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国税法 条文全文Lex50 · 19/50 · 私案条文

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第一編 総則

第一章 目的及び基本原則

(目的)

第一条 この法律は、国税に関し、その基本原則を定め、国税の賦課、徴収、納付及び還付並びにこれらに付随する行政手続を統合的に規律することにより、課税の公平、公正及び中立を確保し、もって国民の信頼の下における健全な財政運営及び国民経済の安定的発展に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「国税」とは、国が課する租税をいう。

 この法律において「納税義務者」とは、法令により国税を納付する義務を負う者をいう。

 この法律において「国税庁長官」「国税局長」及び「税務署長」とは、国税庁の組織に関する法令に定めるそれぞれの職にある者をいう。

(基本原則)

第三条 国及び国税庁は、課税の公平、公正及び中立を旨とし、納税者の自発的な納税の履行を促進するとともに、課税に関する情報の保護、税務手続の簡素化及び電子化を推進し、もって国民の信頼の確保に努めなければならない。

 納税義務者は、法令に従い、正確な申告及び納付を行うとともに、課税の適正な運営に協力するよう努めなければならない。

(国税通則法の適用)

第四条 国税に関する共通的事項については、別に国税通則法の定めるところによる。

 前項の規定にかかわらず、この法律に特別の定めがある場合を除き、国税通則法の規定を準用する。

(電子帳簿保存)

第五条 納税義務者は、財務省令で定めるところにより、国税に関する帳簿及び書類を電磁的記録により保存することができる。

 前項の電磁的記録は、当該帳簿及び書類の原本と同一の効力を有する。

 国及び国税庁は、電磁的記録による保存及び提出を促進し、もって税務行政の効率化及び納税者の利便の向上を図るものとする。

(国税情報の保護及び透明性)

第六条 国及び国税庁は、国税に関する情報の適正な管理及び保護を図るとともに、国民に対し、国税の課税、徴収及び政策税制の運用に関する情報を公正かつ適時に提供するよう努めなければならない。

 国は、租税特別措置その他の政策的減免制度の適用状況について、その効果及び公平性を検証し、その結果を公表するよう努めなければならない。

(国際的協調)

第七条 国は、租税に関し、国際的な取引及び経済活動の健全な発展に資するよう努めるとともに、国際課税に関する条約その他の国際的合意の履行に当たっては、各国との協調を図りつつ、適正な租税負担の確保に努めなければならない。

第二章 定義

(用語の意義)

第八条 この法律において使用する用語の意義は、次に定めるところによる。

一 国税 国が課する租税をいう。

二 税目 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税その他国税として法令に定める税をいう。

三 納税義務者 法令により国税を納付する義務を負う者をいう。

四 課税標準 租税の額を計算する基礎となる金額又は数量をいう。

五 申告書 納税義務者が国税の課税標準又は税額を申告するために作成し、提出する書類(電磁的記録を含む。)をいう。

六 税務署長 国税庁長官の所轄のもとに置かれる税務署の長をいう。

七 国税庁長官及び国税局長 国税庁設置法に定めるそれぞれの職にある者をいう。

八 国税職員 国税庁、国税局及び税務署に勤務する職員をいう。

九 電磁的記録 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。

十 課税情報 国税の賦課、徴収又は還付に関し、納税義務者その他関係人に関する情報をいう。

十一 税務手続 申告、調査、決定、更正、徴収、還付、審査請求その他国税に関する行政手続をいう。

十二 租税特別措置 特定の政策目的のため、通常の課税標準又は税率に代えて定められる特例措置をいう。

十三 国外送金等調書 所得税法その他の法令に基づき、国外への送金その他の取引に関して提出を要する調書をいう。

十四 電子帳簿保存 財務省令で定めるところにより、国税に関する帳簿及び書類を電磁的記録によって保存することをいう。

十五 税理士等 税理士法に定める税理士及び税理士法人をいう。

(定義の準用)

第九条 この法律に定めるもののほか、国税に関する用語の意義は、国税通則法その他の関係法令に定めるところによる。

 前項の規定にかかわらず、この法律に特別の定めがある場合を除き、国税通則法の定義を準用する。

(課税標準及び税率)

第十条 各税目の課税標準及び税率は、別に定める法律の定めるところによる。

 課税標準及び税率は、租税の公平及び経済の中立性の観点から、定期的に検証されなければならない。

(課税情報の取扱い)

第十一条 課税情報は、国税庁長官の管理の下において適正に取り扱われなければならない。

 課税情報の収集、保存及び提供は、法令に基づく場合又は公益上特に必要がある場合を除き、これを行うことができない。

 前項の規定に違反して取得した課税情報は、国税の賦課及び徴収の根拠として用いることができない。

(用語の改正整理)

第十二条 この法律の施行に伴い、他の法令における「国税通則法」又は「電子帳簿保存法」への引用は、原則としてこの法律中の相当規定への引用とみなす。

(定義に関する附則準用)

第十三条 この章に定める用語の定義は、附則において準用する場合を除き、特別の定めがあるときを除いて、国税に関する全ての規定に適用する。

第三章 国税行政の組織及び権限

(国税行政の所掌)

第十四条 国税に関する事務は、財務大臣が所掌する。

 前項の事務は、国税庁において掌理する。

 国税庁は、国税に関する賦課及び徴収その他の事務を総括し、国税に関する制度及び手続の適正かつ能率的な運営を図るものとする。

(国税庁の任務)

第十五条 国税庁は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 国税の賦課、徴収及び還付に関する事務

二 酒類の製造、販売及び取引に関する監督

三 租税特別措置その他の政策税制に係る執行及び報告

四 国税に関する調査、審理及び審査請求の処理

五 国税に関する統計及び資料の収集、分析及び公表

六 国際的租税協力及び租税条約の実施に関する事務

七 その他法令により国税庁に属させられた事務

(国税局及び税務署)

第十六条 国税庁の下に、国税局及び税務署を置く。

 国税局は、所管区域内の国税に関する事務を統括し、税務署を指導監督する。

 税務署は、所管区域内の国税に関する課税、徴収及び納税者への助言に関する事務を処理する。

 税務署長は、法令に基づく権限により、納税義務者に対し、申告、調査、決定、更正その他必要な処分を行う。

(国税庁長官の権限)

