(目的)
第一条 金融機関及び金融市場の健全かつ適切な運営を確保し、信用秩序及び市場の公正を維持するとともに、利用者の保護及び利便の向上を図り、もって資金決済及び資本の循環を円滑ならしめ、国内外の経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
2 国は、金融システムの安定及びマクロプルーデンスの確保を図りつつ、持続可能な金融環境の整備に努めなければならない。
3 地方公共団体は、地域における金融の円滑化及び利用者の利益の保護に関し、国と協力して必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
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(目的)
第一条 金融機関及び金融市場の健全かつ適切な運営を確保し、信用秩序及び市場の公正を維持するとともに、利用者の保護及び利便の向上を図り、もって資金決済及び資本の循環を円滑ならしめ、国内外の経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
2 国は、金融システムの安定及びマクロプルーデンスの確保を図りつつ、持続可能な金融環境の整備に努めなければならない。
3 地方公共団体は、地域における金融の円滑化及び利用者の利益の保護に関し、国と協力して必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
(基本原則)
第二条 金融の制度及び取引は、次に掲げる原則に基づき運営されなければならない。
一 健全性の原則
二 公正性の原則
三 透明性の原則
四 国際協調の原則
五 デジタル化及び持続可能性の原則
2 国及び地方公共団体は、前項各号に掲げる原則に則り、金融システムに関する政策の企画及び実施を行うものとする。
(定義)
第三条 この法律において使用する用語の定義は、次の各号に定めるところによる。
一 金融機関 銀行、信託会社、保険会社、証券会社その他金融に関する業務を営む法人であって、免許、登録又は届出により金融庁長官の監督を受けるものをいう。
二 預金取扱金融機関 銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農林中央金庫その他預金又はこれに類する金銭の受入れを行う金融機関をいう。
三 金融商品 有価証券、信託受益権、デリバティブ取引その他政令で定める投資性又は流動性を有する権利をいう。
四 金融市場 資金の貸借、証券の発行・流通、資金決済その他の金融取引が行われる場をいう。
五 利用者 金融商品又は金融サービスを利用し、又はこれらに関して契約の当事者となる者をいう。
六 資金決済 債権債務の履行のために金銭の移転を行うことをいう。
七 マクロプルーデンス 金融システム全体の安定を維持するため、個別金融機関の健全性と市場全体のリスクを一体的に監視・調整する政策をいう。
八 金融庁長官 この法律に基づく監督行政を行う行政庁の長をいう。
九 前各号に掲げるもののほか、用語の意義は、関係法律に定めるところによる。
(金融行政の組織及び権限)
第四条 金融庁は、金融システムの安定及び金融市場の公正を確保するため、金融機関に対する監督、検査及び処分を行うものとする。
(マクロプルーデンス及び犯罪収益移転防止)
第五条 金融庁及び日本銀行は、金融システム全体の安定を確保するため、金融機関の経営及び市場動向を分析し、必要な措置を講ずる。
2 金融機関は、犯罪収益の移転防止その他国際的な金融犯罪対策に協力するものとする。
3 金融機関は、犯罪による収益の移転、テロ資金供与その他国際的な金融犯罪の防止に関し、取引時確認、記録保存及び当局への届出等の措置を講じなければならない。
4 国は、前項の措置に関し、外国当局との協力及び情報交換を行い、国際的な金融秩序の維持に努めるものとする。
(銀行の定義及び免許)
第六条 銀行とは、預金を受け入れ、資金の貸付けその他の資金運用を業として行うことを目的とする株式会社をいう。
2 銀行業を営もうとする者は、内閣総理大臣の免許を受けなければならない。
3 免許は、当該事業の健全かつ適切な運営を確保し得る経営基盤及び社会的信用を有する者に限り、これを与えるものとする。
(業務の範囲)
第七条 銀行は、預金の受入れ、貸付け、手形の割引、為替取引その他政令で定める金融に関する業務を行うことができる。
2 銀行は、前項の業務を行うに当たり、利用者の利益の保護及び取引の公正を確保しなければならない。
3 内閣総理大臣は、銀行が新たな業務を開始しようとするときは、その適否を審査し、必要な条件を付すことができる。
(兼業及び関係会社)
第八条 銀行は、銀行業に附帯する業務のほか、内閣総理大臣の認可を受けて他の事業を営むことができる。
2 銀行は、他の会社の経営に参加し、又は子会社を設ける場合において、その経営が銀行の健全性を害しないようにしなければならない。
3 銀行の関係会社の範囲及びその経営管理に関する基準は、政令で定める。
(自己資本及び流動性)
第九条 銀行は、常に自己資本の充実及び資金流動性の確保に努め、その経営の健全性を維持しなければならない。
2 金融庁長官は、前項の規定の実効を確保するため、自己資本比率、流動性比率その他必要な基準を定めることができる。
(報告及び検査)
第十条 金融庁長官は、銀行の業務又は財産の状況について必要があると認めるときは、報告を求め、又は職員をしてその業務若しくは財産の状況を検査させることができる。
2 銀行は、前項の報告又は検査に関し、必要な資料を提出し、又は質問に誠実に応答しなければならない。
(業務改善命令)
第十一条 金融庁長官は、銀行がこの法律又はこれに基づく命令に違反し、若しくはその業務の運営が著しく不適当であると認めるときは、当該銀行に対し、期間を定めて業務の改善を命ずることができる。
