する技術的基準その他必要な事項は、法務省令で定める。
(電子証明)
第三十条 公共資格の登録に係る証明は、電子証明書の交付により行う。
2 電子証明書は、本人確認及び資格の真正性を証するものであり、安全な暗号技術により発行する。
3 公共資格を有する者は、電子証明書の写しを提示することにより、法令上の資格確認を行うことができる。
(資格の更新)
第三十一条 公共資格の有効期間は、次の各号に定めるところによる。
一 永住権及び国籍 無期限
二 市民権 十年
三 就労資格 五年
2 市民権及び就労資格を有する者は、期間満了前に更新申請を行わなければならない。
3 更新申請は、共通試験の評価及び社会適合性の確認に基づき行うものとする。
4 法務大臣は、更新に際して国の安全又は公共の福祉を害するおそれがあると認めるときは、更新を拒否することができる。
(資格の監督)
第三十二条 法務大臣は、公共資格の適正な行使を確保するため、資格者の行為又は活動が法令又は公共の秩序に反すると疑うに足る相当の理由があるときは、報告又は資料の提出を求めることができる。
2 前項の報告又は資料提出を拒み、又は虚偽の報告若しくは資料を提出した者は、五十万円以下の過料に処する。
3 法務大臣は、資格者の行為が国の安全又は公共の秩序を著しく害すると認めるときは、警告、資格停止又は取消しの措置をとることができる。
(資格の取消し)
第三十三条 法務大臣は、公共資格者が次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を取り消すことができる。
一 虚偽又は不正の手段により資格を取得したことが判明したとき。
二 資格に付された条件に違反したとき。
三 国の安全又は公共の秩序を著しく害する行為をしたとき。
四 更新手続において不実の申立てをしたとき。
五 その他政令で定める場合。
2 資格の取消しにあたっては、当該資格者に弁明の機会を与えなければならない。
3 取消処分に不服がある者は、行政不服審査法による審査請求をすることができる。
(資格証明書の返納及び抹消)
第三十四条 公共資格を喪失し、又は取消しを受けた者は、その資格証明書又は電子証明書を速やかに返納しなければならない。
2 法務大臣は、前項に該当する者について公共資格台帳の記録を抹消するものとする。
3 正当な理由なく返納を怠った者は、二十万円以下の過料に処する。
(国際協力の基本原則)
第三十五条 国及び地方公共団体は、国際社会における人の自由な往来及び資格の相互承認を促進するため、国際協定その他の国際的枠組の形成に努めるものとする。
2 国は、出入国の管理及び公共資格の制度運用に当たり、国際人権法、難民条約及び関係国際約束の趣旨を尊重しなければならない。
3 公共資格の運用は、国際社会の信頼及び平等の原則に基づき行われるものとする。
(外国政府との連携)
第三十六条 法務大臣は、外国政府又は国際機関と協定その他の国際的枠組に基づき、公共資格に関する情報の交換、身分確認及び相互承認を行うことができる。
2 前項の協定は、外交上の安全及び個人情報保護を確保する措置を講じなければならない。
3 法務大臣は、公共資格に関する国際的な調査及び統計を作成し、外務大臣と協議して公表するものとする。
(資格の相互承認)
第三十七条 法務大臣は、外国の政府又は国際機関との間で、公共資格の相互承認又は一部承認に関する取決めを締結することができる。
2 前項の承認を受けた外国人は、政令で定めるところにより、共通試験の一部を免除される。
3 相互承認の効力は、当該国又は機関が我が国に対し同等の取扱いを与える場合に限り有効とする。
(在外公館における手続)
第三十八条 日本国外に在る日本国大使館、総領事館その他の在外公館は、公共資格に関する申請、登録、証明その他の事務を取り扱うものとする。
2 前項の手続に係る資料は、電子的に公共資格台帳と連携して処理するものとする。
3 在外公館は、外国人又は日本国民の申請に対し、必要な助言及び支援を行うものとする。
(国際的な救済及び協力)
第三十九条 国は、外国における日本国民及び公共資格者の保護のため、必要な救済措置を講ずるものとする。
2 国は、外国に居住する日本国民及び公共資格者に対し、国際人権保障、社会保障及び教育機会の確保について、関係国政府及び国際機関と協力しなければならない。
3 前二項に基づく協力に関し必要な経費は、国が負担する。
(就労資格Wの創設)
第四十条 この法律において「就労資格W」とは、外国人その他国籍を有しない者が日本国内において有償の職務に従事することを認める公共資格をいう。
2 就労資格Wは、職務の内容、技能水準又は報酬の額によって区分しない。
3 就労資格Wを有する者は、法令に別段の定めがある場合を除き、いかなる業種及び職場においても就労することができる。
(段階と要件)
第四十一条 就労資格Wは、次の三段階に区分する。
一 W-基礎段階(日本語・生活適応・就業基礎)
二 W-熟練段階(職能・技能・公共倫理)
三 W-高度段階(指導・経営・専門職)
2 各段階への認定又は移行は、共通試験の評価結果及び就労履歴に基づき、法務大臣が行う。
3 各段階は、共通試験法に定める学修ポイントに連動するものとする。
(転職及び活動の自由)