第十七条 国税庁長官は、国税に関する事務を統括し、所管行政の公正かつ効率的な運営を図る責任を有する。

 国税庁長官は、国税局長及び税務署長を指揮監督する。

 国税庁長官は、財務大臣の承認を得て、国際租税協力その他の国際的な事務に関し、外国政府又は国際機関と協定又は覚書を締結することができる。

 国税庁長官は、国税に関する情報の管理及び分析に係るシステムの整備を推進するものとする。

(国税審判所)

第十八条 国税庁に、国税審判所を置く。

 国税審判所は、国税に関する審査請求を裁決する。

 国税審判所に審判官を置き、その組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(税務専門職)

第十九条 国税庁は、税務行政の専門的遂行のため、国税専門官及び国税査察官を置く。

 国税査察官は、刑事訴訟法その他の法令に定めるところにより、脱税その他の租税犯罪の捜査を行うことができる。

 国税専門官の資格、任用及び研修に関する事項は、財務省令で定める。

(地方公共団体との連携)

第二十条 国税庁及び地方公共団体は、税務に関する情報の交換及び事務の連携に努めなければならない。

 国及び地方公共団体は、課税標準、納税管理及び滞納処分に関する情報を相互に活用し、国民の負担の公平及び事務の効率化を図るものとする。

 前二項の規定による情報交換に関し、個人情報保護法その他の法令に定める手続を経るものとする。

(委任)

第二十一条 この章に定めるもののほか、国税庁の組織、所掌事務及び職員に関し必要な事項は、政令で定める。

第四章 納税義務及び手続

(納税義務の成立)

第二十二条 国税の納税義務は、各税目に定める課税要件が充足されたときに成立する。

 納税義務の主体、客体及び範囲は、各税目の法律の定めるところによる。

 納税義務は、法令に基づかない限り、これを課することができない。

(納税義務の履行)

第二十三条 納税義務者は、法令に定めるところにより、申告又は納付の期限内に、正確に国税を申告し、これを納付しなければならない。

 国及び国税庁は、納税義務者が自発的に納税の履行を行うことができるよう、税務手続の明確化及び情報提供に努めなければならない。

(申告及び納付)

第二十四条 国税は、各税目に定めるところにより、納税義務者の申告に基づき納付するものとする。

 申告は、書面又は電磁的記録により、所轄の税務署長に提出しなければならない。

 電子情報処理組織を使用する申告(電子申告)は、法令の定めるところにより、これをもって書面の提出に代えることができる。

 納付は、現金、預金の振替、電子納付その他財務省令で定める方法により行うことができる。

(申告期限の特例)

第二十五条 天災その他避けることのできない事由により申告又は納付が困難であるときは、税務署長は、申請に基づき、その期限を延長することができる。

 前項の延長に関し必要な事項は、財務省令で定める。

(更正及び決定)

第二十六条 税務署長は、納税義務者が提出した申告に誤りがあると認めるとき、又は申告がなされていないときは、当該申告に係る課税標準又は税額を更正し、又は決定することができる。

 前項の更正又は決定をする場合には、あらかじめ納税義務者にその理由及び内容を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

(修正申告及び更正の請求)

第二十七条 納税義務者は、申告に誤りがあることを発見したときは、修正申告をすることができる。

 納税義務者は、過大に国税を納付したとき又は課税標準が過大に認定されたときは、更正の請求をすることができる。

 前項の請求は、法令に定める期間内に、当該税務署長に対して行わなければならない。

(還付及び充当)

第二十八条 国税庁長官又は税務署長は、法令により還付すべき国税があるときは、当該納税義務者に対し、還付金を支払わなければならない。

 前項の還付金は、納税者に未納の国税があるときは、これをもって充当することができる。

(延納及び徴収猶予)

第二十九条 納税義務者が国税を一時に納付することが困難であるときは、法令の定めるところにより、延納をすることができる。

 税務署長は、天災その他特別の事情により納付が困難であると認めるときは、申請に基づき、徴収を猶予することができる。

 延納及び徴収猶予に関し必要な条件、期間及び利子税の取扱いは、政令で定める。

(過少申告加算税等)

第三十条 納税義務者が申告すべき税額を過少に申告した場合その他法令で定める場合には、過少申告加算税、無申告加算税又は重加算税を課する。

 加算税の税率、算定方法及び減免の手続は、国税通則法その他の法令の定めるところによる。

 国税庁は、課税処分の適正性及び公平性を確保するため、加算税の賦課実績を毎年度公表しなければならない。

(利子税及び延滞税)

第三十一条 法令の定めるところにより、納付又は還付の時期が遅延した場合においては、利子税又は延滞税を課する。

 利子税及び延滞税の利率、期間及び計算方法は、政令で定める。

(電子的手続の推進)

第三十二条 国及び国税庁は、国税に関する申告、納付及び還付の手続について、電子情報処理組織を利用することができるよう整備しなければならない。

 前項の電子情報処理組織による手続は、法令に特別の定めがある場合を除き、書面による手続と同一の効力を有する。

 国税庁は、電子的手続の利用状況を毎年度公表し、納税者の利便の向上及び行政の効率化に資するよう努めなければならない。

(納税証明)

第三十三条 納税義務者は、自己の納税に関する証明書の交付を、所轄税務署長に請求することができる。

 税務署長は、正当な理由があるときは、前項の証明書の交付を拒むことができる。

(書類の保存)

第三十四条 納税義務者は、国税に関する帳簿及び書類を、法令の定める期間保存しなければならない。

 前項の帳簿及び書類は、電磁的記録によって保存することができる。

 保存期間、方法及び検査に関する事項は、政令で定める。

(代理及び補助)

第三十五条 納税義務者は、税理士又は税理士法人に国税に関する手続を代理又は補助させることができる。

 税理士は、税理士法の定めるところにより、国税に関する申告、審査請求その他の手続を代理することができる。

(通知及び送達)

第三十六条 国税庁又は税務署は、国税に関する処分又は通知を行う場合には、書面又は電磁的記録による送達をもってこれを行う。

 前項の送達の方法、効力及び時期に関しては、行政手続法及び民事訴訟法の規定を準用する。

(手続の適正及び簡素化)

第三十七条 国及び国税庁は、国税に関する手続を簡素かつ明確にし、納税者の権利利益の保護に配慮しなければならない。

 国は、納税手続の改善及び電子化の推進に関する基本計画を定め、これを公表しなければならない。

(委任)