2 前項の命令を受けた銀行が、相当の期間内に改善を行わないときは、金融庁長官は、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(免許の取消し)
第十二条 金融庁長官は、銀行が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許を取り消すことができる。
一 虚偽又は不正の手段により免許を受けたとき。
二 業務を一年以上休止したとき。
三 業務の運営が著しく不健全であり、改善の見込みがないとき。
四 この法律又はこれに基づく命令に違反したとき。
(預金取扱金融機関)
第十三条 信用金庫、信用組合、労働金庫、農林中央金庫その他預金又はこれに類する金銭の受入れを行う金融機関は、預金取扱金融機関とする。
2 預金取扱金融機関は、利用者保護及び地域金融の健全な発展に寄与するよう、その業務を行わなければならない。
3 前項に掲げる機関に関し必要な事項は、政令で定める。
(協同組織金融の特例)
第十四条 協同組織金融機関は、相互扶助の理念に基づき、組合員の経済的利益を増進するため、預金、貸付け及びその他の金融サービスを行うものとする。
2 前項の業務は、地域の経済及び社会の健全な発展に資するよう運営されなければならない。
(預金保険及び保護)
第十五条 銀行及び預金取扱金融機関は、預金者の保護を確保するため、預金保険制度に加入しなければならない。
2 預金保険機構は、金融機関の破綻に際し、預金者の保護及び金融システムの安定を図るため、保険金の支払その他必要な措置を講ずるものとする。
3 預金保険制度の組織及び運営に関し必要な事項は、別に法律で定める。
(監督上の措置)
第十六条 金融庁長官は、銀行又は預金取扱金融機関がその業務を健全かつ適切に遂行していないと認めるときは、必要な報告、勧告又は命令を行うことができる。
2 日本銀行は、金融システムの安定を図るため、金融庁長官と協議し、必要に応じ助言又は要請を行うことができる。
(罰則の準用)
第十七条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の罰則に定めるところによる。
(保険業の定義及び免許)
第十八条 保険業とは、保険契約に基づき、保険料を収受し、事故の発生により保険金又は給付金を支払うことを業として行うことをいう。
2 保険業を営もうとする者は、内閣総理大臣の免許を受けなければならない。
3 免許は、業務の健全かつ適切な運営に必要な経営基盤及び契約者保護体制を有すると認められる者に限り、これを与えるものとする。
(業務の範囲)
第十九条 保険会社は、保険契約の締結及び管理に関連する業務のほか、政令で定める範囲内において、投資運用、再保険及び金融サービスに附帯する業務を行うことができる。
2 保険会社は、業務の運営に当たり、保険契約者及び被保険者の利益の保護並びに契約内容の公正な開示を確保しなければならない。
(保険契約の基本原則)
第二十条 保険契約は、誠実、公正及び信頼を基礎として締結されなければならない。
2 保険会社は、契約者の意向を適切に把握し、契約内容及び保険料について必要な説明を行わなければならない。
3 契約者は、契約締結に際し、告知義務その他法令で定める事項を誠実に履行しなければならない。
(契約者保護及び情報開示)
第二十一条 保険会社は、契約者及び被保険者の権利を保護するため、保険商品の内容、保険金支払条件、及び事業経営の状況について、定期的に公表しなければならない。
2 金融庁長官は、前項の規定に基づく情報開示に関し、基準及び様式を定めることができる。
(責任準備金及びソルベンシーの確保)
第二十二条 保険会社は、保険金の支払及び将来の契約者責任を履行するため、責任準備金を積み立てなければならない。
2 保険会社は、自己資本及び資産運用の状況を適切に管理し、ソルベンシー・マージン比率を維持するよう努めなければならない。
3 金融庁長官は、前項に掲げる基準を定めることができる。
(再保険及び共済制度)
第二十三条 保険会社は、保険契約に係るリスクを分散するため、他の保険会社との間で再保険契約を締結することができる。
2 共済事業を行う団体は、その公共性及び組合員保護の観点から、政令で定める基準に従い、保険業に準じた監督を受けるものとする。
(相互会社及び協同組織保険)
第二十四条 相互会社は、保険契約者を社員とし、その相互扶助を目的として、保険業を行うものとする。
2 協同組織による保険業務は、地域又は職域の連帯に基づき、組合員の利益を保護するよう運営されなければならない。
(保険料率算出団体)
第二十五条 損害保険会社は、保険料率の算定の合理化を図るため、内閣総理大臣の認可を受けて、算出団体を設立することができる。
2 算出団体は、保険料率の算出及び統計資料の整備を行い、その結果を公表しなければならない。
3 算出団体の設立、業務及び監督に関し必要な事項は、政令で定める。
(地震保険及び特別再保険制度)
第二十六条 地震保険及びその他の特別な再保険制度は、国が関与する公的制度として設けるものとする。
2 国は、前項の制度に基づく保険金支払その他必要な措置により、災害時における国民生活の安定を図るものとする。
3 特別再保険制度の運営に関し必要な事項は、別に法律で定める。
(検査及び業務改善命令)
第二十七条 金融庁長官は、保険会社の業務又は財産の状況について必要があると認めるときは、報告を求め、又は検査を行うことができる。
2 金融庁長官は、保険会社が健全な経営を行っていないと認めるときは、その業務の改善を命ずることができる。
3 保険会社が前項の命令に従わないときは、金融庁長官は、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(免許の取消し)
第二十八条 金融庁長官は、保険会社が次の各号の一に該当するときは、その免許を取り消すことができる。