第四十二条 就労資格Wを有する者は、職種、地域又は雇用主の変更により、当該資格を失うことがない。
2 法務大臣は、就労資格W者の雇用状況を把握するため、労働行政機関及び地方公共団体と連携して必要な情報を共有することができる。
3 就労資格W者は、正当な理由なく雇用を拒否されたときは、労働委員会又は法務大臣に救済を申し立てることができる。
(報酬及び手数料)
第四十三条 就労資格W者の報酬は、同一地域・同一職務に従事する日本人労働者の平均報酬を下回ってはならない。
2 就労資格Wの取得、更新又は移行に関して、仲介、紹介その他の名目で手数料を徴収してはならない。
3 前項に違反して手数料を徴収した者は、百万円以下の罰金に処する。
(職能コード及び評価)
第四十四条 共通試験庁は、就労資格Wに関し、職務内容及び技能水準を示す職能コードを策定し、公表する。
2 職能コードは、国際標準職業分類及び日本標準職業分類に準拠するものとする。
3 就労資格W者の評価は、職能コードに基づいて行う。
(家族帯同及び社会参加)
第四十五条 就労資格W者は、その配偶者及び未成年の子を帯同することができる。
2 帯同家族は、教育、医療及び社会保障に関して、日本国民と同等の権利を有する。
3 法務大臣は、就労資格W者及びその家族の地域社会への適応を促進するため、地方公共団体と協力して社会参加支援を行う。
(市民権への接続)
第四十六条 就労資格W-を有する者で、次の各号のいずれにも該当する者は、市民権の付与を申請することができる。
一 通算十年以上日本に居住していること。
二 共通試験において市民水準以上の評価を受けていること。
三 納税及び法令遵守の実績を有すること。
四 公共の福祉に反しないこと。
2 法務大臣は、前項の要件を満たす者に対し、市民権を付与することができる。
3 前二項の手続及び審査方法は、政令で定める。
(市民権の効力)
第四十七条 市民権を有する者は、次に掲げる権利及び義務を有する。
一 選挙権及び被選挙権を除くすべての公権参加権
二 社会保障、教育及び医療に関する平等の権利
三 地方公共団体における住民投票及び公聴会への参加権
四 租税及び社会的負担に関する義務
2 市民権は、国籍の有無にかかわらず公共資格として法的効力を有する。
(特定技能等の廃止及び読み替え)
第四十八条 この法律の施行により、次に掲げる制度は廃止する。
一 技能実習制度
二 特定技能制度
三 その他これに準ずる外国人就労制度
2 これらの制度に基づき在留する者は、施行の日において就労資格W-を有するものとみなす。
3 施行後、法務大臣は、前項に基づく移行措置を三年間の経過期間内に完了しなければならない。
4 経過期間内における旧制度下の在留資格者に関しては、当該資格の有効期間の満了日まで従前の例によることができる。
5 前各項の移行措置に関する具体的手続は、附則において定める。
(外国人の入国)
第四十九条 外国人が日本に入国しようとするときは、旅券及び必要な資格証明を所持し、政令で定める出入国港において法務大臣の指定する入国審査官の審査を受けなければならない。
2 旅券及び資格証明は、電子的に提示することができる。
3 法務大臣は、出入国の手続を迅速かつ公正に行うため、電子認証及び共通試験台帳との照合システムを整備しなければならない。
(外国人の上陸)
第五十条 外国人は、前条の審査を経て、法務大臣が上陸を許可したときに限り、上陸することができる。
2 法務大臣は、次の各号のいずれかに該当する者については、上陸を拒否することができる。
一 感染症、重大な犯罪又は国際的な制裁に関する法令に違反した者
二 入国後に公共の安全又は福祉を著しく害するおそれがあると認められる者
三 偽造又は不正の手段により資格証明を取得した者
3 前項に該当する者であっても、人道上の理由その他特別の事情があるときは、法務大臣は上陸を特別に許可することができる。
(電子上陸審査)
第五十一条 法務大臣は、上陸審査を電子的に行うため、電子認証装置及び共通試験台帳連携システムを整備するものとする。
2 上陸審査官は、必要があるときは、本人確認のため指紋その他の生体情報を確認することができる。
3 電子審査の結果、疑義がある場合には、対面審査又は口頭審理を行うものとする。
4 上陸審査に要する時間及び判断基準は、政令で定め、公表しなければならない。
(上陸審査情報の保存及び利用)
第五十一条の二 上陸審査に関する情報は、公共資格台帳に連携して五年間保存する。
2 保存情報は、治安維持、疫学分析及び出入国統計の目的に限り利用することができる。
3 本人の請求により、保存情報の開示又は訂正を求めることができる。
(上陸審査の開始)
第五十二条 外国人が入国を申請したときは、入国審査官は、旅券、資格証明書その他必要な資料の提示を求め、本人確認を行うものとする。
2 入国審査官は、疑義があるときは、法務大臣又はその指定する上陸審査官に報告し、上陸審査手続を開始する。
3 上陸審査の開始は、電子的に記録し、本人に通知しなければならない。
(上陸審査の方法)
第五十三条 上陸審査は、次の方法により行うものとする。
一 面接による本人聴取
二 提出資料及び電子台帳情報の確認
三 必要に応じた同行者又は保証人の聴取
