(目的)
第一条 この法律は、犯罪行為に係る者の拘禁、矯正、更生及び社会復帰並びに犯罪被害者等の支援に関する基本事項を定め、もって刑事司法の適正な遂行及び国民の安全の確保を図ることを目的とする。
原稿から機械抽出した私案の条文です。表・別表・書式は含みません。正本は原稿ファイルです。
(目的)
第一条 この法律は、犯罪行為に係る者の拘禁、矯正、更生及び社会復帰並びに犯罪被害者等の支援に関する基本事項を定め、もって刑事司法の適正な遂行及び国民の安全の確保を図ることを目的とする。
(処遇の基本原則)
第二条 すべての処遇は、人格の尊厳を保持し、その改善更生、社会復帰及び再犯の防止を目的として行わなければならない。
2 処遇に当たっては、被収容者等の人権を尊重し、その自立を助長し、かつ社会との連携を図るよう努めなければならない。
3 少年に対する処遇は、その健全な育成を期し、非行の原因及び環境に配慮して行わなければならない。
4 犯罪被害者等に対する支援は、その名誉及び生活の安定を回復し、精神的又は経済的損失の軽減を図ることを旨とするものとする。
(適用範囲)
第三条 本法は、刑事施設、少年院、少年鑑別所、留置施設その他刑事処遇に係る施設及び更生保護に関する事務並びに犯罪被害者等の支援に適用する。
2 本法に規定する事務のうち、国の機関に属するものは法務省が所掌し、地方公共団体に属するものは条例で定めるところによる。
(定義)
第四条 この法律において「被収容者」とは、刑事施設、少年院、少年鑑別所又は留置施設に収容されている者をいう。
2 この法律において「更生保護」とは、犯罪又は非行をした者の改善更生及び再犯の防止を目的として、仮釈放、保護観察その他の援護を行うことをいう。
3 この法律において「犯罪被害者等」とは、犯罪により生命、身体又は財産に被害を受けた者及びその遺族その他これに準ずる者をいう。
(関係機関の協力)
第五条 国及び地方公共団体は、刑事処遇及び被害者支援の実施に関し、相互に連携し、情報の交換及び人的資源の活用に努めなければならない。
2 国は、刑事処遇に関する国際的協力及び外国の制度との調和を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(目的及び基本方針)
第六条 収容施設における処遇は、被収容者の改善更生及び社会復帰を図ることを目的として行うものとする。
2 収容施設の管理運営は、秩序を維持しつつ、被収容者の人権を尊重し、かつ社会との連携を促進するよう努めなければならない。
(施設の種類)
第七条 収容施設は、次に掲げるものとする。
一 刑事施設(刑事施設及び被収容者等の処遇に関する法律に定める施設)
二 少年院(少年法に基づき設置される矯正教育のための施設)
三 少年鑑別所(非行少年等の資質の鑑別を行う施設)
四 留置施設(刑事訴訟法その他の法令に基づき被疑者を留置する施設)
(刑事施設)
第八条 刑事施設における被収容者の処遇は、その心身の状況及び犯罪の性質に応じ、矯正教育、作業及び生活指導を適切に組み合わせて行わなければならない。
2 刑事施設の長は、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るため、職業訓練、教育指導及び社会参加活動の機会を与えるよう努めなければならない。
3 刑事施設における医療その他の保健衛生は、被収容者の健康を保持するため、必要な措置を講ずるものとする。
(少年院)
第九条 少年院における処遇は、少年の心身の成長に応じて行い、その健全な育成及び社会適応を目的とする。
2 少年院は、教育的処遇を中心として、生活訓練、職業指導、学科教育その他の必要な教育活動を行うものとする。
3 少年院の職員は、個別指導及び集団活動を通じて、少年の特性に応じた指導を行い、再非行の防止に努めなければならない。
(少年鑑別所)
第十条 少年鑑別所は、非行少年又はそのおそれのある少年に対し、心理学的、医学的及び教育学的鑑別を行うとともに、その資質に応じた適切な処遇又は援助の方針を明らかにするものとする。
2 少年鑑別所は、家庭裁判所その他の関係機関に対し、鑑別結果に基づく意見を提供することができる。