一 虚偽又は不正の手段により免許を受けたとき。
二 業務を一年以上休止したとき。
三 業務の運営が著しく不健全であり、改善の見込みがないとき。
四 この法律又はこれに基づく命令に違反したとき。
(罰則の準用)
第二十九条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び適用範囲)
第三十条 この編は、有価証券その他の金融商品の発行、流通及び取引に関し必要な事項を定め、投資者の保護及び金融市場の公正を確保し、もって資本市場の健全な発展に資することを目的とする。
2 この編の規定は、国内市場及び外国市場における取引に準用する。
(金融商品の定義)
第三十一条 この法律において「金融商品」とは、有価証券、信託受益権、デリバティブ取引その他の投資性又は流動性を有する権利をいう。
2 金融商品の範囲は、金融庁長官が定める基準に従い、政令で定める。
(金融商品取引業の登録)
第三十二条 金融商品取引業を営もうとする者は、金融庁長官の登録を受けなければならない。
2 登録は、当該事業の健全かつ適切な運営を確保し得る体制を有すると認められる者に限り、これを与えるものとする。
3 金融商品取引業者は、登録事項に変更があったときは、遅滞なくその旨を届け出なければならない。
(取引の基本原則)
第三十三条 金融商品取引業者は、誠実かつ公正に行動し、投資者の信頼を保持しなければならない。
2 金融商品取引業者は、取引に当たり、投資者の知識、経験及び財産の状況に応じた適合性を判断し、必要な説明を行わなければならない。
3 虚偽又は誤解を生ずる表示その他不公正な勧誘行為をしてはならない。
(発行開示及び継続開示)
第三十四条 有価証券を募集し、又は売出しを行おうとする者は、財務及び事業の内容その他重要な事項を記載した有価証券届出書を提出しなければならない。
2 上場会社は、事業年度ごとに、財務諸表及び経営状況等を記載した報告書を提出しなければならない。
3 金融庁長官は、開示書類の提出及びその内容に関し、基準及び様式を定めることができる。
(上場及び取引所の認可)
第三十五条 金融商品取引所は、金融庁長官の認可を受けて設立するものとする。
2 金融商品取引所は、取引の公正及び円滑を確保するため、上場、取引、決済及び清算に関する規程を定めなければならない。
3 金融庁長官は、取引所の業務運営が公正を欠き、又は市場の安定を害すると認めるときは、その業務の改善を命ずることができる。
(投資信託及び投資法人)
第三十六条 投資信託及び投資法人は、金融商品取引業者又は信託会社を管理者として、資産の運用及び分配を行うものとする。
2 投資信託及び投資法人の設立、管理及び情報開示に関する事項は、政令で定める。
(資産流動化及び特定目的会社)
第三十七条 資産の流動化を目的とする特定目的会社は、資産を信託又は譲渡により取得し、その資産の収益を基礎として資産担保証券その他の証券を発行することができる。
2 特定目的会社は、財務の健全性及び投資者保護を確保するため、金融庁長官の監督を受ける。
3 特定目的会社に関し必要な事項は、政令で定める。
(社債及び信託)
第三十八条 社債の募集及び管理に関しては、社債権者の利益を保護するため、社債管理者を置くものとする。
2 社債管理者は、信託契約に基づき、社債権者のために必要な行為を行う。
3 担保付社債又は抵当証券に関する信託契約は、この法律の定めるところにより行うものとする。
(電子記録債権及び振替制度)
第三十九条 金銭債権の電子記録による管理及び譲渡は、電子記録債権制度により行う。
2 社債、株式その他の有価証券の移転及び保有の記録は、振替制度により行う。
3 電子記録機関及び振替機関は、金融庁長官の認可を受けて業務を行わなければならない。
(市場の監督及び不公正取引の禁止)
第四十条 金融庁長官は、市場の公正及び透明を確保するため、金融商品取引業者及び取引所に対し、必要な監督又は検査を行うことができる。
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 重要事実に基づく不公正な取引(いわゆるインサイダー取引)
二 風説の流布、相場操縦その他市場の公正を害する行為
3 金融庁長官は、前項に違反する行為が行われた場合において、必要な停止命令又は課徴金納付命令を発することができる。
(国際取引及び外国市場)
第四十一条 外国の金融商品市場における取引又は募集に関し、我が国において募集若しくは売出しを行う者は、この編の規定を準用する。
2 外国金融機関が国内において金融商品取引を行おうとするときは、金融庁長官の承認を受けなければならない。
(罰則の準用)
第四十二条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の定めるところによる。
(目的及び適用範囲)
第四十三条 この編は、資金の移動、決済及び電子的支払手段の提供に関し必要な事項を定め、利用者の保護及び利便の向上並びに資金決済の安全を確保することを目的とする。
2 この編の規定は、金融機関、資金移動業者及び電子決済事業者に適用する。
(資金移動業)
第四十四条 資金移動業とは、為替取引その他の方法により、他人のために資金の移転を業として行うことをいう。
2 資金移動業を営もうとする者は、金融庁長官の登録を受けなければならない。
3 登録は、資金決済の安全を確保するための技術的及び財務的基準に適合すると認められる者に限り、これを行うものとする。
(電子マネー及び暗号資産)
第四十五条 電子マネーとは、あらかじめ金銭の支払により記録された価値を用いて、物品又はサービスの提供を受けることができる支払手段をいう。
2 暗号資産とは、不特定の者に対して代価の弁済に使用することができ、かつ電子的に移転可能な財産的価値をいう。