2 上陸審査は、七十二時間以内に完了しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、法務大臣の承認を得てこれを延長することができる。
3 上陸審査に係る記録は、上陸審査官が電子的に作成し、本人の閲覧請求に応じて開示しなければならない。
(上陸特別審査官による審査)
第五十四条 法務大臣は、上陸審査に関し専門的判断を要すると認めるときは、上陸特別審査官に当該事案を付託することができる。
2 上陸特別審査官は、本人又は代理人に対し、事実関係及び意見を陳述する機会を与えなければならない。
3 上陸特別審査官は、審査を終えたときは、速やかに法務大臣に報告書を提出するものとする。
(上陸拒否理由の通知)
第五十五条 法務大臣が上陸を許可しない旨を決定したときは、その理由及び不服申立ての方法を記載した書面を本人に交付しなければならない。
2 上陸拒否の決定書は、電子的に交付することができる。
3 上陸拒否の決定がなされた場合でも、本人は第57条の異議申立てを行うことができる。
(口頭審理)
第五十六条 上陸を拒否された者は、法務大臣に対し、口頭審理を請求することができる。
2 口頭審理は、本人又は代理人の出席をもって行う。
3 法務大臣は、審理の結果に基づき、上陸許可又は退去命令を決定する。
4 口頭審理の実施に関する手続は、政令で定める。
(異議の申出)
第五十七条 上陸を拒否された者は、口頭審理を経た後、異議を申し出ることができる。
2 異議の申出は、決定書の交付を受けた日から七日以内に行うものとする。
3 異議は、法務大臣の設置する異議審査委員会が審理し、その結果を十五日以内に通知しなければならない。
4 異議の申出により、執行停止の効力を生ずる。
(仮上陸の許可)
第五十八条 法務大臣は、人道上又は公益上特別の理由があるときは、上陸の審査中であっても、一定の条件の下に仮上陸を許可することができる。
2 仮上陸の期間は、原則として三十日を超えることができない。
3 仮上陸者は、指定された地域外に出ることができない。
4 法務大臣は、仮上陸の許可を取り消すことができる。
(仮上陸の条件)
第五十九条 仮上陸の許可を受けた者は、次の各号の条件を遵守しなければならない。
一 指定された宿泊地に居住すること。
二 法務大臣の許可なく就労しないこと。
三 指定期間を超えて滞在しないこと。
2 前項に違反した者は、五十万円以下の罰金又は退去命令に処することができる。
(緊急仮上陸)
第五十九条の二 法務大臣は、災害、紛争その他緊急事態により通常の上陸審査を行うことができない場合に限り、緊急仮上陸を許可することができる。
2 緊急仮上陸の許可は、七日を超えてはならない。
3 前二項に基づく手続及び管理については、政令で定める。
(在留資格の取得)
第六十条 外国人が日本に上陸した後に在留を継続しようとするときは、法務大臣の定める資格に基づいて在留資格を取得しなければならない。
2 在留資格は、第四十七条に定める資格体系(W体系)に属するものとする。
3 在留資格の取得は、電子的に申請し、公共資格台帳に登録するものとする。
(在留期間)
第六十一条 在留期間は、法務大臣が資格ごとに定める期間を超えることができない。
2 在留期間の更新は、期間満了の三十日前までに申請しなければならない。
3 更新申請中は、従前の在留資格に基づき引き続き在留することができる。
(在留カード及び資格証)
第六十二条 法務大臣は、在留資格を有する外国人に対し、在留カードを交付する。
2 在留カードは、電子証明書を内蔵するものとし、資格証とみなす。
3 在留カードの有効期間は、在留期間と同一とする。
(在留資格の変更)
第六十三条 在留資格を有する者が、その活動の内容を変更し、他の資格に該当するに至ったときは、法務大臣の許可を受けなければならない。
2 在留資格変更の申請は、電子的に行うことができる。
3 法務大臣は、資格変更の許可又は不許可の理由を本人に通知しなければならない。
(在留資格の取消し)
第六十四条 法務大臣は、在留資格を有する者が次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を取り消すことができる。
一 虚偽の申請その他不正の手段により資格を取得したとき。
二 在留資格に定められた活動を継続して三月以上行わないとき。
三 公共の安全又は福祉を著しく害する行為をしたとき。
2 在留資格の取消しに当たっては、弁明の機会を与えなければならない。
(在留活動の範囲)
第六十五条 在留資格に基づく活動は、法務大臣が定める範囲に限られる。
2 在留資格Wに該当する者は、登録された専門分野に係る業務を行うことができる。
3 在留資格者は、当該活動を副業的に行うことができる。ただし、労働法令に定める労働時間を超えてはならない。
(出国の自由)
第六十六条 在留資格を有する者は、法令に別段の定めがある場合を除き、自由に出国することができる。
2 法務大臣は、公共の安全に関する理由があるときに限り、出国を一時停止することができる。
3 出国の自由を制限する場合は、その理由を本人に通知しなければならない。
(再入国)
