第一条(目的)
〈原文:環境基本法第1条〉この法律は、環境の保全についての基本的な理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
〈審査コメント〉現行条文は、国内的な「環境保全」に焦点を置く構造。統合法では、地球環境・気候変動・生物多様性・循環型社会を包含する総合的な理念体系とする必要がある。
また、国際的協調及び世代間衡平の要素を目的条に統合すべき。
〈修正案〉この法律は、環境の保全及び地球環境の健全な維持を図るため、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、環境に関する施策の基本となる事項を定め、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保並びに持続可能な発展に寄与することを目的とする。
〈関連法令〉憲法第25条(生存権)、第29条(財産権と公共の福祉)、持続可能な開発に関するリオ宣言。
第二条(定義)
〈原文:環境基本法第2条〉この法律において「環境」とは、人の生活及びその活動に密接な関係を有する自然的環境、人工的環境その他の環境をいう。
〈審査コメント〉現行定義は抽象的であり、自然・社会・経済・地球環境の4層構造を明示する必要がある。また、環境行政の範囲を「気候・生態系・化学物質・資源循環」まで含むことを明確化すべき。
〈修正案〉この法律において「環境」とは、人の生活及び社会経済活動に密接な関係を有する自然的環境、生活環境、地球環境及びそれらの相互作用によって形成される総合的な環境をいう。
第三条(環境の保全に関する基本理念)
〈原文:環境基本法第3条〉環境の恵沢は現在及び将来の国民の財産であり、環境の保全は現在及び将来の世代の健全で文化的な生活の確保に寄与するものであることにかんがみ、国、地方公共団体、事業者及び国民は、環境の保全について責任を有する。
〈審査コメント〉本条の理念を「世代間衡平」「自然との共生」「持続可能な発展」に三分化して明文化する。国際的な文脈(リオ+20宣言等)に整合。
〈修正案〉
1 環境の恵沢は、現在及び将来の世代に共通する財産であり、環境の保全は、世代間の衡平を確保しつつ、自然との共生及び持続可能な発展を実現することを基本とする。
2 国、地方公共団体、事業者及び国民は、相互に連携し、環境の保全及び再生に努めなければならない。
第四条(国の責務)
〈原文:環境基本法第4条〉国は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
〈審査コメント〉「環境行政一元化原則」を明確化し、環境省・関係省庁間の調整責任を条文化すべき。科学的知見及び国際協力の推進も含める。
〈修正案〉国は、環境の保全及び地球環境の維持に関し、科学的知見に基づき、関係行政機関相互の連携の下に、総合的かつ計画的に施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 国は、国際的協調の下に、地球規模の環境問題の解決に積極的に寄与するよう努めなければならない。
第五条(地方公共団体の責務)
〈原文:環境基本法第5条〉地方公共団体は、地域の自然的社会的条件に応じ、環境の保全に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
〈審査コメント〉地方分権改革後の体制に合わせ、環境管理計画・条例制定権を明示的に認める構成に。
〈修正案〉地方公共団体は、地域の自然的、社会的及び経済的条件に応じ、環境の保全及び再生に関する施策を策定し、実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、地域環境計画及び環境条例を定めることができる。
第六条(事業者の責務)
〈原文:環境基本法第6条〉事業者は、その事業活動に際して環境への負荷をできる限り低減するように努めなければならない。
〈審査コメント〉ESG経営・GX(グリーントランスフォーメーション)への適用を視野に「環境配慮契約法」と整合。努力義務から一定の報告義務への格上げを検討。
〈修正案〉事業者は、その事業活動に伴う環境への負荷を低減し、資源の有効利用及び再生可能エネルギーの活用に努めなければならない。
2 事業者は、環境に関する情報を公表し、環境配慮契約その他の環境責務を誠実に履行するよう努めなければならない。
第七条(国民の責務)
〈原文:環境基本法第7条〉国民は、環境の保全に関し、可能な限りの努力をするように努めなければならない。
〈審査コメント〉「参加・学習・行動」三要素を明示し、環境教育・ライフスタイル転換を理念的に導入。
〈修正案〉国民は、環境の保全に関し、日常生活及び社会的活動において環境負荷の低減に努めるとともに、環境教育、環境学習及び環境保全活動に主体的に参加するよう努めなければならない。
第八条(環境教育及び普及)
〈引用:環境教育等による環境保全のための行動の促進に関する法律第3条〉国及び地方公共団体は、環境教育及び環境学習の推進に必要な施策を講ずるものとする。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、環境教育及び環境学習の推進に関し、学校教育及び社会教育の双方において施策を総合的に講ずるものとする。
2 事業者及び国民は、環境教育及び環境学習の機会の確保に協力しなければならない。
第九条(環境の調査及び研究)
〈引用:国立環境研究所法第3条〉国立環境研究所は、環境に関する科学的研究及び調査を行い、環境政策の科学的基盤を提供することを目的とする。
〈修正案〉国は、環境に関する科学的調査及び研究を推進し、政策の立案及び実施の基礎となる知見を整備しなければならない。
2 国は、研究成果を公表し、国際的な科学連携を推進するものとする。
第十条(環境基本計画)
〈原文:環境基本法第15条〉政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境基本計画を定めなければならない。
〈修正案〉政府は、環境の保全、地球環境の維持及び持続可能な発展のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境基本計画を定めなければならない。
2 環境基本計画には、気候変動対策、生物多様性の保全、循環型社会の形成その他の主要課題を包括するものとする。
第十一条(環境基準)
〈原文:環境基本法第16条〉環境基準は、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として定めるものとする。
〈修正案〉環境基準は、人の健康の保護、生活環境の保全及び地球環境の維持に関し、科学的知見に基づき、総合的に定めるものとする。
2 国は、環境基準の達成状況を定期的に評価し、その結果を公表しなければならない。
第十二条(国際協力)
〈原文:環境基本法第26条〉国は、環境の保全に関する国際的な連携及び協力を推進するものとする。
〈修正案〉国は、地球環境の保全及び気候変動、生物多様性その他の国際的環境問題に関し、国際条約の誠実な履行を図り、国際的協調及び技術協力を推進するものとする。
第二編〔公害防止及び環境基準〕
第一章 総則(公害防止の基本原則)
第十三条(公害防止の目的)
〈引用:大気汚染防止法第1条〉この法律は、大気の汚染を防止し、もつて国民の健康を保護し、及び生活環境を保全することを目的とする。
〈審査コメント〉大気・水質・土壌・騒音・振動・悪臭を総合した目的条に再構成し、環境法第一編第十一条(環境基準)との論理整合を図る。
〈修正案〉この編は、大気、水、土壌その他の環境媒体に係る汚染を防止し、もって国民の健康を保護し、生活環境及び自然環境を良好に維持することを目的とする。
第十四条(定義)
〈引用:大気汚染防止法第2条、水質汚濁防止法第2条、土壌汚染対策法第2条等〉「汚染」「排出」「排出基準」「特定施設」等の定義がそれぞれ異なる。
〈審査コメント〉用語の統一が必須。「汚染」及び「排出」の定義を包括的に設定し、個別法の定義を削除・集約。
〈修正案〉
1 この編において「汚染」とは、人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質又はエネルギーが、大気、水、土壌その他の環境中に過剰に存在する状態をいう。
2 「排出」とは、事業活動又はその他の人為的行為により、汚染の原因となる物質又はエネルギーを環境中に放出することをいう。
3 「特定施設」とは、汚染の発生を防止すべき施設として政令で定めるものをいう。
第十五条(公害防止の基本原則)
〈引用:環境基本法第9条〉国は、人の健康を保護し及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として環境基準を定めるものとする。
〈修正案〉
1 国及び地方公共団体は、科学的知見に基づき、人の健康の保護及び生活環境の保全を目的として環境基準を定め、及びその達成を図るものとする。
2 事業者は、環境基準の達成に資するよう、汚染の防止及び排出の抑制に努めなければならない。
第十六条(環境基準の設定と改定)
〈引用:大気汚染防止法施行令第3条、水質汚濁防止法施行令第3条〉基準値の設定は各法ごとに分立。
〈修正案〉
1 環境基準は、大気、水質、土壌、騒音、振動及び悪臭の各環境要素について、厚生労働大臣、環境大臣その他関係大臣の協議により政令で定める。
2 国は、科学的知見の進展及び国際基準の改定に応じ、環境基準を少なくとも五年ごとに見直すものとする。
第二章 大気環境の保全
第十七条(排出規制)
〈引用:大気汚染防止法第3条〉国は、大気汚染の原因となる物質の排出に関し、排出基準を定めるものとする。
〈修正案〉国は、大気汚染の原因となるばい煙、粉じん及び揮発性有機化合物その他の物質について、事業者の設置する施設ごとに排出基準を定める。
2 排出基準は、人の健康を保護するうえで必要な限度を超えてはならない。
第十八条(移動発生源の規制)
〈引用:自動車NOx・PM法第3条、建設機械排出ガス規制法第2条〉現行法では対象分散。
〈修正案〉国は、自動車、建設機械その他移動発生源について、排出ガスの許容基準及び環境負荷低減措置を定めるものとする。
2 事業者は、排出ガス規制に適合する機器の使用に努め、国の定める環境基準を遵守しなければならない。
第十九条(監視・測定体制)
〈引用:大気汚染防止法第22条〉都道府県による常時監視義務を統合法で明確化。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、大気汚染の状況を常時監視し、その結果を公表しなければならない。
2 必要があるときは、排出者に対し測定結果の報告を求めることができる。
第三章 水質環境の保全
第二十条(排水規制)
〈引用:水質汚濁防止法第3条〉工場・事業場の排水基準に関する基本規定。
〈修正案〉国は、公共用水域及び地下水の水質を保全するため、排出水に含まれる物質の種類及び濃度について排出基準を定める。