3 電子マネー発行者及び暗号資産交換業者は、金融庁長官の登録を受け、その業務の適正な運営及び利用者資産の分別管理を確保しなければならない。
(金融サービス提供者の責務)
第四十六条 資金移動業者、電子決済事業者その他の金融サービス提供者は、その業務の運営に当たり、利用者の利益の保護及び個人情報の適正な取扱いを確保しなければならない。
2 金融サービス提供者は、苦情処理及び紛争解決のため、金融ADR制度の利用を促進するよう努めなければならない。
(決済機関及び清算機関)
第四十七条 金融機関は、資金決済を円滑に行うため、相互の債権債務を清算する清算機関を設けることができる。
2 清算機関は、決済リスクを軽減するため、ネット決済、担保差入れその他の方法により決済の安全を確保しなければならない。
3 清算機関の設立及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(不正払戻し及び補償)
第四十八条 金融機関及び電子決済事業者は、利用者の口座又は電子的支払手段に係る不正払戻しが発生したときは、故意又は重大な過失がない限り、利用者に対し被害を補償しなければならない。
2 補償の範囲及び手続に関し必要な事項は、金融庁長官が定める。
(休眠預金等の活用)
第四十九条 金融機関は、一定期間取引のない預金その他の金銭を休眠預金等として、法律の定めるところにより、公益活動その他社会の活性化に資する事業に活用するものとする。
2 休眠預金等活用機関は、資金の交付及び管理を適正に行い、その収支及び成果を公表しなければならない。
(利用者保護及び苦情処理)
第五十条 金融庁長官は、資金決済に係る利用者保護を確保するため、金融サービス提供者に対し、必要な報告、勧告又は命令を行うことができる。
2 金融庁長官は、利用者からの苦情又は相談に関する制度の整備を促進し、紛争の迅速な解決を図るものとする。
(国際送金及び協力)
第五十一条 金融庁長官は、国際的な資金移動に係る取引の健全化及びマネー・ローンダリングの防止のため、外国当局との協力及び情報交換を行うことができる。
2 資金移動業者及び金融機関は、前項の措置に協力しなければならない。
(罰則の準用)
第五十二条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の罰則に関する規定を準用する。
(目的及び適用範囲)
第五十三条 この編は、信託の設定、管理及び運用に関し必要な事項を定め、信託財産の健全な管理及び受益者の保護を確保し、もって金融市場及び資産運用の円滑な発展に資することを目的とする。
2 この編の規定は、信託業を営む金融機関及び信託会社、並びに投資事業有限責任組合その他これに準ずる事業体に適用する。
(信託の定義及び設定)
第五十四条 信託とは、委託者が自己の財産の管理又は処分を受託者に委ね、受益者のためにこれを運用する法律関係をいう。
2 信託を設定しようとする者は、信託契約、遺言又は法律の定めるところにより、信託の目的、財産及び受益者を明らかにしなければならない。
3 受託者は、信託の目的に従い、誠実かつ善良な管理者の注意をもってその業務を行わなければならない。
(信託業の登録)
第五十五条 信託の引受けを業として行おうとする者は、金融庁長官の登録を受けなければならない。
2 登録は、財務及び人的基礎が信託財産の管理に適するものと認められる者に限り、これを行う。
3 金融庁長官は、登録に際し、業務の範囲、財産管理の方法及び利用者保護の措置について必要な条件を付すことができる。
(信託財産の分別管理)
第五十六条 受託者は、自己の財産と信託財産とを明確に区分し、帳簿及び財産目録を整備して、これを適正に管理しなければならない。
2 受託者は、信託財産から生じた利益又は損失を、他の信託財産又は自己の財産と混同してはならない。
(受益者の権利)
第五十七条 受益者は、信託財産の運用及び管理が信託の目的に従って行われているかを確認し、受託者に対して説明を求めることができる。
2 受益者は、信託契約の内容又は運用状況が著しく不当であると認めるときは、金融庁長官に報告することができる。
3 金融庁長官は、前項の報告を受けたときは、必要に応じて調査又は監督上の措置を講ずることができる。
(信託財産の運用及び制限)
第五十八条 受託者は、信託財産を安全かつ効率的に運用し、受益者の利益を最大化するよう努めなければならない。
2 信託財産の運用に関しては、自己又は関連会社との取引その他利益相反を生ずるおそれのある行為をしてはならない。
3 金融庁長官は、前項に違反する行為が行われたときは、その是正を命ずることができる。
(信託報酬及び費用)
第五十九条 受託者は、信託契約において定めるところにより、信託報酬を受けることができる。
2 信託財産の管理又は運用に要する費用は、信託財産から支弁するものとする。
(信託の終了及び清算)
第六十条 信託は、信託契約に定める期間の満了又は目的の達成その他法律に定める事由により終了する。
2 信託が終了したときは、受託者は、遅滞なく清算の手続を行い、残余財産を受益者に分配しなければならない。
(投資事業有限責任組合)
第六十一条 投資事業有限責任組合は、組合契約に基づき、組合員の出資をもって投資事業を行うものとする。
2 有限責任組合員は、出資額を限度として債務を負う。
3 投資事業有限責任組合の設立、運営及び報告に関し必要な事項は、政令で定める。
(信託兼営金融機関)
第六十二条 銀行その他の金融機関は、内閣総理大臣の認可を受けて、信託業務を兼営することができる。
2 信託兼営金融機関は、銀行業務と信託業務とを明確に区分して管理しなければならない。
3 金融庁長官は、兼営により金融機関の健全性又は信託財産の安全性が損なわれるおそれがあると認めるときは、その是正を命ずることができる。
(検査及び監督)
第六十三条 金融庁長官は、信託会社又は信託兼営金融機関の業務又は財産の状況について必要があると認めるときは、報告を求め、又は検査を行うことができる。