第六十七条 法務大臣は、在留資格を有する者が一時的に出国し、一定期間内に再入国することを希望する場合に限り、再入国許可を与えることができる。
2 再入国許可の有効期間は五年を超えることができない。
3 電子的許可証をもって旅券上の押印に代えることができる。
(出国管理)
第六十八条 外国人が出国しようとするときは、政令で定める出国港において出国審査を受けなければならない。
2 法務大臣は、出国に関する情報を公共資格台帳に登録するものとする。
3 出国手続は、電子的に行うことができる。
(退去命令)
第六十九条 法務大臣は、在留資格を有しないで在留する外国人に対し、退去命令を発することができる。
2 退去命令の発出に当たっては、弁明の機会を与えなければならない。
3 退去命令を受けた者は、命令の日から七日以内に出国しなければならない。
(退去強制)
第七十条 外国人が前条の規定により出国しないときは、法務大臣は退去強制を行うことができる。
2 退去強制は、最小限度の拘束によって実施しなければならない。
3 法務大臣は、退去強制に関する記録を三年間保存しなければならない。
(出国の記録及び公表)
第七十一条 法務大臣は、出入国及び在留の統計を年次ごとに作成し、公表しなければならない。
2 統計は、個人を識別できない形式で作成しなければならない。
(難民及び庇護)
第七十二条 日本国は、国際条約に基づき、政治的迫害その他人権侵害のおそれがある外国人に対し、難民としての庇護を与える。
2 難民の認定及び保護の基準は、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の指針に従うものとする。
(仮滞在許可)
第七十三条 法務大臣は、難民申請中の者に対し、仮滞在を許可することができる。
2 仮滞在の期間及び条件は、政令で定める。
(難民認定)
第七十四条 法務大臣は、難民の認定を行うに当たり、公正かつ迅速に審査を行わなければならない。
2 難民の認定又は不認定の決定は、理由を付して本人に通知しなければならない。
(難民再審査)
第七十五条 難民申請が却下された者は、十五日以内に再審査を請求することができる。
2 再審査の結果に不服があるときは、行政事件訴訟を提起することができる。
(難民証明書)
第七十六条 難民の認定を受けた者には、難民証明書を交付する。
2 難民証明書は、電子証明書により発行することができる。
(退去命令の停止)
第七十七条 難民申請中の者については、申請の審査が終わるまで退去命令の効力を停止する。
(人道的在留)
第七十八条 法務大臣は、人道上又は公益上特別の理由があるときは、難民認定に至らない場合であっても、在留を特別に許可することができる。
(家族帯同)
第七十九条 法務大臣は、在留資格を有する者の配偶者及び子に対し、家族滞在の在留資格を付与することができる。
(永住許可)
第八十条 法務大臣は、在留資格を有し、引き続き十年以上在留した者について、素行が善良であり、かつ独立の生計を営むことができると認めるときは、永住を許可することができる。
(永住の取消)
第八十一条 法務大臣は、永住者が虚偽の申請その他不正の手段により永住許可を受けたことが判明したときは、その許可を取り消すことができる。
(帰化)
第八十二条 外国人が日本国籍を取得しようとするときは、法務大臣の許可を受けなければならない。
2 帰化の要件、手続及び効果は、政令で定める。
(国籍証明書)
第八十三条 法務大臣は、日本国籍を有することを証明する者に対し、国籍証明書を交付する。
2 国籍証明書は、公共資格台帳と連携して発行するものとする。
(多重国籍)
第八十四条 日本国民が外国の国籍を有するに至ったときは、法務大臣にその旨を届出なければならない。
2 多重国籍の者は、政令で定める期間内に、いずれかの国籍を選択することができる。
3 前項の期間内に選択をしない者については、法務大臣が職権で国籍選択の勧告を行う。
(出国命令及び収容代替措置)
第八十五条 法務大臣は、退去命令を受けた者に対し、本人の申出により、収容に代えて出国命令を行うことができる。
2 出国命令を受けた者は、十五日以内に自主的に出国しなければならない。
(仮放免)
第八十六条 法務大臣は、退去強制手続中の者に対し、人道上特別の理由があるときは、仮放免を許可することができる。
(監理措置)
第八十七条 法務大臣は、退去手続中の者に対し、監理人を指定し、出頭義務又は居住制限を課すことができる。
(在留特別許可)
第八十八条 法務大臣は、公益上又は人道上特別の理由があるときは、退去命令を受けた者に対しても、在留特別許可を与えることができる。
(刑罰及び罰金)
第八十九条 本編の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金又は相当期間の退去命令に処する。
(電子証明及びブロックチェーン管理)
第九十条 法務大臣は、在留資格、永住、帰化及び国籍情報を一元的に管理するため、電子証明及びブロックチェーン技術を用いたシステムを整備するものとする。
(台帳連携)
第九十一条 法務大臣は、公共組織法及び共通試験法に基づく資格台帳と相互に連携することにより、国籍及び在留に関する情報の正確性を確保しなければならない。
(国際協力)