2 事業者は、排出基準を遵守し、必要に応じ排水処理設備を設けなければならない。
3 地下水の採取及び汚染の防止に関しては、別に政令で定める。
第二十一条(水域類型及び指定)
〈引用:水質汚濁防止法第16条〉水域ごとに環境基準を設定。
〈修正案〉国は、水質保全の必要に応じ、水域を類型に区分し、それぞれの環境基準を定めるものとする。
2 地方公共団体は、地域の実情に応じ、水域の指定及び基準の運用に関し、国と協議して条例を定めることができる。
第四章 土壌環境の保全
第二十二条(土壌汚染の防止)
〈引用:土壌汚染対策法第1条〉この法律は、土壌汚染による健康被害を防止するため、土地の調査及び措置に関する措置を定める。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、土地の利用状況及び地歴を踏まえ、土壌汚染の状況を把握し、その汚染を防止し又は除去するための必要な措置を講じなければならない。
2 土地所有者及び事業者は、汚染の原因を生じさせたときは、直ちに報告し、必要な措置を講じなければならない。
第二十三条(農用地の保全)
〈引用:農用地土壌汚染防止法第3条〉農地の生産機能保護を目的とする。
〈修正案〉国は、農作物に対する有害物質による被害を防止するため、農用地に係る土壌環境基準を定めるものとする。
2 農業者及び土地所有者は、施肥、農薬及び排水管理において土壌汚染の防止に努めなければならない。
第五章 騒音、振動及び悪臭の防止
第二十四条(騒音規制)
〈引用:騒音規制法第3条〉指定地域制度の存置。
〈修正案〉国は、地域の特性に応じ、騒音を発生する施設及び作業について基準を定めるものとする。
2 地方公共団体は、指定地域を定め、必要に応じ騒音規制条例を制定することができる。
第二十五条(振動及び悪臭の規制)
〈引用:振動規制法第3条、悪臭防止法第2条〉両者を同一章に統合。
〈修正案〉国は、振動及び悪臭による生活環境の被害を防止するため、規制基準を定めるものとする。
2 地方公共団体は、地域の特性に応じ、必要な規制区域及び基準を定めることができる。
第六章 工場等の環境管理
第二十六条(特定施設における環境管理体制)
〈引用:特定工場における公害防止組織の整備に関する法律第3条〉一定規模以上の事業場に公害防止管理者の設置義務を課す。
〈修正案〉
1 特定施設を設置する事業者は、公害防止管理者を置き、その施設における環境保全の責任体制を明確にしなければならない。
2 国は、公害防止管理者の資格制度及び教育訓練に関する基準を定める。
3 環境省は、環境管理に関する優良事業所の認定制度を設けることができる。
第二十七条(立入検査及び報告)
〈引用:大気汚染防止法第22条、水質汚濁防止法第12条〉監督権限を統一。
〈修正案〉
1 国又は地方公共団体は、必要があると認めるときは、施設に立ち入り、関係者に報告を求めることができる。
2 関係者は、正当な理由がなければ、立入検査又は報告を拒んではならない。
第二十八条(罰則等)
〈引用:各個別法の罰則条項〉刑罰水準の統一が必要。
〈修正案(要附則整備)〉
1 国又は地方公共団体の命令に違反し、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 法人に対しては、当該行為者に対する罰金刑のほか、三千万円以下の罰金を科すことができる。
第三編〔公害健康被害・救済〕
第一章 総則
第二十九条(目的)
〈引用:公害健康被害補償法第1条〉この法律は、公害健康被害の補償及び予防を図ることを目的とする。
〈審査コメント〉現行法では「特定地域」及び「特定疾病」に限定。統合法では、原因を問わず環境要因による健康被害を包括し、健康被害の補償・救済・再発防止を一体化する構成とする。
〈修正案〉この編は、大気、水質、土壌その他の環境の汚染に起因して生ずる健康被害に関し、被害者の救済及び補償を行うとともに、その再発の防止及び健康影響の予防を図ることを目的とする。
第三十条(定義)
〈引用:公害健康被害補償法第2条、石綿健康被害救済法第2条〉現行法は疾病別定義。
〈修正案〉
1 この編において「環境健康被害」とは、環境汚染その他の環境要因により、人の健康に障害が生じ、又は生ずるおそれのある状態をいう。
2 「被害者」とは、前項の障害により身体上又は精神上の機能に支障を受けた者をいう。
3 「原因行為者」とは、環境汚染の原因となる行為又は施設を設置又は管理した者をいう。
4 「救済事業者」とは、環境再生保全機構その他政令で定める機関をいう。
第二章 補償及び救済の原則
第三十一条(被害者の権利)
〈引用:公害健康被害補償法第3条〉被害者が補償を受ける権利を有する旨を明記。
〈修正案〉環境健康被害を受けた者は、法に定めるところにより、迅速かつ公正な補償又は救済を受ける権利を有する。
第三十二条(原因者負担の原則)
〈引用:環境基本法第4条〉環境の保全に要する費用は、環境への負荷を生じさせた者が負担するものとする。
〈修正案〉
1 環境健康被害の補償に要する費用は、汚染の原因となった事業者その他の原因行為者が負担するものとする。
2 原因行為者を特定できない場合その他特別の事情があるときは、国及び地方公共団体がその責任を分担する。
第三十三条(補償の方法)
〈引用:公害健康被害補償法第10条、石綿健康被害救済法第12条〉現行制度の金銭給付を包括。
〈修正案〉補償は、次の各号に掲げる方法により行う。
一 療養の給付又は療養費の支給
二 障害補償費及び遺族補償費の支給
三 葬祭料その他政令で定める給付
四 これらに準ずる救済金の支給(特別措置給付金等)
第三十四条(指定疾病及び認定)
〈引用:公害健康被害補償法第9条、水俣病特措法第3条〉疾病指定・認定手続を一本化。
〈修正案〉
1 環境省令で定める疾病であって、環境汚染に起因することが明らかであるものを「指定疾病」とする。
2 被害者は、都道府県知事に対し、指定疾病の認定を申請することができる。
3 都道府県知事は、医学的及び科学的知見に基づき、認定の可否を決定しなければならない。
第三十五条(迅速な救済)
〈引用:石綿健康被害救済法第4条〉立証困難事案における仮給付制度を整備。
〈修正案〉国及び環境再生保全機構は、被害の原因又は範囲の確定に時間を要する場合においても、被害者の救済を遅滞なく行うよう努めなければならない。
2 特に緊急を要する場合には、仮給付又は仮払金を支給することができる。
第三十六条(医療費等の給付)
〈引用:公害健康被害補償法第10条〉療養給付の基本規定。
〈修正案〉被害者が療養を要する場合には、国又は地方公共団体は、医療費の全額又は一部を負担し、適切な治療を受けることができるよう措置を講ずる。
第三章 財源及び責任体制
第三十七条(環境健康被害補償基金)
〈引用:公害健康被害補償法第23条、石綿健康被害救済法第22条〉補償金支払い基金を統合。
〈修正案〉国の特別会計に「環境健康被害補償基金」を設け、被害者への補償及び救済に要する費用を支弁する。
2 基金の財源は、原因行為者からの負担金、国及び地方公共団体の拠出金並びにその他の寄附金をもって充てる。
第三十八条(原因行為者の負担金)
〈引用:公害健康被害補償法第25条〉現行の「公害健康被害補償負担金制度」を踏襲。
〈修正案〉原因行為者は、その業種及び排出規模に応じ、政令で定める算定方法により負担金を納付しなければならない。
2 原因行為者が複数ある場合には、負担割合は環境省令で定める基準により按分する。
第三十九条(国及び地方公共団体の責務)
〈引用:公害健康被害補償法第4条〉地方公共団体の補助金制度を統合法で明確化。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、補償及び救済に関する制度が円滑に実施されるよう必要な財政上の措置を講じなければならない。
2 地方公共団体は、被害者の相談、調査及び申請支援体制を整備するものとする。
第四十条(環境再生保全機構の業務)
〈引用:独立行政法人環境再生保全機構法第3条〉機構業務の法典内統合。
〈修正案〉環境再生保全機構は、この編に基づき、次に掲げる業務を行う。
一 補償及び救済に関する申請の受理及び審査
二 補償金及び救済金の支給
三 被害者の健康管理及び相談支援
四 原因行為者への費用請求及び納付管理
五 環境保健データの収集及び公表
第四章 特定疾病及び地域特例
第四十一条(水俣病等の特例)
〈引用:水俣病特措法第3条、第4条〉特定地域・疾病の救済継続。
〈修正案〉
1 水俣病、カネミ油症その他政令で定める特定疾病については、当該疾病に係る特例給付及び医療費助成を行う。
2 当該疾病の再発防止及び地域再生に関する施策は、環境大臣が関係大臣と協議して定める。
第四十二条(特定地域支援)
〈引用:公害健康被害補償法附則第2項〉特定地域指定制度の残置。
〈修正案〉環境大臣は、過去に著しい公害被害を受けた地域を「環境健康被害重点地域」として指定し、特別の環境回復・医療・地域支援施策を講ずることができる。
第五章 健康管理及び再発防止
第四十三条(健康調査及び検診)
〈引用:石綿健康被害救済法第13条〉健康管理制度の統合。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、被害者及び被害のおそれのある住民に対し、健康調査及び検診を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。
2 調査結果は、個人情報の保護に留意しつつ、公衆衛生上の施策に活用する。
第四十四条(情報の公開及び研究)
〈引用:環境基本法第24条〉環境保健データの共有規定。
〈修正案〉国は、環境健康被害に関するデータを体系的に収集・解析し、その成果を公開するとともに、再発防止のための研究及び教育を推進する。
第六章 雑則・罰則
第四十五条(虚偽報告等)
〈引用:公害健康被害補償法第36条〉虚偽報告に対する罰則を明記。
〈修正案〉虚偽の報告を行い又は不正の手段により補償又は救済を受けた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 法人に対しては、行為者に対する罰金刑のほか、三千万円以下の罰金を科す。
第四十六条(政令への委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第四編〔廃棄物・循環型社会〕
第一章 総則(目的・定義)
第四十七条(目的)
〈引用:廃棄物処理法第1条、循環型社会形成推進基本法第1条〉廃棄物処理法では「生活環境の保全」、循環型社会法では「資源の有効利用」を目的としている。
〈審査コメント〉両法を一本化し、「排出抑制再使用再生利用適正処分」の循環原則を中心に再構成。
気候変動対策法やエネルギー法との整合上、「脱炭素」要素も含む。
〈修正案〉この編は、廃棄物の排出を抑制し、循環資源の有効な利用を促進し、及び適正な処理を行うことにより、環境への負荷の低減及び循環型社会の形成を図り、もって持続可能な発展に寄与することを目的とする。