2 前項の規定により検査を受けた者は、必要な資料を提出し、又は質問に誠実に応答しなければならない。
3 金融庁長官は、信託業者がこの法律又はこれに基づく命令に違反したときは、業務改善命令又は業務停止命令を発することができる。
(免許の取消し)
第六十四条 金融庁長官は、信託業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一 虚偽又は不正の手段により登録を受けたとき。
二 業務を一年以上休止したとき。
三 業務の運営が著しく不健全であり、改善の見込みがないとき。
四 この法律又はこれに基づく命令に違反したとき。
(罰則の準用)
第六十五条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び適用範囲)
第六十六条 この編は、貸金の供与及び金利の設定に関し必要な事項を定め、金融取引の公正及び利用者の保護を確保し、もって健全な資金循環を促進することを目的とする。
2 この編の規定は、貸金業を営む者及び個人間の金銭消費貸借契約のうち、営利を目的とするものに適用する。
(貸金業の定義及び登録)
第六十七条 貸金業とは、金銭の貸付け又は手形の割引を業として行うことをいう。
2 貸金業を営もうとする者は、金融庁長官の登録を受けなければならない。
3 登録は、当該業務を適正に遂行するための人的及び財務的基礎を有すると認められる者に限り、これを行うものとする。
4 金融庁長官は、登録に際し、資本金、営業保証金その他必要な条件を付すことができる。
(業務運営及び説明義務)
第六十八条 貸金業者は、貸付けに当たり、契約の内容、利息及び返済条件を明確にし、書面又は電子的手段により利用者に説明しなければならない。
2 貸金業者は、利用者の返済能力を超える貸付けを行ってはならない。
3 貸金業者は、契約の締結及び取立てに際して、暴力的又は威迫的な行為をしてはならない。
(金利の上限)
第六十九条 金銭の貸付けについては、利息の上限を年二十パーセントとし、元本が十万円未満のものについては年二十パーセントを超えてはならない。
2 前項の規定にかかわらず、政令で定める特別の事情がある場合には、上限金利を引き下げることができる。
3 貸金業者は、契約の形態を問わず、手数料、保証料その他これに類する名義で、前二項の上限を超える利益を得てはならない。
(出資に関する規制)
第七十条 営利を目的として出資を受ける者は、出資者に対し、約定利回りを超える利益の分配を約してはならない。
2 違法な出資又は高利貸付けを行った者は、その契約の効力を主張することができない。
3 前二項に関し必要な事項は、政令で定める。
(過剰貸付及び広告の禁止)
第七十一条 貸金業者は、利用者の返済能力を超える貸付けを行い、又はそのおそれがある貸付けを勧誘してはならない。
2 貸金業者は、虚偽又は誇大な広告を行い、若しくは他人をしてこれを行わせてはならない。
(保証及び取立ての制限)
第七十二条 貸金業者は、保証人を徴する場合において、その責任の範囲及び条件を明確にしなければならない。
2 貸金業者は、返済の遅延がある場合においても、夜間その他社会通念上不相当な時間に訪問又は連絡をしてはならない。
(行政監督及び改善命令)
第七十三条 金融庁長官は、貸金業者の業務又は財産の状況について必要があると認めるときは、報告を求め、又は検査を行うことができる。
2 金融庁長官は、貸金業者がこの法律又はこれに基づく命令に違反し、又は業務の運営が著しく不適当であると認めるときは、その業務の改善を命ずることができる。
3 貸金業者が前項の命令に従わないときは、金融庁長官は、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(登録の取消し)
第七十四条 金融庁長官は、貸金業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一 虚偽又は不正の手段により登録を受けたとき。
二 業務を一年以上休止したとき。
三 業務の運営が著しく不健全であり、改善の見込みがないとき。
四 この法律又はこれに基づく命令に違反したとき。
(特別法及び経過規定)
第七十五条 臨時金利調整法その他の金利に関する特例法は、この編の施行により廃止し、その経過措置は附則で定める。
2 施行前に締結された契約の利率がこの法律の定める上限を超える場合には、超過部分は無効とする。
(罰則の準用)
第七十六条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び適用範囲)
第七十七条 この編は、国の経済及び社会の健全な発展を図るため、政策目的に基づき資金を供給する公的金融機関の設置及び運営に関し必要な事項を定めることを目的とする。
2 この編の規定は、政府が全額出資する金融機関その他特別法により設立された公的金融機関に適用する。
(政策金融の基本原則)
第七十八条 政策金融は、民間金融の補完を旨とし、経済構造の転換、中小企業の育成、地域経済の振興、災害からの復旧及び環境・エネルギー分野の持続的発展を支援することを目的として行うものとする。
2 政策金融の運用に当たっては、財政の健全性及び市場の公正を害しないよう配慮しなければならない。
(日本政策金融公庫)
第七十九条 日本政策金融公庫は、国の全額出資により設立され、中小企業、農林漁業者及び生活者向けの政策資金を供給することを目的とする。
2 公庫は、融資、保証及び出資のほか、経営相談、再生支援その他附帯業務を行うことができる。
3 公庫の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(商工組合中央金庫)
第八十条 商工組合中央金庫は、協同組織金融の中核として、中小企業の組合及びその連合会に対し、長期資金の供給及び信用補完を行うものとする。