第九十二条 政府は、国際機関及び外国政府と連携し、出入国管理及び難民保護に関する協力を推進するものとする。
(難民基金)
第九十三条 政府は、難民の受入及び支援に関する費用を賄うため、独立した難民基金を設置する。
(公共資格審議会)
第九十四条 法務省に、国籍、在留及び資格制度に関する基本方針を審議するため、公共資格審議会を置く。
(不服申立及び訴訟)
第九十五条 本編に基づく処分に不服がある者は、行政不服審査法又は行政事件訴訟法の定めるところにより、審査請求又は訴訟を提起することができる。
(附則)
第九十六条 この法律の施行前において旧入管法に基づき付与された在留資格、永住許可又は難民認定は、この法律の相当規定に基づき取得されたものとみなす。
2 その他の経過措置は、附則で定める。
(施行期日)
第九十六条の二 この法律は、公布の日から二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(関係法令の整備)
第九十六条の三 政府は、この法律の施行に伴い、出入国管理及び難民認定法、国籍法その他関係法令の整備を行わなければならない。
(国籍の意義)
第九十七条 国籍は、個人が日本国の構成員としての法的地位を有することを示す公共資格であり、国の憲法上の権利及び義務を享受する根拠とする。
2 国籍を有する者は、日本国民としての地位を有し、国民の権利及び義務を等しく負う。
(国籍の取得)
第九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、出生により日本国籍を取得する。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父又は母が日本国民であったとき。
三 日本において父母がともに不明又は国籍を有しないときに出生したとき。
(出生後の届出による国籍取得)
第九十九条 出生の後に父又は母が日本国籍を取得したときは、その子は、法務大臣に届け出ることにより、日本国籍を取得することができる。
2 届出は、出生の日から三年以内に行わなければならない。
(認知による国籍取得)
第百条 日本国民である父に認知された子は、認知の時から三年以内に法務大臣に届け出ることにより、日本国籍を取得することができる。
(養子による国籍取得)
第百一条 日本国民の養子となった外国人は、養親との継続的な生活関係が三年以上ある場合に限り、法務大臣の許可を得て日本国籍を取得することができる。
(帰化)
第百二条 外国人は、次の各号のすべてに該当するときは、法務大臣の許可を得て日本国籍を取得することができる。
一 五年以上引き続き日本に住所を有すること。
二 二十歳以上で、行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者が独立の生計を営む資産又は技能を有すること。
五 国籍を有しないこと又は日本国籍の取得によりその国籍を失うことが確実であること。
六 日本国憲法及び法令を尊重する意思を有すること。
(特別帰化)
第百三条 次の各号のいずれかに該当する者は、法務大臣の裁量により帰化を許可することができる。
一 日本国民の配偶者であって、引き続き三年以上日本に住所を有する者。
二 日本国民の子であって、住所を有する期間が一年を超える者。
三 日本への功労又は公共の利益に寄与する活動を行った者。
(帰化の手続)
第百四条 帰化の申請は、電子的に行うものとし、本人確認及び提出書類は電子署名により行うことができる。
2 法務大臣は、帰化の許可又は不許可の理由を付して本人に通知しなければならない。
(帰化の効力)
第百五条 帰化の許可を受けた者は、その公告の日に日本国籍を取得する。
2 帰化の効力は、公告の日以後に遡って生じない。
(帰化の取消)
第百六条 法務大臣は、帰化の許可を受けた者が、虚偽の申請その他不正の手段により帰化の許可を得たときは、その許可を取り消すことができる。
(国籍の選択)
第百七条 日本国民が外国の国籍を取得したときは、法務大臣にその旨を届け出なければならない。
2 多重国籍を有する者は、政令で定める期間内に、いずれかの国籍を選択することができる。
3 前項の期間を経過しても選択をしない者については、法務大臣が職権で国籍選択の勧告を行う。
(国籍の離脱)
第百八条 日本国民は、外国の国籍を取得したときは、法務大臣に届け出て日本国籍を離脱することができる。
2 離脱の届出は、政令で定める方式により行うものとする。
(二重国籍の特例)
第百九条 法務大臣は、公益上又は人道上の理由があるときは、二重国籍の状態を一定期間容認することができる。
(国籍の喪失)
第百十条 日本国民が自ら外国の国籍を選択し、又は外国において帰化したときは、日本国籍を失う。
(国籍の回復)
第百十一条 日本国籍を失った者が再び日本に居住しようとするときは、法務大臣に申請して国籍の回復を受けることができる。
2 国籍の回復は、政令で定める基準に従って行う。
(国籍証明)
第百十二条 法務大臣は、本人の申請により、日本国籍を有することを証明する国籍証明書を交付する。
2 国籍証明書は、公共資格台帳に登録される電子証明書により発行することができる。
(公共資格台帳との接続)