第三十八条 この章に定めるもののほか、納税義務及び手続に関し必要な事項は、政令で定める。

第二編 国税徴収

第一章 総則

(国税徴収の原則)

第三十九条 国税の徴収は、法令の定めるところにより、公正かつ適正に行われなければならない。

 国税の徴収は、納税義務者の財産権を不当に侵害してはならず、必要最小限度の方法によらなければならない。

(徴収権者)

第四十条 国税の徴収に関する事務は、税務署長が行う。

 税務署長は、法令の定めるところにより、国税庁長官又は国税局長の指揮を受ける。

 税務署長は、徴収に関し必要があるときは、関係官公署に照会し、又は協力を求めることができる。

(徴収の範囲)

第四十一条 国税の徴収は、納税義務者の財産のうち、差押えを免れない財産を対象として行う。

 国税の滞納処分においては、債権、動産及び不動産を順次差し押えるものとし、必要がある場合を除き、生活に不可欠な財産を差し押えてはならない。

(徴収金の順位)

第四十二条 国税の徴収金は、法令に別段の定めがある場合を除き、他の債権に先立ち弁済を受ける。

 前項の規定にかかわらず、労働基準法に定める賃金債権及び民法に定める先取特権のある債権は、その権利の範囲内で国税に優先する。

(納付の催告及び督促)

第四十三条 税務署長は、納税義務者が納期限までに国税を納付しないときは、催告書を発することができる。

 納付がないときは、督促状を発し、その旨を納税義務者に通知しなければならない。

 督促の時期、方法及び効力は、政令で定める。

(滞納処分の開始)

第四十四条 税務署長は、督促を発した後、なお納付がないときは、滞納処分を行うことができる。

 滞納処分は、差押え、換価及び配当の順序により行う。

(差押えの手続)

第四十五条 差押えは、差押調書を作成し、これを滞納者に通知することによって行う。

 動産の差押えは、その占有をもって効力を生ずる。

 不動産の差押えは、登記をもって第三者に対抗することができる。

 債権その他の財産権の差押えは、第三債務者に対する通知によって効力を生ずる。

(差押禁止財産)

第四十六条 次に掲げる財産は、差押えをしてはならない。

一 生活に必要な衣類、寝具及び家具

二 職業の遂行に必要な器具、機械その他の用具

三 食糧又は燃料で政令で定める数量以内のもの

四 生活保護法により給付を受ける金品

五 給与、年金その他の定期収入のうち政令で定める割合以内のもの

(換価及び配当)

第四十七条 差押えた財産は、法令の定めるところにより換価し、その代金をもって国税に充てるものとする。

 換価による収入が国税債権を超えるときは、超過部分を滞納者に返還しなければならない。

 複数の債権者が存在するときは、国税債権に優先する債権を除き、配当表を作成し、その順位に従い配当を行う。

(滞納処分の中止及び猶予)

第四十八条 税務署長は、滞納者の財産状態その他の事情を考慮し、徴収を継続することが著しく不当であると認めるときは、滞納処分を中止し、又は徴収を猶予することができる。

 滞納処分の中止及び猶予の要件、期間及び手続は、政令で定める。

(第三者の占有する財産)

第四十九条 税務署長は、滞納者に属する財産が第三者の占有にあるときは、その第三者に対し、差押調書の写しを交付してその財産を差し押えることができる。

 第三者は、正当な権利に基づき占有することを証明したときは、差押えを解除させることができる。

(徴収権の消滅)

第五十条 国税の徴収権は、法令の定める期間を経過したときは、時効により消滅する。

 時効の期間は、原則として五年とする。ただし、詐欺その他不正の行為により徴収を免れた場合には七年とする。

 時効の起算、停止及び中断に関する事項は、民法の規定を準用する。

(滞納整理)

第五十一条 国税庁長官は、国税の徴収に関する事務の統一的運用を図るため、滞納処分に関する基準及び指針を定め、公表しなければならない。

 国税庁長官は、滞納整理に関する年次報告書を作成し、その概要を国会に提出しなければならない。

(強制執行との調整)

第五十二条 国税の滞納処分は、民事執行法による強制執行に優先して行う。

 国税債権と他の公租公課との競合に関する調整は、政令で定める。

 滞納処分と破産手続その他の法的整理手続との関係については、破産法その他の法令に定めるところによる。

(地方公共団体との協調)

第五十三条 国税庁は、地方公共団体と協力して、国税及び地方税の徴収に係る事務の連携及び情報の共有を行うものとする。

 前項の協力に当たり、個人情報保護法その他の法令の定める手続を遵守しなければならない。

(徴収事務の電子化)

第五十四条 国及び国税庁は、国税の徴収及び滞納処分に関する事務について、電子情報処理組織を活用し、納税者の利便の向上及び行政の効率化を図るものとする。

 前項の電子情報処理組織による処理の記録は、書面による処理と同一の効力を有する。

(委任)

第五十五条 この編に定めるもののほか、国税の徴収及び滞納処分に関し必要な事項は、政令で定める。

第三編 所得課税

第一章 総則

(所得課税の目的)

第五十六条 この編は、個人及び法人の所得に対する国税に関し、その課税標準、税率、控除、申告及び納付の手続並びに課税の適正化に関する基本的事項を定め、もって担税力に応じた公平な負担を確保することを目的とする。

(課税の基本原則)

第五十七条 所得課税は、経済的能力に応じた負担の公平を旨とし、所得の種類及び源泉にかかわらず、同一の担税力に対しては同一の課税を行うものとする。

 所得課税は、二重課税を排除し、租税回避行為を防止することを基本とする。

(定義)

第五十八条 この編において「所得」とは、資産の増加又は消費に充てられる経済的利益をいう。

 「法人」とは、会社その他の営利又は公益を目的とする社団又は財団であって、法人格を有するものをいう。

 「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続き一年以上居所を有する個人をいう。

 「非居住者」とは、居住者以外の個人をいう。

 「内国法人」とは、国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。

 「外国法人」とは、内国法人以外の法人をいう。

(課税の区分)

第五十九条 所得課税は、次に掲げる区分により行う。

一 所得税 個人の所得に対して課する税

二 法人税 法人の所得に対して課する税

三 源泉所得税 支払の際に徴収する所得税

四 特別復興所得税その他の附加税 附則に定める特例によるもの

第二章 所得税

(課税標準)

第六十条 所得税の課税標準は、その年における居住者の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。

 非居住者については、国内源泉所得の金額を課税標準とする。

(所得の区分)