2 商工組合中央金庫は、国が一部を出資し、民間との共同出資により設立される。
3 商工組合中央金庫の経営及び監督に関し必要な事項は、政令で定める。
(日本政策投資銀行)
第八十一条 日本政策投資銀行は、民間投資を補完し、地域及び産業の高度化並びに社会資本整備を支援することを目的とする。
2 日本政策投資銀行は、政府の基本方針に基づき、長期・低利資金の供給及び再生投資を行うことができる。
3 日本政策投資銀行は、国の全額出資法人として設立される。
(農林漁業信用基金及び関連機関)
第八十二条 農林漁業信用基金は、農業、林業及び漁業に従事する者の経営の安定を図るため、債務保証及び信用保険を行うものとする。
2 農業信用保証保険制度及び農業近代化資金制度は、前項の目的を達するため、地方公共団体及び金融機関と連携して運用される。
3 前二項に定める制度の運営及び監督に関し必要な事項は、政令で定める。
(沖縄振興開発金融公庫)
第八十三条 沖縄振興開発金融公庫は、沖縄県の地域特性に応じ、産業振興、雇用拡大及び生活基盤の整備に資する資金の供給を行うものとする。
2 沖縄振興開発金融公庫の業務、財務及び監督に関し必要な事項は、政令で定める。
(住宅金融特例及び処理機構)
第八十四条 政府は、住宅建設及び住宅ローン市場の安定のため、特別の措置を講ずることができる。
2 住宅金融公庫の承継機関その他住宅金融関連機構は、特別法に基づき設立し、住宅融資及び債権回収の業務を行う。
3 住宅金融に関する特別措置、債権放棄又は時効の特例は、附則において経過的に定める。
(産業再生及び地域経済活性化)
第八十五条 政府は、経済危機、災害又は市場の混乱により経営が困難となった企業を支援するため、産業再生機構その他の特別法人を設けることができる。
2 産業再生機構は、再生可能性のある企業に対し、出資、債務買取り及び再編支援を行うものとする。
3 地域経済活性化支援機構は、地域の中小企業及び地方自治体と連携し、雇用維持及び再投資促進を図るものとする。
(災害復興及び緊急時金融措置)
第八十六条 政府は、災害又は重大な経済危機に際し、被災事業者の再建及び地域経済の復旧を支援するため、特別の金融機構を設置することができる。
2 前項の特別機構は、政府の出資及び債務保証を受けて、災害関連融資、利子補給及び債務免除等の業務を行う。
3 前二項の措置は、災害発生後速やかに講じ、当該地域の復旧状況に応じて段階的に縮減するものとする。
(監督及び報告)
第八十七条 各公的金融機関は、毎事業年度終了後、業務及び財務の状況を内閣総理大臣及び金融庁長官に報告しなければならない。
2 政府は、各公的金融機関の実績及び政策効果を検証し、その結果を国会に報告しなければならない。
3 金融庁長官は、必要があると認めるときは、監督上の命令又は勧告を行うことができる。
(罰則の準用)
第八十八条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び基本原則)
第八十九条 この編は、金融機関その他の金融サービス提供者が経営の破綻に陥った場合における迅速かつ的確な対応を定め、金融システムの安定及び利用者の保護を確保することを目的とする。
2 金融機関の破綻処理は、預金者、投資者及び利用者の権利を最大限尊重しつつ、公的資金の投入は最小限にとどめることを原則とする。
(早期健全化措置)
第九十条 金融庁長官は、金融機関の財務の悪化又は経営の不安が認められる場合において、破綻を未然に防止するため必要な措置を講ずることができる。
2 前項の措置には、資本増強命令、業務改善命令、又は経営管理者の任命を含むものとする。
3 金融庁長官は、これらの措置によりもなお健全化が困難と認めるときは、金融機能再生法その他の特例に基づき、特別の管理を行うことができる。
(特別公的管理)
第九十一条 金融庁長官は、金融機関の業務又は財産の状況が著しく悪化し、破綻が金融システムに重大な影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、その業務を一時的に公的管理下に置くことができる。
2 特別公的管理においては、国が一時的に経営権を掌握し、資産及び負債の整理、業務の継続及び譲渡の手続を行う。
3 特別公的管理に要する経費は、預金保険機構その他の関係機関の負担をもって充てる。
(資本注入及び政府保証)
第九十二条 政府は、金融システムの安定を確保するため必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、金融機関に対して資本の注入又は債務の保証を行うことができる。
2 前項の措置は、国会の承認を経て行わなければならない。
3 資本注入又は保証を受けた金融機関は、経営改善計画を作成し、定期的にその進捗状況を公表しなければならない。
(預金保険及び支払保証)
第九十三条 金融機関の破綻により預金者が被る損害を防止するため、預金保険機構を設ける。
2 預金保険機構は、保険金の支払、資産譲渡、合併又は救済金融機関への資金援助を行うことができる。
3 預金保険の保護限度額、保険料率及び支払手続に関し必要な事項は、政令で定める。
(協同組織金融の再編及び救済)
第九十四条 信用金庫、信用組合、農協、漁協その他の協同組織金融機関が経営困難に陥ったときは、関係団体の協力の下、再編又は合併の措置を講ずるものとする。
2 協同組織金融機関の救済に関し必要な特例は、金融庁長官が定める基準に従い、関係団体の協定に基づき実施される。
(金融機関更生手続)
第九十五条 金融機関が支払不能又は債務超過に陥った場合には、裁判所の監督の下に、更生手続を行うものとする。
2 更生手続は、破産手続に優先して開始され、事業の継続及び資産の保全を目的とする。
3 裁判所は、更生手続の開始に際し、管財人又は再生管理人を選任するものとする。
(破綻処理基金及び負担)