(留置施設)
第十一条 留置施設における被留置者の処遇は、刑事訴訟法の規定に基づき行われ、身体の安全及び健康の保持に十分配慮しなければならない。
2 警察署長その他留置施設の管理者は、被留置者の人権の保障に努め、必要な医療及び通信・面会の機会を適切に確保するものとする。
3 留置施設の設置及び維持に要する費用は、国の負担とし、経費の支出及び会計の処理については政令で定める。
(共通の処遇事項)
第十二条 すべての収容施設においては、次に掲げる事項について共通の基準を設けるものとする。
一 衛生及び医療に関する措置
二 教育、作業及び訓練の実施
三 通信、面会及び信書の取扱い
四 懲戒及び規律保持に関する手続
五 職員の服務及び倫理に関する基準
2 前項の基準は、被収容者の処遇の適正を確保し、施設間の格差を生じさせないように定めるものとする。
(社会復帰支援)
第十三条 刑事施設、少年院及び留置施設の長は、釈放又は退所を予定する者に対し、関係機関、保護観察所及び民間の更生支援団体と連携し、住居、就業、教育その他社会復帰に必要な支援を行うよう努めなければならない。
(目的及び基本原則)
第十四条 更生保護は、犯罪又は非行をした者の改善更生を促進し、再犯を防止し、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
2 更生保護は、対象者の自立と社会適応を支援することを基本とし、その処遇は、人格の尊厳を尊重しつつ、社会における責任の自覚を助長するよう行わなければならない。
(更生保護の類型)
第十五条 更生保護は、次に掲げる類型により行うものとする。
一 仮釈放における保護観察
二 刑の執行猶予に付された保護観察
三 少年保護事件に係る保護観察
四 婦人補導院における処遇又はその他の行政的保護処遇
五 前各号に掲げるもののほか、再犯防止その他の目的をもって行う支援又は援護
(保護観察)
第十六条 保護観察は、保護観察官及び保護司が協働して行い、対象者に対し生活上の指導及び監督を行うとともに、必要な助言、援助及び環境調整を行うことを内容とする。
2 保護観察官は、国の職員として専門的知識及び技能に基づき保護観察事務を担当し、保護司は、社会の協力を得て更生保護活動を担う非常勤の公務員とする。
3 保護観察所は、対象者の居住地又は行動の範囲を勘案し、必要な指導及び監督を行うものとする。
(仮釈放及び仮出院)
第十七条 刑事施設又は少年院に収容されている者は、その行状及び改善更生の状況が良好であるときは、仮釈放又は仮出院を許すことができる。
2 仮釈放又は仮出院を許す場合は、更生保護委員会の審理及び決定を経なければならない。
3 仮釈放又は仮出院を許された者は、保護観察に付され、その期間中は再犯防止及び社会適応のための指導を受けるものとする。
(更生保護事業)
第十八条 更生保護事業は、犯罪又は非行をした者の自立支援及び再犯防止を図るため、宿泊、職業紹介、生活相談その他の援護を行うことを目的とする。
2 更生保護事業は、国又は地方公共団体が行うほか、法務大臣の認可を受けた更生保護法人その他の民間団体が行うことができる。
3 国及び地方公共団体は、更生保護事業の実施に当たり、民間の知見及び地域資源を活用するよう努めなければならない。
(再犯防止の推進)
第十九条 国は、再犯防止を推進するため、関係行政機関、地方公共団体及び民間団体の連携を確保し、必要な計画を策定しなければならない。
2 地方公共団体は、地域における再犯防止の推進に関し、国の施策に即しつつ、地域の実情に応じた計画を定めることができる。
3 国及び地方公共団体は、教育、雇用、福祉、医療、住宅等の施策を総合的に講じ、犯罪又は非行をした者の社会復帰を支援するよう努めなければならない。
(情報の共有及び調査研究)
第二十条 法務省は、更生保護及び再犯防止に関する情報を収集し、分析し、及び共有するための体制を整備しなければならない。
2 国は、更生保護及び犯罪防止に関する調査研究を推進し、国際的な知見の交換を行うものとする。
(目的及び基本理念)