第六十一条 所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得に区分する。

(課税所得の計算)

第六十二条 所得税額は、総所得金額等から所得控除額を控除した残額を課税所得金額とし、税率を乗じて計算する。

 税率は、所得金額の多寡に応じた累進税率とする。

(所得控除)

第六十三条 所得控除には、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除その他法令で定める控除を含む。

 所得控除の額及び適用要件は、政令で定める。

(申告納税)

第六十四条 居住者は、法令で定めるところにより、毎年、所得税の確定申告書を税務署長に提出しなければならない。

 確定申告は、前年の所得について翌年三月十五日までに行うものとする。

(源泉徴収)

第六十五条 所得税は、給与、利子、配当その他政令で定める所得の支払をする者が、その支払の際に所得税を徴収し、翌月十日までに納付しなければならない。

(年末調整)

第六十六条 給与所得者に対する所得税については、支払者は、年末においてその年分の所得税額を精算し、過不足を調整するものとする。

(申告不要制度)

第六十七条 政令で定める少額の所得又は特定の所得については、申告を要しないものとすることができる。

(税額控除及び還付)

第六十八条 居住者は、配当控除、外国税額控除その他の税額控除を適用することができる。

 過納となった税額は、前編の定めるところにより還付する。

第三章 法人税

(課税標準)

第六十九条 法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。

 内国法人については、国内外の所得を課税標準とする。

 外国法人については、国内源泉所得の金額を課税標準とする。

(益金及び損金)

第七十条 益金の額は、当該事業年度における収益の総額とする。

 損金の額は、当該事業年度における費用及び損失の額とする。

 益金及び損金の計上基準その他必要な事項は、企業会計原則及び法令の定めるところによる。

(連結納税)

第七十一条 内国法人が他の法人の株式の全部又は大部分を保有する場合において、政令の定める要件を満たすときは、連結納税を行うことができる。

 連結納税の適用範囲及び方法は、政令で定める。

(欠損金の繰越及び繰戻)

第七十二条 法人が事業年度において生じた欠損金は、法令で定めるところにより、翌事業年度以後の所得の金額から控除することができる。

 政令で定める要件を満たす場合は、前事業年度に繰戻して控除することができる。

(中小法人の特例)

第七十三条 中小法人については、税率の軽減その他特例を設けることができる。

 中小法人の範囲及び特例の内容は、租税特別措置法の定めるところによる。

(外国税額控除)

第七十四条 内国法人は、国外で課された所得税又はこれに相当する税額を、一定の範囲内で法人税額から控除することができる。

 外国税額控除の算定方法及び限度額は、政令で定める。

(公益法人等の課税特例)

第七十五条 公益法人等については、公益事業に係る所得に対し、政令で定める特例を適用することができる。

(租税回避行為の否認)

第七十六条 国税庁長官は、法人がその事業年度において行った取引が、実質的に租税負担を不当に減少させる結果を生ずると認めるときは、その取引を否認し、適正な課税標準を算定することができる。

第四章 国際課税及び情報制度

(国外所得の取扱い)

第七十七条 居住者及び内国法人の国外所得については、法令の定めるところにより、外国税額控除その他の方法により二重課税の調整を行う。

(国外送金等調書)

第七十八条 居住者又は内国法人が、国外に送金し、又は国外から送金を受けた場合には、財務省令で定めるところにより、その内容を記載した調書を提出しなければならない。

 金融機関その他政令で定める者は、国外送金に関する情報を国税庁に報告しなければならない。

(外国関係会社の合算課税)

第七十九条 居住者又は内国法人が、外国関係会社を通じて租税回避を行っていると認められる場合には、その会社の所得の全額又は一部を当該居住者又は内国法人の所得に合算して課税することができる。

(移転価格税制)

第八十条 国際取引において、独立企業間の原則に従わない価格で取引が行われたと認めるときは、税務署長は、適正な価格により所得の計算を更正することができる。

(租税条約の適用)

第八十一条 租税条約に特別の定めがあるときは、その定めによる。

 租税条約の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

(情報交換及び透明性)

第八十二条 国及び国税庁は、外国政府及び国際機関と連携し、租税情報の交換及び共有を推進するものとする。

 国税庁は、OECDその他の国際的枠組みに基づき、国外所得及び国外送金に関する情報を毎年度整理し、公表しなければならない。

(委任)

第八十三条 この編に定めるもののほか、所得税、法人税及び国際課税に関し必要な事項は、政令で定める。

第四編 資産課税

第一章 総則

(目的)

第八十四条 この編は、財産の移転又は保有に着目して課される国税に関し、その課税標準、税率及び納付の方法を定め、もって資産の適正な承継及び課税の公平を確保することを目的とする。

(課税の基本原則)

第八十五条 資産課税は、財産の移転に伴う経済的利益に応じて行われ、また過度の負担を課することによって事業の継続又は生活の基盤を損なうことがないように配慮しなければならない。

(課税の区分)

第八十六条 資産課税は、次の区分により行う。

一 相続税 死亡により財産を取得したことを原因として課する税

二 贈与税 生前に他人から財産を贈与により取得したことを原因として課する税

三 特例資産税 附則で定める再評価又は特別控除に関する特例措置による税

第二章 相続税

(納税義務者)

第八十七条 相続税は、被相続人の死亡により財産を取得した個人に課する。

 遺贈又は死因贈与により財産を取得した者も、相続人とみなして課税する。

 被相続人が国内に住所を有していた場合には、国内外のすべての財産を課税財産とする。ただし、非居住者の場合は、国内財産に限る。

(課税標準)

第八十八条 相続税の課税標準は、相続又は遺贈により取得した財産の価額から、債務及び葬式費用を控除した残額とする。

(税率)

第八十九条 相続税の税率は、取得金額の多寡に応じて累進とする。

 税率及び速算表は、政令で定める。

(基礎控除及び特例控除)

第九十条 相続税については、被相続人一人につき、法令で定める額の基礎控除を設ける。

 配偶者控除、未成年者控除、障害者控除その他の特例控除を設けることができる。

 事業承継又は農地等については、事業の継続を条件として特例控除を適用することができる。

(申告及び納付)

第九十一条 相続税の申告は、被相続人の死亡のあった日の翌日から十か月以内に、相続人が連署して所轄税務署長に提出しなければならない。

 相続税の納付は、現金又は物納により行うことができる。

(延納及び物納)