第四十八条(定義)
〈引用:廃棄物処理法第2条、循環型社会形成推進基本法第2条〉現行では「廃棄物」「一般廃棄物」「産業廃棄物」「再生資源」「循環資源」などが分離定義。
〈審査コメント〉統合法では、資源の状態(再使用可能性)に応じた階層的定義が必要。
また、廃棄物・副産物・再生資源の境界を一義的に整理。
〈修正案〉
1 この編において「廃棄物」とは、不要となった物又は廃棄の意思がある物であって、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのあるものをいう。
2 「循環資源」とは、再使用、再生利用又は熱回収により有効に利用されることが可能な物をいう。
3 「再生利用」とは、廃棄物又は循環資源を原材料その他の用途に供することをいう。
4 「再使用」とは、廃棄物とせずに繰り返し使用することをいう。
5 「再生事業者」とは、循環資源を処理又は再利用する事業を行う者をいう。
第四十九条(基本原則)
〈引用:循環型社会形成推進基本法第4条〉「発生抑制・再使用・再生利用・適正処分」の優先順位(3R原則)を明文化。
〈修正案〉国、地方公共団体、事業者及び国民は、循環型社会の形成に際し、次に掲げる順序により行動しなければならない。
一 廃棄物の発生の抑制(リデュース)
二 再使用の促進(リユース)
三 再生利用の促進(リサイクル)
四 熱回収その他環境負荷の少ない処理
五 最終処分の適正化
第五十条(責務)
〈引用:廃棄物処理法第3条〉国・地方・事業者・国民の責務を統一。
〈修正案〉
1 国は、循環型社会の形成に関する総合的施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 地方公共団体は、地域の実情に応じ、廃棄物の適正処理及び循環資源の利用促進に関する計画を定める。
3 事業者は、自己の事業活動に伴い生ずる廃棄物について、自らの責任において適正な処理を行い、及び循環資源の利用を促進する。
4 国民は、廃棄物の分別、再使用及び再生利用に協力しなければならない。
第二章 廃棄物の排出及び処理
第五十一条(排出抑制)
〈引用:廃棄物処理法第3条第2項〉排出抑制義務の強化。
〈修正案〉事業者及び国民は、製品及び包装の設計、製造、流通及び使用に当たり、廃棄物の発生をできる限り抑制しなければならない。
2 国は、排出抑制のための技術開発及び基準策定を推進する。
第五十二条(廃棄物の区分)
〈引用:廃棄物処理法第2条第4項〉一般廃棄物・産業廃棄物の区分を継承。
〈修正案〉
1 廃棄物は、次の各号に掲げる区分による。
一 一般廃棄物 事業活動に伴わない廃棄物
二 産業廃棄物 事業活動に伴って生じる廃棄物
2 特に有害な性状を有するものを「特別管理廃棄物」とする。
第五十三条(処理の原則)
〈引用:廃棄物処理法第5条〉自処理原則を維持。
〈修正案〉事業者は、自己の事業活動により生じた廃棄物を自らの責任において処理しなければならない。ただし、政令で定める場合には、許可を受けた者に委託することができる。
2 国及び地方公共団体は、廃棄物の適正処理を確保するため、処理施設の整備及び監督を行う。
第五十四条(最終処分場の整備)
〈引用:廃棄物処理法第8条、産廃施設整備法第3条〉施設整備規定の統合。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、廃棄物の最終処分を適正に行うため、最終処分場及び中間処理施設の整備に関し、計画を策定しなければならない。
2 国は、環境基準の遵守及び災害時の対応を考慮して、廃棄物処理施設の技術的基準を定める。
第三章 リサイクル及び資源循環
第五十五条(リサイクルの推進)
〈引用:容器包装リサイクル法第3条、家電リサイクル法第1条、自動車リサイクル法第1条〉製品分野別制度を統一し、共通原則化。
〈修正案〉国は、製品及び包装の分野ごとに、循環資源の回収、再使用及び再生利用を促進するための制度を設けるものとする。
2 製造事業者及び販売事業者は、製品の設計及び供給に際して、回収及び再資源化が容易となるよう努めなければならない。
第五十六条(製品別制度)
〈審査コメント〉個別リサイクル法を包括的条文に置換。附則により特別法を廃止。
〈修正案〉次の製品分野については、政令で定める特例制度により再生利用を促進する。
一 容器包装
二 電気・電子機器(家電等)
三 自動車
四 建設資材
五 食品及び農畜産バイオマス
六 プラスチック製品及び小型家電
2 国は、各分野の再資源化率目標を定め、定期的に公表する。
第五十七条(再生利用業者の認定)
〈引用:資源有効利用促進法第6条〉再生利用事業者の認定制度を統合法で明確化。
〈修正案〉
1 環境大臣は、循環資源の再生利用を業として行う者のうち、基準を満たす者を「認定再生事業者」として認定することができる。
2 認定再生事業者は、再生資源の適正な取扱い及び品質管理を行わなければならない。
第四章 災害・放射性廃棄物への対応
第五十八条(災害廃棄物)
〈引用:災害廃棄物特措法第3条〉災害時の廃棄物処理特例。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、大規模災害により発生する廃棄物(災害廃棄物)について、迅速かつ安全な処理を行うため、平時から計画を策定しなければならない。
2 被災自治体に対しては、国が必要な技術的及び財政的支援を行う。
第五十九条(放射性物質による汚染廃棄物)
〈引用:放射性物質汚染対処特措法第3条〉福島原発事故後に制定された特例法を統合。
〈修正案〉放射性物質により汚染された廃棄物又は土壌については、放射線障害防止法その他関係法令の定めるところにより、安全かつ恒久的な処理を行わなければならない。
2 国は、当該廃棄物の処理責任を負い、必要な費用を負担する。
第五章 情報公開・教育・罰則
第六十条(情報の公開)
〈引用:循環型社会形成推進基本法第18条〉情報開示義務を強化。
〈修正案〉国、地方公共団体及び事業者は、廃棄物の発生量、再生利用率及び最終処分量に関する情報を公表しなければならない。
2 環境大臣は、全国の循環資源利用率及び廃棄物処理状況を毎年報告する。
第六十一条(教育及び普及)
〈引用:環境教育推進法第3条〉国民教育との接続。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、循環型社会の形成に関する教育及び普及活動を推進し、国民の理解と協力を得るよう努めなければならない。
第六十二条(罰則)
〈引用:廃棄物処理法第25条等〉刑罰水準を統一化。
〈修正案〉
1 無許可で廃棄物の処分を行った者は、五年以下の懲役又は一千万円以下の罰金に処する。
2 法人に対しては、三億円以下の罰金を科すことができる。
3 その他虚偽報告、検査拒否等の行為については、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第五編〔自然環境保全〕
第一章 総則
第六十三条(目的)
〈引用:自然環境保全法第1条〉この法律は、我が国の自然環境を保全し、その適正な利用を図ることを目的とする。
〈審査コメント〉現行法は「保全と利用の調和」を基本とするが、統合法では「再生」「生態系」「地域自然資産」の概念を含む。
また、文化・観光との連携を明確に位置づける必要がある。
〈修正案〉この編は、我が国の自然環境の保全及び再生を図り、生態系の健全な機能を維持しつつ、その恵沢を適正に利用し、もって国民の豊かな生活と地域の持続的発展に寄与することを目的とする。
第六十四条(定義)
〈引用:自然環境保全法第2条、自然公園法第2条〉「原生自然環境」「特別地域」「公園事業」等の定義が分立している。
〈審査コメント〉「自然環境」「自然資産」「保全区域」を共通定義化し、法体系全体に用いる基礎語とする。
〈修正案〉
1 この編において「自然環境」とは、地形、地質、水、動植物その他の自然的要素が相互に関連して形成する生態系及び景観をいう。
2 「自然資産」とは、自然環境のうち、科学的、文化的又は経済的価値を有するものをいう。
3 「保全区域」とは、自然環境の保全又は再生のために指定された区域をいう。
4 「自然再生」とは、失われた自然環境又は生態系を回復し、その機能を再び発揮させることをいう。
第六十五条(基本原則)
〈引用:自然環境保全法第3条〉国民共通の財産であることを明示。
〈修正案〉自然環境は、現在及び将来の世代に共通する財産であり、その保全及び再生は、国、地方公共団体、事業者及び国民の共同の責務とする。
2 自然環境の保全及び利用は、生態系の健全性を損なうことなく、地域の文化及び生活との調和の下に行われなければならない。
第二章 自然公園及び保全地域
第六十六条(国立・国定・都道府県立自然公園)
〈引用:自然公園法第2条・第3条〉公園制度の基本を維持。
〈修正案〉国は、風景の優れた地域を「国立自然公園」として指定する。
2 環境大臣は、特に重要な自然景観を有し、全国的に保全する必要がある区域を「国定自然公園」として指定することができる。
3 都道府県は、地域の自然環境を保全するため「都道府県立自然公園」を指定することができる。
第六十七条(特別地域及び特別保護地区)
〈引用:自然公園法第20条〉保護区制度を継承。
〈修正案〉
1 自然公園の区域内には、その自然環境の保護のため必要な範囲において、特別地域及び特別保護地区を指定することができる。
2 特別保護地区内においては、工作物の新設、木竹の伐採その他政令で定める行為をしてはならない。
3 特別地域内においては、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けて行為をすることができる。
第六十八条(原生自然環境保全地域)
〈引用:自然環境保全法第5条〉原生的自然環境の指定制度。
〈修正案〉
1 環境大臣は、原生的な自然環境であって、特に厳重な保護を要する地域を「原生自然環境保全地域」として指定する。
2 当該地域においては、原則として人の立入りを禁止する。
3 学術研究その他公益上特に必要な行為については、環境大臣の許可を受けることができる。
第六十九条(自然環境保全地域)
〈引用:自然環境保全法第6条〉地域環境の保全を目的とする一般制度。
〈修正案〉
1 環境大臣は、自然環境の保全を図るため、必要な区域を「自然環境保全地域」として指定することができる。
2 地方公共団体は、地域の特性に応じて「地域自然資産区域」を指定し、条例で必要な保全措置を定めることができる。
第三章 自然再生及び地域資産の活用
第七十条(自然再生の推進)
〈引用:自然再生推進法第3条〉官民協働による自然再生を位置付け。
〈修正案〉国、地方公共団体、事業者及び住民は、失われた自然環境又は生態系の回復を図るため、協働して自然再生を推進しなければならない。
2 国は、自然再生のための技術開発及び人材育成を行うものとする。
第七十一条(自然再生計画)
〈引用:自然再生推進法第4条〉地域単位での計画策定制度を存置。
〈修正案〉環境大臣又は地方公共団体は、関係者の協議により自然再生計画を定めることができる。