第二十一条 犯罪被害者等の支援は、生命、身体又は財産に対する被害を受けた者及びその遺族の尊厳を回復し、その心身の安定並びに生活の再建を図ることを目的とする。
2 犯罪被害者等に対する施策は、その意思の尊重、個人情報の保護及び二次的被害の防止に配慮しつつ、被害者の立場に立って行わなければならない。
3 国及び地方公共団体は、被害者支援に関し、相互に連携し、被害者の求める支援に対して一体的かつ継続的に対応するよう努めなければならない。
(定義)
第二十二条 この法律において「犯罪被害者等」とは、犯罪により生命、身体又は財産に被害を受けた者及びその遺族その他これに準ずる者をいう。
2 この法律において「給付金」とは、犯罪被害者等に対し国が支給する慰藉金、弔慰金又は財産給付金その他これに準ずる金銭をいう。
(基本施策)
第二十三条 国は、犯罪被害者等の生活の安定及び心身の回復を図るため、次に掲げる施策を講ずるものとする。
一 被害者の相談、医療及び心理的支援に関する体制の整備
二 被害者又は遺族の生活の再建に資する給付金の支給
三 犯罪被害に係る情報提供及び記録の閲覧の機会の確保
四 被害者の職場復帰、教育、住宅その他の社会的支援に関する施策
五 証人保護、被害者参加手続及び訴訟支援に関する措置
六 外国で犯罪被害を受けた日本国民に対する支援措置
(犯罪被害者等給付金)
第二十四条 犯罪により死亡又は重傷病を負った者の遺族又は本人に対しては、国は、犯罪被害者等給付金を支給するものとする。
2 犯罪被害者等給付金は、次に掲げる区分により支給する。
一 死亡給付金 被害者が死亡した場合に、その遺族に支給する金銭
二 重傷病給付金 被害者が重大な傷害又は疾病を負った場合に支給する金銭
三 障害給付金 被害者が身体に障害を残した場合に支給する金銭
3 前項の給付金の支給基準及び算定方法は、政令で定める。
(証人等被害給付)
第二十五条 刑事手続において証言その他の協力を行った者が報復行為その他により被害を受けた場合には、国は、証人等被害給付金を支給することができる。
2 前項の給付金の支給対象、額及び手続に関し必要な事項は、政令で定める。
(犯罪被害財産給付)
第二十六条 国は、犯罪行為により奪われた財産の回復を図るため、没収又は追徴により得られた財産を被害者に給付することができる。
2 前項の給付の対象及び範囲は、被害の内容及び没収財産の状況を勘案し、政令で定める。
(国外犯罪被害者の支援)
第二十七条 日本国民が国外において犯罪行為により生命又は身体に被害を受けた場合においては、国は、弔慰金又は見舞金を支給することができる。
2 前項の支給に関する手続及び基準は、政令で定める。
(民間支援団体との協力)
第二十八条 国及び地方公共団体は、被害者支援を行う民間団体に対し、情報提供、財政的援助その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。
2 国は、被害者支援活動に従事する者の養成及び資質向上のための研修その他の施策を講ずるものとする。
(被害者支援のための基金)
第二十九条 国は、犯罪被害者等の支援のため、給付金の支給、支援施設の整備及び民間支援活動への助成を目的とする基金を設置することができる。
2 基金の管理及び運用に関する事項は、政令で定める。
(国際協力及び情報の共有)
第三十条 国は、国際的な犯罪被害者支援の連携を図るため、外国政府、国際機関及び民間団体と協力し、情報の交換及び相互支援を行うものとする。
2 国は、犯罪被害者支援に関する統計及び調査研究を実施し、その結果を公表しなければならない。
(国際協力)
第三十一条 国は、刑事処遇及び更生保護並びに被害者支援に関し、外国政府、国際機関その他の関係機関と連携し、情報の交換、人材の交流及び技術協力を行うものとする。
2 国は、外国における刑事施設又は更生保護施設との間で、受刑者の移送、再犯防止対策及び被害者支援に関する協定の締結その他必要な国際的措置を講ずることができる。
(関係機関の連携及び調整)
第三十二条 国及び地方公共団体は、刑事施設、更生保護機関、警察、医療機関、福祉施設、教育機関その他の関係機関との間で、被収容者の処遇及び社会復帰に関する情報を共有し、円滑な連携を図るものとする。