第百十三条 法務大臣は、国籍に関する情報を公共資格台帳に登録し、在留、永住及び共通試験法に基づく資格情報と相互に連携させるものとする。
2 登録された情報は、本人及び政令で定める機関に限り閲覧することができる。
(公共資格の更新)
第百十四条 日本国民は、五年ごとに国籍情報の更新申請を行うものとする。
2 更新申請は、本人確認及び居住実態の確認を含む。
(資格喪失時の通知)
第百十五条 法務大臣は、国籍を喪失した者について、その旨を公共資格台帳及び関係行政機関に通知しなければならない。
(国籍情報の保護)
第百十六条 国籍に関する情報は、本人の同意又は法令に基づく場合を除き、第三者に提供してはならない。
2 法務大臣は、国籍情報の漏えい、滅失又は改ざんを防止するため、必要な技術的及び組織的措置を講じなければならない。
(国籍統計)
第百十七条 法務大臣は、国籍の取得、離脱及び回復に関する統計を年次ごとに作成し、公表しなければならない。
(審査及び不服申立)
第百十八条 本編に基づく法務大臣の処分に不服がある者は、行政不服審査法又は行政事件訴訟法の定めるところにより、審査請求又は訴訟を提起することができる。
(国籍審議会)
第百十九条 法務省に、国籍及び帰化に関する基本方針並びに公共資格台帳との連携方策を審議するため、国籍審議会を置く。
2 国籍審議会の組織及び運営に関する事項は、政令で定める。
(国際的調整)
第百二十条 政府は、国際条約及び外国の国籍制度との整合を図り、国際協力を推進するものとする。
2 外国政府との協定又は国際機関との協力により、二重国籍、帰化及び庇護に関する情報交換を行うことができる。
(在外公館による届出)
第百二十一条 国外に居住する日本国民は、出生、婚姻、離婚又は死亡に関する届出を、在外公館を通じて行うことができる。
2 在外公館は、届出情報を法務大臣に送付しなければならない。
(国籍電子台帳)
第百二十二条 法務大臣は、国籍の取得、離脱及び回復に関する電子台帳を整備し、ブロックチェーン技術によりその真正性を確保するものとする。
(罰則)
第百二十三条 この編の規定に基づく届出又は申請において虚偽の記載をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
(準用)
第百二十四条 この編に定めのない事項については、行政手続法及び公共資格法の定めるところによる。
(目的)
第百二十五条 本編は、退去強制手続その他入国管理上の理由により被収容者となる外国人の人権を尊重し、その処遇の適正及び透明性を確保することを目的とする。
(適用範囲)
第百二十六条 本編の規定は、入国者収容所その他法務省の所管する施設に収容されるすべての被収容者に適用する。
(基本原則)
第百二十七条 被収容者の処遇は、人としての尊厳を保持しつつ、拘束の目的に必要な限度において行われなければならない。
2 被収容者の宗教、信条、文化、言語その他個性を尊重しなければならない。
(処遇の責任)
第百二十八条 被収容者の処遇に関する責任は、法務大臣が負う。
2 法務大臣は、処遇の実施に関し、第三者監視委員会を置かなければならない。
(収容の開始)
第百二十九条 収容は、退去強制令書又はこれに準ずる命令に基づき、法務大臣の権限により行う。
2 収容の執行に際しては、本人に理由及び不服申立ての方法を告げなければならない。
(収容場所)
第百三十条 被収容者は、政令で定める施設に収容する。
2 施設は、衛生、保安及び人権保護に適するものでなければならない。
(収容期間)
第百三十一条 収容の期間は、六十日を超えてはならない。
2 やむを得ない事由があるときは、第三者監視委員会の同意を得て、一回に限り三十日を超えない範囲で延長することができる。
(収容理由の通知)
第百三十二条 法務大臣は、収容を命じたときは、直ちにその理由及び期間を本人に書面で通知しなければならない。
(弁護士との接見)
第百三十三条 被収容者は、弁護士又は弁護士となろうとする者と自由に接見し、又は書類を授受することができる。
2 前項の接見は、職員の立会いを要しない。
(家族との通信)
第百三十四条 被収容者は、家族その他の者と書信又は通信を行うことができる。
2 通信の制限は、秩序維持のために必要最小限度に限る。
(金品の保管)
第百三十五条 被収容者が所持する金品は、施設において保管し、領収書を交付しなければならない。
2 被収容者は、必要に応じてその一部の使用を許可されることができる。
(生活及び衛生)
第百三十六条 施設の長は、被収容者に対し、清潔で衛生的な居室及び衣類を提供しなければならない。
2 食事は、栄養及び宗教上の配慮をもって供与するものとする。
(医療の提供)
第百三十七条 被収容者が疾病又は負傷したときは、医師の診療を受ける権利を有する。
2 医療費は原則として国の負担とする。
(外部病院への搬送)
第百三十八条 医師が必要と認めるときは、被収容者を外部の医療機関に搬送することができる。
(規律及び秩序)
第百三十九条 被収容者は、施設の秩序を乱してはならない。
2 職員は、秩序維持のため、必要かつ相当な範囲内で指示を行うことができる。
(懲戒の制限)
第百四十条 被収容者に対しては、懲戒としての身体拘束その他の刑罰的措置を行ってはならない。
2 違反行為に対する措置は、警告又は短期の行動制限に限る。