2 計画には、再生の目標、実施区域、関係機関の役割及び費用負担を明記しなければならない。
第七十二条(地域自然資産区域)
〈審査コメント〉「自然再生」から発展し、地域資源を活用した循環的経済・観光を支える区域制度。
〈修正案〉地方公共団体は、地域の自然資源及び景観を保全しつつ、その活用を図るため、条例で「地域自然資産区域」を指定することができる。
2 区域内では、観光、農林業、文化活動その他地域振興と両立する持続可能な利用を推進する。
第四章 自然の利用及び環境観光
第七十三条(自然とのふれあい活動)
〈引用:自然公園法第2条の2、エコツーリズム推進法第3条〉自然体験及び教育活動の推進。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、自然とのふれあい、環境教育及びエコツーリズムの推進を図るため、施設整備及び指導者育成の施策を講ずるものとする。
2 事業者及び民間団体は、自然の適正利用を通じて地域経済の活性化に寄与するよう努めなければならない。
第七十四条(温泉及び自然資源の適正利用)
〈引用:温泉法第1条〉温泉資源を「地域自然資産」として統合。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、温泉及びその他の地域自然資源の利用に当たっては、環境保全及び安全の確保を図りつつ、地域の文化及び観光の振興に資するよう努めなければならない。
2 温泉の採取及び利用に関しては、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。
第五章 農林・鳥獣との横断条項
第七十五条(農地・森林との調整)
〈引用:森林法第1条、農業法第2条〉土地利用法体系との調整規定。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、自然環境の保全と農地又は森林の利用との調和を図るため、農業法及び森林法に基づく計画と調整を行うものとする。
2 特に水源涵養林、里山及び湿地帯においては、環境と生産の両立を図る地域管理計画を策定する。
第七十六条(家畜排せつ物及び鳥獣被害の防止)
〈引用:家畜排せつ物法、鳥獣被害防止法〉自然環境との関係で明記。
〈修正案〉
1 事業者及び農業者は、家畜の排せつ物の処理に当たり、悪臭、水質汚濁等による環境への負荷を防止しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、鳥獣による農林水産物及び自然環境への被害を防止し、適正な捕獲及び生息管理を行うものとする。
第六章 管理及び罰則
第七十七条(保全区域の管理)
〈引用:自然公園法第31条、自然環境保全法第9条〉管理計画及び指導体制を統一。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、保全区域について管理計画を策定し、巡視及び監視を行わなければならない。
2 管理計画には、保全目標、監視体制、利用制限及び緊急時対応を含めるものとする。
第七十八条(罰則)
〈引用:自然公園法第35条、自然環境保全法第22条〉刑罰水準を統一化。
〈修正案〉
1 指定区域内で無許可に工作物を設置し、又は伐採、採掘その他環境を損なう行為をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 法人に対しては、三千万円以下の罰金を科すことができる。
第六編〔野生生物保護〕
第一章 総則
第七十九条(目的)
〈引用:種の保存法第1条〉この法律は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とする。
〈審査コメント〉統合法では、「希少種保全」に加え、「生息域の維持」「外来種防除」「狩猟管理」を含む包括目的に改める必要。
〈修正案〉この編は、野生生物の多様性及び健全な生態系の維持を図るため、絶滅のおそれのある種の保存、鳥獣の保護及び管理並びに外来生物による被害の防止に関する基本的事項を定め、もって生物多様性の確保に寄与することを目的とする。
第八十条(定義)
〈引用:種の保存法第2条、鳥獣保護管理法第2条、外来生物法第2条〉現行はそれぞれ独立定義であるため、統合化を要する。
〈修正案〉
1 この編において「野生生物」とは、自然環境に生息又は生育する動植物をいう。
2 「希少野生生物」とは、絶滅のおそれがある種として政令で定めるものをいう。
3 「鳥獣」とは、鳥類及び哺乳類のうち、狩猟又は保護の対象となるものをいう。
4 「外来生物」とは、国外から持ち込まれ、又は人為的に導入されたことにより生態系、人の生命・身体又は農林水産業に被害を及ぼすおそれのある生物をいう。
5 「生息地等保護区」とは、野生生物の生息又は生育環境を保全するために指定された区域をいう。
第八十一条(基本原則)
〈引用:種の保存法第3条〉科学的知見及び国際的協調を明示。
〈修正案〉国、地方公共団体、事業者及び国民は、野生生物の保全を図るに当たり、科学的知見に基づき、国際的協調及び地域の理解をもって実施しなければならない。
2 野生生物の保護及び管理は、生態系の均衡を損なわず、適正な利用と調和を図るものとする。
第二章 希少野生生物の保全
第八十二条(国内希少種及び国際希少種)
〈引用:種の保存法第4条、第5条〉国内種と国際取引種を統合。
〈修正案〉
1 環境大臣は、我が国において絶滅のおそれのある野生動植物を「国内希少野生生物」として指定することができる。
2 我が国が締約国である国際条約(ワシントン条約)に掲げる種のうち、保全を要するものを「国際希少野生生物」として指定する。
第八十三条(指定及び公示)
〈引用:種の保存法第6条〉指定手続を明確化。
〈修正案〉環境大臣は、希少野生生物を指定したときは、その種名、学名及び指定の理由を官報で公示しなければならない。
2 必要に応じて指定を変更又は解除することができる。
第八十四条(捕獲等の規制)
〈引用:種の保存法第9条〉捕獲・譲渡禁止を統合法的に整備。
〈修正案〉
1 何人も、希少野生生物を捕獲し、又は殺傷してはならない。
2 何人も、希少野生生物及びその加工品を譲渡し、又は国外に持ち出してはならない。
3 学術研究その他公益上特に必要な場合には、環境大臣の許可を受けることができる。
第八十五条(生息地等保護区の指定)
〈引用:種の保存法第36条〉指定制度を踏襲。
〈修正案〉
1 環境大臣は、希少野生生物の生息又は生育に特に重要な区域を「生息地等保護区」として指定することができる。
2 指定区域内においては、土地の形質変更、建築物の新設その他政令で定める行為をしてはならない。
3 必要に応じ、保護管理計画を策定し、その実施を地方公共団体に委任することができる。
第八十六条(保全事業の実施)
〈引用:種の保存法第39条〉人工繁殖・移植増殖・遺伝資源保存等を包括。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、希少野生生物の保全のため、人工繁殖、移植増殖、遺伝資源の保存その他の保全事業を実施するものとする。
2 環境大臣は、必要に応じ、民間団体に事業の委託を行うことができる。
第三章 鳥獣の保護及び管理
第八十七条(鳥獣の保護及び適正管理)
〈引用:鳥獣保護管理法第1条〉狩猟と保護の両立を基本に。
〈修正案〉この章は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、鳥獣の個体群及びその生息環境の保全を目的とする。
第八十八条(鳥獣保護区)
〈引用:鳥獣保護管理法第29条〉現行の保護区制度を統合法に組み込み。
〈修正案〉環境大臣又は都道府県知事は、鳥獣の繁殖又は渡来に重要な区域を「鳥獣保護区」として指定することができる。
2 区域内においては、捕獲、建設その他鳥獣の生息を妨げる行為を禁止する。
第八十九条(狩猟の適正化)
〈引用:鳥獣保護管理法第3条、第9条〉狩猟免許制度と猟期規制を統合。
〈修正案〉
1 狩猟を行う者は、環境大臣又は都道府県知事の免許を受けなければならない。
2 狩猟期間、猟具及び捕獲可能数は、種ごとに政令で定める。
3 狩猟者は、安全かつ倫理的に行動し、他の動植物及び地域住民に危害を及ぼしてはならない。
第九十条(有害鳥獣の捕獲)
〈引用:鳥獣保護管理法第32条〉農林被害防止措置。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、農林水産業に被害を及ぼす鳥獣について、科学的根拠に基づく捕獲及び個体数調整を行うものとする。
2 捕獲に当たっては、非致死的手段を優先し、生態系全体に配慮する。
第四章 外来生物の防除
第九十一条(特定外来生物の指定)
〈引用:外来生物法第4条〉指定制度を踏襲。
〈修正案〉環境大臣は、生態系、人の生命・身体又は農林水産業に被害を及ぼすおそれのある外来生物を「特定外来生物」として指定する。
2 指定に当たっては、専門家及び関係者の意見を聴かなければならない。
第九十二条(飼養・栽培等の禁止)
〈引用:外来生物法第8条〉禁止行為の統合。
〈修正案〉
1 何人も、特定外来生物を飼養し、栽培し、又は保管してはならない。
2 特定外来生物の輸入、譲渡、放出又は逸出をしてはならない。
3 研究目的等、政令で定める場合を除き、環境大臣の許可を受けなければならない。
第九十三条(防除計画)
〈引用:外来生物法第12条〉防除実施計画の位置づけ。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、特定外来生物の防除に関する計画を策定し、実施しなければならない。
2 防除に当たっては、在来種及び生態系への影響を最小限に抑えるよう配慮する。
第五章 海獣保護及び国際協力
第九十四条(海獣の保護)
〈引用:臘虎膃肭獣取締法(旧法)〉近代的表現に改め、海洋法体系と整合。
〈修正案〉国は、海棲哺乳類その他の海獣について、国際的保全基準に基づき、その捕獲、取引及び生息環境の保全を図るものとする。
2 環境大臣は、必要に応じ、海獣の保護区域を指定することができる。
第九十五条(国際協力)
〈引用:種の保存法第51条〉条約履行義務を包括。
〈修正案〉国は、野生生物の国際取引、移動及び保全に関する国際条約の誠実な履行を図り、関係国及び国際機関と協力して、絶滅のおそれのある種の保全を推進する。
第六章 罰則・雑則
第九十六条(罰則)
〈引用:種の保存法第56条、外来生物法第33条〉刑罰水準を統一。
〈修正案〉
1 希少野生生物を無許可で捕獲、殺傷又は譲渡した者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 特定外来生物を無許可で輸入、飼養又は放出した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
3 法人に対しては、各前項に定める罰金刑の十倍を科すことができる。