第九十二条 相続税については、金銭により一時に納付することが困難であるときは、延納又は物納をすることができる。

 延納期間及び利子税の取扱い並びに物納に供することができる財産の範囲は、政令で定める。

(相続時精算課税)

第九十三条 被相続人が生前に行った贈与について、相続の時に一体として課税する制度(相続時精算課税)は、政令で定める要件に該当する場合に適用する。

(課税の特例)

第九十四条 相続税に関し、災害、戦傷又は公務により死亡した者の相続については、特例を設けることができる。

第三章 贈与税

(納税義務者)

第九十五条 贈与税は、贈与により財産を取得した個人に課する。

 贈与者が法人である場合においても、贈与を受けた個人が納税義務者となる。

(課税標準及び税率)

第九十六条 贈与税の課税標準は、贈与により取得した財産の価額とし、税率は累進とする。

 贈与税の税率は、相続税との均衡を考慮して政令で定める。

(申告及び納付)

第九十七条 贈与税の申告は、贈与を受けた年の翌年三月十五日までに、所轄税務署長に提出しなければならない。

 贈与税は、申告に基づき納付するものとする。

(非課税贈与)

第九十八条 次に掲げる贈与については、贈与税を課さない。

一 社会通念上相当と認められる扶養又は教育に関する費用の贈与

二 政令で定める少額の贈与

三 特定目的のためにする政令で定める贈与

(特例贈与)

第九十九条 父母又は祖父母から二十歳以上の子又は孫に対する贈与については、特別税率を適用することができる。

 住宅取得資金、教育資金その他政令で定める資産の贈与については、非課税又は軽減の特例を設けることができる。

(連年贈与の取扱い)

第百条 連続して行われる贈与は、その実質に応じて一体の贈与とみなす。

第四章 特例及び経過措置

(資産再評価に係る特例)

第百一条 政令で定める事業者が、経済情勢の変化に対応して資産の再評価を行う場合には、その差額に対し特例税率を適用することができる。

 資産再評価の方法、時期及び申告手続に関する事項は、財務省令で定める。

(旧資産再評価法の廃止及び経過)

第百二条 資産再評価法(昭和二十六年法律第百八号)は、廃止する。

 前項の廃止前に行われた再評価については、なお従前の例による。

(納税貯蓄組合に係る経過措置)

第百三条 旧納税貯蓄組合法による納税貯蓄組合は、この法律の施行の日以後は、税務署長の認可を受けて、納税協力団体として存続することができる。

 納税協力団体の組織及び業務に関する事項は、政令で定める。

(贈与税と相続税の調整)

第百四条 贈与税が課された財産について相続税が課される場合には、その贈与税相当額を相続税額から控除する。

(委任)

第百五条 この編に定めるもののほか、資産課税に関し必要な事項は、政令で定める。

第五編 消費課税

第一章 総則

(目的)

第百六条 この編は、物品又は役務の消費若しくは譲渡、又は特定の取引若しくは行為に着目して課される国税に関し、その課税標準、税率、申告及び納付の手続を定め、もって消費の段階に応じた負担の公平及び財政の安定を確保することを目的とする。

(課税の基本原則)

第百七条 消費課税は、取引の経済的実態に応じて行われ、二重課税又は過重負担を避けるものとする。

 国及び国税庁は、取引の多様化及び電子化に対応し、課税の適正化及び納税手続の簡素化を図らなければならない。

(課税の区分)

第百八条 消費課税は、次の区分により行う。

一 消費税 国内における資産の譲渡、役務の提供及び輸入に対して課する税

二 酒税 酒類の製造者又は保税地域から引き取る者に対して課する税

三 たばこ税 製造たばこ又は輸入たばこに対して課する税

四 揮発油税及び地方揮発油税 揮発油の製造又は輸入に対して課する税

五 石油ガス税及び石油石炭税 液化石油ガス及び石油製品に対して課する税

六 自動車重量税 自動車の保有又は新規登録に対して課する税

七 航空機燃料税 航空機燃料の引取りに対して課する税

八 印紙税 課税文書の作成に対して課する税

九 登録免許税 登記、登録又は許可に対して課する税

第二章 消費税

(納税義務者)

第百九条 消費税は、事業として資産の譲渡若しくは役務の提供を行う者及び輸入取引を行う者に課する。

(課税標準)

第百十条 消費税の課税標準は、対価の額とする。

 輸入取引については、課税標準を課税価格とする。

(税率)

第百十一条 消費税の税率は、百分の十とする。ただし、食料品その他政令で定める特定資産又は役務については、軽減税率を適用することができる。

(仕入税額控除)

第百十二条 課税事業者は、課税仕入れに係る消費税額を控除することができる。

 前項の控除は、適格請求書その他政令で定める書類を保存する場合に限り適用する。

(申告及び納付)

第百十三条 課税事業者は、課税期間ごとに、消費税の課税標準及び税額を計算し、所轄税務署長に申告しなければならない。

 納付は、申告と同時に行うものとする。

(中間申告及び納付)

第百十四条 課税売上高が政令で定める金額を超える者は、中間申告及び納付をしなければならない。

(免税事業者)

第百十五条 課税売上高が政令で定める基準以下の者は、消費税の納税義務を免除される。

(輸出取引の免税)

第百十六条 輸出取引に係る資産の譲渡又は役務の提供については、消費税を課さない。

(帳簿及び請求書の保存)

第百十七条 課税事業者は、課税期間ごとに取引の帳簿及び適格請求書を保存しなければならない。

第三章 酒税

(納税義務者)

第百十八条 酒税は、酒類を製造する者又は保税地域から引き取る者に課する。

(課税標準)

第百十九条 酒税の課税標準は、製造数量又は引取数量とする。

(税率)

第百二十条 酒税の税率は、酒類の種類及びアルコール分に応じて政令で定める。

(免許及び許可)

第百二十一条 酒類の製造又は販売を業として行う者は、国税庁長官の免許を受けなければならない。

 免許の基準及び手続に関する事項は、政令で定める。

(納税及び申告)

第百二十二条 製造者は、毎月、製造数量に係る酒税額を申告し、納付しなければならない。

(酒類業組合)

第百二十三条 酒類製造業者は、酒類業組合を設立することができる。

 酒類業組合は、組合員の事業安定及び適正取引の確保を目的とし、国税庁の監督を受ける。

第四章 特定物品課税

(たばこ税)