(宗教的活動の保障)
第百四十一条 被収容者は、礼拝、読書その他の宗教的行為を行う自由を有する。ただし、施設の秩序を害しない範囲に限る。
(教育及び情報の提供)
第百四十二条 施設の長は、被収容者に対し、語学教育、生活指導及び法的支援に関する情報を提供しなければならない。
(外部交通)
第百四十三条 被収容者は、家族、弁護士、支援団体その他法務大臣の認める者と面会することができる。
2 施設の長は、面会を不当に制限してはならない。
(外部通信及び電子通信)
第百四十四条 被収容者は、電子通信の手段により、外部との連絡を行うことができる。
2 通信内容の検閲は、国の安全又は施設の秩序維持に必要な場合に限り、第三者監視委員会の承認を得て行う。
(宗教者及び支援者の訪問)
第百四十五条 法務大臣は、宗教者又は人権支援者の訪問を妨げてはならない。
(苦情の申立て)
第百四十六条 被収容者は、処遇に関し不服又は苦情があるときは、第三者監視委員会に申立てをすることができる。
2 申立ては、報復を受けることなく行うことができる。
(異議申立て及び訴訟)
第百四十七条 被収容者は、収容又は処遇に関する処分について、行政不服審査法又は行政事件訴訟法に基づき異議申立て又は訴訟を提起することができる。
(被収容者死亡時の措置)
第百四十八条 被収容者が死亡したときは、施設の長は、直ちに医師の検案を受け、遺族及び第三者監視委員会に通知しなければならない。
2 遺体の取扱い及び火葬は、遺族の意思を尊重して行う。
(死亡報告及び公表)
第百四十九条 法務大臣は、被収容者の死亡があった場合には、その日時、原因及び処遇状況を速やかに公表しなければならない。
2 個人の名誉又はプライバシーに配慮しなければならない。
(第三者監視委員会)
第百五十条 法務省に、収容施設における処遇の適正を監視するため、第三者監視委員会を置く。
2 委員会は、医師、弁護士、学識経験者及び人権専門家をもって組織する。
3 委員会は、施設を随時立入検査し、必要な資料の提出を求めることができる。
4 法務大臣は、委員会の勧告を尊重し、必要な措置を講じなければならない。
(報告及び統計)
第百五十一条 法務大臣は、収容及び処遇に関する年次報告書を作成し、公表しなければならない。
2 報告書には、収容者数、期間、処遇状況及び死亡事例を含めるものとする。
(職員の責務)
第百五十二条 施設職員は、被収容者の人権を尊重し、誠実に職務を遂行しなければならない。
2 故意又は過失により不当な処遇を行った職員は、懲戒又は刑事責任を負う。
(教育及び研修)
第百五十三条 法務省は、職員に対し、人権尊重及び国際人道法に関する研修を行わなければならない。
(外部評価)
第百五十四条 法務大臣は、少なくとも三年ごとに、外部有識者による施設評価を実施しなければならない。
(情報公開)
第百五十五条 収容及び処遇に関する情報は、個人情報を除き、原則として公表しなければならない。
(映像記録)
第百五十六条 施設は、処遇に関する主要行為を映像で記録し、五年間保存しなければならない。
2 映像記録は、本人又は代理人の請求により閲覧することができる。
(外部監査)
第百五十七条 法務大臣は、毎会計年度において、会計検査院又は指定監査法人による処遇経費の監査を受けなければならない。
(国際基準との整合)
第百五十八条 政府は、本編の実施に当たり、国際人権規約及び国連被拘禁者待遇最低基準規則(マンデラ・ルールズ)との整合を確保するものとする。
(罰則)
第百五十九条 職員が被収容者に対し暴行又は虐待を加えたときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 虚偽の記録又は報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
(準用)
第百六十条 本編に定めのない事項については、刑事収容施設法及び行政手続法の例による。
(出国命令)
第百六十一条 法務大臣は、退去命令を受けた者が自ら出国の意思を有する場合に限り、出国命令を発することができる。
2 出国命令は、退去強制に代えて行うことができるものとし、出国までの期限を十五日以内とする。
3 出国命令を受けた者は、その期間内に自費により出国しなければならない。
(出国命令の効果)
第百六十二条 出国命令を履行した者は、退去強制を受けた者とみなさず、再入国の制限を受けない。
(証明書の交付)
第百六十三条 法務大臣は、出国命令を履行した者に対し、出国証明書を交付するものとする。
2 出国証明書は、電子的に発行することができる。
(出国命令違反)
第百六十四条 正当な理由なく出国命令に従わない者は、三十万円以下の罰金に処する。
(準用)
第百六十五条 この編に定めのない事項については、第十編及び第十一編の規定を準用する。
(責任)
第百六十六条 船舶又は航空機の長は、その運送する者が有効な旅券及び在留資格証を有することを確認しなければならない。
2 運送業者は、不法入国又は不法上陸を防止するため、法務大臣の定める基準に従い、乗客情報を出発前に通報しなければならない。
(通報義務)
第百六十七条 運送業者は、乗客の入国拒否又は退去命令があったときは、その旨を直ちに法務大臣に通報しなければならない。