第九十七条(政令委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第七編〔生物多様性・国際環境条約〕
第一章 総則
第九十八条(目的)
〈引用:生物多様性基本法第1条〉この法律は、生物多様性の保全及び持続可能な利用を図ることを目的とする。
〈審査コメント〉統合法では、国内施策のみならず、国際条約履行を目的に含める必要がある。
「遺伝資源」「生態系」「持続可能な利用」「国際連携」を同時に明記。
〈修正案〉この編は、生物の多様性及び生態系の健全な機能の維持を図り、遺伝資源の持続可能な利用及び公正な利益配分を確保し、並びに国際的協調の下に生物多様性の保全を推進することを目的とする。
第九十九条(定義)
〈引用:生物多様性基本法第2条、カルタヘナ法第2条〉現行法では定義範囲が異なるため統一。
〈修正案〉
1 この編において「生物多様性」とは、生態系、種及び遺伝子の三つのレベルにおける多様性をいう。
2 「生態系」とは、生物とその環境との相互作用により構成される自然のシステムをいう。
3 「遺伝資源」とは、生物から得られる遺伝的機能を有する資材をいう。
4 「持続可能な利用」とは、生物多様性を損なうことなく、将来世代の利用可能性を保持しつつ行う利用をいう。
5 「カルタヘナ規制生物」とは、遺伝子の組換えにより得られた生物であって、環境への影響を生ずるおそれがあるものをいう。
第百条(基本原則)
〈引用:生物多様性基本法第3条〉生態系サービスの維持と公正な利益配分を柱とする。
〈修正案〉
1 生物多様性の保全は、生命の基盤としての自然の恵沢を次世代に継承することを基本としなければならない。
2 生物多様性の利用により得られる利益は、公正かつ衡平に配分されなければならない。
3 国、地方公共団体、事業者及び国民は、それぞれの立場において生物多様性の保全及び持続可能な利用に努めなければならない。
第二章 基本施策及び計画
第百一条(国の責務)
〈引用:生物多様性基本法第4条〉科学的知見と国際協調を明記。
〈修正案〉国は、生物多様性の保全及び持続可能な利用に関し、科学的知見に基づき、国際的協調の下に総合的施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 国は、生物多様性条約その他関連条約の誠実な履行に努めるものとする。
第百二条(地方公共団体の責務)
〈引用:生物多様性基本法第5条〉地域計画制度を明示。
〈修正案〉地方公共団体は、地域の自然的・社会的特性に応じて、生物多様性地域戦略を策定し、当該地域における生物多様性の保全及び持続可能な利用を推進するものとする。
第百三条(事業者及び国民の責務)
〈引用:生物多様性基本法第6条〉企業及び個人の行動責任。
〈修正案〉
1 事業者は、その事業活動が生物多様性に及ぼす影響を最小限に抑えるよう努めなければならない。
2 国民は、生物多様性の恵沢を享受しつつ、その保全に資する行動を自発的に行うよう努めなければならない。
第百四条(生物多様性国家戦略)
〈引用:生物多様性基本法第13条〉国家計画を中核とする。
〈修正案〉政府は、生物多様性の保全及び持続可能な利用を総合的かつ計画的に推進するため、生物多様性国家戦略を定めなければならない。
2 国家戦略には、目標、施策体系、数値指標及び実施期間を定めるものとする。
3 政府は、少なくとも五年ごとに当該戦略を見直す。
第三章 遺伝資源及びカルタヘナ規制生物
第百五条(遺伝資源の利用と利益配分)
〈引用:生物多様性条約第15条、名古屋議定書〉国内法化。
〈修正案〉国は、外国由来の遺伝資源の利用に当たっては、提供国との合意及び利益の公正な配分を確保する制度を整備するものとする。
2 国内で得られた遺伝資源の利用に関しても、公平な利益還元を図る。
第百六条(遺伝子組換え生物等の規制)
〈引用:カルタヘナ法第4条〉規制目的を維持しつつ整理。
〈修正案〉
1 遺伝子組換え生物等を環境中で使用しようとする者は、事前に環境影響の評価を行い、環境大臣の承認を受けなければならない。
2 国は、当該生物の輸入、栽培、飼育等について、必要な基準及び監視体制を定めるものとする。
第百七条(情報の公開と国際連携)
〈引用:カルタヘナ法第24条〉透明性の確保。
〈修正案〉国は、遺伝子組換え生物等に関する情報を公開し、国際的な情報共有システムを通じて関連国と協力するものとする。
第四章 湿地・特定地域の保全
第百八条(ラムサール条約湿地)
〈引用:湿地保全関連法、自然再生推進法との連携〉湿地の指定制度を明文化。
〈修正案〉
1 環境大臣は、国際的に重要な湿地を「特定湿地保全地域」として指定し、ラムサール条約の目的に沿ってその保全及び賢明な利用(ワイズユース)を図るものとする。
2 地方公共団体は、当該地域の保全及び再生に関する施策を実施する。
第百九条(南極地域の環境保護)
〈引用:南極環境保護法第3条〉南極条約履行の国内規定。
〈修正案〉南極地域における活動は、科学的研究その他平和目的に限り行うことができ、環境への影響を最小限にとどめなければならない。
2 国は、南極環境保護条約に基づき、活動許可及び環境影響評価の制度を整備するものとする。
第百十条(国際文化・教育との接続)
〈引用:ユネスコ憲章、世界遺産条約〉文化・自然遺産の両立を規定。
〈修正案〉国は、自然環境及び文化的景観の保全を通じて、ユネスコ等国際機関との協力を推進し、世界遺産、ジオパーク、生物圏保存地域等の保全を図るものとする。
第五章 研究・教育・罰則
第百十一条(研究及び教育)
〈引用:生物多様性基本法第22条〉科学的基盤の整備。
〈修正案〉国は、生物多様性に関する科学的研究及び教育を推進し、専門人材の育成及び国民の理解の増進に努めなければならない。
2 地方公共団体及び事業者は、教育機関との連携を図り、生物多様性の普及啓発を推進する。
第百十二条(罰則)
〈引用:カルタヘナ法第34条〉遺伝子組換え生物等の無承認使用等への刑罰。
〈修正案〉
1 環境大臣の承認を受けずに遺伝子組換え生物等を環境中で使用した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 法人に対しては、一億円以下の罰金を科すことができる。
第八編〔化学物質管理〕
第一章 総則
第百十三条(目的)
〈引用:化審法第1条、PRTR法第1条〉この法律は、化学物質による人の健康及び生態系への被害を未然に防止することを目的とする。
〈審査コメント〉統合法では、「製造から廃棄までのライフサイクル管理」「国際条約の履行」「情報公開」を包括化する必要がある。
〈修正案〉この編は、化学物質の製造、輸入、使用、排出及び廃棄に至る全段階における管理を通じて、人の健康及び生態系の保全を図り、並びに国際的協調の下に環境上安全な化学物質の取扱いを推進することを目的とする。
第百十四条(定義)
〈引用:化審法第2条、PRTR法第2条〉定義の重複を整理。
〈修正案〉
1 この編において「化学物質」とは、元素、化合物及びこれを含む製品であって、人又は生態系に有害なおそれのあるものをいう。
2 「特定化学物質」とは、環境中に残留し、又は蓄積することにより健康又は生態系に被害を及ぼすおそれがあるものをいう。
3 「新規化学物質」とは、従前に国内で製造又は輸入の実績がない化学物質をいう。
4 「排出量届出対象物質」とは、環境中への排出量又は移動量の届出を要する化学物質をいう。
5 「事業者」とは、化学物質を製造、輸入、使用、又は廃棄する法人及び個人をいう。
第百十五条(基本原則)
〈引用:化審法第3条〉「予防的措置」と「情報公開」を明文化。
〈修正案〉
1 化学物質による環境汚染の防止は、被害の発生後に対応するのではなく、予防的措置により行うことを基本とする。
2 国、地方公共団体及び事業者は、化学物質に関する情報を適切に収集し、国民に対して公表するよう努めなければならない。
第二章 化学物質の審査及び規制
第百十六条(製造・輸入の事前審査)
〈引用:化審法第4条〉新規化学物質の審査制度。
〈修正案〉
1 化学物質を製造し、又は輸入しようとする者は、あらかじめ環境大臣に届け出なければならない。
2 環境大臣は、当該化学物質の性状、分解性及び蓄積性を審査し、人の健康又は生態系に係るリスクを評価する。
3 審査の結果、有害性が認められる場合には、製造又は輸入を禁止又は制限することができる。
第百十七条(特定化学物質の指定)
〈引用:化審法第5条、第6条〉分類を三段階から二段階に簡略化。
〈修正案〉
1 環境大臣は、有害性の程度及び環境残留性に応じて、化学物質を「第一種特定化学物質」又は「第二種特定化学物質」に指定する。
2 第一種特定化学物質については、原則として製造、輸入及び使用を禁止する。
3 第二種特定化学物質については、製造又は使用の量的規制及び排出抑制措置を講ずる。
第百十八条(製造等の制限)
〈引用:化審法第10条〉事業者義務を包括化。
〈修正案〉特定化学物質を製造、輸入又は使用する者は、環境大臣の定める技術的基準に従い、適切な管理を行わなければならない。
2 環境大臣は、必要に応じ、製造数量又は使用量の制限を命ずることができる。
第三章 排出量の届出及び情報管理(PRTR制度)
第百十九条(届出義務)
〈引用:PRTR法第5条〉排出量の定期届出制度。
〈修正案〉
1 政令で定める排出量届出対象物質を取り扱う事業者は、毎年、その排出量及び移動量を環境大臣に届け出なければならない。
2 環境大臣は、届出情報を集計し、全国の化学物質排出・移動量データを公表する。
第百二十条(情報の公開)
〈引用:PRTR法第11条〉環境データベースの法定化。
〈修正案〉国は、届出データ及び関連情報を電子的に整理し、国民が容易に閲覧できる情報公開システムを整備するものとする。
2 事業者は、製品に含有する化学物質の情報を消費者に対して明示しなければならない。
第四章 特定物質及び国際条約履行
第百二十一条(オゾン層保護物質)
〈引用:オゾン層保護法第4条〉モントリオール議定書対応。
〈修正案〉
1 環境大臣は、特定フロンその他オゾン層破壊物質の製造、輸入及び使用を制限し、段階的廃止を推進するものとする。
2 国は、代替物質の開発及び普及を支援する。
第百二十二条(水銀及びその化合物)
〈引用:水銀汚染防止法第3条〉水俣条約履行条文。
〈修正案〉
1 国は、水銀及びその化合物による環境汚染を防止するため、製造、輸入、輸出、貯蔵及び廃棄の各段階において必要な措置を講ずるものとする。
2 環境大臣は、水銀を含む廃棄物の適正な処理及び大気排出の抑制を図らなければならない。
第百二十三条(ダイオキシン類の管理)
〈引用:ダイオキシン特措法第4条〉環境基準遵守と排出抑制。
〈修正案〉
1 国は、ダイオキシン類について環境基準を定め、常時監視を行うものとする。
2 事業者は、焼却施設その他政令で定める施設において、排出抑制のため必要な措置を講じなければならない。
3 環境大臣は、基準超過が認められる場合には、改善命令を発することができる。
第五章 監視・研究・罰則
第百二十四条(監視及び研究)
〈引用:化審法第38条、PRTR法第16条〉化学物質の長期的監視体制を統合法的に整備。