第九十六条 預金保険機構及び関係金融機関は、破綻処理に要する費用を共同で負担するため、破綻処理基金を設けるものとする。
2 破綻処理基金は、金融危機時における資金援助、債権買取り及び保証に充てることができる。
3 基金の運営及び監査に関し必要な事項は、政令で定める。
(危機対応会議)
第九十七条 政府は、金融システムに重大な影響を及ぼす事態が発生したときは、内閣総理大臣を本部長とする金融危機対応会議を設置する。
2 金融危機対応会議は、関係省庁、日銀、金融庁及び関係機関の長をもって構成し、必要な対策の総合調整を行う。
3 金融危機対応会議の設置、運営及び報告に関し必要な事項は、政令で定める。
(国際連携及び情報交換)
第九十八条 政府及び金融庁長官は、国際的な金融危機に際し、外国の監督当局、国際機関及び中央銀行と連携し、情報交換及び共同対応を行うものとする。
2 外国の破綻金融機関に係る資産又は債務の処理に関し、相互主義の原則に基づく協定を締結することができる。
(罰則の準用)
第九十九条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び地位)
第百条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、通貨及び金融の調節を行い、物価の安定を図ることを目的とする。
2 日本銀行は、前項の目的を達成するため、金融システムの安定及び国民経済の健全な発展に資するよう、その業務を運営しなければならない。
3 日本銀行は、法人とし、その資本金は全額を政府が出資する。
(独立性及び公共性)
第百一条 日本銀行は、その職務の遂行に当たり、政治的中立性及び専門的判断の独立を保持しなければならない。
2 政府は、金融政策の基本的方針に関し、日本銀行と常に意思疎通を保ち、相互の協力の下に経済政策の総合的運営を図るものとする。
3 日本銀行は、国会に対し、その政策及び業務の概要を定期的に報告しなければならない。
(業務の範囲)
第百二条 日本銀行は、次に掲げる業務を行う。
一 通貨の発行及び管理
二 金融機関に対する貸付け及び資金供給
三 国庫金の出納及び国債の発行・償還の事務
四 外国為替及び国際決済に関する業務
五 金融市場の調査、統計及び公表
六 金融システム安定化のための特別業務
2 前項各号のほか、政令で定める業務を行うことができる。
(金融政策決定会合)
第百三条 日本銀行に、金融政策決定会合を置く。
2 金融政策決定会合は、総裁、副総裁及び審議委員をもって構成する。
3 金融政策決定会合は、通貨及び金融の調節に関する基本的事項を審議し、政策金利その他の運用方針を決定する。
4 会合の議事及び議決の結果は、公表しなければならない。
(国との関係)
第百四条 日本銀行は、財務大臣を通じて内閣の指揮監督を受ける。ただし、その金融政策に関する判断については、独立してこれを行う。
2 財務大臣は、金融政策の決定が国の経済政策と著しく矛盾すると認めるときは、日本銀行に対し、意見を述べることができる。
3 日本銀行は、国の要請により、国際金融及び通貨制度に関する協力を行うものとする。
(損失補償及び政府の関与)
第百五条 日本銀行が国の要請に基づき行った政策金融その他の業務により損失を生じたときは、政府は、その損失を補償することができる。
2 補償を行う場合においては、国会の承認を経なければならない。
3 損失補償の範囲及び手続に関し必要な事項は、政令で定める。
(国際協力銀行)
第百六条 日本政府は、国際的な経済協力及び開発支援を行うため、国際協力銀行を設立することができる。
2 国際協力銀行は、政府の出資により設立し、輸出信用、海外投資及び国際共同事業への資金供給を行う。
3 国際協力銀行の業務及び財務に関し必要な事項は、政令で定める。
(国際金融協定の実施)
第百七条 政府及び日本銀行は、国際通貨基金(IMF)、世界銀行その他国際金融機関との協定に基づき、為替安定及び国際金融秩序の維持に努めなければならない。
2 日本銀行は、国際金融協定の実施に必要な為替操作及び資金供給を行うことができる。
(会計及び監査)
第百八条 日本銀行は、毎事業年度の決算を作成し、財務諸表を内閣及び会計検査院に提出しなければならない。
2 会計検査院は、日本銀行の会計について監査を行い、その結果を国会に報告する。
3 日本銀行は、決算を公表し、経営の透明性を確保しなければならない。
(罰則の準用)
第百九条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(目的及び適用範囲)
第百十条 この編は、金融サービスの提供に係る利用者の権利を保護し、苦情処理及び紛争解決の適正化を図るとともに、犯罪利用その他の不正行為から利用者を守るための制度を整備することを目的とする。
2 この編の規定は、銀行、保険会社、証券会社その他の金融サービス提供者及びこれに準ずる事業者に適用する。
(基本原則)
第百十一条 金融サービスの提供は、利用者の利益の保護及び信頼の維持を最も重視して行われなければならない。
2 金融サービス提供者は、説明義務、適合性原則及び誠実義務を遵守しなければならない。
3 金融庁長官は、前二項の実施を確保するため、必要な基準及びガイドラインを定めることができる。
(金融ADR制度)
第百十二条 金融庁長官は、利用者と金融サービス提供者との間の紛争を迅速かつ公正に解決するため、金融ADR(裁判外紛争解決)制度を整備するものとする。
2 金融ADR機関は、公正中立な第三者として、和解の仲介及び調停を行う。
3 金融サービス提供者は、金融ADR機関の要請に誠実に応じなければならない。
4 金融ADRの実施及び報告に関し必要な事項は、政令で定める。
(情報開示及び苦情処理)
第百十三条 金融サービス提供者は、商品又はサービスの内容、手数料、リスクその他の重要な事項について、平易かつ明確な方法で利用者に開示しなければならない。