第百二十四条 たばこ税は、製造たばこ又は輸入たばこに対し、製造者又は輸入者に課する。

 課税標準は、数量又は販売価格とする。

(揮発油税及び石油ガス税)

第百二十五条 揮発油税及び石油ガス税は、揮発油又は石油ガスの製造者又は輸入者に課する。

 税率及び課税標準は、政令で定める。

(石油石炭税)

第百二十六条 石油石炭税は、原油、石炭その他政令で定める燃料の取引又は引取りに対して課する。

(自動車重量税)

第百二十七条 自動車重量税は、自動車の新規登録又は継続検査に際して、当該自動車の所有者に課する。

(航空機燃料税)

第百二十八条 航空機燃料税は、航空機燃料の引取りを行う者に課する。

 燃料の種類及び税率は、政令で定める。

第五章 取引行為課税

(印紙税)

第百二十九条 印紙税は、政令で定める課税文書の作成に対して課する。

 納税義務者は、課税文書を作成する者とする。

 印紙税の納付は、印紙の貼付又は電子的方法により行う。

(登録免許税)

第百三十条 登録免許税は、登記、登録又は許可に対して課する。

 課税標準は、当該行為に係る価格又は価額とする。

 税率は、行為の種類に応じて政令で定める。

(電子申請に係る特例)

第百三十一条 登記又は登録を電子的に行う場合は、登録免許税を電子的に納付することができる。

第六章 特例及び附帯規定

(特定用途税)

第百三十二条 揮発油税、石油石炭税、自動車重量税及び航空機燃料税の収入は、道路、港湾、空港その他政令で定める公共施設の整備に充てるものとする。

(免税及び還付)

第百三十三条 政令で定める特定の用途又は条件に該当する場合は、消費課税の全部又は一部を免除し、又は還付することができる。

(税率の改定)

第百三十四条 社会経済の情勢変動その他特別の必要があるときは、政令で定めるところにより、税率を改定することができる。

(委任)

第百三十五条 この編に定めるもののほか、消費課税に関し必要な事項は、政令で定める。

第六編 政策税制

第一章 総則

(目的)

第百三十六条 この編は、経済、社会及び環境の政策目的を達成するため、恒久税制の特例として租税上の措置を講じ、その運用の透明性及び時限性を確保することを目的とする。

(定義)

第百三十七条 この編において「政策税制」とは、国の経済社会上の目的を実現するため、所得税法、法人税法その他の恒久税法の規定に対し、特別の軽減、控除又は猶予の措置を設ける法律上の制度をいう。

(基本原則)

第百三十八条 政策税制は、次に掲げる原則に従い設けるものとする。

一 明確な政策目的及び評価指標を有すること。

二 恒久法に対する時限的特例として位置付けられること。

三 公平性、中立性及び簡素性を損なわないこと。

四 終了時に効果検証を行い、必要がある場合を除き延長しないこと。

第二章 租税特別措置

(特別措置の設定)

第百三十九条 政府は、経済又は社会政策上の必要に応じ、政令の定めるところにより、所得税、法人税又は資産課税に関する特別措置を設けることができる。

 特別措置の内容及び期間は、国会の議決を経なければならない。

(税額控除及び特別償却)

第百四十条 法人又は個人が、政令で定める設備投資、研究開発又は地域振興に資する事業を行った場合には、特別償却又は税額控除を受けることができる。

 税額控除及び償却の限度額は、恒久法の規定に優先して適用する。

(中小企業投資促進税制)

第百四十一条 中小企業者が、経営基盤の強化又は事業承継の円滑化を目的として一定の設備投資を行った場合には、特別償却又は税額控除の特例を適用することができる。

(環境投資減税)

第百四十二条 再生可能エネルギー、省エネルギー又は環境負荷低減に資する設備を導入した場合には、所得又は法人税の額から一定額を控除することができる。

(研究開発税制)

第百四十三条 研究開発に要する試験研究費の額に応じ、法人税の額から一定の控除を行うことができる。

 前項の控除率及び算定基準は、政令で定める。

(地域再生・地方創生税制)

第百四十四条 地方公共団体又は地域経済団体が認定を受けて行う地域再生事業に対しては、所得控除又は法人税控除の特例を設けることができる。

 当該特例の対象及び手続は、内閣府令で定める。

第三章 特定分野税制

(電源開発促進税)

第百四十五条 電源開発促進税は、電気事業者に課し、その収入をもって電源の多様化及び原子力安全対策の推進に充てるものとする。

 税率、課税標準及び納付方法は、政令で定める。

(国際観光旅客税)

第百四十六条 国際観光旅客税は、航空機又は船舶により出国する旅客に課する。

 納税義務者は、当該旅客の運送を行う事業者とする。

 徴収及び納付の方法は、財務省令で定める。

(森林環境税及び森林環境譲与税)

第百四十七条 森林環境税は、個人に対して課し、その収入をもって森林の整備及び環境保全に充てるものとする。

 森林環境譲与税は、森林環境税の収入のうち政令で定める割合を地方公共団体に譲与するものとする。

 譲与の基準及び方法は、地方財政法の定めるところによる。

(災害復旧・復興税)

第百四十八条 災害復旧及び復興に必要な財源を確保するため、臨時に附加税を課することができる。

 附加税の対象及び期間は、法律により定める。

(社会保障・税一体改革)

第百四十九条 国及び地方公共団体は、社会保障制度の安定化を図るため、所得税、法人税及び消費税の調整を行うものとする。

 前項の調整により得られた財源は、年金、医療及び福祉の財政に充てるものとする。

(教育投資税制)

第百五十条 教育又は人材育成に資する投資を行う法人又は個人に対しては、所得控除又は税額控除の特例を適用することができる。

 教育投資の範囲は、学校教育、職業訓練及び再教育を含むものとする。

(デジタル・イノベーション税制)

第百五十一条 AI、データ利用、情報通信技術の導入により生産性の向上を図る法人又は個人に対しては、特別償却又は税額控除の特例を設けることができる。

(国際課税調整特例)

第百五十二条 OECDその他の国際的枠組みに基づく最低税率制度の実施その他国際課税の調整に関する特例は、政令で定める。

第四章 手続及び透明性

(届出及び認定)

第百五十三条 政策税制の適用を受けようとする者は、政令で定めるところにより、税務署長又は所轄行政庁に届出をし、又は認定を受けなければならない。

(評価及び公表)