〈修正案〉国は、化学物質の環境中の残留、蓄積及び移動の状況を常時監視し、その結果を公表する。
2 国及び地方公共団体は、化学物質の安全管理に関する研究及び技術開発を推進する。
第百二十五条(罰則)
〈引用:化審法第56条、PRTR法第20条〉刑罰水準を統一。
〈修正案〉
1 無届で新規化学物質を製造し、又は輸入した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 法人に対しては、各前項の罰金刑の十倍を科すことができる。
第百二十六条(政令委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第九編〔気候変動・エネルギー環境〕
第一章 総則
第百二十七条(目的)
〈引用:地球温暖化対策推進法第1条、気候変動適応法第1条〉現行は「温室効果ガスの排出抑制」を中心とするが、統合法では「緩和(Mitigation)」「適応(Adaptation)」「移行(Transition)」を包括。
〈修正案〉この編は、気候変動により生ずる環境上の影響を防止又は軽減し、並びにその影響への適応を図るとともに、脱炭素社会への公正な移行を推進し、もって持続可能な成長及び国際的責務の達成に寄与することを目的とする。
第百二十八条(定義)
〈引用:温対法第2条、気候変動適応法第2条〉用語を一元化。
〈修正案〉
1 この編において「温室効果ガス」とは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素及び政令で定めるその他のガスをいう。
2 「気候変動緩和」とは、温室効果ガスの排出を削減し又は吸収を強化することをいう。
3 「気候変動適応」とは、気候変動の影響に対応し、被害を防止又は軽減するための社会的・経済的措置をいう。
4 「脱炭素成長(GX)」とは、経済成長と温室効果ガス削減を両立させる構造転換をいう。
5 「カーボンプライシング」とは、温室効果ガス排出に対し経済的価値を付与する仕組みをいう。
第百二十九条(基本原則)
〈引用:温対法第3条、適応法第3条〉三原則(予防原則・連携原則・公正移行原則)を体系化。
〈修正案〉
1 気候変動対策は、科学的知見に基づき、被害を未然に防止する予防原則の下に行わなければならない。
2 国、地方公共団体、事業者及び国民は、相互の連携及び国際的協調をもって気候変動対策を推進しなければならない。
3 脱炭素への移行は、雇用、地域経済及びエネルギー安全保障に十分配慮し、公正かつ包摂的に行われなければならない。
第二章 温室効果ガス排出の抑制(緩和)
第百三十条(国家目標)
〈引用:温対法第8条〉2050年カーボンニュートラルを法定化。
〈修正案〉政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量と吸収量を実質的にゼロとすることを目標とする。
2 政府は、2030年その他の中間目標を定め、これを段階的に見直す。
第百三十一条(基本計画)
〈引用:温対法第9条〉温暖化対策計画の統合法的整備。
〈修正案〉政府は、気候変動の緩和及び適応に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、気候変動対策計画を定めなければならない。
2 計画には、排出削減目標、分野別施策、資金調達及び技術開発方針を含めるものとする。
第百三十二条(排出量取引及びカーボンプライシング)
〈引用:GX基本方針、温対法第19条の2(温対法改正素案)〉国内炭素市場の法的基礎を明確化。
〈修正案〉
1 国は、温室効果ガス排出量に対して経済的価値を付与する制度(カーボンプライシング)を整備するものとする。
2 排出量取引制度に参加する事業者は、認証を受けた排出削減クレジットの取引を行うことができる。
3 国は、取引市場の透明性及び公正性を確保するため、監督機関を設置する。
第百三十三条(吸収源対策)
〈引用:温対法第21条、森林法第1条〉森林・農地・海洋の吸収機能強化。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、森林、湿地及び海洋の吸収源機能を維持するため、保全及び再生の施策を講ずるものとする。
2 森林吸収量の算定及び国際報告に関しては、国際基準に従う。
第三章 気候変動への適応
第百三十四条(適応の推進)
〈引用:気候変動適応法第4条〉地方計画を中心に。
〈修正案〉国は、気候変動の影響に対応するため、農業、水資源、健康、災害、インフラ等の分野ごとに適応策を講ずるものとする。
2 地方公共団体は、地域の気候特性に応じた気候変動適応計画を策定する。
第百三十五条(気候変動影響情報センター)
〈引用:適応法第10条〉科学的知見の集約機関を明文化。
〈修正案〉環境大臣は、気候変動の影響及び適応策に関する科学的知見を集約し、情報を提供するため、気候変動影響情報センターを設置する。
2 センターは、学術機関及び地方自治体との連携を図るものとする。
第百三十六条(災害対策との連携)
〈引用:国土強靭化基本法第4条、災害対策基本法第1条〉防災法体系との整合。
〈修正案〉気候変動適応に係る施策は、災害対策及び国土強靭化施策と一体的に実施されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、水害、土砂災害、熱波等の被害防止のため、早期警戒及び避難体制を整備する。
第四章 GX(グリーントランスフォーメーション)
第百三十七条(脱炭素成長の推進)
〈引用:GX基本方針(2023年閣議決定)〉産業政策との接続。
〈修正案〉国は、エネルギー転換、技術革新及び産業構造の改革を通じて、脱炭素社会への移行を推進しなければならない。
2 政府は、GX実行計画を定め、重点産業及び地域投資を支援する。
第百三十八条(グリーン投資・資金調達)
〈引用:GX経済移行債(2023年度創設)〉公的金融支援の制度化。
〈修正案〉国は、気候変動対策に資する事業に対し、グリーンボンド、移行債その他の金融手段を活用して資金供給を行うものとする。
2 投資先の事業者は、環境情報の開示及び事後評価を行わなければならない。
第百三十九条(地方脱炭素モデル地域)
〈引用:地域脱炭素移行・再エネ拠点法(2022年)〉地方のGX推進を法定化。
〈修正案〉地方公共団体は、再生可能エネルギーの導入及び地域資源の活用により、脱炭素型のまちづくりを推進するものとする。
2 環境大臣は、優良な取組を行う地域を「脱炭素モデル地域」として認定し、財政的・技術的支援を行う。
第五章 都市及び建築物の低炭素化
第百四十条(低炭素都市の促進)
〈引用:低炭素都市法第3条〉都市計画法との整合。
〈修正案〉国及び地方公共団体は、交通体系の改善、建築物の省エネルギー化及び緑化の推進を通じて、低炭素型都市の形成を図るものとする。
2 都市計画においては、低炭素地区の指定及び再開発区域の優先整備を行う。
第百四十一条(建築物の脱炭素性能)
〈引用:建築物省エネ法第3条〉環境法としての位置付けを補強。
〈修正案〉建築物の新築又は改修を行う者は、省エネルギー基準に適合する設計を行わなければならない。
2 国は、建築物のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化を促進する施策を講ずる。
第六章 国際協力及び罰則
第百四十二条(国際協力)
〈引用:パリ協定第6条〉国際市場メカニズムを明文化。
〈修正案〉国は、気候変動に関する国際条約及び協定を誠実に履行し、国際的な排出削減取引及び技術協力を推進するものとする。
2 開発途上国に対する資金支援及び人材育成を行う。
第百四十三条(罰則)
〈引用:温対法第34条〉事業者報告義務違反等の刑罰を統合。
〈修正案〉
1 虚偽の排出報告を行った者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 排出量取引制度における不正行為を行った者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
3 法人に対しては、各前項の罰金刑の十倍を科すことができる。
第十編〔海洋環境〕
第一章 総則
第百四十四条(目的)
〈引用:海洋汚染防止法第1条〉この法律は、船舶による海洋の汚染を防止し、もって公害の防止に資することを目的とする。
〈審査コメント〉統合法では、船舶等による汚染防止、油濁損害賠償、漂着物対策、特定海域の再生、国際条約(MARPOL、ロンドン条約、油濁民責条約・基金条約等)履行を包括する目的規定が必要。
〈修正案〉この編は、船舶その他の活動による海洋の汚染及び海上災害を防止し、油濁等による損害の賠償及び救済を確保し、海岸漂着物等の対策並びに沿岸海域の環境の保全及び再生を推進し、もって健全な海洋環境の維持及び国際条約の誠実な履行に資することを目的とする。
第百四十五条(定義)
〈引用:海洋汚染防止法第3条、油濁損害賠償法第2条、漂着物処理推進法第2条〉〈修正案〉
1 この編において「船舶」とは、海上を航行するすべての水上の船舶及び浮体式構造物をいう。
2 「油」とは、原油、重油、潤滑油その他政令で定める石油系物質をいう。
3 「有害液体物質」とは、散水等により海洋環境に被害を与えるおそれがある液体状の有害物質で政令で定めるものをいう。
4 「有害物質等」とは、油、有害液体物質、ばら積み有害物質、船舶汚水、廃棄物その他MARPOL条約等で規制される物質をいう。
5 「海岸漂着物等」とは、海岸に漂着し又は漂流する廃棄物その他環境の保全上支障となる物をいう。
第百四十六条(基本原則)
〈引用:海洋汚染防止法第2条、漂着物処理推進法第3条〉〈修正案〉
1 海洋環境の保全は、予防原則及び原因者負担の原則に基づき行われなければならない。
2 国、地方公共団体、船舶所有者、貨物所有者及び国民は、それぞれの責務を分担し、相互に連携して海洋環境の保全及び再生に努めなければならない。
第二章 船舶等による海洋汚染の防止
第百四十七条(排出の禁止)
〈引用:海洋汚染防止法第5条等〉〈修正案〉
1 何人も、海域において、有害物質等を排出してはならない。
2 船舶からの油、汚水、廃棄物その他の排出は、MARPOL条約及び政令で定める基準に適合する場合に限り認められる。
第百四十八条(設備及び運用基準)
〈引用:海洋汚染防止法第9条、第11条〉〈修正案〉
1 船舶所有者は、油水分離器、油記録簿、汚水処理装置等、政令で定める汚染防止設備を備え付け、適切に運用しなければならない。
2 港湾管理者は、受入施設の整備に努め、船舶からの廃油・廃棄物等の適正な引取りを確保する。
第百四十九条(有害物質ばら積み輸送の規制)
〈引用:海洋汚染防止法第12条〉〈修正案〉有害液体物質及びばら積み有害物質の輸送、積込及び洗浄排出は、国際基準に適合する設備及び手続により行わなければならない。
第百五十条(海上災害の防止及び通報)
〈引用:海洋汚染防止法第18条〉〈修正案〉