(費用負担)
第百六十八条 不法入国者を運送した運送業者は、その者の送還に要する費用を負担するものとする。
(罰則)
第百六十九条 前二条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。
(調査)
第百七十条 法務大臣は、国籍、在留、出入国、退去及び庇護に関する実態を把握するため、関係行政機関に対し必要な資料の提出を求めることができる。
2 調査により得られた情報は、個人を特定できない形で公表しなければならない。
(出国)
第百七十一条 日本国民は、法令の定めるところにより、自由に出国することができる。
(帰国)
第百七十二条 日本国民は、いつでも自由に帰国する権利を有する。
2 政府は、国外における邦人の保護及び帰国支援を行うため、必要な措置を講じなければならない。
(難民の認定)
第百七十三条 法務大臣は、難民条約に基づき、申請により難民を認定する。
2 認定の決定には理由を付し、本人に書面で通知しなければならない。
(異議申立て)
第百七十四条 難民申請が却下された者は、十五日以内に異議を申し出ることができる。
2 法務大臣は、異議申立てを受理したときは、第三者委員会の意見を聴かなければならない。
(再審査)
第百七十五条 難民認定を拒否された者は、三年を経過した後、再び申請することができる。
(補完的保護)
第百七十六条 法務大臣は、難民の要件を満たさない者であっても、人道上の理由があるときは、補完的保護を与えることができる。
(委任)
第百七十七条 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
(電子的手続)
第百七十八条 本法に基づくすべての申請、許可、届出及び通知は、電子的に行うことができる。
(台帳管理)
第百七十九条 法務大臣は、公共資格台帳を通じて、国籍・在留・難民・帰化・退去等の情報を統合的に管理するものとする。
(連携)
第百八十条 政府は、本法の施行にあたり、外務省、法務省、内閣官房、警察庁、厚生労働省その他関係行政機関と連携して行わなければならない。
(国際協力)
第百八十一条 政府は、国際連合その他の国際機関及び外国政府と協力し、出入国管理、難民保護及び人権保障に関する国際的調和を図るものとする。
(資格関係違反)
第百八十二条 虚偽又は不正の手段により在留資格、永住許可又は帰化の許可を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(不法入国等)
第百八十三条 不法に入国し、又は上陸した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
(不法就労助長)
第百八十四条 不法に在留する者を雇用し、又はその就労をあっせんした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
(両罰規定)
第百八十五条 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその業務に関して前各条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人にもそれぞれの罰金刑を科する。
(不正給付の返還)
第百八十六条 本法に基づく資格を不正に利用して公的給付を受けた者は、その給付額を返還しなければならない。
(告発)
第百八十七条 法務大臣又は関係行政機関の長は、前各条の罪に係る犯罪を発見したときは、告発しなければならない。
(時効)
第百八十八条 本法に基づく行政罰の時効は、行為の日から三年とする。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(段階的施行)
第二条 共通試験の導入及びW資格制度への移行は、公布の日から起算して五年以内に段階的に施行する。
(経過措置)
第三条 この法律の施行前に旧「出入国管理及び難民認定法」又は「国籍法」に基づき行われた処分、許可、届出その他の行為は、それぞれこの法律の相当規定に基づくものとみなす。
2 施行時に存する在留資格、永住資格又は帰化許可は、改正後の資格に読み替える。
(関係法令の改廃)
第四条 出入国管理及び難民認定法、国籍法その他本法施行に伴い整備を要する法令は、附則別表に定めるところにより改廃する。
(附則別表)
第五条 本法施行に際して廃止又は読み替える法令は、次のとおりとする。
一 出入国管理及び難民認定法(昭和26年法律第319号)——廃止
二 国籍法(昭和25年法律第147号)——廃止
三 出入国管理令(政令第252号)——廃止
四 出入国在留管理庁設置法——読み替えにより「法務省入国・国籍管理庁」とする。
五 その他の関連政省令——施行令において整備。
(検討条項)
第六条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、運用状況を検討し、必要があると認めるときは、速やかに所要の措置を講じなければならない。
2 同施行後五年を経過した場合も、再度同様に検討するものとする。
(附則の施行期日)
第七条 附則の施行期日は、本法の施行期日に同じとする。