2 関係機関は、個人のプライバシー及び人権を尊重しつつ、再犯防止及び被害者保護の目的に必要な範囲で情報の交換を行うものとする。
(職員の研修及び資質の向上)
第三十三条 国は、刑事処遇及び更生保護に従事する職員の資質を向上させるため、専門的知識及び技能の研修を実施するものとする。
2 地方公共団体及び民間支援団体は、前項に定める趣旨に基づき、相互に連携して職員の研修及び教育を行うよう努めなければならない。
(経費の負担)
第三十四条 本法の実施に要する経費は、国の負担とする。ただし、地方公共団体が条例に基づき独自に実施する施策に要する経費については、その地方公共団体の負担とする。
2 国は、地方公共団体又は民間団体が本法の目的に沿う事業を行う場合において、必要があると認めるときは、補助又は助成を行うことができる。
(報告及び資料の提出)
第三十五条 法務大臣は、刑事処遇及び更生保護並びに被害者支援の実施状況について、毎年、その結果を国会に報告しなければならない。
2 関係行政機関は、前項の報告に必要な資料を法務大臣に提出しなければならない。
(罰則)
第三十六条 本法に基づく職務に従事する者が、その職務に関して知り得た秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の規定は、職を退いた後においても適用する。
3 その他本法の規定に違反した者について必要な罰則は、政令で定める。
(政令への委任)
第三十七条 本法に定めるもののほか、その施行に関し必要な事項は、政令で定める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際、現に旧刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)その他本法により廃止される法律の規定に基づいて行われている手続、処分その他の行為は、政令で定めるところにより、この法律に基づいて行われたものとみなす。
2 この法律の施行前に旧法の規定により収容又は保護の措置を受けている者に対しては、当該措置が引き続き有効に存続するものとし、当該措置に関する手続は、この法律の相当規定に従って行うものとする。
3 この法律の施行前に旧法に基づいて設立された更生保護法人その他の民間団体は、この法律に基づく更生保護事業を行うものとみなす。
(既存法の廃止)
第三条 次に掲げる法律は、廃止する。
一 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)
二 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)
三 更生保護事業法(昭和二十六年法律第八十六号)
四 再犯防止推進法(平成二十八年法律第百四号)
五 犯罪被害者等基本法(平成十六年法律第百六十一号)
六 犯罪被害者等給付金支給法(昭和五十五年法律第三十六号)
七 証人等被害給付法(平成十年法律第六十七号)
八 犯罪被害財産給付金法(平成十八年法律第八十七号)
九 国外犯罪被害弔慰金支給法(平成十八年法律第八十八号)
十 少年院法(昭和二十三年法律第二百十八号)
十一 少年鑑別所法(昭和二十三年法律第二百十九号)
十二 留置場費用法(明治四十二年法律第六号)
(読み替え及び引用の整理)
第四条 この法律の施行に伴い、他の法律、命令又は条例において引用する旧法の条項又は用語は、政令で定めるところにより、この法律の相当する条項又は用語に読み替えるものとする。
(施行に伴う政令の制定)
第五条 政府は、この法律の施行に必要な政令を、この法律の公布の日から施行の日までに制定しなければならない。
(検討条項)
第六条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、刑事処遇、更生保護及び被害者支援の状況を勘案し、その在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。