第百五十四条 政府は、政策税制の適用状況を毎年度評価し、その結果を公表しなければならない。

 評価の結果は、当該措置の延長又は廃止に関する判断の基礎とする。

(時限措置の失効)

第百五十五条 政策税制は、法律又は附則で定める期間を経過したときは、当然にその効力を失う。

 当該期間の延長は、国会の議決を経て行わなければならない。

(国会報告)

第百五十六条 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置等の適用実績及び政策効果に関する報告書を作成し、国会に提出しなければならない。

(電子情報の活用)

第百五十七条 国税庁は、政策税制の適用及び評価に関し、電子情報処理組織を活用し、データベースを整備するものとする。

(透明化措置)

第百五十八条 政策税制により減免された税額、適用件数及び主な適用者の属性に関する統計は、毎年度公表しなければならない。

(不正適用の防止)

第百五十九条 政策税制を不正に適用した者については、国税通則法の定める加算税又は重加算税を適用する。

(委任)

第百六十条 この編に定めるもののほか、政策税制に関し必要な事項は、政令で定める。

第六編 政策税制

第一章 総則

(目的)

第百三十六条 この編は、経済、社会及び環境の政策目的を達成するため、恒久税制の特例として租税上の措置を講じ、その運用の透明性及び時限性を確保することを目的とする。

(定義)

第百三十七条 この編において「政策税制」とは、国の経済社会上の目的を実現するため、所得税法、法人税法その他の恒久税法の規定に対し、特別の軽減、控除又は猶予の措置を設ける法律上の制度をいう。

(基本原則)

第百三十八条 政策税制は、次に掲げる原則に従い設けるものとする。

一 明確な政策目的及び評価指標を有すること。

二 恒久法に対する時限的特例として位置付けられること。

三 公平性、中立性及び簡素性を損なわないこと。

四 終了時に効果検証を行い、必要がある場合を除き延長しないこと。

第二章 租税特別措置

(特別措置の設定)

第百三十九条 政府は、経済又は社会政策上の必要に応じ、政令の定めるところにより、所得税、法人税又は資産課税に関する特別措置を設けることができる。

 特別措置の内容及び期間は、国会の議決を経なければならない。

(税額控除及び特別償却)

第百四十条 法人又は個人が、政令で定める設備投資、研究開発又は地域振興に資する事業を行った場合には、特別償却又は税額控除を受けることができる。

 税額控除及び償却の限度額は、恒久法の規定に優先して適用する。

(中小企業投資促進税制)

第百四十一条 中小企業者が、経営基盤の強化又は事業承継の円滑化を目的として一定の設備投資を行った場合には、特別償却又は税額控除の特例を適用することができる。

(環境投資減税)

第百四十二条 再生可能エネルギー、省エネルギー又は環境負荷低減に資する設備を導入した場合には、所得又は法人税の額から一定額を控除することができる。

(研究開発税制)

第百四十三条 研究開発に要する試験研究費の額に応じ、法人税の額から一定の控除を行うことができる。

 前項の控除率及び算定基準は、政令で定める。

(地域再生・地方創生税制)

第百四十四条 地方公共団体又は地域経済団体が認定を受けて行う地域再生事業に対しては、所得控除又は法人税控除の特例を設けることができる。

 当該特例の対象及び手続は、内閣府令で定める。

第三章 特定分野税制

(電源開発促進税)

第百四十五条 電源開発促進税は、電気事業者に課し、その収入をもって電源の多様化及び原子力安全対策の推進に充てるものとする。

 税率、課税標準及び納付方法は、政令で定める。

(国際観光旅客税)

第百四十六条 国際観光旅客税は、航空機又は船舶により出国する旅客に課する。

 納税義務者は、当該旅客の運送を行う事業者とする。

 徴収及び納付の方法は、財務省令で定める。

(森林環境税及び森林環境譲与税)

第百四十七条 森林環境税は、個人に対して課し、その収入をもって森林の整備及び環境保全に充てるものとする。

 森林環境譲与税は、森林環境税の収入のうち政令で定める割合を地方公共団体に譲与するものとする。

 譲与の基準及び方法は、地方財政法の定めるところによる。

(災害復旧・復興税)

第百四十八条 災害復旧及び復興に必要な財源を確保するため、臨時に附加税を課することができる。

 附加税の対象及び期間は、法律により定める。

(社会保障・税一体改革)

第百四十九条 国及び地方公共団体は、社会保障制度の安定化を図るため、所得税、法人税及び消費税の調整を行うものとする。

 前項の調整により得られた財源は、年金、医療及び福祉の財政に充てるものとする。

(教育投資税制)

第百五十条 教育又は人材育成に資する投資を行う法人又は個人に対しては、所得控除又は税額控除の特例を適用することができる。

 教育投資の範囲は、学校教育、職業訓練及び再教育を含むものとする。

(デジタル・イノベーション税制)

第百五十一条 AI、データ利用、情報通信技術の導入により生産性の向上を図る法人又は個人に対しては、特別償却又は税額控除の特例を設けることができる。

(国際課税調整特例)

第百五十二条 OECDその他の国際的枠組みに基づく最低税率制度の実施その他国際課税の調整に関する特例は、政令で定める。

第四章 手続及び透明性

(届出及び認定)

第百五十三条 政策税制の適用を受けようとする者は、政令で定めるところにより、税務署長又は所轄行政庁に届出をし、又は認定を受けなければならない。

(評価及び公表)

第百五十四条 政府は、政策税制の適用状況を毎年度評価し、その結果を公表しなければならない。

 評価の結果は、当該措置の延長又は廃止に関する判断の基礎とする。

(時限措置の失効)

第百五十五条 政策税制は、法律又は附則で定める期間を経過したときは、当然にその効力を失う。

 当該期間の延長は、国会の議決を経て行わなければならない。

(国会報告)

第百五十六条 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置等の適用実績及び政策効果に関する報告書を作成し、国会に提出しなければならない。

(電子情報の活用)

第百五十七条 国税庁は、政策税制の適用及び評価に関し、電子情報処理組織を活用し、データベースを整備するものとする。

(透明化措置)

第百五十八条 政策税制により減免された税額、適用件数及び主な適用者の属性に関する統計は、毎年度公表しなければならない。

(不正適用の防止)

第百五十九条 政策税制を不正に適用した者については、国税通則法の定める加算税又は重加算税を適用する。

(委任)