1 船長は、油濁その他の海上災害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、直ちに関係行政機関に通報し、応急措置を講じなければならない。
2 国は、広域的な油濁事故に備え、資機材の備蓄、出動体制及び国際協力体制を整備する。
第三章 油濁損害の賠償及び補償
第百五十一条(損害賠償責任)
〈引用:油濁損害賠償法第3条〉〈修正案〉船舶の油による汚染から生じた人の生命・身体、財産及び環境の損害については、船舶所有者が無過失責任を負う。
第百五十二条(責任制限及び保険等)
〈引用:油濁損害賠償法第7条、第13条〉〈修正案〉
1 船舶所有者は、国際条約で定める限度額の範囲内で責任を負う。
2 船舶所有者は、責任の履行のため、保険契約又は保証契約を締結し、その証明書を備え付けなければならない。
3 特定タンカーによる油濁損害については、基金等による二段階補償を適用する。
第百五十三条(求償及び原因者負担)
〈引用:油濁損害賠償法第16条〉〈修正案〉国又は地方公共団体が防除措置等に要した費用は、船舶所有者又は原因者に求償することができる。
第四章 海岸漂着物等の対策
第百五十四条(施策の推進)
〈引用:漂着物処理推進法第3条〉〈修正案〉国及び地方公共団体は、海岸漂着物等の回収、適正処理及び発生抑制に関する施策を総合的に推進するものとする。
2 事業者及び国民は、使い捨て製品の削減、分別回収等、発生抑制に協力しなければならない。
第百五十五条(広域連携及び国際協力)
〈引用:漂着物処理推進法第8条〉〈修正案〉海岸漂着物等の対策は、流域・海域単位での広域連携の下に実施し、必要に応じて周辺国との国際協力を行うものとする。
第五章 沿岸海域の環境保全及び再生
第百五十六条(特定海域再生計画)
〈引用:有明・八代海再生法第5条、瀬戸内海特措法第3条〉〈修正案〉
1 環境大臣は、有明海・八代海、瀬戸内海その他水質及び生態系の回復が特に必要な海域を「特定海域」として指定し、関係大臣と協議の上、特定海域再生計画を定める。
2 計画には、陸域起源汚濁負荷の削減、干潟・藻場の再生、漁場の回復、栄養塩管理、モニタリングの実施等を盛り込む。
第百五十七条(総量規制及び負荷削減)
〈引用:瀬戸内海特措法第10条〉〈修正案〉特定海域における窒素、燐等の汚濁物質の排出については、総量規制その他の措置を講ずるものとする。
第六章 監視、取締及び情報公開
第百五十八条(監視及び立入検査)
〈引用:海洋汚染防止法第20条〉〈修正案〉国又は地方公共団体は、船舶、港湾施設及び沿岸事業場に対し、必要な監視及び立入検査を行うことができる。
第百五十九条(情報の公開及び事故報告)
〈引用:海洋汚染防止法第18条、漂着物処理推進法第7条〉〈修正案〉
1 国は、海洋汚染及び漂着物の発生状況、対策の実施状況を定期的に公表する。
2 船舶所有者等は、事故の発生及び対応状況について、速やかに報告しなければならない。
第七章 国際条約の履行
第百六十条(国際基準との整合)
〈引用:MARPOL条約、ロンドン条約/議定書、民責条約・基金条約〉〈修正案〉
1 この編の規定は、MARPOL条約、廃棄物海洋投棄に関する条約及び油濁損害に関する条約その他の関連国際約束の履行を確保するよう解釈し、及び運用する。
2 国は、国際基準の改正に応じ、政令・省令を整備する。
第八章 罰則
第百六十一条(違反行為に対する罰則)
〈引用:海洋汚染防止法第39条、油濁損害賠償法第34条等〉〈修正案〉
1 無許可又は基準に適合しない排出を行った者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 油濁損害賠償のための保険証明書を備え付けなかった者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 法人に対しては、各前項に定める罰金刑の十倍を科すことができる。
第百六十二条(政令委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第十一編〔環境アセスメント・調停制度〕
第一章 総則
第百六十三条(目的)
〈引用:環境影響評価法第1条、公害紛争処理法第1条〉この法律は、環境の保全について適正な配慮がなされるようにするため、大規模な事業について環境影響評価を実施するほか、公害紛争の迅速かつ公正な解決を図ることを目的とする。
〈修正案〉この編は、事業の実施に先立ちその環境への影響を総合的に評価し、被害の発生を未然に防止するとともに、環境に関する紛争を迅速かつ公正に解決し、もって環境の保全及び国民の権利の擁護に資することを目的とする。
第百六十四条(定義)
〈引用:環境影響評価法第2条、公害紛争処理法第2条〉〈修正案〉
1 この編において「環境影響評価」とは、事業の実施が環境に及ぼす影響を予測し、評価し、及びこれに対する措置を検討する手続をいう。
2 「公害紛争」とは、公害又は環境被害に係る損害、予防又は回復に関する紛争をいう。
3 「公害等調整委員会」とは、環境紛争の調停、仲裁及び審査を行うために設置される独立行政委員会をいう。
第百六十五条(基本原則)
〈引用:環境影響評価法第3条〉〈修正案〉
1 環境影響評価及び紛争処理は、科学的知見に基づき、公正性及び透明性を確保して行わなければならない。
2 国、地方公共団体及び事業者は、環境情報を共有し、国民の意見を適切に反映させるよう努めなければならない。
第二章 環境影響評価
第百六十六条(環境影響評価の実施義務)
〈引用:環境影響評価法第4条〉〈修正案〉
1 政令で定める規模以上の事業を実施しようとする者は、あらかじめ環境影響評価を行い、その結果を環境大臣に届け出なければならない。
2 環境大臣は、必要があると認めるときは、評価項目の追加又は再調査を命ずることができる。
第百六十七条(手続の段階)
〈引用:環境影響評価法第5条〜第10条〉〈修正案〉環境影響評価は、次の手続の順序により行う。
一 計画段階配慮書の作成及び公表
二 方法書の作成及び縦覧
三 環境影響評価書案の作成及び意見の聴取
四 評価書の確定及び公表
五 事後調査
第百六十八条(住民意見の反映)
〈引用:環境影響評価法第12条〉〈修正案〉
1 環境影響評価書案の作成にあたっては、国民、地方公共団体及び学識経験者の意見を聴取しなければならない。
2 意見の概要及び対応方針は、評価書に付記して公表するものとする。
第百六十九条(小規模事業への適用)
〈引用:環境影響評価法第14条〉〈修正案〉地方公共団体は、地域の環境特性に応じ、小規模事業について環境影響評価を義務付け又は努力義務化する条例を定めることができる。
第百七十条(環境基準・評価基準)
〈引用:環境基本法第16条、環境影響評価法第15条〉〈修正案〉
1 環境大臣は、環境影響評価における大気、水質、騒音その他の環境要素ごとの評価基準を定める。
2 これらの基準は、環境基準及び最新の科学的知見に基づき、定期的に見直すものとする。
第三章 環境紛争の調停及び仲裁
第百七十一条(公害等調整委員会の設置)
〈引用:公害等調整委員会設置法第1条〉〈修正案〉環境紛争の調停、仲裁及び審査を行うため、内閣府の外局として、公害等調整委員会を置く。
第百七十二条(委員会の構成)
〈引用:設置法第2条〉〈修正案〉公害等調整委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。
2 委員は、環境法、工学、医学及び経済学に関する学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 委員会は、独立してその権限を行う。
第百七十三条(調停)
〈引用:公害紛争処理法第6条〉〈修正案〉
1 公害紛争の当事者は、委員会に調停を申請することができる。
2 委員会は、当事者の意見を聴き、和解案を提示し、合意に至ったときはその内容を調書に記載して確定する。
3 調停成立は、民事訴訟法上の和解と同一の効力を有する。
第百七十四条(仲裁)
〈引用:公害紛争処理法第14条〉〈修正案〉当事者は、委員会に仲裁を申請することができる。
2 委員会は、審理の結果、仲裁判断を下す。
3 仲裁判断は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
第百七十五条(審査及び裁定)
〈引用:公害紛争処理法第17条〉〈修正案〉国又は地方公共団体の行為に起因する公害紛争については、委員会は、審査又は裁定を行うことができる。
2 裁定は、関係行政庁を拘束する。
第百七十六条(緊急調停)
〈引用:公害紛争処理法第23条〉〈修正案〉委員会は、被害の拡大を防止するため特に緊急を要すると認めるときは、当事者の申請を待たずに一時的な防止措置を命ずることができる。
第四章 地方環境紛争処理機関
第百七十七条(地方委員会)
〈引用:公害紛争処理法第32条〉〈修正案〉都道府県は、条例で定めるところにより、地方公害紛争処理委員会を設置することができる。
2 地方委員会は、地域内の紛争に関する調停及び仲裁を行う。
第百七十八条(国との連携)
〈修正案〉地方委員会は、公害等調整委員会と連携し、情報及び資料の提供、専門家派遣等の支援を受けることができる。
第五章 手続及び執行
第百七十九条(手続の公開)
〈引用:公害紛争処理法第25条〉〈修正案〉委員会の審理は、当事者の申出がある場合を除き公開するものとする。
第百八十条(証拠調査及び専門委員)
〈引用:設置法第5条〉〈修正案〉委員会は、証拠調査を行い、必要があると認めるときは、専門委員を指名して意見を聴取することができる。
第百八十一条(裁定の執行力)
〈修正案〉確定した裁定又は仲裁判断は、民事執行法により強制執行することができる。
第六章 情報公開及び教育
第百八十二条(情報の公開)
〈引用:環境影響評価法第18条、公害紛争処理法第35条〉〈修正案〉国は、環境影響評価書、紛争処理結果及び裁定の概要を公表し、環境政策の改善に資するものとする。
第百八十三条(環境教育・人材育成)
〈修正案〉国及び地方公共団体は、環境アセスメント及び紛争処理に関する教育及び専門人材の養成に努めなければならない。
第七章 罰則及び雑則
第百八十四条(虚偽報告等の罰則)
〈引用:環境影響評価法第31条〉〈修正案〉虚偽の環境影響評価書を提出した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百八十五条(政令委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第十二編〔事業者の環境責務・情報開示〕
第一章 総則
第百八十六条(目的)
〈引用:環境配慮契約法第1条、グリーン購入法第1条〉現行は「国等による物品等調達の環境配慮推進」および「事業活動の環境配慮促進」を目的とする。
〈修正案〉この編は、国、地方公共団体及び事業者が、その契約、調達及び経済活動において環境への負荷を低減し、持続可能な社会の形成に寄与することを目的とする。
第百八十七条(定義)
〈引用:グリーン購入法第2条、環境配慮契約法第2条〉〈修正案〉
1 この編において「環境配慮契約」とは、環境への負荷の低減に資する物品、サービス又は事業を優先的に選定する契約をいう。
