正式名称「地域公共機能の再配置及び地域振興に関する法律案」。公共施設・交通・物流・医療・介護・福祉・教育・防災・地域産業・情報通信など、住民生活と地域経済の基盤となる「地域公共機能」を総合的に把握し、その適正な再配置・維持・強化を図る。本則十二章・全132条+附則15条。
条文全文を読む147か条 →制度の柱
- 三層の生活圏 — 地域生活圏・地方生活圏・広域生活圏の定義体系
- 地域振興実施計画 — 都道府県・市町村が作成(共同作成可)し認定
- 地域公共拠点 — 行政・相談・防災・交通物流等の機能を既存施設の活用で整備
- 地域振興台帳 — 原本の所在・管理主体の記録を基本とし重複記録を求めない
- 抑制的設計 — 重複排除・権利保護・比例原則を条文上明記
- 施行後三年・五年の見直し条項 — 検証と国会報告を政府に義務付け
構成(目次)
- 第一章 総則(第1条〜第10条)目的・定義・基本理念・責務
- 第二章 地域振興基本方針(第11条〜第16条)方針自体は新たな義務を課さない
- 第三章 地域振興区域及び生活圏等(第17条〜第27条)区域指定と三層の生活圏・モデル区域
- 第四章 地域振興実施計画(第28条〜第42条)作成と認定・共同作成可
- 第五章 地域公共拠点(第43条〜第52条)既存施設の活用を想定した拠点整備
- 第六章 地域振興台帳及び行政記録(第53条〜第65条)原本所在の記録・重複記録の抑制
- 第七章 関係行政機関等との連携(第66条〜第81条)総合調整・指定公共組織等との連携
- 第八章 支援措置(第82条〜第96条)財政・税制・金融・人材等、重複回避原則
- 第九章 評価、報告及び見直し(第97条〜第106条)住民負担・機能維持への効果で評価
- 第十章 行政手続及び権利利益の保護(第107条〜第113条)補正・重複提出の抑制
- 第十一章 不正防止及び是正措置(第114条〜第122条)軽微な不備は補正・是正を基本
- 第十二章 雑則(第123条〜第132条)報告は必要な範囲に限定・主務省令
- 附則(第1条〜第15条)段階施行・台帳の試行・三年/五年の検討条項
この法案が定めること
本法案「地域公共機能の再配置及び地域振興に関する法律案」は、私案として起草したものである。人口減少と高齢化、公共施設の老朽化、地域公共交通の縮小、災害リスクの増大といった環境変化に対し、公共施設・交通・物流・医療・介護・福祉・教育・こども子育て支援・防災・地域産業・情報通信など、住民生活と地域経済の基盤となる「地域公共機能」を総合的に把握し、その適正な再配置・維持・強化を図ることを目的とする(第1条)。本則は十二章・全132条で構成され、基本理念、国と地方公共団体の責務、地域振興基本方針、地域振興区域、地域振興実施計画、地域公共拠点、地域振興台帳、支援措置、評価と見直しまでを一つの体系に収める。
三層の生活圏と、計画・拠点・台帳の仕組み
本案の特徴の一つは、住民が日常生活で公共機能を利用する範囲を「地域生活圏」、医療・教育・雇用など専門的・広域的な機能を確保する「地方生活圏」、高度医療や広域交通など高次機能を担う「広域生活圏」の三層で捉える定義体系である(第2条)。主務大臣が指定する地域振興区域を対象に、都道府県・市町村が(共同でも)地域振興実施計画を作成し、認定を受ける(第28条・第35条関係)。
実施の受け皿として、行政窓口・相談・防災・交通物流・事業者支援などの機能を担う「地域公共拠点」を既存施設の活用を含めて整備し(第43条以下)、関係する計画・事業・支援措置・行政記録については「地域振興台帳」に原本の所在・管理主体・保存期間等を記録する(第53条以下)。台帳は既存資料の内容を重ねて記録するのではなく、原本の所在の確認を優先する設計とした。
抑制的な制度設計 — 重複排除・権利保護・見直し
本案は新しい制度を積み上げるのではなく、既存の計画・施設・支援措置・協議体・行政記録をできる限り活用し、不必要な重複を生じさせないことを基本理念に掲げる(第3条第3項)。地域振興基本方針それ自体は国民や事業者に新たな義務を課さないことを条文上明記し(第11条第3項)、支援措置には重複回避と目的・対象・期間・評価方法の明示を求める(第82条)。
行政手続の保護(第十章)と不正防止(第十一章)を独立の章として置き、軽微な不備は是正を基本とする一方、報告・資料提出は目的達成に必要な範囲を超えて求めてはならないとした(第123条)。附則では段階施行と準備行為・台帳の試行を認め、施行後三年以内に区域・生活圏・台帳の事務負担・住民参画など11項目を検証し、五年以内に既存制度との統合・廃止・簡素化を含む制度全体の在り方を検討して国会に報告することを政府に義務付けている(附則第14条・第15条)。