第百六十条 この編に定めるもののほか、政策税制に関し必要な事項は、政令で定める。

第八編 透明性及び開示

第一章 総則

(目的)

第百八十一条 この編は、国税の賦課及び徴収に関する情報の公開及び政策税制の運用の透明化を図ることにより、国民の理解と信頼を確保し、もって公正で開かれた税制の実現に資することを目的とする。

(基本原則)

第百八十二条 国税に関する情報は、個人情報保護及び企業秘密の保護に配慮しつつ、適正な方法により公開しなければならない。

 国及び国税庁は、税制の運用及び改正の過程において、国民への説明責任を果たすものとする。

(定義)

第百八十三条 この編において「税務情報」とは、国税の課税、徴収、還付、特例措置及び国際課税に関する統計、資料及び行政処分に係る情報をいう。

第二章 政策税制の透明化

(租税特別措置の開示)

第百八十四条 財務大臣は、毎会計年度、租税特別措置の適用実績及び減収額を整理し、国会に報告しなければならない。

 前項の報告は、電子的方法により公表し、国民が閲覧できるようにしなければならない。

(適用企業情報の公表)

第百八十五条 法人に対して適用される租税特別措置のうち、政令で定める一定規模以上のものについては、その適用を受けた法人の名称及び控除額を公表することができる。

 公表に当たっては、企業秘密の保護及び市場への影響に十分配慮しなければならない。

(政策評価)

第百八十六条 財務大臣は、租税特別措置の政策目的、対象及び効果を評価し、当該評価を基礎として措置の見直し又は廃止を行うものとする。

 評価結果は、国会及び国民に公表しなければならない。

(税制改正過程の開示)

第百八十七条 国税庁及び財務省は、税制改正に関する審議、検討及び意見募集の過程を記録し、原則として公表するものとする。

第三章 国際課税情報の開示及び交換

(国際租税情報の管理)

第百八十八条 国税庁は、租税条約及び国際協定に基づき取得した情報を安全に管理し、適切な範囲で公開するものとする。

(自動的情報交換)

第百八十九条 国税庁は、OECDの共通報告基準(CRS)その他国際的枠組みに基づき、国外金融口座情報等を自動的に交換するものとする。

 情報交換に当たっては、プライバシー保護及び情報セキュリティの確保に努めなければならない。

(外国税務当局との協力)

第百九十条 国税庁は、外国税務当局との間で、租税条約その他の国際協定に基づき、情報の交換、照会及び共同調査を行うことができる。

 共同調査の手続及び範囲は、政令で定める。

(国外送金等調書)

第百九十一条 金融機関その他政令で定める者は、国外への送金又は国外からの送金を取り扱った場合には、その内容を記載した調書を国税庁に提出しなければならない。

 国税庁は、提出された調書をもとに国外所得の把握及び国際課税の適正化を図るものとする。

(外国関係会社情報)

第百九十二条 内国法人は、政令で定めるところにより、外国関係会社の財務及び取引に関する情報を国税庁に提出しなければならない。

(国際情報公表)

第百九十三条 財務大臣は、国際課税に関する統計及び租税条約の実施状況を毎年度公表しなければならない。

 国際課税に関する紛争処理の結果についても、概要を公表することができる。

第四章 税務情報の開示請求

(開示請求権)

第百九十四条 何人も、国税庁が保有する税務情報のうち、個人情報及び企業秘密に該当しないものについて、その開示を請求することができる。

 国税庁は、正当な理由がある場合を除き、開示を拒むことができない。

 開示請求の手続及び費用に関する事項は、政令で定める。

(委任)

第百九十五条 この編に定めるもののほか、税務情報の公開及び国際情報の交換に関し必要な事項は、政令で定める。

附則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日から施行する。

 政府は、施行の日までに、関係法令の整備その他必要な措置を講じなければならない。

(経過措置)

第二条 この法律の施行前における旧法に基づく申告、納付、還付その他の手続は、なお従前の例による。

 前項の手続に係る争訟又は不服申立てについても、なお従前の法令の規定による。

(旧法の廃止)

第三条 次に掲げる法律は、この法律の施行の日をもって廃止する。

一 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)

二 国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)

三 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)

四 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)

五 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)

六 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)

七 酒税法(昭和二十八年法律第六号)

八 たばこ税法(昭和五十九年法律第六号)

九 揮発油税法(昭和三十二年法律第三十五号)

十 石油石炭税法(昭和五十四年法律第七十一号)

十一 自動車重量税法(昭和四十六年法律第六十号)

十二 航空機燃料税法(昭和四十七年法律第七号)

十三 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)

十四 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)

十五 電源開発促進税法(昭和四十九年法律第六十号)

十六 国際観光旅客税法(平成三十年法律第二号)

十七 森林環境税及び森林環境譲与税法(平成三十年法律第七号)

十八 納税貯蓄組合法(昭和二十六年法律第百五号)

十九 資産再評価法(昭和二十六年法律第百八号)

二十 租税特別措置適用状況の透明化法(平成二十九年法律第七号)

二十一 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)

(関係法令の整備)

第四条 他の法律中において、旧各法の条項を引用しているものは、この法律中の相当規定を引用するものとみなす。

 前項の整備に関し必要な事項は、政令で定める。

(政令への委任)

第五条 この法律の施行に伴い必要な経過措置、事務手続及び罰則の適用に関する特例は、政令で定めることができる。

(地方財政法との接続)

第六条 この法律により廃止された旧法に基づく譲与税(揮発油譲与税、法人譲与税、航空機燃料譲与税等)に関する規定は、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)に統合して整理する。

 前項の譲与税に係る徴収及び交付の手続は、国税庁が引き続き所掌する。

(附加税及び臨時特例)

第七条 特定の災害又は経済危機に際して、国会の議決により臨時に課される附加税その他の特例税に関しては、別に法律で定める。

(電子行政への移行)

第八条 政府は、この法律の施行に伴い、国税に関する申告、納付及び情報開示を電子情報処理組織により行う体制を整備しなければならない。

 国及び地方公共団体は、電子行政の相互連携を図り、国税と地方税のデータベースを共通基盤上で運用するものとする。

(検討条項)

第九条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況及び租税体系の全体的効果を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。

(公布及び施行期日特例)

第十条 この法律の公布及び施行に関し、特に必要がある場合は、政令で別に定めるところにより、その一部を先行施行することができる。