2 金融サービス提供者は、利用者からの苦情又は相談を適切に処理する体制を整備しなければならない。
3 金融庁長官は、前項に定める体制の整備状況について監督を行うことができる。
(個人情報の保護)
第百十四条 金融サービス提供者は、利用者の個人情報及び取引情報を適正に管理し、目的外利用及び第三者提供を行ってはならない。
2 個人情報の漏えい、改ざん又は不正利用が発生したときは、速やかに利用者及び金融庁長官に報告しなければならない。
3 金融庁長官は、必要があると認めるときは、当該事業者に対し是正命令を発することができる。
(犯罪利用預金口座等被害回復分配)
第百十五条 金融機関は、犯罪利用の疑いがある預金口座に係る資金を凍結し、一定期間を経過した後、被害者に分配することができる。
2 前項の手続に当たっては、被害者の申出、証明及び金融庁長官の確認を経なければならない。
3 犯罪利用口座等の特定及び公表に関し必要な事項は、政令で定める。
(不当勧誘及び虚偽表示の禁止)
第百十六条 金融サービス提供者は、虚偽又は誤解を生ずる表示を行い、又は威迫的若しくは不当な方法による勧誘をしてはならない。
2 金融庁長官は、前項に違反する行為が行われたときは、その停止又は是正を命ずることができる。
(広告及び販売方法の基準)
第百十七条 金融サービス提供者は、広告又は販売活動において、利用者に誤解を与えないよう努めなければならない。
2 金融庁長官は、業態横断的に広告及び販売方法に関する基準を定めることができる。
(教育及び啓発)
第百十八条 政府及び金融庁長官は、国民が金融サービスを適切に利用し得るよう、金融リテラシーの向上及び啓発活動を推進するものとする。
2 学校教育及び社会教育における金融教育の推進については、文部科学大臣と連携して行うものとする。
(監督及び報告)
第百十九条 金融庁長官は、この編に定める措置の実施状況を把握するため、金融サービス提供者に対し報告を求め、又は検査を行うことができる。
2 金融庁長官は、必要があると認めるときは、業務改善命令又は業務停止命令を発することができる。
(罰則の準用)
第百二十条 この編の規定に違反した者に対する罰則は、第五編の規定を準用する。
(施行期日)
第百二十一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において、政令で定める日から施行する。
2 附則に定める経過措置に従い、現行法令の適用関係を調整するものとする。
(関係法令の廃止)
第百二十二条 次に掲げる法律は、この法律の施行の日をもって廃止する。
一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)
二 保険業法(平成七年法律第百五号)
三 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)
四 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)
五 信託業法(昭和二十六年法律第百九十六号)
六 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)
七 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)
八 日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)
九 商工組合中央金庫法(平成十四年法律第六十四号)
十 日本政策投資銀行法(平成十九年法律第八十五号)
十一 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)
十二 早期健全化法、金融機能再生法、金融機能強化法
十三 日本銀行融通損失補償法(昭和二十五年法律第百二十一号)
十四 金融サービスの提供に関する法律(令和三年法律第六十一号)
十五 その他、本法制定により効力を失う特別法
(施行準備)
第百二十三条 政府は、この法律の施行に必要な政令及び省令を制定し、また監督行政及び登録制度の整備を進めなければならない。
2 金融庁は、旧法に基づく登録・免許を受けた者について、本法施行後も当該登録を有効とみなす期間を定めることができる。
3 施行準備に関する事務は、公布の日から行うことができる。
(経過措置)
第百二十四条 この法律の施行前に締結された契約その他の行為は、施行後においても、当該契約に係る旧法の規定に基づき処理するものとする。
2 ただし、施行後三年を経過したときは、当該契約にも本法の規定を適用する。
3 施行時に係る訴訟、行政手続その他の事件については、なお従前の例による。
(罰則の経過)
第百二十五条 この法律の施行前に行われた行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
2 施行後における罰則の適用については、この法律による改正後の規定による。
(特例的存置)
第百二十六条 次に掲げる法律は、当分の間、特例的に存置する。
一 中小企業信用保険法
二 住宅金融支援機構法
三 農林中央金庫法
四 農業協同組合法、漁業協同組合法及び労働金庫法
五 地震保険法
六 外国為替及び外国貿易法
2 政府は、前項の法律について、本法の趣旨に沿って将来一体的な改正を行うものとする。
(附属文書及び指針)
第百二十七条 政府は、この法律の施行に際し、金融機関の行動規範、監督指針及び金融教育方針を定め、公表しなければならない。
2 前項の方針は、五年ごとに見直しを行うものとする。
(施行後の見直し)
第百二十八条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、その施行の状況及び金融市場の変化を勘案し、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。