2 「環境情報開示」とは、事業者が環境負荷、温室効果ガス排出、資源利用効率その他環境に関する情報を公開することをいう。
3 「持続可能な調達」とは、環境保全、労働、人権及び経済的合理性を考慮した物品・サービスの調達をいう。
第百八十八条(基本原則)
〈引用:環境配慮契約法第3条〉〈修正案〉
1 環境配慮契約及び情報開示は、科学的知見に基づき、客観性及び透明性を確保して行われなければならない。
2 国及び地方公共団体は、模範的な取組を行い、民間部門の自主的取組を促進しなければならない。
第二章 国及び地方公共団体の責務
第百八十九条(国の責務)
〈引用:グリーン購入法第4条〉〈修正案〉国は、物品、役務及び建設工事の調達に当たり、環境物品等の使用を推進し、温室効果ガス削減及び資源循環を促進する契約を締結するよう努めなければならない。
第百九十条(地方公共団体の責務)
〈引用:グリーン購入法第5条〉〈修正案〉地方公共団体は、地域特性に応じた環境配慮契約方針を策定し、公共施設、学校、病院等の事業においてグリーン調達を実施するよう努めなければならない。
第百九十一条(方針及び目標)
〈引用:環境配慮契約法第6条〉〈修正案〉国及び地方公共団体は、環境配慮契約及び持続可能な調達に関する基本方針を策定し、年度ごとに実施状況及び達成状況を公表するものとする。
第三章 事業者の環境責務
第百九十二条(環境配慮義務)
〈引用:環境配慮契約法第8条〉〈修正案〉事業者は、その事業活動において、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用、廃棄物削減、資源の有効利用及び生物多様性の保全に配慮しなければならない。
第百九十三条(温室効果ガスの算定・報告)
〈引用:温対法第21条の3〉〈修正案〉
1 特定事業者は、自らの温室効果ガスの排出量及びエネルギー使用量を算定し、環境大臣に報告しなければならない。
2 環境大臣は、報告を受けた情報を集約し、産業別・地域別の統計として公表する。
第百九十四条(サプライチェーン排出)
〈引用:国際ESG報告基準(GHGプロトコル)〉〈修正案〉事業者は、自らの事業活動のみならず、供給網全体の温室効果ガス排出(スコープ3)についても把握し、可能な範囲で開示に努めなければならない。
第百九十五条(環境マネジメント体制)
〈引用:ISO14001/環境配慮契約法第9条〉〈修正案〉事業者は、環境保全に関する内部管理体制を整備し、目標及び評価指標を設定して継続的な改善を図るものとする。
第四章 環境情報の開示及び認証
第百九十六条(情報開示義務)
〈引用:環境配慮契約法第10条、金融商品取引法第24条の2(ESG情報)〉〈修正案〉上場企業その他政令で定める事業者は、環境に関する情報を年次報告書又はウェブサイトにおいて開示しなければならない。
2 開示事項には、温室効果ガス排出量、エネルギー効率、環境投資額、環境負債及び環境訴訟の状況を含めるものとする。
第百九十七条(第三者認証制度)
〈引用:環境ラベル(エコマーク)、ISO14025〉〈修正案〉国は、環境に配慮した製品及び事業活動を認証する制度を設けることができる。
2 認証を受けた製品等は、公共調達及び補助事業において優先的に取り扱う。
第百九十八条(虚偽開示の禁止)
〈修正案〉虚偽又は誤解を招く環境情報を開示した事業者は、その是正を行い、重大な場合には罰則を科すものとする。
第五章 契約及び金融における環境配慮
第百九十九条(環境配慮契約)
〈引用:環境配慮契約法第11条〉〈修正案〉国、地方公共団体及び事業者は、契約の締結にあたり、ライフサイクルコスト及び環境負荷を考慮し、環境に優れた製品又はサービスを選定するものとする。
第二百条(グリーン金融)
〈引用:GX経済移行債/グリーンボンド指針〉〈修正案〉国は、環境関連投資を促進するため、グリーンボンド、サステナビリティリンク債その他の金融手段を整備し、その透明性及び信頼性を確保する。
第二百一条(環境配慮に関する契約条項)
〈修正案〉政府契約及び公共事業契約には、温室効果ガス削減、リサイクル材使用、エネルギー効率等の環境配慮項目を契約条件として明示しなければならない。
第六章 罰則及び雑則
第二百二条(罰則)
〈修正案〉
1 虚偽の環境情報を提出した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 環境配慮契約に関する公的支援を不正に受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
3 法人に対しては、各前項に定める罰金刑の十倍を科すことができる。
第二百三条(政令委任)
〈修正案〉この編の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
承知しました。
以下に、【モード:附則設計】環境法(統合版)附則〔経過措置・関係法廃止・政省令整備〕を提示します。
この附則は、環境法の全十二編(第一編〜第十二編)を一括施行する際の施行期日・経過措置・機関設置・関係法令の廃止・政省令への委任を体系的に整備するものです。
内容は実際の内閣法制局提出用の「附則条文形式」を踏まえた正式文体で構成しています。
【附則】環境法(統合版)
第1条この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 ただし、第三編(公害健康被害・救済)及び第九編(気候変動・エネルギー環境)については、関係機関の整備その他の準備を要するため、政令で別に定める日から施行することができる。
第2条この法律において使用する用語の意義は、他の法令において特に定めるものを除き、この法律によるものとする。
2 他の法令中「環境基本法」「公害対策基本法」「地球温暖化対策推進法」「環境影響評価法」その他この法律の施行前に存在した法令の規定に基づく用語は、この法律の相当規定に読み替えるものとする。
第3条次に掲げる機関は、それぞれこの法律の規定により新たに設置される機関に承継される。
一 国立環境研究所法(昭和47年法律第88号)による国立環境研究所は、環境法第四編第四章に定める「国立環境研究機構」とする。
二 独立行政法人環境再生保全機構法(平成15年法律第86号)による同機構は、第三編第二章に定める救済機構に承継される。
三 公害等調整委員会設置法(昭和46年法律第111号)による委員会は、第十一編第三章に定める公害等調整委員会として存続するものとする。
第4条この法律の施行前に旧法に基づいてなされた次に掲げる行為は、この法律に相当する行為とみなす。
一 許可、認可、指定、届出その他の行政処分
二 命令、通知その他の行政指導
三 旧法に基づく計画、方針又は基本指針
2 前項の規定により読み替えられる行為の効力は、この法律の相当規定により行われたものとみなす。
第5条この法律の施行前にした行為については、なお従前の例による。
第6条この法律の施行に関し必要な経過措置その他の事項は、政令で定める。
第7条内閣は、この法律の施行に伴い、他の法律中「環境基本法」「公害健康被害補償法」「地球温暖化対策推進法」その他この法律により廃止又は改正される法令の引用規定を整理するものとする。
2 前項の改正は、この法律の施行の日において効力を生ずる。
第8条次に掲げる法律は、この法律の施行の日をもって廃止する。
一 環境基本法(平成5年法律第91号)
二 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)
三 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)
四 騒音規制法(昭和43年法律第98号)
五 振動規制法(昭和51年法律第64号)
六 悪臭防止法(昭和46年法律第91号)
七 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)
八 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
九 環境影響評価法(平成9年法律第81号)
十 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)
十一 環境配慮契約法(平成19年法律第56号)
十二 環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号)
十三 その他この法律に包含された法令は、別表に掲げるものをもって廃止する。
第9条環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省その他関係行政機関は、この法律の施行に必要な命令を制定し、又は改廃しなければならない。
2 政省令においては、次の事項を定めるものとする。
一 各編に定める基準、手続及び報告様式
二 国際条約履行に関する手続
三 罰則の執行及び報告の細目(附則別表)【旧法統合リスト】この表に掲げる法律は、環境法に統合されるものとする。
区分廃止・統合対象法令対応する環境法編基本法環境基本法、公害対策基本法
第一編公害防止大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、振動規制法、悪臭防止法、土壌汚染対策法
第二編健康・救済公害健康被害補償法、石綿健康被害救済法、水俣病特措法
第三編廃棄物・循環廃棄物処理法、循環型社会形成推進法、リサイクル関連各法
第四編自然保全自然公園法、自然環境保全法、エコツーリズム法等
第五編野生生物種の保存法、鳥獣保護管理法、外来生物法
第六編生物多様性生物多様性基本法、カルタヘナ法、ラムサール関連
第七編化学物質化審法、PRTR法、オゾン層保護法、水銀汚染防止法
第八編気候変動温対法、気候変動適応法、低炭素都市法、GX関連法
第九編海洋環境海洋汚染防止法、油濁損害賠償法、漂着物処理法、瀬戸内海特措法等
第十編アセス・調停環境影響評価法、公害紛争処理法、公害等調整委員会設置法
第十一編事業者責務グリーン購入法、環境配慮契約法、ESG開示関連
第十二編
第10条政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
第11条他の法令において、旧環境関連法の条項を引用する規定があるときは、この法律の相当規定をもって読み替えるものとする。
【附則全体所見】本附則により、環境法制の昭和型分断体系(公害・廃棄物・自然保護)
を一掃し、統合的「環境法コード」
として再編。
組織・機関・基金・認証制度はそれぞれ既存独法を承継・再編(環境研究機構・環境再生保全機構・調整委員会)。
条約履行・ESG情報開示・GX移行など、令和型政策法体系への架け橋を担う。
実際の法制局審査では、附則第8条(廃止法一覧)を政令別表に委任する形で整理可。
次に、この附則に基づく【統合改正リスト】(各旧法の削除条・承継条番号対照表)
を提示して、最終の「環境法・新旧対照条文」に進みましょうか?2555+0900